この記事は、明治大学文学部の自己推薦特別入学試験(総合型選抜)を来年以降に受けたいと考えている高1・高2の人と、その保護者の方に向けて書いています。2027年度入試の要項をもとに、出願資格、日程、書類と試験の中身、そして「いつ何を始めればよいか」を順に整理します。
今は11月はじめです。2027年度の文学部自己推薦は、第一次選考(書類)の結果がすでに出ていて、第二次選考は11月14日に行われます。つまり今年の高3生にとっては本番の真っ最中で、高1・高2の人にとっては「来年の秋に向けた準備を始める時期」です。2028年度の要項はまだ発表されていないので、ここでは2027年度の内容をもとに準備の方向を決め、来年度の要項が出たら必ず確認するという前提で読んでください。
文学部の自己推薦特別入試はどんな入試か
明治大学文学部の自己推薦特別入学試験は、明治大学の入試総合サイトでは「総合型選抜」の要項・出願書類のページで要項が公開されています。第一次選考が書類選考、第二次選考が小論文と口頭試問という二段階の形です。
要項の冒頭には「あなたは明治大学で何を学びたいと思っていますか。また、文学部はどんな勉強をするところだと思いますか」という問いかけが置かれています。この入試が見ているのは、テストの点数よりも「この専攻で何を学びたいのか」「そのために高校時代に何をしてきたのか」を自分の言葉で説明できるかどうかです。
募集は学科単位ではなく専攻ごとです。2027年度の募集人員は文学部全体で40名で、内訳は次のとおりです。
| 学科・専攻 | 募集人員(2027年度) |
|---|---|
| 文学科 日本文学専攻 | 3名 |
| 文学科 英米文学専攻 | 4名 |
| 文学科 ドイツ文学専攻 | 2名 |
| 文学科 フランス文学専攻 | 5名 |
| 文学科 演劇学専攻 | 5名 |
| 文学科 文芸メディア専攻 | 3名 |
| 史学地理学科 日本史学専攻 | 3名 |
| 史学地理学科 アジア史専攻 | 2名 |
| 史学地理学科 西洋史学専攻 | 2名 |
| 史学地理学科 考古学専攻 | 2名 |
| 史学地理学科 地理学専攻 | 2名 |
| 心理社会学科 臨床心理学専攻 | 2名 |
| 心理社会学科 現代社会学専攻 | 3名 |
| 心理社会学科 哲学専攻 | 2名 |
どの専攻も数名ずつの枠です。「文学部ならどこでもいい」という出し方はできず、最初から専攻を一つに決めて準備する入試だと考えてください。文学部・人文系の専攻選びそのものに迷っている人は、文学部・人文系の推薦対策の記事も参考になります。
2027年度の出願資格
ここでは日本の高校を卒業見込みの人を中心に説明します(海外の高校を卒業する人向けの資格は別に定められていて、原則として外国語検定のスコア提出が出願条件になるなど条件が異なります)。
第一志望であること
要項には「本学部の各専攻で勉学を強く希望し、第一志望として入学を志す者」とあります。そのうえで注として、この入試で合格した場合は本学部に入学することを前提に、他大学・他学部との併願を認めると書かれています。併願して受けること自体はできますが、合格したら入学する前提の入試だということです。ほかの大学の年内入試と並べて考えている人は、この点を家族とも共有しておいてください。
卒業時期
2027年3月までに高校または中等教育学校を卒業見込みの人が対象です。明治大学の付属高校からの出願も可能とされています。高専の第3学年や、文部科学大臣が認定・指定した在外教育施設を修了見込みの人なども対象に含まれます。細かい条件は要項本文で確認してください。
評定(学習成績の状況)3.5以上
2027年度は、第3学年1学期末(前期末)までの学習成績の状況が3.5以上であることが条件です。2学期制などでこの時点の成績を出せない場合は、第2学年修了時の成績で判断されるとされています。
ここで大事なのは、出願に使う評定は高1の成績から積み上がった平均だということです。高3の1学期だけ頑張っても大きくは動きません。今高1・高2の人は、この冬の学年末試験から評定を意識してください。評定の計算や考え方は評定平均と年内入試の関係をまとめた記事で詳しく書いています。
史学地理学科は科目の履修条件がある
史学地理学科の4専攻には、評定とは別に履修科目の条件があります。いずれも3単位以上の履修が求められます。
| 専攻 | 2027年度の追加条件 |
|---|---|
| 日本史学専攻 | 日本史探究または世界史探究(それに準じる科目を含む) |
| アジア史専攻 | 世界史探究(それに準じる科目を含む) |
| 西洋史学専攻 | 世界史探究(それに準じる科目を含む)に加え、英語の学習成績の状況が4.0以上 |
