こんにちは、EIMEI予備校で英語科を担当している二神です。
この記事は、川越とその周辺の高校に通う高1・高2と、その保護者の方に向けて書いています。「高校に入ってから英語が急に分からなくなった」という相談は毎年あります。どこまで戻るかを決める手順と、戻ると決めたときに何をどの順番で、どれくらいの期間でやるかをまとめました。
先に結論を置きます。戻るかどうかは気持ちで決めることではなく、6項目のチェックで決まります。そして高1の今からなら、中学範囲をやり直しても十分に間に合います。
高校の英語は、中学と何が違うのか
「急に分からなくなった」と感じるのは、4つの変化が同時に来るからです。
- 1文が長くなる。中学の英文は主語と動詞が1組で終わることが多いのに対して、高校の教科書では関係詞・分詞・不定詞が1文に2つ以上入り、主語そのものが句や節になります。
- 内容が抽象的になる。買い物や旅行の話ではなく、説明と意見が題材になります。日本語に直せても何の話か分からない、という状態が起こります。
- 語彙の量が増える。1つのレッスンで新出語が数十語出て、次のレッスンでは別の分野に移ります。中学のように同じ語が繰り返し出てくれません。
- 文法に用語がつく。中学では形のまま覚えていたものに、準動詞・分詞構文・形式主語・同格といった名前がつき、授業の説明がその用語で進みます。用語が分からないと、説明そのものが聞き取れません。
ここで押さえておきたいのは、通っている高校の教科書によって、つまずき方そのものが違うことです。EIMEI予備校では在籍生から各高校の教科書を聞き取って一覧にしています(高校別 英語の教科書レベル一覧)。その区分で見ていきます。
発展レベルの教科書を使っている場合
県立川越高校・川越女子高校・川越東高校の英語コミュニケーションはELEMENT(啓林館)、星野高校はCROWN(三省堂)です。一覧ではこの2つを発展レベルに分類しています。
この区分では1文の長さと内容の抽象度が最初から高いので、つまずきが早い段階で表に出ます。多いのは「単語は調べられるのに、文がつながらない」という形です。本人は語彙不足だと思いがちですが、原因は構造の側にあります。
標準レベルの教科書を使っている場合
浦和北高校はLANDMARK(啓林館)、山村学園高校はBLUE MARBLE(数研出版)とHeartening(桐原書店)、坂戸高校はHeartening、川越南高校と和光国際高校はNew Rays(いいずな書店)を使っています。
この区分は1文ずつなら追えるので、つまずきが表に出るのが遅いのが特徴です。分からなくなるのは量が増えたときで、テスト範囲が広くなったとき、長文が2ページになったときに、初めて「実は構造を取っていなかった」ことが見えます。高1の秋に一度確認しておきたい区分です。
基礎レベルの教科書を使っている場合
松山女子高校はPower On(東京書籍)です。川越南高校はCREATIVE(第一学習社)も使っています。この2つは基礎レベルの分類です。
この区分では、授業は追えているのに、入試の英文までの距離がいちばん大きいという状態が起こります。学校の英語で困っていない分、危機感が出るのが遅くなります。「教科書ができていれば入試も大丈夫」という前提を早めに外し、教科書とは別に入試の英文に触れる時間を確保してください。
なお和光国際高校はAmerican English File(Oxford)も使っています。これは海外向けに作られた英語教材で、日本の入試形式とは作りが違います。入試の形式に合わせた演習は別に用意する、という切り分けで考えます。
論理・表現も見ておきます。県立川越・川越女子・川越東・坂戸・松山女子・浦和北・山村学園はVision Quest(啓林館)、県立川越はApplause(開隆堂)、和光国際はGenius(大修館書店)、山村学園はMY WAY(三省堂)、星野はbeスマート・beグラマーブック、川越南はmainstream・breakthrough・beです。文法の用語でつまずいているなら、手当てをするのはこちら側の科目です。
「分からない」を4つに分ける
「英語が分からない」という一言の中には、中身の違う4つが混ざっています。教科書があれば、その日のうちに切り分けられます。
準備はこれだけです。教科書の本文から、まだ授業でやっていないページを1つ選び、最初の5〜8文を紙に写します。そのうえで、次の順に見ていきます。
① 単語
