【川越の高校生へ】入試英語の長文は次に何が出そうか|1,005本を数えて見えた繰り返しのテーマと、まだ出ていないゾーン

こんにちは、EIMEI予備校で英語科を担当している二神です。

この記事は、英語長文の勉強が「出たとこ勝負」になっている高校生・既卒生と、「英語は何をやらせればいいのか」と考えている保護者の方に向けて書いています。

過去に出たテーマを数えると、二つのことが見えてきます。何年も繰り返し出ているテーマと、条件はそろっているのに、まだ出ていないテーマです。自作している読本の集計をもとに、その両方を数字で並べます。ただし「必ず出ます」という書き方は一つも出てきません。書けるのは「これまで何本出たか」という実測値と、「読本ではこのゾーンを挙げている」という事実だけです。

なぜ、テーマの予想ができるのか

予想できるのは、入試英文に二つの性質があるからです。

性質1 社会で話題になったことが、数年遅れて英文になる

入試の英文は、その年に急に生まれるものではありません。海外の新聞・雑誌・科学誌・一般書から抜粋され、問題として加工されてから出てきます。だから話題の広がりと出題には時間差があります。

実測値で示します。生成AIが一般に使われ始めたのは2022年の秋ですが、AI・情報技術のパッセージは1,005本中44本で、分野別では12番目の分量しかありません。ところがその多くは2025〜2026年度に集中しており、増加率では全分野1位です。私大の分析でも、生成AI関連を最も早く反映した大学では2024年度に一気に3本出ています。感染症でも同じで、コロナ禍のあと公衆衛生の歴史を扱う英文が急増しています。

話題になってから出題までに2〜3年。この遅れがあるからこそ、いま話題のことを「まだ出ていない候補」として数えられるわけです。

性質2 同じ話題が、大学をまたいで広がる

もう一つの性質は、ある大学で出た話題が他大学にも広がることです。文化財返還(大英博物館とエルギン・マーブルズ)の議論は2025〜2026年度だけで少なくとも5大学で確認できました。食の世界史はもっと極端で、コーヒーの歴史が少なくとも5大学、茶の歴史が4大学、チョコレートも複数大学。日米の茶貿易史では同じ研究者の著作が別々の大学で使われた形跡まであります。

つまり一つの大学の一度の出題は、他大学の「予告」にもなっているわけです。志望校の過去問だけを見ていると、この広がりは見えません。

繰り返し出ているテーマを、分母つきの数字で

英語科の教材として、全国約190大学・約2,600題の入試英語問題から415題・1,005本の長文パッセージを抽出し、テーマを1本ずつ分類した読本を自作しています(対象年度2007〜2026年度)。分野別の内訳の上位は次のとおりです。

  • 歴史・文化・人類学 125本/1,005本…食の世界史、文化財返還、考古学
  • 脳科学・心理学 119本/1,005本…記憶、幸福、習慣、時間感覚
  • 医療・健康 105本/1,005本…睡眠、長寿、近視、公衆衛生
  • エッセイ・伝記/文学・物語 101本/1,005本…体験記、物語文
  • 環境・気候変動 76本/1,005本…温暖化、プラスチック、食品ロス
  • 以下、科学技術一般74本、社会・格差71本、言語66本、生物・生態系65本、経済64本、教育55本。

語のレベルでも数えています。同じ415題(約86万語)で出現回数を集計すると、環境分野ではocean が67回、plastic が65回、waste が61回、climate が50回、carbon が42回。生物分野ではplant が57回、animal が50回。テーマ別の集計で最も多く出た内容語は brain でした。

題数で見ても心理・脳科学が104題、医療・健康が86題で1位・2位。「英語長文=科学か環境」のイメージより心と体に寄っています。

最近増えているテーマ

読本が「急増」「近年集中」と書くゾーンを、実測値で挙げます。

  • AI・情報技術…44本/1,005本で分量は多くないが、増加率は全分野1位。重心は「AIに何ができるか」から「どう付き合うべきか」へ移りました。
  • 退屈・マインドワンダリング・創造性…近年急増中で、2025〜2026年度の出題が目立つ
  • 公衆衛生の歴史…コロナ禍以降に急増。
  • 文化財・文化遺産…2025〜2026年度で少なくとも5大学。
  • 手話・消滅危機言語…近年増加。

