年内入試の併願ルール|専願と併願の見分け方、入学手続の締切と一般選抜の組み立て

この記事は、総合型選抜や学校推薦型選抜を受けようとしている高校生と保護者の方のうち、「この入試は他の大学と併願できるのか」「合格したらいつまでに手続すればいいのか」で迷っている人に向けて書いています。来年以降に受ける高1・高2の人にとっては、志望校の組み方を考える前提の知識になります。

年内入試の併願ルールは、全国一律の決まりがあるわけではなく、大学や入試方式ごとに要項で決められています。ここでは2027年度の要項で確認できた実際の書き方を例に、専願と併願の見分け方、入学手続の締切の並べ方、一般選抜との組み立て方を順に説明します。

専願か併願かは、大学が入試ごとに決めている

まず押さえておきたいのは、「総合型選抜だから専願」「公募推薦だから併願できる」とは言い切れないということです。文部科学省の「令和9年度大学入学者選抜実施要項」は、出願や合格発表の時期、面接や本人が書いた書類を評価に使うことなどを定めていますが、専願にするか併願可にするかを一律に決める規定は置いていません。どちらにするかは、大学が入試ごとに決めて募集要項に書きます。

そのため、同じ大学の中でも方式によって扱いが違うことがよくあります。たとえば東洋大学では、2027年度のAO型推薦入試の出願資格に「必ず入学することを確約できる者」と書かれている一方で、総合型選抜 基礎学力テスト型入試は、方式間・学部学科間・東洋大学の一般選抜・他大学との併願が可能な「併願型」と案内されています。大学名ではなく、入試方式ごとに確かめるのが基本です。

要項の書き方は大きく3つに分かれる

実際の要項を読むと、併願についての書き方はおおむね次の3つに分かれます。

1. 入学の確約を出願資格にしている(専願)

出願資格の中に「合格した場合は必ず入学することを確約できる者」といった文言が入っている入試です。先ほどの東洋大学のAO型推薦入試がこの書き方です。この場合、合格したらその大学に進学することが前提になるので、第一志望の大学・学部でしか出願しないのが原則です。

2. 入学を前提にしたうえで、併願を認めている

明治大学の文学部と国際日本学部の2027年度自己推薦特別入学試験の要項には、「当入試制度で合格した場合は本学部に入学することを前提として、他大学・他学部との併願を認めます」と書かれています。他大学を受けること自体は認められていますが、合格したら入学することが前提とされている書き方です。「併願できる」と「どこに進学しても同じ」は別の話なので、この一文は読み飛ばさないでください。

3. 併願を自由に認めている

早稲田大学社会科学部の2027年度全国自己推薦入学試験の要項には、他大学・他学部との併願を妨げることは一切ないという趣旨の記載があります。東洋大学の基礎学力テスト型入試も、他大学との併願が可能と案内されています。このタイプは、合格を確保したうえで一般選抜に挑戦するといった組み方がしやすい入試です。

学内での併願にも制限がある

他大学との併願とは別に、同じ大学の中で何学部まで出願できるかにも決まりがあります。立教大学の2027年度特別入試のQ&Aでは、自由選抜入試は他大学との併願はできるものの、2つ以上の学部・学科への出願はできないと説明されています。一方、東洋大学の基礎学力テスト型入試は学部・学科をまたいだ併願ができます。第一志望の大学に複数の方式で挑戦したい場合は、この点も確認が必要です。

学校推薦型選抜は、高校との約束も絡む

学校推薦型選抜は、出身高校の校長の推薦に基づいて出願する入試です。指定校制はもちろん、公募制でも高校から推薦書を出してもらう以上、合格後に辞退することは高校との関係でも重い意味を持ちます。推薦を出すときの条件や合格後の扱いは高校ごとに決まっているので、大学の要項と高校のルールの両方を確かめておきましょう。

文部科学省の実施要項では、3月31日までに入学辞退の意思表示をした人には、原則として授業料などを返還することになっています。ただし、専願または学校推薦型選抜(これに類する入試を含む)で合格して在学契約を結んだ人は、この扱いから除かれています。この点からも、専願や学校推薦型選抜は「合格したら進学する」前提で出願する入試だとわかります。指定校推薦の考え方は指定校推薦は取るべきか、学校推薦型の全体像は学校推薦型選抜の仕組みと校内選考で書いています。

入学手続の締切を並べてみる

併願できる入試でも、合格したら決められた期日までに入学手続をしないと、その合格は手放すことになります。2027年度の要項で確認できた例を並べると、締切の時期はかなりばらばらです。

入試 入学手続の期日(2027年度)
青山学院大学 文学部英米文学科 自己推薦 合格発表は2026年11月16日、入学手続書類の提出締切は11月30日(郵送必着)
早稲田大学 社会科学部 全国自己推薦 第一次入学手続は2026年12月14日〜12月21日、第二次入学手続は2027年3月中旬
東洋大学 総合型選抜 基礎学力テスト型 一次手続は2026年12月18日、二次手続は2027年2月26日
明治大学 文学部・国際日本学部 自己推薦 入学手続期間は2027年1月14日〜1月22日

