この記事は、総合型選抜や学校推薦型選抜で面接を受ける予定の高校生と、その準備を見守る保護者の方に向けて書いています。よく聞かれる質問の種類と、答えたあとに「それはなぜ?」「具体的には?」と深掘りされたときの考え方を、練習の手順と時期までまとめました。
11月に面接を控えている高3生には直前の練習のしかたを、来年以降に受ける高1・高2生には今から始められる準備を、それぞれ書いています。
2027年度入試から、年内入試の面接は「ほぼ全員が受けるもの」に
文部科学省が出している「令和9年度大学入学者選抜実施要項」では、総合型選抜と学校推薦型選抜のどちらについても、志望する学問分野への意欲や適性に関する面接による評価を「必ず行う」と書かれています。この「面接」には、ディベート、集団討論、プレゼンテーション、口頭試問なども含まれ、オンラインでの実施も含まれます。
ただし、令和8年度にすでに実施されていた選抜区分で、すぐに面接を入れるのが難しいものについては、遅くとも令和11年度(2029年度)入試までに面接を導入するという経過措置があります。つまり、今の高1が受ける入試のころには、年内入試で面接がない方式はほとんど残らないと考えておいたほうがよいでしょう。
面接の形も一つではありません。個人面接だけでなく、提出した資料についてのプレゼンテーションと質疑応答、教科の知識を確かめる口頭試問、グループでの討論など、大学ごとに違います。志望校の募集要項で「面接」の欄に何が書いてあるかを、最初に確認してください。面接の欄に「プレゼンテーション」「口頭試問」と書かれていれば、それに合わせた準備が要ります。
大学は面接で何を見ているのか:公式の書き方から読む
面接で何を評価するかを、要項にはっきり書いている大学があります。たとえば次のような書き方です。
埼玉大学 経済学部 総合型選抜
2027年度の特別選抜の募集要項では、面接について個人面接が基本(志願者数によっては集団面接)、面接員は複数、グループディスカッションは行わないとあります。評価の中心は「社会科学に広く関心を持ち、思考力があり、積極的に学修する意欲を持っているか」で、知識を思考力と主体性・多様性・協働性の観点から総合的に評価すると書かれています。選抜は小論文と面接で行われ、どちらかの得点が4割未満だと不合格とされています。配点は大学の募集要項で確認してください。出願期間は2026年11月2日から11月9日(郵送必着)で、今日から受付が始まっています。第1次選抜は11月21日です。
埼玉大学 教養学部 学校推薦型選抜(Ⅰ型)
同じ要項で、面接は「在学中の学習成果や課外活動、本学部での勉学意欲などを総合的に評価」するとされています。面接100点、小論文100点の合計200点で、同点の場合は面接点が高いほうを上位にします。
埼玉県立大学 学校推薦型選抜
2027年度の入学者選抜要項では、面接で入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)に基づく質問をすると書かれています。配点は小論文70点、面接及び調査書等30点の合計100点です。
中央大学 法学部 チャレンジ入学試験
2027年度の要項では、2次選考の面接は15分程度の個人面接です。講義を聴いて論述する試験とあわせて、書類と総合的に判断されます。
こうして並べると、大学が知りたいのは「話がうまいか」ではなく、その学部で学ぶ理由がはっきりしているか、自分で考えて学ぶ力があるか、高校で何をしてきたかだとわかります。アドミッション・ポリシーは大学のサイトで誰でも読めるので、面接の準備はそこから始めるのが近道です。
よく聞かれる質問を6つの種類に分ける
質問の言い回しは大学によってさまざまですが、中身はおおむね次の6種類に分けられます。全部に答えを丸暗記するより、種類ごとに「自分の材料」を用意しておくほうが、言い回しが変わっても対応できます。
1. 志望理由に関する質問
「本学を志望した理由を教えてください」「なぜこの学部(学科)なのですか」「他の大学ではなく本学なのはなぜですか」。いちばん基本で、ほぼ確実に聞かれます。学部で学びたいこと、そのきっかけ、その大学でなければならない理由の3つを、志望理由書と同じ筋で話せるようにします。書類の作り方は志望理由書の書き方を参考にしてください。
2. 学びの中身に関する質問
