こんにちは、EIMEI予備校の二神です。
この記事は、川越とその周辺の高校に通う高1・高2と、その保護者の方に向けて書いています。オープンキャンパスと大学の資料を「行っただけ」「もらっただけ」で終わらせないために、何を見て何を持ち帰るかを先に決めておく話です。
先に数字を置きます。進路情報の大規模調査(大学進学者2万7千人以上が回答)では、オープンキャンパスの参加率は9割。高2の時点でも65%が1回は行っています。「行くかどうか」で差はつきません。差がつくのは中身です。
そして、行かなかった人の後悔の理由の1位は「必要性を感じなかった」。「忙しかった」ではなく「必要だと思わなかった」のだから、裏を返せば何のために行くのかが決まっていないと、行っても同じということです。
資料も同じです。興味を持った大学は平均4.67校、資料を取り寄せたのは平均6.29校、出願したのは平均2.42校。6校分もらって、出すのは2校。だから資料も「全部読む」のではなく、見るところを決めて開きます。
行く前にやること(30分)|見る項目を5つ、紙に書く
当日の失敗はほぼ一つ、会場の雰囲気だけを見て帰ってくることです。防ぐ方法は単純で、行く前に見る項目を5つ決めて紙に書く。30分で終わります。
- この日いちばん確かめたいことを一つ。「経営学部で数学をどのくらい使うか」のように、答えが一行で書ける問いにします
- 受ける模擬授業の名前と時間。系統が2つあるなら、それぞれから1つずつ
- 在学生に聞く質問を3つ(例は後述)
- もらって帰るもの(カリキュラム表、必修科目の一覧、入試要項、時間割の例)
- 帰ってから書く欄。「続けられそう度(5段階)」と「気になった必修科目」を空欄で作っておく
当日は配布物を持って歩くので、スマホより書き込める紙のほうが実際に書きます。なお日程と内容は毎年変わり、学部単位で開催日が違うこともあります。行きたい学部の回かどうかを、その大学の公式サイトで必ず確認してください。
「やりたいことが決まってから行く」ではなく、逆でいい
進路の不安の1位は「将来やりたいことが分からない」で33.5%。ただ、順番を気にする必要はありません。進路選択の研究では、興味は「自分にもできそうだ」という感覚のあとに生まれることが繰り返し確かめられています。受けてみた感触から、やりたいことが決まっていく。くわしくはやりたいことが分からないときの進め方に書きました。
当日に見るもの
模擬授業で見るところ
模擬授業は「面白かったか」で判断しないでください。おもしろく作ってあるのが当たり前です。見るのは3つです。
- 知らなかった言葉がいくつ出てきたか。数を数えて紙に書きます。3つなら入りやすい分野、20なら距離がある分野です
- この形式の90分を、週に何コマも受けられそうか。基準は「面白そう」ではなく「4年間続けられそう」
- 手を動かす場面があったか。計算、作図、議論、文章を書く。その動作が自分に合うかを見ます
キャンパスで見るところ
建物のきれいさは4年間に影響しません。見るのは自分が毎週使う場所です。
- 図書館の自習席。埋まっているか、開いている時間
- 最寄り駅からその学部の教室までの実際の徒歩時間。門から教室まで15分かかる大学もあります
- 掲示板。履修相談、追試、就職、留学。貼られた連絡で学部の日常が見えます
在学生に聞くこと|質問は「答えを比べられる形」にする
在学生の相談コーナーは、いちばん情報が取れる場所です。ただし「どうですか」と聞くと「楽しいです」しか返りません。複数の大学で同じ質問をして、答えを並べて比べられる形にしてください。5つ挙げます。
- 「1年生のときに何をしましたか」。週に何コマ受けて、何に時間を取られたか。具体的な答えが返ります
- 「1年生の必修でいちばん時間を取られた科目は何ですか」。必修の重さは大学ごとに違います
- 「最初に出したレポートは、何字くらいで何を書きましたか」。書く量の実際が分かります
- 「この学部を選ぶとき、ほかにどの学部と迷いましたか」。似た名前の学部の違いが在学生の言葉で聞けます
- 「高校のうちにやっておけばよかったと思うことは何ですか」。今日から実行できる答えが返ります。自宅から通う前提なら「片道どのくらいかかっていますか」も足してください
教員に聞くこと
教員の相談ブースでは、在学生が答えられないことを聞きます。
- 「1年生の必修で、多くの学生がつまずくのはどの科目ですか」
