こんにちは、EIMEI予備校の二神です。
この記事は、県立川越高校・川越女子高校・川越東高校・川越南高校に通っている高校生と、その保護者の方に向けて書いています。「学校の授業も課題もちゃんとやっている。定期テストの点も悪くない。それなのに模試になると英語が読めない」。この状態がなぜ起きるのか、いつ、何をすれば埋まるのかを、具体的な手順と数字でお伝えします。
先に立場をはっきりさせます。私はこの4校の英語の教材を「足りないもの」だとは思っていません。むしろよくできています。問題は教材の質ではなく、学校の授業と定期テストという仕組みが、大学入試で問われることの一部分しかカバーしていないことです。だから「学校の勉強をやめて塾の勉強をする」のではなく、学校の勉強を土台にして、足りない部分だけを足す。これが一番ムダのないやり方です。
まず、4校が使っている英語の教材を確認します
以前、川越とその周辺の高校が使っている英語の教科書を一覧にまとめました。この4校の分だけ取り出すと、こうなります。
- 県立川越高校・川越女子高校・川越東高校:英語コミュニケーションは ELEMENT。
- 川越南高校:New Rays、CREATIVE。
- 文法・表現の教材として、Vision Quest が使われています。
出版社や、川越周辺の他の高校の採用教材までは高校別の英語教科書一覧の記事にまとめてあります。自分の学年・科目のところを確認してから、この先を読んでください。
ELEMENTは、扱う英文が長く、抽象度の高い題材も入ってくる教科書です。New RaysやCREATIVEも、入試につながる英文を扱います。つまり「教科書が簡単すぎるから読めない」という話ではありません。それでも足りなくなる場面が、はっきり4つあります。
足りなくなる場面① 英文の「量」が桁で違う
いちばん大きいのは、ここです。まず入試側の数字を見てください。EIMEIでは大学別に入試対策読本を作っていて、そこから実際に数えた語数を引きます。
- 立教大学 文学部(2月11日の独自試験):75分。読解が2題で、1題あたり約1,200〜1,350語。会話文や誤り指摘も含めると、1回の試験で読む量は約3,000語です。
- 法政大学 T日程:90分。2026年度は1本あたり約1,000語の長文を4本。合計で4,000語級になります。
- 埼玉大学(教養・経済・教育の個別試験):長文2題で約1,560〜1,810語。これに120〜150語の自由英作文が付きます。
- 明治大学 農学部:60分で設問45問前後。1,000語級の超長文と800語級の会話文が並びます。
一方、学校の授業で1回に扱う英文は、教科書の1〜2ページです。ここに数十倍の差があります。
この差を自分の目で確かめる方法を書いておきます。3分でできるので、今日やってみてください。
- 自分の教科書を開いて、本文の1行にいくつ単語があるか数えます(だいたい8〜10語です)。
- その数に、レッスン1つの本文の行数をかけます。これでレッスン1つの語数が出ます。
- それを3,000で割ります。「入試1回分=教科書の何レッスン分か」が出ます。
多くの人が「レッスン3つ分以上」という数字にたどり着くはずです。教科書を1年かけて丁寧に進むペースと、入試本番で75分のうちに読む量は、まったく別の世界だということです。
だから量を足すしかありません。ただし、いきなり1,000語の英文を読んでも潰れます。300語→500語→700語と段階を上げるのが基本です。市販の教材なら『やっておきたい英語長文300/500/700』(河合出版)が、まさにこの刻みで並んでいます。
足りなくなる場面② 「初見の英文」を読む練習がゼロになりやすい
定期テストの英語は、範囲が決まっています。その範囲の英文は、授業で一度読み、訳を確認し、解説を聞いたものです。つまりテストで読む英文は「2回目」です。
入試の英文は、100%が初見です。知らない単語が混ざったまま、前後から意味を決めて、最後まで読み切らなければいけません。
「教科書は読めるのに模試が読めない」と言う生徒のほとんどは、実は読解力が低いのではなく、初見の英文を自力で処理した経験が少ないだけです。経験の量の問題なので、これは足せます。
一番お金のかからない初見演習は、自分の教科書の、まだ授業でやっていない先のレッスンを読むことです。手順はこうです。
- 辞書も訳も見ずに、10分で最後まで読み切る。途中で止まらない。
- 読み終わったら、内容を日本語で3文にまとめて書く。書けなければ読めていません。
- そのあとで辞書を引き、知らなかった単語だけノートに写す。
