この記事は、中央大学法学部の総合型選抜「チャレンジ入学試験」を来年以降に受けたいと考えている高校1・2年生と保護者の方に向けて書いています。英語の資格を持っている人向けの「英語運用能力特別入学試験」についても触れます。
2027年度入試(2026年度に実施)の法学部チャレンジ入試は、9月に出願、10月に選考、11月5日に合格発表という日程で、11月初めの今はもう大詰めです。ですから、ここでは2027年度の入学試験要項に書かれている内容をもとに、来年に向けて何をいつ準備すればよいかを整理します。来年度(2028年度)の要項はまだ発表されていないので、出たら必ず中身を確かめてください。
中央大学法学部の年内入試にはどんな方式があるか
中央大学の公式入試サイトの「特別入試 入学試験要項」のページには、2027年度に法学部が対象になっている特別入試として、チャレンジ入学試験、英語運用能力特別入学試験、スポーツ推薦入学試験などが並んでいます。指定校推薦と附属推薦もありますが、どちらも学校を通して案内されるもので、誰でも出願できる公募の入試ではありません。指定校推薦を考えている人は、学校の先生に早めに相談しておきましょう。
一般の高校生が自分の意思で出願できる方式として、中心になるのはチャレンジ入学試験です。要項にははっきり「文部科学省の定める総合型選抜」として実施すると書かれています。英語の資格をすでに高い水準で持っている人は、英語運用能力特別入学試験も選択肢になります。
チャレンジ入学試験の3つの部門
チャレンジ入試は、将来どんな分野で活躍したいかによって3つの部門に分かれています。要項の説明を短く言い直すと、次のとおりです。
| 部門 | めざす分野(要項の説明より) |
|---|---|
| リーガル部門 | 法曹、企業法務、市民活動など、法的な分野 |
| パブリック部門 | 国、自治体、メディア、NPOなど、公共的な分野 |
| グローバル部門 | 国際機関、国際的企業、NGOなど、グローバルな分野 |
志望学科は法律学科・国際企業関係法学科・政治学科の3つで、出願は1学科1部門に限られます。要項には「リーガル部門、パブリック部門、グローバル部門を併願することはできません」とあります。学科ごとの募集人員は3部門を合わせた人数として示されていますので、人数は要項の表で確認してください。
部門選びは、出願書類の書き方を左右します。たとえば「弁護士になりたい」はリーガル部門と自然につながりますが、「地域の課題を行政の立場で解決したい」ならパブリック部門のほうが話の筋が通ります。どの部門を選ぶかは、自分の将来像と、高校でやってきた活動の両方から決めるものです。どちらか片方だけで選ぶと、書類の中で話がつながらなくなります。
出願資格をどう読むか
2027年度の要項では、出願資格は(1)と(2)の両方を満たすことが求められています。
(1)は学歴に関するもので、2027年3月31日までに高等学校を卒業する見込みの人、または卒業した人などが当てはまります。外国の学校の課程を修了した人や高卒認定試験の合格者など、全部で12通りの条件が並んでいます。
(2)が中身の条件で、次の4つをすべて満たすことが求められています。
- 法律学・政治学を学ぶうえで必要な知識・学力と、それを基礎に社会の問題について考え、判断する力があること
- 関係する人たちと協力して問題を解決しようとする姿勢と力があること
- 選んだ部門の分野で、将来の夢に挑戦する意欲と力があること
- 夢の実現に向けて、課外活動などで優れた成果・実績をあげていること
大事なのは、要項の出願資格に評定平均の基準も、英語資格の基準も書かれていないことです。英語などの検定試験の合格証明書は任意で出す書類になっています。つまり「評定が足りないから出せない」という入試ではありません。
ただ、その分、(2)の4つの条件を書類で示せるかどうかがすべてになります。特に4番目の「課外活動などでの優れた成果・実績」は、高3の夏に急に作れるものではありません。高1・高2のうちに動き始める理由はここにあります。出願資格の文章をどう読み解くかは、募集要項の出願資格の読み方でも詳しく書いています。
また、要項には「本入試制度は自由応募制」で、他の入試制度や本学の他学部、他大学との併願を認めていると書かれています。専願の条件はありません。チャレンジ入試を受けながら、他大学の総合型選抜や一般選抜の準備を並行して進めることができます。
2027年度の日程
来年の見通しを立てるために、2027年度の日程を確認しておきます。来年度は日付が変わる可能性が高いので、あくまで「この時期にこれがある」という目安として見てください。
| 項目 | 2027年度の日程 |
|---|---|