「入学したら何を学びたいですか」「興味のあるゼミや授業はありますか」「卒業論文で扱いたいテーマは」。ここで答えがぼんやりすると、志望理由全体が弱く見えます。シラバスや先生の研究テーマを調べておくと、具体的に答えられます。大学のサイトで公開されているシラバスは、1時間あれば何科目も読めます。
3. 高校生活に関する質問
「高校で力を入れたことは」「部活動(委員会、探究)で学んだことは」「苦労したことと、どう乗り越えたか」。活動の大きさより、そこで自分が何を考え、どう動いたかが聞かれています。
4. 自分自身に関する質問
「長所と短所は」「周りからどんな人だと言われますか」「最近気になったニュースは」。答えの内容と同時に、自分を落ち着いて説明できるかが見られます。
5. 学部の分野に関する知識・考えを問う質問
「この分野の課題は何だと思いますか」「〇〇についてあなたの考えは」。経済なら物価や働き方、教育なら不登校や教員の働き方、看護なら地域の医療など、分野に関係する話題を自分の言葉で話せるかどうかです。
6. 将来に関する質問
「卒業後はどうしたいですか」「大学での学びを将来どう生かしますか」。将来の職業が決まっていなくても構いませんが、大学での学びとつながった方向性は話せるようにしておきます。
深掘りとは何か:面接官が重ねてくる4つの問い
年内入試の面接で差がつくのは、最初の答えよりも、そのあとに続く質問への答えです。深掘りの質問は、たいてい次の4つのどれかです。
- 「なぜ?」:理由や動機をさらにさかのぼる
- 「具体的には?」:例、場面、数字、本や授業の名前を求める
- 「ほかの選択肢は?」:他大学・他学部・別の方法と比べさせる
- 「それで、どうする?」:これからの行動や学びにつなげさせる
たとえば経済学部を志望する生徒が「地元の商店街が衰退していることに関心があり、地域経済を学びたいです」と答えたとします。面接官はおそらく「商店街が衰退していると感じたのは、具体的にどんなことからですか」と聞きます。そこで「シャッターが閉まっている店が増えたと感じました」と答えると、次は「なぜ閉まる店が増えたのだと思いますか」と続きます。
ここで「わかりません」で止まってしまうと、関心が浅く見えます。一方で、「後継ぎがいない店が多いと、商店会の方に聞きました。郊外の大型店に客が流れたことも理由だと思いますが、それだけで説明できるのかを大学で確かめたいです」と答えられれば、自分で調べたこと、まだわからないこと、大学で学ぶ理由が一つの流れになります。
深掘りは、答えを追い詰めるためではなく、その生徒の考えがどこまで本物かを確かめるためのものです。逆に言えば、自分で体験し、調べ、考えたことなら、何段階深掘りされても答えが続きます。
深掘りされたときの答え方
最初の一文で質問に答える
「なぜですか」と聞かれたら「〜だからです」、「具体的には」と聞かれたら具体例から入ります。前置きが長いと、面接官は何の答えなのかを探しながら聞くことになります。答え→理由→具体例の順にして、全体で30秒から1分くらいに収めると、次の質問につながりやすくなります。
書類に書いたことと食い違わないようにする
面接官の手元には、志望理由書、活動報告書、調査書などの書類があります。書類と違うことを話すと、そこを深掘りされます。面接の前に、提出した書類を読み返し、一文ごとに「なぜ」「具体的には」を自分で問い直しておくのがいちばん確実な準備です。
知らないことは知らないと言い、考えを足す
知識を問われて答えられないときは、ごまかさずに「申し訳ありません、そこまでは調べられていません」と言って構いません。そのうえで「ただ、〜という点から考えると、〜ではないかと思います」と自分の考えを添えると、考える姿勢は伝わります。知ったかぶりは、次の質問でほぼ確実に崩れます。
話を大きくしない
活動の成果を実際より大きく話すと、具体的な質問に答えられなくなります。小さな活動でも、自分が何をして、何がうまくいかず、そこから何を考えたかを正直に話すほうが評価につながります。
沈黙は数秒なら問題ない
難しい質問のあとに「少し考えてもよろしいでしょうか」と言って数秒考えるのは失礼ではありません。焦って的外れな答えをするより、短く考えてから話すほうが伝わります。
プレゼンテーションや口頭試問がある面接
面接の中に、プレゼンテーションや口頭試問が組み込まれている方式もあります。2027年度の公式の要項で確認できた例をあげます。
