志望理由書を書いたあと、どう直すか|自分で直す10のチェックリストと添削の頼み方【川越の予備校が解説】

志望理由書を一度書き終えた高校3年生・既卒生と、その保護者の方に向けた記事です。「書いたけれど、これでいいのか分からない」「先生に直されたけれど、何が悪いのかが分からない」という段階の人に向けて、書いたあとの直し方だけを扱います。

志望理由書は「書く」よりも「直す」ほうに時間がかかります。そして直す作業には、はっきりした観点があります。自分で直すための10項目のチェックリスト、面接を想定した直し方、添削の頼み方、提出前の形式チェックを順に並べます。何をどの欄に書くかという書き方は志望理由書の書き方にまとめてあるので、ここでは深追いしません。

まず「直す時間」を確保する ― 締切から逆算する

提出書類は、1回書いて出せるものではありません。EIMEI予備校で自作している読本では、提出物の添削は「2往復」が最低ラインとしています。書く→見てもらう→直す→もう一度見てもらう→直す。ここまでで1セットです。

逆算した目安が、締切の3週間前には1稿を終えることです。3週間には、添削が返る待ち時間2回分と、自分が書き直す時間2回分が入っています。出願直前は依頼が集中します。ここを見誤ると、直す時間ではなく「待つ時間」で締切が来ます。

年間の流れの目安です。募集要項は例年5〜7月ごろ公開、出願は9〜11月、選抜は10〜12月に集中します。読本の想定では、高3の初夏(6〜7月)に1稿、夏(7〜8月)に添削を2往復以上、秋(9〜11月)に出願と面接練習です。ただし日程は大学・方式で大きく異なります。自分が受ける大学の募集要項で必ず確認してください。

直す前に、何が見られているかを確定する

直しが迷子になるのは、基準を持たずに読み返すからです。「なんとなく弱い気がする」では直せません。評価の観点を公表している大学があり、基準に使えます。

中央大学経済学部の高大接続入学試験では、審査の評価の視点として10項目が公表されています。問題意識の明確性、その学部である理由の明確性、求める人材との整合性、学習計画の具体性、活動経験と学習計画の整合性、将来構想の具体性、活動経験と将来構想の整合性、全体の論理性、主体性、発表の分かりやすさ。この10項目のうち3項目が「整合性」です。採点されているのは要素の立派さではなく要素どうしのつながりだということです。経験が立派でも線がつながらなければ評価されず、ありふれた部活の経験でも線がつながれば材料になります。

東北学院大学の文学部では、建学の精神の理解より学部の教育内容の理解のほうに重い印がついた評価表が公表されています。その学部で何を学べるかを書くほうが重いということです。

自分で直すための10のチェックリスト

原稿を印刷して、10項目を1つずつ、別々の回で見てください。同時に全部を見ようとすると、結局「てにをは」だけ直して終わります。1日2〜3項目でも構いません。

1. 「なぜそれを学びたいのか」という問いが1つに絞れているか

理由は2本立てるのが基本ですが、問いは1つです。「地域医療も気になるし、教育格差にも関心がある」は絞れていない状態です。

直し方:経験と結びつきの強いほうを残し、もう一方は丸ごと削ります。足すのは、残した問いが生まれた瞬間の記述1文だけ。問いが浮かばない人はやりたいことが分からないときの手順に戻ってください。

2. 経験と志望のあいだに「問い」が入っているか

読本は、活動経験と学習計画がつながらない原因を1点に絞っています。あいだの「問い」が言語化されていないことです。「ボランティアに参加しました」と「社会福祉を学びたいです」のあいだには、その活動で何に引っかかったのかが必要です。

直し方:経験の段落の最後に「そこで分からなかったこと」を1文足します。削るのは、活動の説明のうち自分が動いていない部分(行事の概要、団体の紹介)です。

3. 大学・学部を選んだ理由が、その大学にしか当てはまらない形か

判定は簡単です。大学名を別の大学名に入れ替えて成立するなら、書けていません。「伝統がある」「国際的」「面倒見がよい」は、ほぼどの大学にも当てはまります。

直し方:その大学の1年次必修科目の一覧と学部の教育目的を1回だけ読み、入れ替えの効かない要素を1つ入れます。削るのは、大学サイトやパンフレットの言葉を写した部分です。

4. 学習計画が具体的か ― 実在する科目・分野か

読本は学習計画の点検欄に「その大学に実在する科目・研究室か」を置いています。存在しない科目名を書くと面接で崩れます。「幅広く学びたい」は学習計画ではなく感想です。

