この記事は、大学受験生のお子さんがいる保護者の方に向けて書いています。川越校舎の面談でいちばん多いのが、「親として何をすればいいのか分からない」「何を言えばいいのか分からない」というご相談です。
先にお伝えします。この記事は「気持ちの持ち方」の話ではありません。書くのは保護者が手を動かせる作業と、声をかけるときの言葉の形の2つだけです。「こう言えば子どもはこう感じる」という心の働きの説明はしませんし、体調や気分の見分け方も書きません。そこは私たちが書ける範囲を超えています。
受験の日程と制度の流れは保護者向け 受験の流れにまとめています。この記事はその続きで、流れの中で保護者が引き受けられる作業を並べます。
保護者にしかできない作業が、5つあります
勉強の中身は本人と塾の仕事です。一方で、本人がやると勉強時間を削る作業、本人だけでは進めにくい作業があります。それが次の5つです。ここを保護者が引き受けると決めるだけで、家庭の役割分担は片づきます。
① 出願と検定料の締切を、1枚の一覧にする
調べる項目のうち最優先は4つの締切です。出願締切、試験日、合格発表、そして入学手続きの締切。いちばん重要なのは最後で、合格しても手続きを逃せば無効になります。
いつ:志望校が3校くらいに見えてきた時点(多くは高3の秋)。全部そろうのを待たず、決まったものから足します。
何を:大学名/学部・学科/方式/出願開始日/出願締切/検定料の払込期限/試験日/合格発表日/入学手続き締切。紙1枚で足ります。
どこで確認するか:必ず大学の募集要項と公式サイトです。まとめサイトの日付は要項で裏を取ります。制度と日程は毎年変わります。
書き方のコツが1つ。「◯月◯日までに出願」ではなく、「もし◯月◯日の朝になったら、出勤前に◯◯大学の出願サイトを開く」のように、いつ・どこで・何をするかを1文にします。日付だけのメモは見落としますが、行動の形なら手が動きます。
なお、どこに出願するかを決めるのは本人の作業です(出願校をいつ確定させるか)。
② 受験当日の移動と宿泊を手配する
いつ・何を:試験日が確定した順に、その都度。まず、家から会場までの経路を乗換案内で片道1回調べます。何時に家を出るか、乗換は何回か、最寄駅から徒歩何分か。5分です。次に、宿泊が必要かを見ます(連日で受験する、集合が早い、遠方)。宿は試験日が公表されたあとから埋まるので、決まった順に押さえ、キャンセル規定を確認します。
会場の確認も保護者の作業にできます。同じ学部でも日程ごとに会場が違うことがあるので、受験票に書かれた会場を必ず見てください。持ち物は、本人が用意して保護者が受験票を読み上げ、照合する形が早いです。当日に電車が遅れたとき誰にどう連絡するかも先に決め、大学の連絡先を控えておきます。
③ 学校・塾との連絡の窓口になる
学校に聞くこと:調査書の申込方法と発行にかかる日数、指定校推薦を使う場合の校内締切、評定平均が確定する時期、学校行事で受験日と重なるものがないか。
塾に聞くこと:今どこまで進んでいるか、次に何をする予定か、そして家では何に口を出さないほうがいいか。3つ目が大事です。関わる範囲を塾と揃えておくと、家の中での言い合いがはっきり減ります。
いつ:学期のはじめと、出願前。年に数回で足ります。全部を代行せず、「学校に聞くのは本人、一覧に書くのは保護者」と担当を分けておけば十分です。
④ 費用の見通しを、一度だけ一緒に確認する
ここは保護者にしかできない作業です。やり方は一度だけ数字にすることです。
いつ・どこで:志望校が3校くらいに絞れた時点、出願より前に。大学の公式サイトの学費のページ1枚を見ます。
何を:初年度に納める額、4年間の総額、自宅から通うか下宿か、通学時間、検定料の合計。併願を1校増やすと、検定料も移動も過去問演習も校数分だけ増えます。
そのうえで、家から出せる条件を1回だけ本人に伝えます。何度も話す必要はありませんが、一度も話さないと合格後に問題になります。
⑤ 書類と証明書をそろえる
いつ:出願開始の1か月前を目安に、申込方法だけ先に聞きます。