- 津田塾大学 学芸学部英語英文学科 総合型選抜(探究型):探究活動についてのプレゼンテーション(日本語または英語、10分)と質疑応答(10分程度)。スライドはPDFで事前に提出します。
- 獨協大学 外国語学部(ドイツ語学科・フランス語学科)Q(課題探究)入試:事前課題について、プレゼンテーションと質疑応答を合計30分程度で行います。
- 日本大学 経済学部 総合型選抜〈探究学習評価型〉:第二次選考は口頭試問で、探究活動概要説明書と成果物、それらに関する質疑応答を通じて、探究のプロセスや論理的な思考力、表現力などを評価するとされています。
- 埼玉大学 理学部生体制御学科 総合型選抜:第2次選抜は個人面接で、生物学と英語の口頭試問を含みます。
プレゼンのあとの質疑応答は、深掘りの質問そのものです。「なぜその方法で調べたのか」「ほかの解釈はないか」「次に何を調べるか」と聞かれることを前提に、発表の内容を準備してください。プレゼンや討論の練習は集団討論・プレゼン・英語でも詳しく書いています。
練習の手順:一人でできることから順に
- 想定質問を書き出す:上の6種類ごとに3〜5問、合計20〜30問。志望校のアドミッション・ポリシーと募集要項の評価の観点を見ながら作ります。
- 答えを文章ではなく箇条書きで用意する:丸暗記した文章は、少し聞き方が変わると出てこなくなります。話すべき材料(きっかけ、具体例、本や授業の名前など)を箇条書きにしておきます。
- 声に出して録音する:スマートフォンで録音して聞き直すと、話の長さや「えー」の多さに気づけます。
- 深掘りの4つの問いを自分にかける:一つの答えに対して「なぜ」「具体的には」「ほかは」「それで」を3段階まで重ねて、答えが続くか確かめます。
- 人に面接官役をしてもらう:学校の先生、家族、塾の先生など、自分の答えを知らない人に質問してもらうと、思わぬ深掘りが来ます。
オンライン面接の場合は、カメラの位置、音声、背景も事前に確かめておきます。詳しくはオンライン面接対策をご覧ください。
時期別の準備:高3はこれから、高1・高2は冬から
今年受ける高3生
11月はまだ面接が続く時期です。たとえば埼玉大学の経済学部 総合型選抜と教養学部 学校推薦型選抜(Ⅰ型)は、11月21日に試験があります。残り2〜3週間なら、新しい答えを増やすより、提出書類の読み返しと、深掘りへの受け答えの練習に時間を使ってください。1日1回、10分でも声に出して練習する日を続けるほうが、前日にまとめてやるより落ち着いて話せます。
来年以降に受ける高2生
高2の冬は、面接の練習そのものより、面接で話す材料を作る時期です。志望分野の本を読む、探究や課外活動で自分なりの問いを持つ、オープンキャンパスや大学の公開講座に参加して教員の話を聞く。こうした経験が、深掘りに耐える答えの元になります。冬から春にかけての進め方は高2の冬から始める推薦準備で詳しく書いています。
高1生
高1のうちは、日々の授業や活動の中で「なぜだろう」と思ったことをメモする習慣をつけておくと十分です。気になったニュースを一つ選んで、家族に1分で説明してみるのも、面接の練習になります。学年ごとの流れは総合型の準備は高1から(学年別)を参考にしてください。
面接で聞かれることは、結局のところ、志望理由書や活動報告書に書いたことの延長にあります。書類を作る段階から「これを深掘りされたら何と答えるか」を考えておくと、面接の準備はかなり楽になります。
参考にした公式情報
- 文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」
- 埼玉大学「令和9年度 特別選抜 学生募集要項」
- 埼玉県立大学「2027年度 埼玉県立大学入学者選抜要項」
- 中央大学「2027年度 法学部 チャレンジ入学試験 入学試験要項」
- 津田塾大学「2027年度 総合型選抜(探究型)英語英文学科 募集要項」
- 獨協大学「2027年度総合型選抜『Q(課題探究)入試』について」
- 日本大学経済学部「令和9年度 総合型選抜 募集要項」
入試の内容は変更されることがあります。出願前に必ず大学の公式発表を確認してください。
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