直し方:科目名・分野名を公式サイトで確認して正式名称に直し、「1年次の土台」「2年次以降に追うこと」の2段に分けます。削るのは「幅広く」「しっかり」などの副詞です。

5. 将来構想が、その学部の学びと対応しているか

経験と将来がつながっていても、あいだの学部の学びを飛ばしていると、その学部である必要がなくなります。

直し方:将来やりたいことを1つに絞り、「そのためにこの学部で身につける必要があるもの」を1つ名指しで足します。削るのは、社会全体を語る壮大な一段落です。

6. 書類を見ずに、声に出して説明できるか

口で言えない文は、書いてあっても伝わっていません。書類を手元に置かず、内容を1分で話し、次に同じ内容を3分で話します。

直し方:詰まる原因は2つだけです。一文が長すぎるか、自分の理解が足りないか。前者は一文を2つに割り、後者は調べ直して中身を入れ替えます。読み上げる言葉ではなく話せる言葉に直すのが目的です。

7. 字数の配分が、経験に寄りすぎていないか

よくある偏りは、経験の説明が半分以上を占め、学習計画と将来構想が数行で終わる形です。経験が全体の半分を超えていたら削る対象です。

直し方:経験のうち結果と学びに関係しない描写(天気、会場の様子、感情の説明)を削り、空いた字数を学習計画に回します。

8. 同じ語を繰り返していないか

読本はまとめの部分を「答えの言いかえ。同じ言葉で繰り返さない」としています。

直し方:「学びたい」「大切だ」「興味を持った」「貢献したい」を数え、3回以上出たら2回は別の表現に替えます。とくに「〜に興味を持ちました」は自分がした行動の動詞(調べた、比べた、作った)に置き換えられることが多く、それだけで具体性が上がります。

9. 抽象語を、具体に言い換えているか

「多様性は大切だ」のような大きな言葉だけで書かれた文章は、何も言っていないのと同じ扱いを受ける、と読本は書いています。直す方法は1つ、大きな言葉を見たら「たとえば?」と自分に聞くことです。

直し方:抽象語を含む文の直後に、自分が見た場面を1文足し、抽象語は1つだけ残してほかは削ります。

10. 固有名詞・数字・時期が正確か

読本の手順には「具体名・数字・時期が書いてある箇所に印をつける。そこは必ず掘られます」とあります。学部名・学科名の正式表記、団体名、年、人数、順位。1つ違うと全体の信用が落ちます。

直し方:印をつけた箇所を1つずつ、要項・公式サイト・自分の記録で確認して直します。確認できなかったものは、ぼかすのではなく削ります。説明できないことは書かないが原則です。

面接を想定して直す ― 「ここを書くと、こう聞かれる」

直しは面接対策の前半でもあります。読本の調査では、提出書類を面接の素材にすると明記した大学を5件確認しています。「申請書類における記入内容について説明することができるか」(中央大学 文学部 フランス語文学文化専攻)のような書き方です。中央大学の哲学専攻では「書類審査との整合性」が独立した評価項目になっています。

だから書き終えたら、①書類のコピーを残す ②一文ずつに「なぜそう言えるのか」と問いを立てる ③具体名・数字・時期に印をつける ④書いたけれど説明できない箇所を探す、の4つをやります。読本は④がもっとも危ないとしています。

  • 読んだ本や記事に触れたなら → どこが印象に残ったか、どこに納得しなかったかを聞かれます。1か所を決めてから出し、決まらないなら削る。
  • 数字を書いたなら → 何人中の何位か、どう数えたのかを聞かれます。答えられないなら数字を削る。
  • 学科名・研究分野を書いたなら → その分野で具体的に何をするのかを聞かれます。面接の担当がその学科の教員だと要項に明記する大学もあります(学習院大学 理学部 公募制)。
  • 将来の職業を書いたなら → なぜその学部を経由するのかを聞かれます。
  • 経験からの「学び」を書いたなら → 別の学びは出なかったかと広げられます。「頑張ることが大切だと学んだ」で止まっていたら、自分の外にも当てはまる形に書き直す。

練習は、書類を見ずに1分版、次に3分版。そのうえで書類を読んだ人に意地悪な質問をしてもらい、答えられなかった質問をメモして次までに調べる。目的は暗記ではなく答えられる範囲を広げることです。制度の全体像は年内入試の制度と面接、当日の受け答えは面接対策で扱っています。

