この記事は、早稲田大学社会科学部の全国自己推薦入学試験を考えている高校生と保護者に向けて書いています。とくに、出願資格(評定・欠席・活動実績・英語)を高1・高2のうちにどうそろえていくかを中心にまとめました。今年出願した高3の人には、これから行われる第二次選考までの過ごし方も触れます。
数字や日程は、社会科学部の公式サイトに掲載されている2027年度全国自己推薦入学試験要項とパンフレットで確認したものだけを書いています。
全国自己推薦入試はどんな入試か
全国自己推薦入学試験は、出身校の校長の推薦を必要とせず、高校在学中の活動歴をもとに自分で自分を推薦する入試です。2027年度の募集人員は社会科学部社会科学科で35名です。
この入試のいちばんの特徴は、学部が「個性」と「地域性」を二本柱にしていることです。全国を7つの地域ブロックに分け、各ブロックから約5名ずつ合格者を出すことを目標にしています。ブロックは原則として出身高校の所在地で決まります。
| ブロック | 都道府県 |
|---|---|
| 北海道・東北 | 北海道・青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島 |
| 北関東・甲信越 | 茨城・栃木・群馬・新潟・山梨・長野 |
| 南関東 | 埼玉・千葉・東京・神奈川 |
| 東海・北陸 | 岐阜・静岡・愛知・三重・富山・石川・福井 |
| 関西 | 滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山 |
| 中国・四国 | 鳥取・島根・岡山・広島・山口・徳島・香川・愛媛・高知 |
| 九州・沖縄 | 福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄 |
埼玉の高校に通っている人は南関東ブロックです。東京・神奈川・千葉と同じ枠で、約5名の中に入ることになります。首都圏の高校生は、この点を最初に知っておいてください。書類の段階から、同じブロックの受験生の中で自分の活動がどう見えるかを意識する必要があります。
パンフレットでは、求める学生として「確かな学力」「実践力」「豊かな人間性」が挙げられ、受験勉強に打ち込んできた人とは違う「+αの個性」を持つ人を対象にしていると書かれています。学部の学びの特徴としては、社会学・経済学・経営学などから必要な科目を選んで学ぶ学際性や、キャンパスの外に出るフィールドワークを伴う授業が紹介されています。
出願資格:5つの条件をすべて満たす
要項の出願資格は、次の5つをすべて満たすことです。どれか一つでも欠けると出願できないので、高1・高2のうちに一つずつ確認しておきましょう。
1. 卒業の時期
2026年3月に高校を卒業した人、または2027年3月に卒業見込みの人です。卒業後1年の人まで出願できます。要項には、高校在学生と既卒生は同じ基準で評価すると書かれています。
2. 評定平均4.0以上
卒業見込みの人は、高1の1学期(前期)から高3の1学期(前期)までの全体の評定平均が4.0以上であることが条件です。高1の最初の定期テストから数字に入るので、「高3になってから上げればいい」は通用しません。いま高1の人は、この冬の学年末テストがすでに評定の一部になります。評定の扱いについては評定平均は年内入試でどう効くかも読んでみてください。
3. 欠席日数45日以内
卒業見込みの人は、高1の1学期から高3の1学期までの調査書に記載された欠席日数が45日以内であることが条件です(4年制の定時制は60日以内)。本人の責任によらない病気や事故で超えてしまった場合は、出願前に問い合わせフォームから相談できる仕組みがあります(2027年度は8月28日まで)。
4. 活動実績(1つ以上)
次のいずれかに当てはまる必要があります。
- 学芸系・スポーツ系のクラブなどで、都道府県以上の大会・コンクール・展覧会などで優秀な成績を収めた
- 生徒会活動で目覚ましい活躍をした
- 語学検定や財務・会計などの資格を持っている(高校入学前に取ったものも可)
- 学校外の活動(クラブ・ボランティアなど)で目覚ましい活躍をした
要項には「最低基準は設けていない」とあり、自分をアピールできるものであれば対象になるとされています。ただし、中学時代の活動は資格・検定以外は認められません。活動実績は活動記録報告書に書き、大会なら大会の概要と順位・賞がわかる資料などの証明資料を付けて出します。大会記録、生徒会・学外活動は、それぞれ代表的な活動2件までです。
「部活で県大会に出ていないから無理」と決めつける必要はありません。生徒会や学校外の活動、資格も対象です。大事なのは、証明できる形で記録を残しておくことです。賞状、大会のプログラム、活動の記事、主催団体の証明など、あとから集めようとすると手に入らないものが多いので、いまから保管しておいてください。書き方は活動報告書の書き方で説明しています。
5. 英語4技能テストのスコア
次のいずれか1つ以上の基準を満たす必要があります。
| 試験 | 基準 |
|---|---|
| 実用英語技能検定(従来型・S-CBT) | CSE 1,950以上(4技能の総合) |
| GTEC CBT | 930以上 |
| IELTS | 4.0以上 |
| TEAP | 225以上(TEAP CBTは対象外) |
| TOEFL iBT | 3.0以上(2026年1月20日以前の旧形式は42以上) |
| TOEIC L&R + S&W | 1,150以上(S&Wを2.5倍して合算) |