何を:調査書(学校に申し込み、発行まで日数がかかります)、卒業見込証明書、既卒生は卒業証明書、外部試験のスコア証明書、証明写真(規格が大学ごとに違い、データと紙の両方が要ることがあります)、推薦や総合型なら推薦書と志望理由書の提出形式。
どこで確認するか:募集要項の「出願書類」のページです。似た名前の別の書類があるので、書類名は要項の言葉のまま書き写します。外部試験のスコアには「いつ取得したものが有効か」という条件が付くことが多く、手持ちのスコアが使えるかも要項で確認します。
志望校を決める場面で、保護者ができること
志望校を決めるには情報が必要で、集めるには時間が必要で、その時間は勉強で埋まっています。だから決まらない、というのが実際に起きていることです。ここが保護者の手伝える場所です。決めるのではなく、調べ物を分担する。
必須の調べ物は6つ。試験科目と配点、4つの締切、使う入試方式、学費、1年次のカリキュラム、過去問1年分を解くこと。このうち保護者が代われるのは4つです。
- 試験科目と配点:募集要項から書き写すだけ。1校5分です。科目が合わない大学は他を調べても意味がないので、最初に確認します。
- 4つの締切:①の一覧に転記。
- 学費:④のとおり公式サイト1ページ。
- 1年次のカリキュラム:必修科目の一覧表を1枚、印刷して渡す。学部名からは中身が分かりません。文部科学省の調査では、大学を中途退学する理由の1位は「転学・進路変更」で22.0%、学力不振(7.3%)の3倍です。この1枚は、丁寧さのためではなく4年間を守るためのものです。
残る2つ、使う方式を決めることと、過去問を1年分解くことは本人の作業です。ここを代わりにやると、本人が自分の位置を知る工程が消えます。手順は志望校の決め方に書きました。
調べ物は項目を決めて、埋まったら止めるのがコツです。家庭で持ち出さなくていいものもはっきりしています。全大学の偏差値ランキング、大学別の就職率や年収、違う模試の偏差値の換算。この3つを外すだけで、会話が具体的になります。
もう1つ。一度言った大学名を変えたことを、問題にしないでください。学校で書く進路希望調査は、指導と集計に使う書類で、書き換えるのが前提です。ある大規模調査では、大学進学者が興味を持った大学は平均4.67校、実際に出願したのは2.42校でした。半分以上は出願しないまま候補から外れます。
「偏差値が届かないから無理」という会話になりかけたら、方式の話に移せます。文部科学省の令和7年度の集計では、大学入学者の53.6%が学校推薦型選抜か総合型選抜で入学し、私立大学では61.6%です。入口は一つではありません。
声のかけ方は、言葉の形だけを変える
ここからは言い方の話です。ただし「こう言うと子どもはこう受け取る」という説明はしません。文の形だけを書きます。
結果ではなく、行動について話す
「模試どうだった」「上がった?」は結果を聞く質問で、答えが1つの数字になり、そこで会話が終わります。代わりに行動を聞く形にします。「今週は何をやったの」「過去問は何年分終わった」「英語は今どの教材?」。答えが作業の名前になるので、次の話につながります。目標の言い方も同じで、「落ちたくない」ではなく「英語で7割」「数学の大問2を時間内に」と、やることの名前にそろえます。
質問を具体的にする
「勉強してる?」「大丈夫?」は、はい・いいえで終わります。具体的な質問なら、答えるほうも短く答えられます。「出願の締切、いちばん早いのはどこ?」「今日は何時間やる予定?」「調査書はもう申し込んだ?」。締切と書類のことは、保護者が聞くのが自然です。
答えを急がせない
「で、どうするの」は、その場で結論を求める形です。期限を置いて渡す形に変えます。「今日決めなくていい、来週の面談までに考えておいて」。期限を切るのは、締切がある話(出願、書類、手続き)だけにします。
しないほうがいいこと、4つ
他の子と比べる
理由は行動の話です。比較からは次の作業が1つも出てきません。「◯◯さんは受かった」からは、明日やることが決まらないからです。同じ時間を使うなら、締切の一覧を1枚作るほうが結果に直結します。
模試の結果を1回で判断する
