この記事は、武蔵大学の経済学部を総合型選抜で受けようと考えている高校生と保護者に向けたものです。部活動や生徒会で実績がある人、簿記や情報処理の資格を持っている人(商業科の生徒を含む)が対象になる2つの方式について、2027年度の募集要項で確認できた内容と、2027年度から変わる筆記試験、そして高1・高2が今から準備できることをまとめました。
武蔵大学の総合型選抜は、経済・人文・社会・国際教養の4学部で行われ、学部ごとに方式がまったく違います。この記事では、募集人員がいちばん多い経済学部に絞ります。社会学部のゼミ力重視方式やメディア・クリエーション方式などを考えている人は、募集要項の各学部のページを確認してください。
経済学部の総合型選抜は2つの型
経済学部の総合型選抜には、課外活動重視型と商業系資格重視型の2つがあります。募集人員は経済学科・経営学科・金融学科が各15名です。どちらの型も、出願資格は「高等学校又は中等教育学校を2027年3月までに卒業見込みの者」で、現役生向けの入試です。
課外活動重視型
在学中の課外活動で「顕著な成績」を修めていることが出願資格です。募集要項に挙がっている例は次のとおりです。
- 部活動の正規メンバーや個人参加者として、都道府県レベル以上の大会等で顕著な成績をあげた
- 生徒会や文化祭活動で重要な役職を務め、顕著な成果をあげた
- 部活動以外の運動・芸術などの文化活動で、都道府県レベル以上の大会等で顕著な成績をあげた
- ボランティア組織で積極的な貢献を行い、顕著な成果をあげた
スポーツの大会成績だけでなく、生徒会や文化祭、ボランティアでも出願できるのがこの型の特徴です。ただし、どれも「顕著な成果」が求められていて、ただ所属していただけでは足りません。何をやり遂げたのかを、証明できる資料とともに示す必要があります。
商業系資格重視型
次のどれかの資格を持っていることが出願資格です。
- 日商簿記検定試験2級以上
- 全国商業高等学校協会の検定試験のうち、「簿記実務検定試験1級」を含めて3種目以上の1級
- 全国経理教育協会簿記能力検定試験1級以上
- 情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者、応用情報技術者のいずれか
全商検定の対象になる種目(ビジネス計算、ビジネス文書実務、英語、情報処理など)は募集要項に一覧があります。商業科の人だけでなく、普通科でも日商簿記2級や基本情報技術者を取っていれば出願できます。
どちらの型でも、もう一方の条件にあたる実績があれば一次選考で加点されます。課外活動重視型で商業系の資格がある場合、商業系資格重視型で課外活動の顕著な成績がある場合です。加点を希望するときは、証明書類を任意で提出します。
2027年度の日程
経済学部の総合型選抜の日程は、募集要項では次のとおりです。
| 項目 | 2027年度入試 |
|---|---|
| 出願情報登録 | 2026年8月3日(月)から |
| 一次選考の出願・書類郵送 | 2026年9月1日(火)〜9月10日(木)消印有効 |
| 一次選考結果の発送 | 2026年9月25日(金)予定 |
| 二次選考の出願 | 2026年9月25日(金)〜10月2日(金) |
| 二次選考 | 課外活動重視型:10月10日(土)または11日(日)/商業系資格重視型:10月11日(日) |
| 合否通知 | 2026年11月2日(月)発送 |
| 第一次入学手続 | 2026年11月2日(月)〜11月13日(金) |
| 第二次入学手続 | 2027年2月27日(土)〜3月12日(金)消印有効 |
出願の流れで気をつけたいのは、8月3日以降に「出願情報登録」から大学にメールを送るところから始まる点です。返信メールのURLから出願情報を登録し、出願番号を志願票に書き込みます。書類は郵便局の窓口から簡易書留で送ります。手順が多いので、9月に入ってから慌てないよう、8月中に登録まで済ませておくと安心です。
入学手続が2段階になっているのも特徴です。11月の第一次入学手続では入学金を納め、授業料などは翌年2月末から3月の第二次入学手続で納めます。
一次選考:志望理由書と紹介状
一次選考に向けて提出するのは、志願票などの所定の票のほか、調査書、志望理由書(A4で2枚、本人が記入)、紹介状(型ごとに書式が違い、指導責任者などが記入して厳封)、資格証明や活動成果の資料の写しです。
募集要項の作成上の注意には、次のような指示があります。
- 「顕著な成果」は最も顕著なもの1つを書く。異なる活動で複数アピールできる場合も最大3つまで。
- 紹介状と志望理由書には同じ成果を書く。
- 証明資料は右上に氏名・発行日・出所を書き、A4片面にする。
「紹介状と志望理由書には同じ成果を記入」という指示は見落としやすいところです。部活動の顧問や生徒会の担当の先生に紹介状を頼むときは、どの成果を中心に書いてもらうかを事前にすり合わせておく必要があります。紹介状は先生にとっても負担になる書類なので、夏休み前にはお願いしておきましょう。
志望理由書では、課外活動や資格の話だけで終わらせないことが大切です。経済学部の求める学生像には、経済・金融・企業経営に関心を持ち、課題を見つけて調べ、結論を導けること、少人数のゼミで力をつけたいことが挙がっています。総合型選抜の受け入れ方針にも「入学後のゼミナール活動において積極的に活躍できる人」とあります。活動や資格の勉強で得た経験が、経済・経営・金融のどんな問いにつながったのか、そして武蔵のゼミでそれをどう深めたいのかまで書くと、学部が見たいことに答える書類になります。
