こんにちは、EIMEI予備校の二神です。
この記事は、川越とその周辺の高校に通っていて、総合型選抜・学校推薦型選抜を受けようと考えている高2・高3生と、その保護者の方に向けて書いています。志望理由書を前に「何を書けばいいか分からない」「書いてみたが、これでいいのか分からない」という段階の人が対象です。
ここでは書き方の手順と通る書類と落ちる書類の分かれ目を具体的に書きます。出願条件や日程は年度ごとに変わるので扱いません。そこは大学の最新の募集要項で確認してください。
志望理由書は「おまけ」ではありません
EIMEI予備校が作っている大学別の「入試対策読本」で学習院大学の入試結果を見ると、2026年度の入学者2,454人に対し、一般選抜で入学したのは1,198人でした。つまり入学者の約半数は学校推薦型・総合型による入学者です。
学習院に限った話ではありません。多くの私立大学で、一般選抜以外のルートから入る学生が半分近くを占めます。志望理由書は、その半分の入口で最初に読まれる書類です(学習院大学の入試対策記事)。
通る書類と落ちる書類の違いは、一言でいうと「主語」です
落ちる書類には、はっきりした共通点があります。
- 落ちる書類の主語は「貴学」…貴学は国際性を重視しており、充実したカリキュラムがあり——という文が続きます。大学の紹介文になっています
- 通る書類の主語は「私」…私は何を見て、何を考え、何をして、何が分からなかったのか。そのうえで、その大学でなければ解けない理由が書いてあります
読む側は大学の先生です。自分の大学の説明を受験生から聞かされても、新しい情報はありません。大学が知りたいのは大学のことではなく、あなたのことです。この一点を外すと、日本語がどれだけ上手でも評価されません。以下、その「私」を書く手順を5つに分けます。
手順1:大学の「求める学生像」を、自分で調べる
パンフレットのきれいな言葉ではなく、大学が公式に文章で書いているものを読みます。探す場所は3つです。
① アドミッション・ポリシー(求める学生像)
大学と学部のサイトに必ずあります。ここには大学が「こういう人に来てほしい」と書いた文が、たいてい3〜5項目で並んでいます。
たとえば慶應義塾大学商学部のアドミッション・ポリシーには、求める学生像の3つめとして「資料を読み解く力が強い人」と書かれています。実際に商学部の一般選抜では、長文の資料や図表を与えて理解力・論理的思考力・表現力を問う試験が課されます。求める学生像と実際の試験が一直線につながっています。
やることは単純です。志望学部のアドミッション・ポリシーを全文コピーし、名詞と動詞に線を引く。「資料を読み解く」「自ら課題を設定する」「他者と協働する」——大学が使っている言葉をそのまま手元に並べます。これが後で自分の経験と突き合わせる物差しになります。
② 出題意図・課題のテーマ
意外に見られていないのが、大学が公表している出題意図です。法政大学は、一般選抜の出題意図を大問単位で公表しています。たとえば地理では「図表で示された統計情報を正確に読み取り考察する能力」、政治・経済では「現実政治に対して日常的な関心を持ってその動向を観察しているかどうかを問う」と書かれています。
一般選抜の資料ですが、その大学が学生に何を求めているかの一番正直な表明です。「日常的な関心」を求める大学に、ニュースを見ていない志望理由書を出すのはちぐはぐです(法政大学の入試対策記事)。
③ 総合型選抜の課題そのもの
課題の中身は、大学からのメッセージです。
成蹊大学の総合型選抜を例にすると、学部ごとに課題の性格がまったく違います。法学部は事前にテーマが公表される議論型、経済学部は課題文献を精読したことを確かめる筆記と発表、経営学部は数的処理・文章読解・統計資料の読解を組み合わせた筆記、理工学部は論理推論と数学の思考力審査です。
つまり経営学部は「数字と資料を読んで考える人」を、法学部は「相手の論点を受けて自分の立場を組み替えられる人」を求めているということです。志望理由書もその方向に合わせます。課題の形式やテーマは年度で変わるので、受ける年の要項で必ず確認してください。
この手順1の目安は1大学あたり60分。3つの資料を印刷して線を引くだけです。ここを飛ばすと、あとの工程がすべて推測になります。
手順2:自分の経験を棚卸しする(いきなり書かない)
うまく書けない人の多くは、材料を出す前に完成品を書こうとしています。順番を逆にします。
ステップA:中学3年〜今までを、時系列で全部書き出す
紙1枚に年表の形で並べます。部活、委員会、行事、アルバイト、習い事、読んだ本、うまくいかなかったこと。「入試に使えるか」を考えずに30個を目標に出します。この段階で選別すると、代表的な肩書きしか残らず、全員同じ書類になります。
ステップB:それぞれに「で、何を考えたか」を1行つける