- 「この学科で、数学はどのくらい使いますか」。同じ「経営学部」でも数学を多く使う大学とほとんど使わない大学があり、同じ「情報」でも文系型と理系型があります
- 「2年で専攻やコースを選ぶとき、どんな基準で選ぶ人が多いですか」
学部名が似ていても中身が違う件は似た名前の学部は何が違うのかにまとめました。質問を作る前に読んでおくと、聞くことが決まります。
持ち帰るもの|4つだけ決めておく
会場では紙がたくさん配られ、全部持ち帰ると全部読まずに終わります。先に4つに決めて、それだけは確実に確保するのがコツです。
- 1年次のカリキュラム表(必修科目の一覧)。これが最重要です。大学を中途退学する理由の1位は「転学・進路変更」で22.0%、学力不振(7.3%)の3倍。入る前のミスマッチが、辞める理由の最大です。カリキュラム表を1枚読むのは丁寧さのためではなく4年間を守るためです
- 入試要項(前年度のものでも可)。試験科目と配点、方式の一覧。数字はあとで公式サイトの最新版と突き合わせます
- 時間割の例。1年生の1週間がどう埋まるかが分かります。空きコマ、1限の数、実験や実習の曜日
- 学部・学科のパンフレット1冊。総合パンフレットは重いので、学部単位のものがあればそちらを
持ち帰ったら、あとで見返すのはカリキュラム表と入試要項の2つだけと決めてかまいません。
帰ってからやること(その日のうちに15分)
ここが本番です。記憶は驚くほど早く抜けます。その日のうちに15分、行く前の紙に4つ書き込んでください。翌日では半分になります。
- 続けられそう度を5段階で。「面白かった度」ではなく「4年間続けられそう度」
- 気になった必修科目を2つ。カリキュラム表から名前を写します。あとで大学を比べる材料になります
- 在学生の答えをそのまま3行。要約せず、言われた言葉で書きます
- 次にやること1行。「いつ・どこで・何をするか」を1文で先に決めておくと達成率が上がることが、90以上の研究をまとめた分析で確かめられています。「今週の土曜、朝、机で、この学部のシラバスを開く」という形に
ここで書いた3行は、志望理由書や面接にそのまま使えます。総合型・学校推薦型を使う可能性が少しでもあるなら、この日のメモは捨てずに1つのフォルダへ。
行けないときは|オンラインでここまで分かる
部活、遠さ、日程。行けない事情はいくらでもあります。ただ、紙で取れる情報はほぼ全部オンラインで取れます。取れないのは通学の実感と、人に聞いた答えだけ。手順は4段、1校40分です。
- 学部・学科のページ。「学びの特色」ではなく学科の一覧と、2年以降のコース分け。コースがいくつあり、何年生で選ぶのか。ここが分かると、学部名の印象に引きずられなくなります
- カリキュラム表。「科目紹介」「履修モデル」という名前のこともあります。見るのは1年次の必修だけ。数学系・実験系がどれだけあるかを数えます
- シラバス(授業計画)。多くの大学が誰でも見られる形で公開しています。1年次の必修から1科目選び、全15回の内容と評価方法(試験かレポートか)を読む。模擬授業1回よりくわしい情報です。比べたい2校で同じ科目系統をやると、違いがはっきり出ます
- 入試要項。試験科目と配点、方式の一覧、出願期間・試験日・合格発表・入学手続きの4つの締切を書き写す。1校5分です
数字の出どころは大学の公式サイトと募集要項だけを「正」としてください。要項の公開は例年5〜7月ごろですが、大学により大きく違います。
この4段を2校分やると、志望校選びの半分が終わります。続きは志望校の決め方と志望校が決まったら調べることへ。
資料請求で届くものの見方
資料を取り寄せるのは平均6.29校、出願は平均2.42校。届いた時点で4校分は候補から外れる運命です。だからパンフレットは通読しません。開くのは4か所だけ。
- カリキュラム表・科目一覧。1年次の必修だけ。ここだけ写真を撮って残す
- 学科・コースの一覧。何年生でどう分かれるか
- 入試方式の一覧。方式の名前と、必要な科目
- 時間割の例・在学生の1週間。実際の生活が分かる唯一のページです
逆に見なくていいところもはっきりしています。キャンパスの写真・学生のインタビュー・施設紹介は判断材料になりません。就職先の企業名の一覧も、学部差・個人差・その年の景気の影響が大きく、比べるには解像度が足りません。ランキング比較は、選択肢を増やすほど決められなくなります。
資料は「読む」のではなく、4か所を開いて写真を撮り、閉じる。1校10分で終わります。