自宅で受けるタイプの試験(TOEFL iBT Home Edition、IELTS Onlineなど)は無効です。また、学部のサイトでは2029年度入試以降、出願時に提出できる英語4技能テストのスコアが変更される予定と告知されています。2029年度入試を受けるのはいまの高1です。変更の中身は学部サイトのお知らせで必ず確認し、受ける試験の種類を決めてください。
提出書類:志望理由書は800字以内
出願書類の中で、自分の言葉で書くのは志望理由書です。所定の用紙は400字×2枚で、記入上の注意では次の3つをバランスよく800字以内で書くよう求めています。
- 最もアピールしたい活動の詳細
- その活動から学んだこと
- 入学後の4年間でそれをどう生かすか
800字で3つを書くので、一つあたりはかなり短くなります。活動の説明を長くしすぎると、学んだことと入学後の話が薄くなります。活動の説明は事実を絞り、学んだことを社会科学の言葉につなげ、入学後に何を学ぶかを具体的に書くという配分を意識してください。社会科学部は学際的な学部なので、「社会学の○○と経営学の○○を組み合わせて」のように、実際の科目名を使えると説得力が増します。
要項には、生成AIで作った文章を自分で書いたものとして出すと不正行為とみなされたり、評価に影響したりする可能性があるという注意も書かれています。志望理由書の基本は志望理由書の書き方を参考にしてください。
選考:第一次は書類、第二次は小論文と面接
第一次選考は書類選考で、成績評価、活動記録(大会記録、生徒会活動、学校外の活動、資格など)、出席状況などを考慮すると書かれています。配点は公表されていません。
第二次選考は早稲田キャンパス(予定)で行われ、小論文と面接です。
- 小論文:これまでは90分・800字以内で、段落の始めの1字空けも字数に含まれました。2027年度も同じ形式とは限らないと要項に書かれています
- 面接:要項・パンフレットには形式や時間の記載がありません
要項によると、これまでの小論文の課題は、教育、環境、マイナンバー、SNS、オリンピックなど社会の問題を扱ったものでした。これまでの90分で800字という条件は、時間に比べて字数が少なめです。書く前に論点を整理し、立場をはっきりさせ、根拠を2つほどに絞るという手順を体に覚えさせておくとよいでしょう。日ごろからニュースを読み、「自分ならどう考えるか」を200字くらいでまとめる習慣が練習になります。小論文の基本は小論文の書き方にまとめています。
第二次選考の結果は、第一次選考の結果も含めて総合的に判断されます。
併願については、要項に他大学や早稲田大学の他学部との併願を妨げないと書かれていて、専願の条件はありません。
2027年度の日程と、今日(11月2日)の時点で
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 出願期間 | 2026年9月25日〜10月1日(消印有効) |
| 第一次選考合格発表 | 2026年11月13日 10:00 |
| 第二次検定料の払い込み | 2026年11月16日〜11月20日 |
| 第二次選考 | 2026年11月22日 |
| 最終合格発表 | 2026年12月11日 10:00 |
| 第一次入学手続 | 2026年12月14日〜12月21日 |
今年出願した高3の人へ。第一次選考の発表は11月13日です。発表を待ってから準備を始めると、第二次選考まで9日しかありません。いまのうちに、時間を計って800字の小論文を書く練習と、志望理由書の内容を深掘りされたときの答えの準備を進めてください。第二次検定料の払い込み期間が11月16日〜20日と短いことも忘れないようにしましょう。並行して、一般選抜の勉強も止めないでおくことをすすめます。
高1・高2がいまから始める準備
この入試は、出願資格の多くが高1からの積み重ねで決まります。高3になってから準備できるのは、志望理由書と小論文くらいです。
高1・高2の冬(いま〜3月)
- 学年末テストで評定を落とさない。4.0は高1の1学期から高3の1学期までの平均です
- 欠席日数を把握しておく。体調管理も含めて、45日の上限を意識します
- 賞状・大会記録・活動の写真や記事など、証明資料になりそうなものをファイルにまとめる
- 英検なら、2級でCSEがいくつ出るかを一度確かめる。いまの高1は、2029年度入試の変更内容を確認してから受ける試験を選ぶ
高2の春〜高3の夏
- 活動実績を伸ばす。大会、生徒会、学外活動のどれで勝負するかを決め、続ける
- 社会科学部のカリキュラムやシラバスを読み、関心のある科目を見つける
- 高3の夏に志望理由書の下書きを作り、800字に収まるまで削る
- 夏以降、社会問題をテーマにした800字の小論文を週1本書く
同じように書類と英語資格の比重が大きい早慶の年内入試として、慶應義塾大学法学部のFIT入試も比べてみてください。
参考にした公式情報
入試の内容は変更されることがあります。出願前に必ず大学の公式発表を確認してください。
あわせて読みたい
EMiL個別について
EMiL個別は、総合型選抜・学校推薦型選抜を専門にした1対1の個別指導塾です。EIMEI予備校の鶴瀬・ふじみ野・川越の校舎とオンラインで受講できます。志望理由書に書くことを見つけるところから、小論文・面接の練習、評定や英検の対策まで、一人ひとりの志望校に合わせて一緒に準備します。
EMiL個別の詳しい内容はこちら/ご相談は各校舎の公式LINEから