- 最後に、もう一度通して読む。ここで速くなっている感覚があれば成功です。
週に1本でかまいません。高1・高2でこれを続けた生徒は、高3で長文教材に入ったときの立ち上がりが違います。
足りなくなる場面③ 定期テストの「和訳暗記」が止まる場所
定期テスト前に、授業ノートの和訳を覚える。これで点は取れます。実際、取れてしまうことが問題です。
和訳を暗記して取った点数は、英語力ではなく記憶力の点数です。範囲がなくなった瞬間、つまり模試と入試で、そのまま消えます。
自分がどちらなのかは、5分で判定できます。直近の定期テストの範囲から英文を5つ選び、和訳を見ずに、1文ずつ次の3つを説明してみてください。
- この文の主語はどれで、動詞はどれか(長い主語なら、どこまでが主語か)。
- この that / which / ing / to は何の働きか(関係代名詞なら先行詞はどれか)。
- この文と前の文は、どういう関係でつながっているか(言い換え・対比・理由・具体例)。
5文中3文以上で詰まったら、和訳暗記で走ってきた状態です。悪いことではありません。気づいた時点で切り替えればいい。
切り替え方は、「なんとなく訳せた文」を構造で説明できる文に変えることです。レッスン1つにつき5文だけでいいので、主語・動詞に印をつけ、修飾のかかり方を矢印で書き込む。これを半年続けると、初見の英文で崩れなくなります。市販の教材で補うなら『入門英文解釈の技術70』、次に『基礎英文解釈の技術100』(ともに桐原書店)が定番です。
なお、国公立大学を受ける人にとっては別の注意もあります。たとえば埼玉大学の個別試験の英語は、5年分を確認したかぎり英文和訳が一度も出ていません。「国立の二次=和訳」という思い込みで対策すると、方向がずれます。志望校で何が出るかは、必ず実物で確かめてください。
足りなくなる場面④ 文法が「選ぶ」で止まっている
Vision Quest のような文法・表現の教材は、項目ごとに整理されていて、とてもよくできています。ただし定期テストでの出題は、範囲が決まった4択になりがちです。「今週は仮定法の範囲だから、仮定法の答えを選ぶ」。これでは入試で使えません。
入試での文法の使われ方は、大きく2つです。
- 読むときの道具として。初見の長文の中で、関係詞・分詞構文・倒置・省略が出てきたときに、止まらずに構造をつかむ。
- 書くときの道具として。自由英作文や和文英訳で、自分から正しい形を出す。
ここで大事なのは、入試の文法問題そのものは減る方向にあるということです。たとえば法政大学のT日程では、独立した文法の大問が2025年度に消え、2026年度には会話文もなくなって長文4本になりました。知識問題は長文の中の設問に吸収されています。「文法問題集を何周したか」より、「長文の中で文法が使えるか」に評価軸が移っているということです。
やるべきことは、文法書を捨てることではありません。Vision Quest で覚えた項目を、読むときの目印に変えることです。長文を1本解いたら、その中から文法事項が効いている文を3つ抜き出して、「これは何の文法か」「知らなかったらどう誤読したか」を書き出す。これを毎回やると、文法と読解がつながります。
学年別に、何をすればいいか
高1|「土台づくり」。学校の教材を使い切る
高1でいきなり受験教材を買う必要はありません。やることは3つです。
- 教科書本文の音読。1レッスンにつき、意味を確認したうえで10回。目標は「英語の語順のまま意味が入る」状態です。
- 文法教材の例文を英語で言える状態にする。項目名を言われたら、その例文が口から出るまで。
- 単語帳を1冊決めて始める。『英単語ターゲット1900』(旺文社)か『システム英単語』(駿台文庫)のどちらか1冊です。1日50語を1周20分、これを4周。2冊買わないことが大事です。
加えて、定期テスト対策を和訳の暗記から、構造を説明できる状態へ切り替えてください。同じ勉強時間で、残るものが変わります。
高2|ここが分かれ目。「初見の英文」を習慣にする
高2の1年で差がつきます。やることは4つです。
- 英文解釈の教材を1冊やり切る。高2の夏までに『入門英文解釈の技術70』、秋から『基礎英文解釈の技術100』が一つの型です。
- 初見の長文を週2本。300語級から始めて、高2の終わりには500語級を30分以内で。
- 単語帳を8割。高2の3月時点で、単語帳1冊の8割が「見て1秒で意味が出る」なら、高3は楽になります。
