こんにちは、EIMEI予備校で英語科を担当している二神です。
この記事は、共通テストの英語リーディングで時間が足りない高校生と、その保護者の方に向けて書いています。単語も文法も一通りやった、それでも80分で最後までたどり着かない。そういう人が、大問ごとに「どの順で何をするか」を決めてしまうための記事です。
共通テスト2021〜2026年度とセンター試験2007〜2020年度の出題を通しで分析し、冊子にまとめました。この記事はそこから大問別の手順と時間配分を取り出しました。
共通テストの英語は「情報処理」の試験です
共通テストの英語は、知識を答える試験ではありません。80分で大量の英文・図表・メール・チャットを読み、必要な情報を拾い、突き合わせ、判断する。読解力の試験というより情報処理の試験です。
だから対策の中心は「難しい単語を覚えること」ではなく、大問ごとの処理手順を体に入れることと題材への既視感を作ることの2つです。この2つをやらないまま過去問を何年分解いても点数は動きません。毎回ゼロから読み方を考えているからです。
センターから消えたもの、共通テストで生まれたもの
まず消えたもの。発音、アクセント、文法・語法の四択(センターでは毎年10問)、語句整序、不要文指摘。つまり知識を単独で問う問題が全廃されました。ただし文法が不要になったのではありません。文法は「読むための道具」として全設問の背後に沈んだのです。文法問題集は今も有効ですが、直接対策ではなく読む速度の土台づくりだと位置づけてください。
次に生まれたもの。複数資料を突き合わせる問題(メール+時刻表+グラフ)、fact(事実)とopinion(意見)を区別する問題、出来事を時系列に並べ替える問題。さらに2025年度の新課程で大問が6問から8問に再編され、2つの新形式が加わりました。
- 添削・推敲型(第4問)…生徒の下書きに教師のコメントが付き、それに従って書き換える。
- 意見文アウトライン型(第8問)…賛否5人の意見とデータ資料を読み、自分の立場の意見文の骨組みを完成させる。
読んで終わりではなく「読んだものを直す・組み立てる」ところまで踏み込んだ。これが新課程の本質です。
なお過去問演習では旧課程の年度も使えます。旧第5問(物語)は新第3問・第6問、旧第6問(説明文)は新第7問にあたります。新第4問と新第8問だけは完全な新設なので、ここは2025・2026年度で確認してください。
80分・8大問をどう割り振るか
全問読解型で捨て問はありません。だから「速く読む」より「読む回数を減らす」発想が得点を決めます。目安はこうです。
- 前半4問(第1〜4問)を30分前後で抜ける
- 第5〜6問に20分、第7〜8問に25分、残りを見直しに
第1〜3問は素材が短く、手順が決まっていれば速く終わります。ここで時間の貯金を作り、情報量の多い後半に回すのが基本設計です。
ただし大事なのは固定の数字ではなく、模試のたびに大問別の所要時間を記録して自分の配分表を作ることです。物語文が速い人と実用文が速い人では最適な配分が違います。
全大問に共通する4つの原則
原則1 設問から読む
共通テストの英文は「探すために読む」素材です。頭から精読してから設問に向かうのは最悪の手順で、必ず設問と選択肢の骨子を先に見て、何を探すかを決めてから本文に入ります。
原則2 選択肢は「本文の言い換え」を探す
正解の選択肢は本文の表現をほぼ必ず言い換えています(buy → purchase、once a week → weekly)。逆に本文の語句をそのまま使った選択肢はワナであることが多い。「同じ単語を見つけたら疑い、言い換えを見つけたら寄る」が基本姿勢です。
原則3 fact / opinion は「形容詞と助動詞」で見分ける
毎年出るfact/opinion識別は、内容の真偽ではなく文の性質を問う問題です。best・amazing・should・I think などの評価語・主観語が入れば opinion、数値・日付・出来事の記述は fact。「自分がそう思うか」は一切関係ありません。
原則4 時系列整序は手順を固定する