写した英文で、意味が言えない語に丸をつけます。1文に3語以上丸がついたら、最初に手当てすべきは語彙です。2語までなら前後から推測できますが、3語を超えると文の骨組みが見えなくなります。
② 文の構造
丸をつけた語の意味を全部書き込みます。それでも意味が組み立てられないなら構造です。判定はもう少し具体的にできます。各文で、主節の動詞に二重丸、接続詞と関係詞に三角をつけてください。動詞が2つ以上あるのにどちらが主節か言えない、あるいは印をつける手が止まるなら、原因は構造です。日本語の単語を並べて意味を作っている、文の後半から前に戻って訳しているのも同じサインです。
③ 文法の用語
授業ノートから、先生が使っている用語を10個書き出します。それぞれについて、自分で例文を1つ作れるかを試します。「分詞構文」「形式主語」「同格のthat」と書いて、下に英文を1つ書く。作れないものが半分以上なら、原因は用語です。教科書の本文をいくら読んでも授業は分かるようになりません。用語の側を先に直します。
④ 内容そのもの
日本語には直せたのに、何の話か分からない。これが4つ目です。判定は段落ごとに日本語で一言だけ要約させること。「この段落は何を言っていたか」を一言で言えなければ、内容の側でつまずいています。ここは語彙や文法の練習では埋まりません。見分け方は英語長文が読めない原因の見分け方にまとめています。
どこまで戻るか ― 中学範囲まで戻るかの見分け方
②や③が原因だと分かったら、次は「中学範囲まで戻るのか、高校範囲の抜けだけ埋めればいいのか」の判断です。ここは6項目で決められます。教科書の英文ではなく、自分で日本語の文を1つ決めて、英語で書けるかを試してください。
- be動詞と一般動詞の否定文・疑問文(三人称単数のs、不規則動詞の過去形を含む)
- 現在・過去・進行形と、現在完了(have+過去分詞)の3つの意味
- 不定詞の3つの使い方と、動名詞
- 比較(as … as、比較級、最上級)
- 受け身(be+過去分詞)
- 関係代名詞と、名詞を後ろから修飾する形(分詞、前置詞句)
判定はこうします。
- 2つ以上できないなら、中学範囲まで戻ります。高校の文法を積み上げても、土台が抜けているので載りません。
- 1つだけなら、その単元だけ戻ります。全部やり直す必要はありません。
- 6つできるなら、中学範囲に戻る必要はありません。高校範囲の抜けを埋める作業に移ります(英文法の抜けの埋め方)。
もう一つの確かめ方は、中学のときの教科書やノートが残っていれば、本文を声に出して読んで意味が言えるかを試すことです。
大事なのは、戻るのは英語の全部ではなく、6項目のうち取れていないものだけだということです。「中1からやり直す」と決めると量が多すぎて続きません。
戻ると決めたときの手順と期間
順番は固定です。語彙と文の骨を先に置き、そのあとで高校範囲を追いかけます。
- 1週目:診断。4分類と6項目をやり、戻る単元を紙に書き出します。
- 1〜6週目:中学範囲の文法。戻ると決めた単元だけを、1単元あたり3〜4日で回します。到達の基準は「その単元の例文を10文、自分で書ける」こと。解けることではなく、書けることを基準にします。
- 1〜6週目:語彙(同時進行)。1日30語×週5日で、6週間で900語。中学範囲の語をまず埋め、そのあと高校の語に移ります。覚え方は英単語が覚えきれないときを見てください。
- 7週目以降:高校範囲。授業で出た用語を1つずつ潰します。用語のリストは論理・表現の教科書の目次がそのまま使えます。
- 7週目以降:教科書本文を構造で読む。週に3本、段落を選び、1文ずつ主節の動詞に印をつけてから音読します。②のつまずきは、この作業でしか消えません。
高1の今からなら、どれくらいで追いつくか
時間を数字で見ます。高1の9月から一般選抜の本番まではおよそ29か月。このうち高3の1年間を志望校の演習にあてるとすると、土台作りに使えるのはおよそ17か月です。中学範囲の戻りは6〜8週間、1日30分+週末60分で合計40〜50時間ほどです。
つまり17か月のうち2か月を戻りに使っても、高校範囲と入試の土台に15か月残ります。これが「高1の今なら間に合う」の中身です。同じ作業を高3の4月から始めると、志望校の演習と並行することになり、土台作りの時間がありません。
戻りながら、学校の授業についていく
- 予習は単語を引くだけにする。本文の訳を作ろうとすると時間が全部そこに行きます。単語を引いておけば、授業中は構造の説明を聞くことに集中できます。