| 出願期間 | 2026年9月1日(火)10:00〜9月7日(月)(書類は締切日消印有効) |
| 第1次選考(書類)合格発表 | 2026年10月16日(金)11:00〜 |
| 第2次選考 | 2026年10月24日(土)茗荷谷キャンパス |
| 最終合格発表 | 2026年11月5日(木)11:00〜 |
| 入学手続期間 | 2026年11月5日(木)〜11月12日(木) |
合格発表は、受験ポータルサイト「UCARO」で行われ、合格通知書は郵送されず、UCAROの画面から自分でダウンロード・印刷する形です。
注意したいのは、出願期間が9月の最初の1週間しかないことです。夏休みが明けたらすぐ締切が来ます。書類は夏休み中に仕上げておかないと間に合いません。逆算すると、高3の夏休みは「書く」期間ではなく「仕上げる」期間にしておきたいところです。
出願の手順と提出書類
出願の流れ
中央大学の『特別入試出願手引』によると、出願は次の順番で進みます。
- UCAROに会員登録する(出願期間前から登録できます)
- 出願期間内にWeb出願登録をする(志望情報・個人情報の入力、出願写真のアップロード)
- 入学検定料を支払う(出願期間最終日の23:59まで)
- 出願書類を角2封筒に入れ、「速達・簡易書留」で郵送する(締切日消印有効)
検定料を払ったあとは出願内容を変更できません。また、日本の高校の調査書は厳封されたものだけが受け付けられ、開封すると無効になります。調査書は学校に発行を頼むものなので、夏休み前に担任の先生へ「9月初めに出願するので調査書が必要です」と伝えておくと安心です。学校の先生への相談の仕方は推薦の準備を学校の先生と塾にどう相談するかを参考にしてください。
提出書類
2027年度の要項にある提出書類は次のとおりです。
- 調査書(全員。2027年3月卒業見込みの人は第3学年1学期(前期)までのもの)
- 志願者経歴書(全員。所定用紙)
- 志望理由書(全員。所定用紙。手書き用とPC作成用のどちらかを選ぶ)
- 志望理由書の付属資料(任意)
- 推薦書(任意。1名につき1通まで。推薦者の指定なし)
- 各種検定試験の合格証明書(任意)
志願者経歴書には、学歴のほか、海外滞在経験(旅行は除く)や、合格した外国語検定・その他の検定を書く欄があります。
志望理由書は3つの問いに各1,000字以内
出願書類の所定用紙を見ると、志望理由書は3ページ構成で、それぞれ1,000字以内で書く形になっています。問われている内容を短く言い直すと、次の3つです。
- これまでに実践してきた活動について
- 関心のある事柄や社会問題について
- 大学で何を学び、どんな学生生活を送りたいか
合わせて最大3,000字です。一般的な志望理由書よりかなり分量があります。しかも3つの問いは、出願資格(2)の4条件とほぼ対応しています。①は「課外活動での成果・実績」と「協働して問題を解決する力」、②は「社会の問題について考え、判断する力」、③は「夢に挑戦する意欲」に当たります。
ですから、3つの文章をばらばらに書くのではなく、「この活動をした(①)→そこでこの社会問題に気づいた(②)→だから中央の法学部でこれを学びたい(③)」と1本の線でつなげることを意識してください。志望理由書全体の組み立ては志望理由書の書き方で詳しく説明しています。
付属資料には、志望理由書の内容を証明する資料、たとえば名前が載った新聞記事や賞状、パンフレットなどのコピーを貼ります。2枚にまとめる決まりで、ビデオや工作物などは審査の対象外です。活動をしたら、その記録(記事・賞状・チラシ・報告書)をその都度とっておく習慣をつけておきましょう。高3になって探しても見つからないことがよくあります。
第2次選考:講義を聞いて書く試験と面接
書類選考を通ると、第2次選考があります。2027年度の内容は次のとおりです。
- 講義理解力試験:約45分の講義を聞いたあと、75分間の論述形式の筆記試験
- 面接試験:15分程度の個人面接
最終的な合否は、提出書類、講義理解力試験、面接を参考に総合的に判断すると書かれています。配点は要項に示されていません。
講義理解力試験への備え方
この試験は、事前に知識を覚えて答える形ではなく、その場で聞いた話を理解し、整理して、自分の考えを書く力を見るものです。普通の小論文とも少し違います。練習としては、次のような順番がおすすめです。
- 大学の公開講座や模擬講義の動画、ニュース解説番組などを30〜45分聞きながら、手でメモをとる
- 聞き終わったら、メモだけを見て、話の要点を200〜300字でまとめる
- 次に、その話題について自分の意見を、理由と具体例をつけて600〜800字で書く
- 書いたものを誰かに読んでもらい、「講義の内容を取り違えていないか」「自分の意見に根拠があるか」を確認する