偏差値は、その模試を受けた人の中での位置を表す数字です。集団が違えば同じ学力でも数字は変わり、違う模試の偏差値を比べる公式の換算表はありません。見るのは同じ模試での推移だけです。判定の定義も模試ごとに違い、ある模試ではC判定が合格可能性50%、別の模試では40%以上60%未満を指します。C判定は「だめ」ではなく五分五分、D判定でも3人に1人は受かる位置です。
保護者の行動としては、返ってきたその日に話を決めない。前回と今回の同じ模試を並べて見る、それだけです。模試の読み方は模試の使い方にまとめています。
勉強のやり方を細かく指示する
教材の順番、1日の割り振り、解き方。ここは本人と塾が決めて記録しています。家から別の指示が入ると、本人はどちらに合わせるかを判断する作業が増え、その分だけ手が止まります。気になったときは、本人に言う前に塾に聞いてください。理由は面談で説明できます。
本人が決める前に決めてしまう
「うちはここにしよう」と先に決めると、本人が過去問を解いて自分の位置を確かめる工程が飛びます。決まるのは早くても、何をどの順番で勉強するかが決まりません。保護者が決めるのは費用の上限と家から出せる条件まで、大学名と方式は本人が決める。この線でうまくいきます。
家庭で起きやすい行き違いと、先に決めておけること
受験期の言い合いは、内容よりも「決めていなかったこと」から起きます。次のものは、先に1回決めておけば済みます。
- 勉強の場所:家か自習室か。家ならどの部屋か。家族がその部屋に入るとき声をかけるかどうか。川越校舎の自習室は朝7時から使えます。
- 話す時間:1日のどこで受験の話をするかを決める。それ以外は聞かれない時間になります。
- 成績の共有:模試の結果を家で見せるか、見せるならいつ(返却された日か、面談の前か)。「塾にだけ見せる」と決めるのも1つの決め方です。
- 連絡のしかた:帰りが遅くなるときの連絡手段と、家の中での伝達(口頭か、書いて置くか)。
- 干渉の線引き:勉強の中身は本人と塾、締切と書類と費用は保護者。迷うものは面談で決める。
- 家族の予定:試験日、合格発表、手続き締切を家族の予定表に入れる。送迎やきょうだいの行事との重なりは、直前に気づきがちです。
- 決めたことを残す:紙かスマホのメモに書く。口約束は、忙しくなるとお互いに違う記憶になります。
本人がつらそうなときにできること
私たちは医療や心理の専門ではないので、状態の見分け方や対処法は書けません。書けるのは行動だけです。
- 今週の予定を1つ減らすことを、一緒に認める。減らした分を翌週に上乗せしない。
- 学校の先生に一度話す。
- 専門の相談窓口に相談する。
- 塾にも共有する。予定と面談の頻度は塾側で変えられます。
家庭の中だけで抱えないでください。工夫だけで足りないと感じる状態が続くときは、様子を見る期間を長くするより、早めに外へ相談するほうが選べる手が多く残ります。
保護者の方が、一人で抱えないために
受験期は、情報を集める役、締切を管理する役、話を聞く役を、保護者が同時に引き受けることになりがちです。全部を家庭の中で完結させる必要はありません。
面談では、今どこまで進んでいるか、家で何を言わないほうがいいか、締切の一覧に抜けがないか、費用の話を本人に伝えるタイミング、志望校の候補が妥当かどうかを話せます。1対1の個別指導なので、進み具合はそのまま説明できます。いつでも持ち込んでください。川越の高校に通う方向けの記事は川越の高校生・保護者向けまとめにまとめてあります。
あわせて読みたい
- 保護者向け 受験の流れ(日程と制度)
- 志望校の決め方(本人が使う手順)
- 志望校が決まったら調べること
- 出願校をいつ確定させるか
- 川越の高校生・保護者向けまとめ
EIMEI予備校について
EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。
- 川越校舎(2026年6月開校)川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えます。
- ふじみ野校舎 ふじみ野駅東口から徒歩1分。
- 鶴瀬校舎 鶴瀬駅西口から徒歩3分。
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