ここが本番です。経験そのものに価値の差はありません。差がつくのはそのときに何を考え、何を変えたかです。「どんな状況で何に困ったか」「何を試し、結果どうなったか」「そこで残った疑問は何か」の3つを書きます。
3つめの「残った疑問」がとくに大事です。解決した話より、解決しなかった話のほうが大学の学びにつながります。大学は答えを教える場所ではなく、答えのない問いを扱う場所だからです。
ステップC:3つに絞る
手順1で線を引いた「大学の言葉」と突き合わせ、重なるものを3つ選びます。基準は次の3つです。
- 残った疑問が、志望学部の学問と地続きか
- 自分にしか書けない細部(数字・固有名詞・具体的な場面)があるか
- 面接で5分話し続けられるか
1つでもこの基準を満たす経験があれば書類は書けます。逆に、肩書きが立派でも3つとも満たさない経験は書いても伸びません。
手順3:学部の学びと接続する(ここで差がつきます)
多くの書類が薄くなるのは、この接続部分です。「貴学の充実したカリキュラムで学びたい」では何も言っていません。接続は、具体の階段を3段降りて書きます。
- 1段目:学部…経済学部で学びたい(ここで止まると全員同じ)
- 2段目:分野・科目…労働経済学の分野で、賃金と雇用の関係を扱う科目で学びたい
- 3段目:問い…最低賃金を上げたときに、地方の中小企業の雇用がどうなるのかを、データで検証できるようになりたい
調べ方は3つです。
- カリキュラム表(履修モデル)…何年次に何を学ぶかが載っています。「2年次の◯◯という科目」まで書けると、調べた形跡が残ります
- シラバス…多くの大学が公開しています。科目の到達目標と各回の内容が読めます。ここまで読んでいる高校生はほとんどいません
- 教員の研究テーマ…学部サイトの教員紹介から研究分野と主な著書が分かります。自分の疑問に近い先生が1人見つかれば、志望理由の背骨になります
ただし教員の名前を出すときは、その先生の研究内容を自分の言葉で説明できる状態にしてください。名前だけ書いて面接で説明できないと逆効果です。
手順4:字数配分を先に決める
書き始める前に、各ブロックに何字使うかを決めます。配分を決めずに書くと、ほぼ全員が「きっかけ」を書きすぎて、肝心の大学での学びが数行になります。目安は次のとおりです。
- ① 結論(何を学びたいか)…全体の10%。最初の2〜3文で言い切ります
- ② きっかけとなった経験…20%。1つに絞ります。複数書くと全部が浅くなります
- ③ そこで考えたこと・残った疑問…25%。ここが一番重い部分です
- ④ その大学・学部で何をどう学ぶか…30%。手順3の3段目まで書きます
- ⑤ 卒業後にどう使うか…15%。職業名だけで終わらせません
800字なら、①80字・②160字・③200字・④240字・⑤120字。この数字を余白に書き込んでから書き始めてください。
1,200字や2,000字でも比率は同じです。字数が増えたときに厚くするのは③と④で、②のきっかけを長くするのではありません。
手順5:推敲は「観点」を決めて、複数回に分ける
一度で全部直そうとすると、結局てにをはだけを直して終わります。1回につき1つの観点だけを見てください。
- 1回目:他大学でも通る文を探す。大学名を別の大学名に置き換えて読み、それでも成立する文に線を引きます。線の引かれた文は、固有の事実(科目名・研究テーマ・課題の内容)に書き換えます
- 2回目:主語を数える。段落ごとに主語が「私」か「貴学」かを数えます。「貴学」が半分を超えていたら書き直しです
- 3回目:抽象語を潰す。「国際的」「幅広い」「深く」「様々な」に丸をつけ、1つずつ具体に置き換えます。置き換えられない語は削ります
- 4回目:数字と固有名詞を入れる。3年間、週4回、40人、◯◯という本。数字が1つもない書類は、読み手の頭に像が残りません
- 5回目:一文を短くする。一文60字を超えたら切る。長い一文は、たいてい主述がねじれています
- 6回目:声に出して読む。つっかえた場所は、読み手もつっかえます
最後にあなたの高校生活を知らない大人に読んでもらってください。前提を共有していない人に通じる文章が、大学の先生に通じる文章です。
ありがちな失敗例3つと、その直し方
失敗1:大学のパンフレットの言い換えで終わっている
一番多い失敗です。「貴学は少人数教育を重視し、実践的な学びを通じてグローバルに活躍する人材を育成しています。私もそのような環境で学びたいと考えました」——これは大学の自己紹介を大学に読み聞かせているだけで、読み手に何も届きません。
直し方は、パンフレットの言葉を一度すべて消すことです。そのうえで、大学のサイトで自分が見つけた具体物——科目名、シラバスの記述、教員の研究テーマ——だけで書き直します。抽象語が消えて具体物が残れば、それだけで別の書類になります。