- 選択肢(4〜5個)を先に読み、キーワードに印をつける。
- 本文は「時の表現」(before / after / then / 日付・年齢)にマークしながら1回だけ通す。
- 物語は「出来事が起きた順」であり「語られた順」ではない。回想(had done)に注意。
- 確実な最初と最後を先に固定し、中間は消去法で決める。
大問別の処理手順
第1・2問|実用文 ― 読むのは「生活の書類」
素材は告知・広告・レビュー・チャットといった「生活の書類」です。USBメモリの依頼(2021)、水槽の飼育ガイド(2025)、ダンス衣装のグループチャット(2026)といった顔ぶれです。
ここでの失点は読解力不足ではなく条件の見落としがほぼすべてです。申込期限、対象学年、割引の条件、weekends only。第2問では調査結果や他人のコメントが付き、fact/opinion識別と「誰の意見か」の帰属が問われます(2026年の寮満足度調査)。
- 日付・時刻・料金・人数の数字はすべてマークする。ひっかけの大半はここです。
- 脚注・小さい注意書き(Discounts do not apply on weekends)を必ず読む。
- 「AとBの共通点」型は、片方にしかない特徴を消す消去法が速い。
- チャット型(2026新出)は、話者の交代と「誰の発言か」を追い間違えない。
第5問|複数資料の照合が本体
メール往復+時刻表+座席図(2025)、リーフレット+オンラインフォーム+メール(2026)のように複数の資料をまたいで整合を取る大問です。
- 資料の種類と役割を10秒で把握する。誰が誰に何のために書いたか。
- 設問ごとに「どの資料に答えがあるか」を判定する。
- 2つの資料の食い違い・条件の突き合わせを丁寧に。
「次のメールで送るべき情報はどれか」のように一歩先を推測させる設問が新課程らしい進化です。
第3問・第6問|物語文 ― 追うのは3つだけ
共通テストの物語は文学作品ではなく、「体験→変化→教訓」の3部構成で書かれた教育的な読み物です。卓球で成長した高校生(2023)、友人3人の人生(2024)、バンドコンテストの一体感(2025)、虫取りカップの教訓(2026)、おにぎり屋の老人との交流(2026)が実例です。
追うべきものは出来事の順序(時系列整序が必ず出ます)、主人公の心情の変化(最初の感情→転機→最後の感情)、物語が伝える教訓(タイトル選択・教訓選択として出題)の3つだけ。2024年のように年齢を計算させたり皮肉(irony)を問う応用もありますが、この3点の追跡が土台です。
本文は時の表現と感情語(nervous / relieved / proud)にマークしながら1回通す。回想は実際の時系列に置き直します(had+過去分詞が目印)。教訓は「本文より一段抽象的だが、飛躍しすぎない」選択肢を選びます。具体的すぎ・道徳的すぎは両方ワナです。
2026年度は第6問が「要約アウトライン作成用の物語」になり、物語が2本出題されました。第6問型は他人に要約して伝えるための読み方を求めるので、「この話を1分で人に説明するなら何を言うか」を意識した練習が効きます。
第4問|添削・推敲型 ― 求められるのは「編集者の目」
2025年新設の形式です。スローライフのエッセイの推敲(2025)、環境週間ニュースレターの添削(2026)のように、生徒の下書きに教師の添削コメントが付いた素材が出ます。設問は、接続語を補う、結論の一文を選ぶ、下線部を書き換える、文を挿入する位置を選ぶ。読解と英作文の中間にある能力を測っています。
攻略の軸はコメントを「要求リスト」に変換することです。
- 先に添削コメントを読み、「何を直せと言っているか」を要求リストにする(理由をもう1つ/具体例を追加/結論でまとめ直せ)。ここが最初の30秒で、要求の数と設問の数はほぼ対応します。
- 下書き本文を、段落の役割(主張・理由・例・結論)を意識して読む。
- 各設問を「どの要求に対応する修正か」で判断する。