添削を頼むときの頼み方

「全体的にどうですか」と渡すのが、いちばん損な頼み方です。返ってくるのは表現の直しになりやすく、いちばん重い「つながり」は手つかずで戻ってきます。

誰に頼むか。学校の先生(担任、進路指導、志望学部に近い教科の先生)と、通っている塾で十分です。人数を増やすほど良くなるわけではなく、別方向の直しが混ざると文体が割れます。

何を見てほしいと伝えるか。回ごとに役割を分けます。

  1. 1往復目:チェック1〜5。「経験→問い→学習計画→将来構想の線がつながって読めるか」だけを見てほしいと伝える。表現の直しはこの回では要らない、と先に言う。
  2. 2往復目:6〜9。「声に出して読んで、詰まるところ・抽象的に感じるところに印をつけてほしい」と頼む。
  3. 3往復目(余裕があれば):10と形式面。固有名詞と数字、字数、記入欄。

渡すときに付けると話が早いのは、①募集要項の該当ページ(設問文と字数)②迷っている箇所2つ ③前回どこをどう直したかの一言メモ。とくに①がないと相手は一般論で直すしかありません。要項の記載が唯一の正解だからです。小論文も課される方式なら、書く技術は小論文の書き方と共通です。

やってはいけない直し方3つ

1. 他人の文体に寄せる

先生や先輩の言い回しをそのまま入れると、その部分だけ文の温度が変わり、面接で困ります。ある大学が公表した総合型選抜の講評では、低く評価された点として「原稿などに書き込まれた文章を読み上げるだけの志願者」が2つの学科で名指しされていました。原稿は作ってから捨てるのが正しい順序で、直しの原則は自分が声に出して言える言葉に戻すことです。

2. 盛る

読本の記録ルールは「結果は数字で。盛らない。小さくてよい」です。書類が面接の素材になる以上、盛ることは自分に不利な質問を発注する行為です。小さい数字のまま、何をしたかを具体に書くほうが強く残ります。

3. 抽象的にして逃げる

何が悪いのか分からないとき、具体を消して当たり障りのない大きな言葉に置き換えてしまう直しです。同じ講評には、低く評価された点として「情報を表面的にまとめただけで、問題意識が曖昧で漠然としていたもの」が挙がっています。曖昧にする直しは評価を下げる方向です。選択肢は、削るか、調べて足すかの2つだけ。

提出前の最終チェック(形式面)

形式で落とす人が毎年います。見る場所の一覧です。それぞれの答えは、必ず自分が受ける大学の募集要項と課題様式で確認してください。

  • 字数:「○字以内」か「○字程度」か。読本によれば、提出課題の合計が3,000字という大学もあります。
  • 様式:指定の用紙か、ダウンロード書式か、Web入力か。手書き指定と筆記具。
  • 記入欄:タイトル欄、参考文献欄、活動歴の欄を空白で出していないか。
  • 設問文:問われた文言に答えているか。「志望理由」「学修計画」「自己アピール」が別の欄なら内容を混ぜない。
  • 氏名・受験番号・高校名・日付:記入位置、和暦か西暦か、提出日か指定日か。
  • 押印・署名:押印の要否。保護者や学校長の署名欄の有無。
  • 誤字:大学名・学部名・学科名の正式表記を最後にもう一度。
  • 提出方法:郵送(必着か消印有効か)、Web、持参。

締切はいつ・どこで・何をするかの1文にすると守りやすくなります。書くのは出願締切・試験日・合格発表・入学手続き締切の4つ。合格しても手続きを逃せば無効になるので、最後の1つがいちばん重いです。確認する項目は志望校が決まったら調べることにあります。

書き直す時間がないときの優先順位

  1. 経験と学習計画のあいだの「問い」を1文入れる(チェック2)
  2. 大学名を入れ替えても成立する部分を、固有の要素に1か所だけ差し替える(チェック3)
  3. 説明できない固有名詞・数字を削る(チェック10)
  4. 抽象語だけの文を1つ、具体1文に置き換える(チェック9)
  5. 形式面(字数・記入欄・誤字・日付・押印の要否)

1〜4はそれぞれ15〜30分で終わります。合計2時間あれば、評価項目が見ている場所から順に直せます。逆にやってはいけないのは、冒頭の一文を何度も書き換えることです。評価は線のつながりに付きます。

直し終わったらコピーを取り、面接まで持ち歩いてください。書いた行すべてに「なぜ?」と答えられる状態が、そのまま面接対策になります。

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EIMEI予備校について

EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。

  • 川越校舎(2026年6月開校)川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えます。
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二神大輝