私大の入試英文 約860本(2020〜2026年度)の分析では、2025〜2026年度に明確に増えた潮流として、生成AIと人間、スマホと注意・若者のメンタルヘルス、気候変動の「対策と副作用」、ジェンダーと格差、日本社会もの(少子高齢化・空き家・観光・外国人労働者)の5つを挙げています。

読本が「まだ出ていない/これから出そう」として挙げているゾーン

推測を足さず、読本の記述のとおりに列挙します。いずれも「条件はそろっている」という意味のゾーンで、出題を保証するものではありません。狙いは山当てではなく、「その大学が好む知のジャンル」を先に頭に入れておくことです。

  • 既出テーマの「次」として挙げているもの…ピザの歴史が出た大学では次はコーヒー・チョコ・茶あたり。監視カメラとプライバシーが出た大学では次は顔認識・医療データ共有。食品ロスの次は昆虫食・代替タンパク。ベーシックインカムの次は最低賃金・富裕税・奨学金。消滅危機言語の続編として手話・方言。
  • いったん出てから空白になっているゾーン…ある難関国立大では、AIと創造性の英文が2021年度に出たあと空白が続いており、生成AI時代版の再来ゾーンとして挙げています。
  • 形式として毎年ある前提のゾーン…図表付きの読解、グラフを見て書くデータ英作文、実用文書(案内・旅程・Eメール)。テーマではなく形式なので、確実に近い枠として扱っています。
  • 共通テストの「未使用ゾーン」…リスニングの講義は6年連続でSDGs・ライフスタイル系ですが、まだ使われていない帯として食品ロス/観光と地域/睡眠と健康を挙げています。
  • 横断で最上位に置いているゾーン…私大では1位に生成AIと仕事・教育・倫理、2位にスマホと注意・若者のメンタルヘルス、3位に心理学の有名研究もの。国公立の記述式では1位が生成AIと学ぶ力、2位が注意・スマホ、3位がケア・当事者性・多様性です。

大学グループごとに、素材そのものが違います

同じ「英語長文」でも、素材の出どころが大学群でまったく違います。その約860本の内訳から示します。

  • 早慶上理…学術書、経済学・人類学・科学哲学の一般向け著作、長編評論が中心。固有名詞が注なしで出ます。ある大学の81本は、人文評論一色の学部、ビジネス×テックの学部、短い科学記事を多数さばかせる学部と、学部ごとに「購読誌」が違います。
  • GMARCH…報道記事や一般向けノンフィクションを標準的な難度に書き直したものが主流。「質の高い新聞の日曜版」です。
  • 成成明学獨國武…書き直しがより平易で、大学ごとの好みが強い。ある大学は19本中5本が文学・物語系、別の大学は31本中7本が消費と暮らしの社会史。実用文書が毎年必出の大学もあります。
  • 日東駒専…語彙・文法の独立小問が全体の3〜5割。ある大学は32本中11本が歴史・文化系、別の大学は42本中12本が心理学、別の大学は51本中十数本が図表付きです。
  • 国公立…約250本(2020〜2026年度)では私大より「議論もの」に寄り、概念そのものを扱う文章が普通に出ます。記述の型は要約・和訳・内容説明・自由英作文の4つ。

予想テーマを知っていると、何が変わるのか

ここは正確に書きます。テーマを知っていること自体が得点になるわけではありません。設問は According to the passage(本文によれば)と書かれているとおり、本文に書いてあることだけが根拠です。「知っている話だからこの選択肢が正しいはずだ」は、いちばんやってはいけない読み方です。では何に効くのか。三つです。

  • 読む速さ…知らない単語を文脈から推測できる。段落の次の展開を予測できるので、戻り読みが減ります。
  • 誤読の減り方…筆者の立場を早く掴めます。環境・保全の英文は「悲観の統計→希望の事例」、人類史の英文は「定説→見直し」が定番で、型を知っていると主張を取り違えません。
  • 選択肢の吟味の速さ…紛らわしい2択を切る判断が速くなる。

国公立の記述式では、効き方がもう一段はっきりします。選択肢の消去ではなく、要約・説明・英作文の「書き出しの速さ」に効くのです。

テーマの予備知識は、どう仕込むか

まず日本語でテーマを読み、そのあとに英語の演習に入る。遠回りに見えて、これがいちばん速いです。1テーマあたりの目安を出します。

  • テーマの中身…日本語の読み物1章分。読本は1章あたり見開き数ページで、予備知識ゼロで読めます。1テーマ20〜30分の分量です。
  • 語彙…1テーマ約30語+成句。単語帳は415題・約86万語のコーパスで頻度を集計し、各テーマ約30語+成句に絞りました。12テーマで合計約440項目です。
  • 共通語彙…50語。テーマを問わず論説文の骨組みを作る語(study、evidence、significant、factor など)を50語だけ別立てに。ここが曖昧だとどのテーマの長文も霞みます。