通学時間は、乗換案内で1回だけ調べる
通学は4年間毎週のことなので、一度だけ数字にします。乗換案内で、平日の朝8時台に自宅を出る経路を1回検索し、片道の分数と乗り換え回数を紙に書く。これだけです。川越から都内なら、同じ距離でも路線で所要時間がかなり変わります。
注意は2つ。「駅から教室まで」を足すこと。そしてその学部が実際に使うキャンパスで調べること。1・2年と3・4年でキャンパスが変わる大学もあるので、学部ごとのキャンパスは公式サイトで確認してください。
この数字は費用の話とセットで、一度だけ保護者の方と共有します。初年度納付金と4年間の総額、そして片道の分数。この3つを1回だけ調べて1回だけ話す。金額そのものはここには書きませんが、調べる行動は早いうちに済ませてください。
複数の大学を比べるときの表|項目は5つに絞る
2校、3校と見に行くと印象が混ざります。表にします。ただし項目は5つまで。増やすほど埋まらず、埋まらない表は使われません。
- 1年次の必修で重いものを2つ。科目名をそのまま
- 受験科目と配点。要項から写した数字
- 続けられそう度(5段階)。模擬授業かシラバスを見たあとの感触
- 片道の通学時間と乗り換え回数
- 使える入試方式(2つまで)。一般選抜、共通テスト利用、学校推薦型、総合型のうち使うもの
5つ目を入れる理由があります。大学入学者全体の53.6%、私立大学なら61.6%が学校推薦型か総合型で入学しています。一般選抜だけを前提に比べると、入口の半分を見落とします。逆に全方式を検討すると決められなくなるので、使う方式は2つまでがちょうどいい。
この表が埋まると、保護者の方との話が「気持ち」から「事実」に移ります。意見が合わないときの問題は、意見の違いより話す材料がないことです。
高1・高2・高3で、見るところが変わる
高1|系統の感触を取りに行く
校名はまだどうでもよくて、系統の感触を取りに行きます。気になる系統の模擬授業を1つ受ける。できれば離れた2系統から1つずつ。持ち帰るのはカリキュラム表だけで十分です。目安は年に3時間。
高2|2つの系統に絞り、カリキュラム表を読み比べる
系統を2つまでに絞る時期です(3つ以上は、まだ絞れていない印)。効くのは同じ系統で2校のカリキュラム表を読み比べること。同じ学部名でも必修が違うと分かると、大学名で選ぶ癖が抜けます。全体像は高1・高2が秋から冬にやることにまとめました。
高3|要項と、面接で使うメモを取りに行く
高3で行くなら目的は2つ。最新の要項の確認と、志望理由書・面接で使えるメモです。「◯◯の模擬授業を受け、△△という話が印象に残った」という一行があるかないかで、書ける内容が変わります。総合型・推薦型は情報戦が先、執筆が後。要項と課題様式が「正解」を決めます。
保護者の方へ
行動の話だけ、3つ書きます。
- 申し込みの日程確認だけ代わりにやること。予約制の回は早く埋まります。行く先は本人が決めていいので、締切の管理だけ手を貸してください
- 帰ってきた日に質問を3つするだけ。「どうだった」ではなく、「1年生の必修で重い科目は何だって」「在学生は何て言ってた」「続けられそう度は5段階でいくつ」。感想ではなく事実を聞く形にすると、本人の中でも整理されます
- 費用と通学時間は一度だけ数字で話す。初年度納付金と4年間の総額、片道の分数。何度も持ち出す必要はありませんが、一度も話さないと合格したあとで話が難しくなります
進路の希望は途中で変わるのが普通です。興味を持った大学の半分以上は出願しないまま候補から外れ、1校だけに出願した人も48.4%います。今決めたことは仮置きでよく、変えるのが多数派だと考えておいてください。
なお、つらさが続くようなときは、学校の先生や保護者の方、専門の窓口に相談してください。
最後に
やることは2つです。行く前の30分で見る項目を5つ紙に書く。帰ったその日の15分でその紙を埋める。行けないなら、学部ページ・カリキュラム表・シラバス・入試要項の4段を1校40分で。
日程・内容・入試方式は毎年変わります。行く前と出願前に、必ずその大学の公式サイトと最新の募集要項で確認してください。EIMEI予備校では、この「見る項目5つ」と比較の表を生徒と一緒に紙で作っています。何を見に行けばいいか決まらないという人は、面談のときに声をかけてください。
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