| 地理学専攻 | 地理探究(それに準じる科目を含む) |
要項では、歴史総合・地理総合は「準じる科目」に含まれないと明記されています。「準じる科目」で条件を満たす場合は、講義要項(シラバス)の提出が必要で、該当するかは学部が判断します(探究科目だけで満たす場合は不要)。
これは高1・高2のうちに確認しないと手遅れになる条件です。高2の選択科目を決める時点で、志望専攻に必要な探究科目を履修できるかを担任の先生と確かめてください。なお、考古学専攻にはこの履修条件の定めはありません。西洋史学専攻を考えている人は、英語の評定4.0以上という条件にも注意が必要です。
特定分野で優れた能力を示していること
もう一つの資格が、学内外の特定分野で優れた能力を発揮し、それを第三者に説明し説得できることです。要項には、コンクールなどの入賞実績の優劣で合否が決まることはなく、入学後の学びにつながる活動や努力を明確に説明できることが重要だと書かれています。
専攻によっては、自己アピールになる活動の例が挙げられています。私の言葉で要約すると、次のような内容です。
- 日本文学専攻:研究評論・読書感想文・創作などの受賞や、書道・詩歌・古典芸能の活動
- 演劇学専攻:舞台芸術や映像分野での活動(台本の研究、創作、出演、演出など)
- 文芸メディア専攻:小説や詩歌の創作、演劇やライブなどでの活動
- 考古学専攻:フィールドワークや研究発表(高校生向けのポスターセッションなど)
- 地理学専攻:国際地理オリンピック国内予選の受験、学会の高校生向けセッションでの発表、自主研究
- 哲学専攻:倫理・哲学のコンテストでの入賞や国際哲学オリンピックへの参加、哲学プラクティスの活動経験
外国語検定は「出願条件」ではない
日本の高校の人については、外国語検定の成績が自己アピールとして考慮される場合の例として、英検2級以上、TOEIC L&R 530点以上、IELTS 4.5以上、ドイツ語・フランス語の技能検定3級以上などが示されています。ただし要項には「これらの成績を修得していなくても出願することが可能です」と明記されています。
英米文学・ドイツ文学・フランス文学専攻を考えている人にとっては、検定は「ないと出せない」ものではなく、「あれば語学への取り組みを示す材料の一つになる」ものです。高2のうちに英検2級を取っておけば、書類の中で語学への関心を具体的に示しやすくなります。
2027年度の日程(出願期間と試験日)
2027年度の日程は次のとおりでした。出願は郵送(速達・簡易書留、締切日の日付印有効)です。
| 項目 | 2027年度の日程(2026年に実施) |
|---|---|
| 第一次選考 出願期間 | 9月25日(金)〜10月1日(木) |
| 第一次選考 結果発送 | 10月21日(水) |
| 第二次選考 出願期間 | 10月22日(木)〜10月27日(火) |
| 第二次選考(小論文・口頭試問) | 11月14日(土)駿河台キャンパス |
| 第二次選考 結果発表 | 11月18日(水)10時(UCAROで発表) |
| 入学手続期間 | 2027年1月14日(木)〜1月22日(金) |
注意したいのは、第一次選考に合格したあと、もう一度「第二次選考の出願手続」と検定料の納入が必要なことです。要項では、どちらか一方でも欠けると受験できないとされています。第二次選考の出願期間は10月22日から27日までと短く設定されています。合格の知らせに安心して手続きを忘れる、ということがないようにしてください。
合格発表は受験ポータルサイト「UCARO」で行われ、掲示や郵送での発表はありません。
9月末に出願ということは、自己推薦書は夏休み中に完成させておく必要があるということです。ここから逆算した準備の時期は、あとの節で書きます。
第一次選考:書類で何が見られるか
提出書類
日本の高校の人の主な提出書類は、出願票、志願票、自己推薦書、評価書、調査書です。任意で、作品やレポート、賞状、資格の証明などをA4のコピーで添付できます(添付する場合は添付書類リストに高校の先生の署名捺印が必要です)。
評価書は大学所定の様式で、高校生活全体を最もよく知っている先生に作成を依頼するものです。先生にも準備の時間が必要なので、遅くとも夏休み前には「この入試を受けたい」と相談しておきましょう。先生への相談の進め方は学校の先生と塾にどう相談するかの記事に書いています。
自己推薦書は2,000字以内・自筆
この入試の中心は自己推薦書です。2027年度は、大学所定の用紙に黒ボールペンで自筆、二つの課題を合わせて2,000字以内で書く形式でした。課題の中身を要約すると、次の二つです。