回し方は3ステップ。①読本の章を読む前後に、対応するテーマの単語ページを見る。②過去問でそのテーマの長文に当たったら、解いた直後にその章を見直す。③直前期は共通語彙50語と、志望校の頻出テーマ2〜3章だけを回す。詳しくはテーマ別英単語英語長文の抽象概念の記事に書きました。

共通テストのリーディング・リスニングとの関係

共通テストは別の試験に見えますが、題材の系統はつながっています。共通テスト6年分(2021〜2026年度)とセンター試験20年分(2007〜2020年度)を分析すると、リーディングの科学記事の大問では、時間の心理的認識(2024年度)、動物の睡眠パターン(2025年度)、マインドワンダリング(2026年度)が出ています。この大問は背景知識の効果が最も大きいと読本でも書きました。

リスニングの講義パートはもっと一貫していて、6年連続でSDGs・ライフスタイル系です。ヒュッゲと幸福度(2021年度)、ギグワーク(2022年度)、アジアゾウの保護(2023年度)、ガラスと環境(2024年度)、贈答文化と廃棄(2025年度)、内陸国の養殖と食料安全保障(2026年度)。帯が固定されているので、読本の該当章がそのまま「聞く前の予習」です。

読本の結論は、共通テストの題材は二次・私大の頻出テーマの入門版だということです。難解な時事や政治は避けられ、「高校生が自分ごとにできる教養」という基準が6年間一貫しています。処理手順は共通テスト英語の攻略にまとめました。

EIMEIは、英語の予想問題を大学別に自作しています

読本で傾向を数えたあと、EIMEIではもう一歩進めて、大学別に英語の予想問題を自作しています。いま作っているのは、東洋、青山学院、中央、東京電機、法政のT日程、早稲田の文化構想、慶應の経済、早稲田の商などです。何のために作るのか、理由は三つです。

  • 過去問には限りがあるから。秋以降に志望校の過去問を使い切ってしまう人が出ます。形式が同じ問題がもう1セットあれば、直前期の演習量が確保できます。
  • 形式を再現するため。形式差は同じ大学の学部間ですら大きい。長文2本+語彙文法なのか、記述の和訳が3大問分あるのか、設問文まで英語なのか。形式に慣れる素材は、形式を合わせて作らないと意味がありません。
  • 予想ゾーンのテーマを素材に使うため。読本で挙げたゾーンを、その大学の形式に載せて出します。当てるためではなく、本番でそのゾーンが来たときに「読んだことのある話」にしておくためです。

使い方も決めています。過去問を3年分ほど解いて形式の癖をつかんだあと、予想問題を時間を計って解く。解いたあとは、そのテーマの読本の章と単語ページに戻る。この往復です。読本の中身は入試対策読本とはに書きました。

予想が外れたときにも残るもの

予想は的中がゴールではありません。テーマ準備でいちばん価値があるのは、外れたときに残るものです。二つあります。

一つは語彙です。気候変動の長文には carbon・emission・renewable が束になって出るし、心理学の長文には participant・cognitive・bias が並びます。予想したゾーンが出なくても、覚えた語は別のテーマの長文でそのまま働きます

もう一つは読む速さです。テーマを10前後インプットしておくと、違う英文に当たっても「隣の分野の話」として入っていけます。環境と経済、言語と心理、歴史と公衆衛生は、実際の英文の中でつながっています。的中しなかった英文にも「知の隣町」から入れる——これがテーマ準備の本当の価値です。

つまり予想テーマの勉強は、当たり外れの賭けではありません。語彙と読む速さという、外れても減らないものに投資する方法です。「必ず出る」テーマは一つもありませんが、「準備して損をする」テーマも一つもありません。志望校が未定なら、パッセージ数が多い分野から日本語で読んでおけば無駄になりません。順番は川越校舎の面談でも一緒に決めます。

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EIMEI予備校について

EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。

  • 川越校舎(2026年6月開校)川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えます。
  • ふじみ野校舎 ふじみ野駅東口から徒歩1分。
  • 鶴瀬校舎 鶴瀬駅西口から徒歩3分。

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二神大輝