- 授業中のノートは、用語と印だけ取る。訳を写すのではなく、先生が使った用語と主節の動詞の位置を書き留めます。③が原因の人は、これが用語リストになります。
- 定期テストの2週間前に戻り作業を止める。テスト範囲に全部寄せ、テストの翌日に再開します。年5回のテストで計10週間止まるので、戻りの計画は「テストのない週」で数えてください。6週間の計画なら、カレンダー上は3か月弱です。
定期テストは、戻りの効果がいちばん早く見える場所です。範囲が決まっているので、②や③が直れば点の形で出ます。テスト対策の手順は定期テスト英語にまとめました。
入試の英語で、最終的に何が必要になるか
戻る作業は地味なので、ゴールを数字で見ておきます。EIMEI予備校では大学ごとに入試対策読本を自作するために、入試英語をテキスト化して集計しています。
語彙編のもとになったコーパスは415題・約86万語。単純に割ると1題あたり2,000語前後です。いま授業で1回に読んでいる英文の語数を数えてみてください。距離が感覚ではなく数字で見えます。
テーマの偏りもはっきりしています。パッセージ数で見ると歴史・文化系が125題、心理・脳科学が104題、物語・エッセイが101題、医療・健康が86題。頻出語も実数で出ていて、環境の章ではocean 67回、plastic 65回、waste 61回、climate 50回、carbon 42回、医療の章ではdisease 44回、drug 34回です。覚える語彙は、レベル順ではなくテーマごとの束で決まります。
共通テストは、リーディングが80分・8大問で、知識を単独で問う問題(発音・アクセント・文法の四択・語句整序)が全廃され、全問が読解型になっています。リスニングは大問6・全37問です。題材は動物の睡眠、マインドワンダリング、宇宙探査の是非、食料安全保障など、高校生が自分のこととして考えられる教養に寄っています。
文法の問題が消えたことは、文法が不要になったことではありません。文法は読むための道具として全設問の背後に沈んだ、というのが6年分を並べたときの見え方です。だからこそ、高1でつまずいた構造は放置できません。
保護者の方へ ― 成績表のどこを見るか
- 英語を1つの数字で見ない。高校では英語コミュニケーションと論理・表現が別の科目として並びます。どちらが低いかで手当てする場所が変わります。論理・表現が低ければ文法と語順、英語コミュニケーションが低ければ語彙と読む量です。
- 1学期と2学期を並べて、下がり方を見る。片方だけ下がっているのか、2つ同時に下がったのか。2つ同時なら、語彙が原因のことが多いです。
- 「教科書の分からない1文を指して見せて」と頼む。「勉強しなさい」より、この一言のほうが情報が出ます。単語が読めないのか、訳せても意味が組み立てられないのか、その場で分かります。
成績の数字よりも、「どのページで止まっているか」を一緒に見てください。つらさが続くときは、学校の先生や専門の窓口に相談してください。
高2になってから気づいた場合
手順そのものは同じですが、3点変えます。
- 中学範囲の戻りを4週間に圧縮し、単元を絞る。6項目のうち、動詞の形(1と2)、関係代名詞と後置修飾(6)の3つを優先します。比較と受け身は、高校範囲の中で出てきたときに直しても間に合います。
- 語彙を先行させる。1日30語を止めずに続けます。構造の練習は学校の教科書本文で兼ねて、時間を語彙に回します。
- 先にゴールを1回見る。共通テストのリーディングを、時間を計らずにざっと見るだけでもいいので1回開いてください。8大問が全部読解であることを知ってから戻ると、優先順位を自分で決められます。この時期にやることは高1・高2の秋にやることに並べました。
高2は戻りと高校範囲を並行させることになるので、平日45分+週末90分が目安です。学年が上がるほど、6項目で範囲を絞る作業が重要になります。
EIMEI予備校は1対1の個別指導なので、この4分類と6項目のチェックを最初の面談でそのまま一緒にやります。どこまで戻るかを決めてから始めたい方は、川越校舎の無料体験で教科書を1冊お持ちください。
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EIMEI予備校について
EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。
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