- 高2の3月に、共通テストのリーディングを1回、時間を計って解く。80分です。何点でも落ち込む必要はありません。目的は現在地の確認です。「時間が足りなかったのか、単語が分からなかったのか、構造が取れなかったのか」を切り分けます。
それともう一つ。高2のうちに志望校を「大学名」ではなく「学部と受験方式」まで下ろしてください。上で見たとおり、読む総語数も、和訳が出るかどうかも、学部と日程で違います。同じ大学でも日程が違えば別の試験です。ここが決まると、高3でやる教材のレベルが自動的に決まります。
高3|形式に合わせて、量を積む
おおまかな時期の目安です。
- 4〜7月:英文解釈を完成させる。長文は500語級を週3本、時間を計る。単語帳1冊を9割+熟語(『速読英熟語』(Z会)など)に着手。
- 8月:第一志望の過去問を1年分、必ず自分で解く。そして自分で数える。長文が何本で、1本何語で、設問が何問で、試験時間が何分か。この4つを紙に書き出すと、9月以降にやることが一気に具体的になります。
- 9〜11月:志望校の形式に合わせた演習。長文は700語級まで上げる。並行して共通テスト形式を週1回。
- 12月〜1月中旬:共通テストに寄せる。
- 1月下旬〜:私大・二次の形式に戻す。
国公立志望で自由英作文が出る人は、必ず添削を受けてください。英作文だけは、自分で採点できません。書きっぱなしの100本より、添削を受けた20本のほうが伸びます。
今週からできる3つのこと
- 教科書のレッスン1つの語数を数える。1行の語数×行数。そして3,000語と比べる。
- まだ授業でやっていないレッスンを1つ、辞書なしで10分で読み、日本語3文でまとめる。
- 単語帳を1冊決めて、今週100語。すでに持っているなら、新しく買わずにその1冊を最後までやる。
どれも塾に通っていなくてもできます。まずここからで十分です。
塾や予備校を選ぶときの基準
その上で、外の力を使うかどうかを考えるときの基準を書いておきます。塾の名前を比べるより、次の4つで見るほうが確実です。
- 初見の英文を、その場で解かせてくれるか。説明を聞くだけの時間が長い形式は、場面②の穴が埋まりません。
- 志望校の「形式」まで話ができるか。大学名だけでなく、学部・日程ごとの語数、設問の型、時間配分まで具体的に答えが返ってくるか。
- 学校の課題と両立できる設計か。学校の教材を否定して全部入れ替えさせる提案は、高校生の時間では回りません。
- 自習する場所と時間が確保できるか。英語は授業の時間よりも、自分で読んだ量で決まります。
英語は、こうやって指導しています
私は英語科なので、EIMEIで実際にやっていることを書きます。
① 数百大学・数千問の分析から「頻出テーマ」を先に入れる
EIMEIでは数百大学・数千問の入試英文を分析し、繰り返し出るテーマ(環境、科学技術、心理、社会、教育など)を整理しています。初見の英文でも「この話は知っている」という状態を先に作ってしまう。これが読む速度を上げる最短ルートです。背景を知っている1,000語と、知らない1,000語では、かかる時間がまるで違います。
② 最新の入試の「変化」を、実物で確認する
上で書いた法政T日程の変化のように、入試の形式は年単位で動きます。古い情報のままでは気づけません。EIMEIでは最新年度の問題冊子を実際に確認し、変化を指導と教材にすぐ反映しています。大学別の入試対策読本は、そのために作っているものです。
③ 英語の予想問題を、オリジナルで作っている
過去問は必ず解き終わります。その先のために、大学ごとの本番形式をそのまま再現した英語の予想問題を、英文・設問・解説まですべてオリジナルで作成しています。青山学院、中央、法政T日程、早稲田 文化構想、早稲田 商、慶應 経済、東洋、東京電機など、志望校に合わせて使います。
④ そして、君だけの予想問題へ
1対1の個別指導なので、答案から「どこで時間を失っているか」「どの設問の型で落としているか」が見えます。その弱点に合わせて、その生徒のためだけの予想問題を作ることもしています。教科書の和訳を覚えるところで止まっていた状態から、初見の1,000語を時間内に読み切る状態まで、道筋を一緒に引きます。
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※本記事で挙げた各高校の使用教材は、高校別の英語教科書一覧の記事にまとめた範囲にもとづきます(採用教材は年度によって変わります)。大学の語数・設問数・試験時間は、EIMEIが確認した年度の問題冊子にもとづく数字です。入試制度・日程・配点は毎年変わりますので、出願前に必ず大学の最新の入学者選抜要項をご確認ください。