最初はメモが追いつかないのが普通です。メモをとる力は、高1・高2の授業の受け方からでも鍛えられます。論述の書き方の基本は小論文の書き方を参考にしてください。
面接への備え方
面接は15分程度です。志望理由書の3,000字に書いたことを、面接官は手元に置いて質問してくると考えておきましょう。活動について「なぜそれを始めたのか」「一番困ったことは何か」「周りの人とどう協力したか」、社会問題について「反対の立場の意見をどう考えるか」などを、自分の言葉で答えられるようにしておきます。志望理由書を書き終えたら、その内容を声に出して説明する練習を早めに始めておくと、面接の準備がぐっと楽になります。
英語運用能力特別入学試験という選択肢
英語が得意な人は、法学部の英語運用能力特別入学試験も確認しておきましょう。2027年度の要項によると、法学部の募集人員は3学科合わせて15名で、志望学科は1学科に限られます。
この入試は、チャレンジ入試と違って英語資格の基準がはっきり決まっています。出願期間初日からさかのぼって2年以内に受験した、次のような資格のいずれかが必要です。
| 英語資格 | 2027年度の基準 |
|---|---|
| 実用英語技能検定 | 1級合格 |
| TOEIC L&R | 785以上 |
| IELTS(アカデミック・モジュール) | 6.0以上 |
| TEAP 4技能パターン | 300以上(各分野70以上) |
| ケンブリッジ英語検定 | C1 Advanced以上合格 |
| 国連英検 | B級以上合格 |
TOEFL iBTも対象ですが、受験日によって基準の書き方が変わるので、要項で確認してください。各資格には受験形式などの細かい条件もあります。英検なら1級が必要なので、準1級のままでは出願できません。英検の取得時期の考え方は英検はいつまでに、どの水準で取るかを読んでみてください。
2027年度の日程は、出願期間が2026年9月14日(月)10:00〜9月18日(金)、試験日が10月17日(土)で、筆記試験は小論文(45分)と英語(60分)、それに日本語と英語による面接がありました。合格発表は11月5日(木)です。チャレンジ入試と同じく自由応募制で、他の入試との併願が認められています。
学年別の準備スケジュール
2027年度の日程をもとに、来年以降に受ける人の準備の流れを考えると、次のようになります。
高1の今から高2の春まで
- 法律や政治に関わるニュースを週に何本か読み、気になったものをノートに残す
- 学校の外の活動(地域のボランティア、生徒会、模擬裁判、ディベート、探究活動など)に1つは本気で取り組む
- 活動の記録と証明になる資料をとっておく
高2の冬から高3の春まで
- 3つの部門のどれを選ぶか、仮に決める
- 中央大学法学部のカリキュラムや先生の研究を調べ、「何を学びたいか」を具体的にする
- 志望理由書の①〜③の下書きを一度書いてみる(字数は気にせず、まずは材料を出す)
- 講義を聞いて書く練習を月に数回始める
高3の4月〜8月
- 新しい年度の入学試験要項が出たら、出願資格・日程・書類を必ず確認する(2027年度のチャレンジ入試の要項は、掲載時期が7月上旬と案内されていました)
- UCAROに登録し、所定用紙をダウンロードする
- 夏休み前に担任の先生へ調査書と、必要なら推薦書をお願いする
- 夏休み中に志望理由書を何度も直して完成させる
高3の9月〜11月
- 9月初めに出願(2027年度は9月1日〜7日)
- 書類選考の結果を待つ間も、講義理解力試験と面接の練習を続ける
- 並行して一般選抜の勉強も止めない
チャレンジ入試は他大学との併願ができるので、ここだけに絞らず、一般選抜も含めて計画を立てておくと気持ちが楽になります。
今年の高3生へ
今年チャレンジ入試を受けた人は、11月5日の合格発表を待っている段階だと思います。結果がどうであっても、志望理由書を3,000字書き、講義を聞いて論述し、面接を受けた経験は、このあとの入試でそのまま生きます。一般選抜でも中央大学をめざす人は、ここで考えたことを一般選抜の勉強の動機にしてください。
参考にした公式情報
- 中央大学 特別入試 入学試験要項
- 2027年度 法学部 チャレンジ入学試験 入学試験要項(PDF)
- 2027年度 法学部 チャレンジ入学試験 出願書類(所定用紙)(PDF)
- 2027年度 法学部 英語運用能力特別入学試験 入学試験要項(PDF)
- 2027年度 特別入試出願手引(PDF)
入試の内容は変更されることがあります。出願前に必ず大学の公式発表を確認してください。
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