- 課題ア:この制度を使って、志望する学科・専攻で具体的に何を学びたいか。将来の希望も含めて書く。
- 課題イ:自分が最も高く評価する特定分野、または高校時代の「研究」「学習」を、アと関連させて書く。さらに、その際に読んだ著作について自分の意見を書く。
課題イの最後にある「読んだ著作についての意見」は、文学部らしい問いです。活動の紹介だけで終わらず、その分野の本をきちんと読み、内容に対して自分の考えを持っているかが問われます。あらすじや感想ではなく、「著者のこの主張には賛成だが、自分の活動の経験からはこういう疑問が残る」というように、本と自分の経験を往復させて書けると説得力が出ます。
要項では、自己推薦書で学部で学ぶことへの明確な目的意識や意欲、幅広い知的好奇心、特定分野でどのように優れた能力や実績を示してきたかを判定すると説明されています。第一次選考では提出した書類すべてが評価対象で、学力だけによらない判定のために課外活動なども十分考慮するとされています。
自筆で2,000字の清書は思った以上に時間がかかります。書く内容の組み立て方は志望理由書の書き方が参考になります。
第二次選考:小論文と口頭試問
第一次選考の合格者は、駿河台キャンパスで小論文と口頭試問を受けます。2027年度は、午前9時30分から11時まで小論文、午後1時から口頭試問という時間割でした。口頭試問には追加資料を持ち込めません。
要項では、小論文と口頭試問で「思考の独創性、論理的思考能力など、一般の学力試験では判定しにくいことがら」を問うとされ、二つの結果を総合して合否を判定します。専攻ごとに試験の形式が違うといった記載は、2027年度の要項にはありませんでした。
そのうえで、準備としてできることははっきりしています。
- 小論文:限られた時間で、与えられた問いに対して自分の立場を決め、根拠を挙げて筋道立てて書く練習を重ねる。志望専攻に関係する分野の新書や入門書を読み、言葉や考え方に慣れておく。
- 口頭試問:自己推薦書に書いたこと、とくに課題イで取り上げた著作について、内容を説明し、自分の意見を言い、反対の立場から質問されても答えられるようにしておく。
口頭試問が自己推薦書に基づいて行われるかどうかは要項に書かれていません。ただ、自分が書いた書類の内容を聞かれて答えられない状態は避けるべきです。書類を出したらコピーを手元に残し、何度も読み返してから試験に臨んでください。小論文の基本は小論文の書き方の記事で解説しています。
いつから何を準備するか(学年別)
2027年度の日程を前提にすると、出願は高3の9月末です。そこから逆算して、学年ごとにやることを並べます。
高1の冬〜高2の春
- 志望する専攻をおおまかに決める。文学部のサイトで専攻ごとの授業や先生の研究分野を調べる。
- 史学地理学科を考えるなら、高2・高3でどの探究科目を3単位以上履修できるかを確認する。
- 評定を落とさない。学年末試験が評定の土台になる。
高2の1年間
- 専攻に関わる活動を一つ選んで続ける(創作、研究、フィールドワーク、コンテストへの参加など)。
- その分野の本を読み、読んだ本と考えたことを記録しておく。課題イの「読んだ著作」の材料になる。
- 語学系の専攻を考えているなら、英検などの検定に計画的に挑戦する。
大事なのは数を増やすことではなく、一つの活動を続けて、その中で何を考えたかを言葉にできることです。
高3の春〜夏
- 2028年度の要項が公開されたら、出願資格・日程・自己推薦書の課題が2027年度から変わっていないかを確認する。
- 6月:自己推薦書の構成を決め、下書きを始める。担任の先生に評価書をお願いしたいことを伝える。
- 7〜8月:下書きを繰り返し直し、清書する。並行して小論文を週1本程度書く。
- 9月:書類をそろえて出願する。
- 10〜11月:第一次の結果を待つ間も小論文と口頭試問の練習を続け、合格したらすぐに第二次の出願手続きをする。
評定は3年1学期末までの成績が対象なので、高3の1学期の定期試験も最後まで手を抜かないことが必要です。
今年の高3生へ
今まさに第二次選考を控えている人は、残りの時間で自己推薦書を読み返し、取り上げた著作の内容と自分の意見を声に出して説明する練習をしてください。小論文は本番と同じ時間を計って書く練習をあと数本しておくと、当日の時間配分が安定します。
結果が出たあとは、合否にかかわらず次の入試や一般選抜に向けた準備にすぐ切り替えられるよう、今のうちに予定を整理しておきましょう。
参考にした公式情報
入試の内容は変更されることがあります。出願前に必ず大学の公式発表を確認してください。
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