この「型で書くと通らない」という話には、大学側の裏づけもあります。慶應義塾大学は経済学部の小論文を取りやめるにあたって公表した文書で、次のように書いています。
- 「試験対策で身につけた知識や技法が、経済学部での本格的な学びやその集大成である論文執筆の力に必ずしもつながっていないのではないかということが私たちの間で議論されるようになりました」
難関大学が公式に「型を覚えて当てはめる練習は大学での学びにつながらない」と自己点検した珍しい文書で、志望理由書にもそのまま当てはまります(慶應義塾大学の入試対策記事)。
失敗2:経験の羅列になっている
「私は生徒会で副会長を務め、部活動では副部長として大会に出場し、ボランティアにも参加しました」。これは履歴書であって志望理由書ではありません。経験を3つ並べた時点でそれぞれに使える字数は100字前後になり、どれも「やりました」で終わります。
直し方は、1つに絞って深く掘ることです。捨てた2つは面接で聞かれたときに話せば十分です。掘るときは次の4点を順に書きます。
- 具体的な場面(いつ、誰と、何を)
- うまくいかなかったこと(ここを書ける人は少ないので、書けると効きます)
- 自分が変えた行動と、その結果
- それでも残った疑問
「成功体験を書かなければいけない」と思い込んでいる人が多いのですが、大学が見ているのは成果ではなく、考え方の筋道です。
失敗3:将来像が学部の学びと結びついていない
「将来は人の役に立つ仕事に就きたいです」「国際的に活躍したいです」。この2文はどの学部に出しても成立します。つまり何も言っていません。
もう一段まずいのが、将来像と学部がずれているケースです。経営学部の書類に法律の専門職になりたいと書いてある。理工学部の書類が環境問題への関心だけで終わり、どの技術で何をするかが書いていない。読み手は「うちの学部でなくてもいいのでは」と考えます。
直し方は、将来像から逆算して、途中の橋を架けることです。次の3文の形にします。
- 「私は◯◯(具体的な問い・課題)を扱いたい」
- 「そのためには△△(学問分野・方法・技能)が必要になる」
- 「それは貴学部の□□(科目・分野・研究)で身につけられる」
この3文がつながって初めて志望理由になります。職業名は、必要なら最後に1文添えるだけで足ります。
書いたことは、全部面接で聞かれます
面接官の手元にはあなたの志望理由書があり、質問はその書類から作られます。書きながら自問してください。「もう少し詳しく」と言われて30秒話せるか。「なぜそう考えたのですか」と3回続けて聞かれても答えが残るか。書いた本や科目の中身を自分の言葉で説明できるか。
答えに詰まる文があれば、そこは盛った文です。書類の段階で削るほうが安全です。
大事な前提:一般選抜の準備は止めないでください
書類と面接の準備に入った時期に、教科の勉強が止まるのが一番多い失敗です。判断の基準はシンプルです。
- 一般選抜の準備を削らずに出せる範囲で出願する
- 結果が出るまでの期間も、英語と主要科目の学習量は落とさない
- 併願先の一般選抜の出題傾向を、出願前に一度は見ておく
総合型・推薦の準備で身につく力——資料を読む、筋道立てて書く、口頭で説明する——は、一般選抜の記述問題や小論文とも重なります。まったく別の準備ではありません。EIMEI予備校では大学別の一般選抜の分析を明治大学の入試対策記事をはじめ12大学分そろえているので、併願先の傾向はそこで確認できます。
今日から始める場合の順番
- 今日…志望学部のアドミッション・ポリシーを印刷し、名詞と動詞に線を引く(30分)
- 今週…中3から今までの経験を紙1枚に30個書き出し、それぞれに「考えたこと・残った疑問」を1行つける(60分)
- 来週…カリキュラム表とシラバスを読んで科目名を3つ書き出し、字数配分を余白に書いてから初稿を一気に書く(推敲はしない)
- その次…推敲の6観点を1日1観点ずつ回し、最後に高校生活を知らない大人に読んでもらう
初稿は下手で構いません。直せる文章が1本あることが、何も書いていない状態との決定的な差になります。
川越で、総合型・推薦の相談ができます
EIMEI予備校は2026年6月に川越校舎を開校しました。川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えます。
1対1の個別指導で、総合型選抜・学校推薦型選抜の指導も行っています(EMiL個別など)。志望理由書の初稿を一緒に直す、経験の棚卸しから付き合う、面接を想定して質問を投げる——一般選抜の学習と並行して進められる形で組み立てます。
「総合型を受けるべきか迷っている」「書いてみたけれど見てほしい」という段階でも構いません。川越校舎の無料体験・個別説明会をご利用ください。
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