たとえば、部の会計係として予算を管理した経験から企業の資金繰りに興味を持った、簿記の勉強で決算書が読めるようになり地元企業の経営に関心を持った、というように、経験と学びたいことの間に一本の線を引いてみてください。活動の書き方は活動報告書の書き方、志望理由書全体の組み立ては志望理由書の書き方を参考にしてください。
なお、経済学部は第三志望まで学科を書ける志望順位制です。合格する学科は、志望順位と二次選考の成績で決まり、第二・第三志望の学科に配属されることもあります。出願後に志望学科や順位は変えられないので、3学科の違いを調べたうえで順位を決めてください。
二次選考:総合問題80分と個別面接
二次選考は筆記試験(総合問題、80分)と個別面接です(課外活動重視型の当日の細かな実施内容は、一次選考の通過者に送られる「二次選考実施要領」で確認してください)。配点は一次選考の結果15%、筆記試験60%、面接25%で、筆記試験の比重がとても大きいのが経済学部の特徴です。課外活動や資格で出願資格を満たしたうえで、最後は国語と数学の基礎学力で大きく差がつく、という設計になっています。
筆記試験は、国語・数学の基礎学力を評価する内容を含み、辞書類の持ち込みはできません。募集要項には「2027年度より筆記試験において出題形式の変更が予定されています」とあり、大学のWebサイトでサンプル問題が公開されています。
サンプル問題の構成を見ると、国語は漢字の書き取り、文章の要約(200字)、意見を述べる論述(200字)。数学は基礎的な計算の小問(定義域のある二次関数の最大・最小、三角比を使った角度の不等式、さいころの確率など)と、表を読み取るデータの分析です。サンプルの注意書きには、実際の出題とは異なること、国語の文章は実際には2つ以上になる可能性があること、漢字の数や数学の小問の数はサンプルより多くなる予定であることも書かれています。
出題範囲の細かい指定は大学の案内で確かめる必要がありますが、サンプルを見る限り、数学I・Aの基本(二次関数、三角比、確率、データの分析)を確実に解けること、そして200字という短い字数で要約と意見をまとめる力が求められています。表やグラフから数字を正しく読み取る練習は、小論文の資料・グラフ読み取り型で紹介している方法が役に立ちます。
面接は個別面接で、終了時間は受験者によって違うとされています。提出した志望理由書と紹介状の内容をもとに聞かれると考えて、活動の具体的な場面や数字、そこで自分が判断したことを話せるようにしておきましょう。面接の準備は面接対策にまとめています。
併願と、一般選抜とのつながり
経済学部の総合型選抜は、他大学や武蔵大学の一般選抜との併願が可能です(社会学部のゼミ力重視方式は専願制なので注意)。一方で、武蔵大学の総合型選抜・帰国生・社会人などの特別な入試どうしは併願できません。総合型選抜で不合格になった場合も、学校推薦型選抜(指定校制)や一般選抜には出願できます。
二次選考の筆記が国語と数学の基礎学力なので、総合型の対策がそのまま一般選抜の勉強にもなるのは、この入試のよいところです。総合型だけに賭けるのではなく、一般選抜の勉強と並行して進める考え方は推薦と一般の両立でも書いています。
高1・高2が今からやっておくこと
11月の今、来年以降に受ける人がやっておきたいことを時期ごとに整理します。
高1・高2の11月〜3月
- 実績を記録しておく:大会の結果、生徒会や文化祭で担当したこと、ボランティアの内容を、日付と一緒に残しておきます。賞状や大会の記録、活動の報告書などは、後から集めるのが大変なので、その都度コピーを取っておきましょう。
- 資格の受験計画を立てる:商業系資格重視型を考えている人は、日商簿記2級や基本情報技術者などの受験日から逆算して、高3の夏までに取れる計画を立てます。課外活動重視型の人も、取れる資格があれば加点の対象になります。
- 数学I・Aの基礎を固める:二次関数や三角比、確率、データの分析などの基本問題を、学校の定期テストの範囲として確実に解けるようにしておきます。
高2の3月〜高3の夏
- サンプル問題を80分で解いてみて、国語の200字要約・論述と数学の計算のどちらに時間がかかるかを確かめる。
- オープンキャンパスで経済・経営・金融の3学科の違いとゼミの様子を見て、志望順位を考える。
- 夏休み前に紹介状を先生にお願いし、8月中に出願情報登録と志望理由書の下書きを済ませる。
今年受ける高3の人へ
2027年度の経済学部の総合型選抜は、二次選考まで終わり、今日11月2日に合否通知が発送される日程です。合格した人は、第一次入学手続の期間(11月2日〜11月13日)を見落とさないようにしてください。結果がよくなかった人も、一般選抜には出願できます。二次選考に向けて国語と数学を勉強してきたことは、そのまま一般選抜の土台になります。気持ちを切り替えて次の準備に入りましょう。
参考にした公式情報
入試の内容は変更されることがあります。出願前に必ず大学の公式発表を確認してください。
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