この4つの例では、どの締切も一般選抜の合否がそろう前に来ます。一般選抜の個別試験は2027年2月1日から3月25日までの間に行われるので、年内入試で合格した大学の手続をするかどうかは、一般選抜の結果を見る前に決めなければならないことが多くなります。

早稲田大学社会科学部や東洋大学の基礎学力テスト型のように、手続が一次と二次に分かれている入試もあります。早稲田大学社会科学部の場合、第一次入学手続で入学手続料(登録料と春学期分の学費・諸会費)を納めることになっています。一次の段階で何をどこまで納めるのか、二次まで進まなかった場合にどうなるのかは、合格者向けの手続書類で必ず確認してください。

また、入学手続後に辞退した場合の返還についても大学ごとに書かれています。青山学院大学の英米文学科の要項では、入学手続完了後に辞退する場合、2027年3月31日までに願い出が受理されれば、入学金と在籍基本料の前期分を除く学費などを返還すると書かれています。入学金は戻らない前提で、どの大学に手続をするかを考える必要があるということです。

一般選抜との組み立て方

年内入試と一般選抜を両方視野に入れる場合、受ける入試の性格によって組み方が変わります。代表的な3つのパターンで考えてみます。

パターンA:第一志望を専願で受ける

第一志望の大学に専願の総合型選抜があるなら、まずそこに全力を注ぎます。合格すれば受験はそこで終わりです。気をつけたいのは、不合格だった場合の一般選抜の準備を止めないことです。総合型選抜の合格発表は11月以降に出るので、結果を待つあいだも共通テストや一般選抜の科目の勉強を続けておく必要があります。

パターンB:併願できる入試で進学先を確保し、一般選抜で上をねらう

併願可の入試で合格をとっておき、第一志望は一般選抜で受けるという組み方です。この場合は、確保した大学の入学手続の締切と、一般選抜の合格発表日を同じカレンダーに書き込むことが欠かせません。たとえば東洋大学の基礎学力テスト型なら一次手続が12月18日、二次手続が2月26日なので、一般選抜の結果がそろう前に二次手続の判断が来る可能性があります。

パターンC:年内入試で決まらなかったときに切り替える

総合型・学校推薦型で合格が出なかった場合は、12月以降は一般選抜に切り替えます。年内入試の準備で身につけた小論文や面接の経験は、一般選抜の中で小論文や面接を課す方式にも生かせます。気持ちの切り替えと併願校の組み直しについては総合型・推薦に落ちた後、12月からの立て直しで詳しく書いています。

出願前にやっておく確認の手順

  1. 受けたい入試の要項で、出願資格と注意事項の欄にある「確約」「前提」「併願」の文言を探す
  2. 同じ大学の中で何学部まで出願できるか、他の方式と併願できるかを確かめる
  3. 学校推薦型選抜を考えているなら、校内選考の条件と合格後のルールを担任の先生に確認する
  4. 合格発表日と入学手続の締切(一次・二次)を、すべてカレンダーに書き出す
  5. 一般選抜の出願締切・試験日・合格発表日を同じカレンダーに重ねる
  6. 「どの大学に合格したら、どこで受験を終えるか」を家族で話しておく

要項の読み方そのものに慣れていない人は、募集要項の出願資格の読み方もあわせて読んでみてください。

よくある勘違い

「併願可なら何校でも受けてよい」と考えるのは少し危険です。併願可の入試でも、合格したら入学手続の締切が来ますし、手続をするかどうかの判断が何度も重なると、一般選抜の勉強時間が削られます。受ける数は、締切を全部並べたうえで決めるほうが安全です。

「専願でも、あとで辞退すればいい」という考え方もおすすめできません。専願は入学を約束して出願する入試で、文部科学省の実施要項でも返還の扱いが別になっています。高校の推薦を受けて出願した場合は、高校との約束でもあります。

「去年と同じルールのはず」と思い込むのも避けたいところです。方式の名前が変わったり、学校推薦型から総合型に区分が変わったりすることがあります。毎年、その年度の要項で確認してください。

いまの時期に、学年ごとにできること

高3の人は、今日(11月2日)の時点で、すでに総合型選抜の合格発表が出はじめています。合格した入試があれば、入学手続の締切と、その後に受ける予定の入試の日程を並べて、どこで手続をするかを早めに決めましょう。たとえば東洋大学の基礎学力テスト型入試の出願期間は11月4日までなので、これから出願する人は締切を見落とさないようにしてください。

高1・高2の人は、今のうちに志望校の候補の今年度の要項を開き、専願か併願かを確かめておくと、来年の受験計画が立てやすくなります。専願の入試を第一志望にするなら、それに合わせて評定や英語資格の準備を早めに始めることになります。

参考にした公式情報

入試の内容は変更されることがあります。出願前に必ず大学の公式発表を確認してください。

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二神大輝