正解の選択肢は必ずコメントの要求を満たし、かつ文章全体の論理(接続語の方向・時制・代名詞の指示)と整合します。片方だけ満たす選択肢がワナです。接続語問題は空所の前後の文の関係だけで決まり、挿入位置問題は挿入文の指示語(this, such)が指す先が直前にある場所を探します。
準備としては接続語を「和訳」ではなく「役割」で覚え直すのが即効性があります。however=逆接、therefore=帰結、in addition=追加、for example=例示。自分の英作文を1日置いて読み直す習慣も、そのまま第4問の目を育てます。教材は高校別の英語教科書一覧もご覧ください。
第7問|科学記事+発表資料の完成
科学・心理系の説明文を読み、発表スライドやアウトラインを完成させる大問です。クマムシの生存力(2023)、時間の心理的認識(2024)、動物の睡眠(2025)、マインドワンダリング(2026)と並びます。
素材は分類・比較の構造を持つ記事が選ばれます(睡眠の型の分類、時間認識の2種類)。だから読む前にスライドの空所を見て「何の分類・何の比較を探すか」を決め、本文は段落ごとに「この段落はどの空所の材料か」と対応づけながら読みます。背景知識の効果が最も大きい大問です。
第8問|賛否5人+資料2点から意見文を組む
新課程の最終関門です。賛否5人の意見を読み、自分の立場を選び、データ資料を根拠に意見文のアウトラインを完成させます。宇宙探査の是非(2025)、スポーツ用具の技術革新の是非(2026)が実例です。約15分の手順はこうです。
- テーマと設問構成を確認する(どの立場のアウトラインを作るかは設問が指定します)。
- 5人の意見を「賛/反/△+論点1語」でメモ化する。1人30秒。
- 共通論点の設問は、このメモ同士の照合だけで解けます。
- 資料(グラフ)は「選んだ立場を支える数字か」だけを確認。逆を支える数字がワナです。
- アウトラインの空所は「主張→理由→データ→反論への一言」の役割で埋める。
リスニングは「数字を疑う」試験です
リスニングは大問6・全37問、読み上げ回数は第1・2問が2回、第3問以降が1回。この骨格は6年間不変です。第4問はA図表完成・B条件マッチング、第5問は講義+ワークシート、第6問はA対話・B複数話者の議論です。
2025年度からの変更は3つ。第1問Bが3問→4問、第2問が4問→3問に配分変更。第5問後半が「講義の続きの独話」から「学生2人の発言の一致・不一致判定+グラフ読み取り」に変化。第6問Bの話者が4人→3人に減少。最新形式は過去問で確認してください。
6年分のスクリプトを通読すると作問の癖が見えます。
- 訂正のひっかけ…値段・日時・数量は終盤に But / Actually / Oh, wait などの逆接語で訂正されるパターンが毎年出ます。最初に聞こえた数字をマークしても、確定させるのは会話が終わってから。
- 数の言い換え…a quarter=25%、exactly half、the third most。グラフ問題(第4問A・第5問)に集中します。
- 第4問Bは「条件違反1つで消す」消去法…全条件合致は1つだけです。イラスト問題は not を聞き逃さないこと。
- 第6問Bは「最後まで意見を変えない人/変える人」を聞き分けます。
- 先読みは説明音声・例題の時間に第4・5問の図表へ。講義(第5問)は冒頭30秒に主題と構成の予告があるので、ワークシートの見出しと対応させます。
第5問の講義テーマは、ヒュッゲと幸福度(2021)、ギグワーク(2022)、アジアゾウ保護(2023)、ガラスと環境(2024)、贈答文化と廃棄(2025)、内陸国の養殖と食料安全保障(2026)。SDGs・ライフスタイル系で一貫しています。
6年分の題材マップ ― 「既視感」を作る
題材には3つの帯があります。身近な科学(睡眠、時間感覚、心の働き、食品の化学)、SDGs・ライフスタイル(幸福、働き方、環境、食料、動物保護)、学校生活・成長の物語。難解な時事や政治は避けられ、「高校生が自分ごとにできる教養」が一貫した選定基準です。つまり題材は二次・私大の頻出テーマの入門版で、ここで入れた教養はそのまま私大の長文に効きます。
2027年度について推定している方向も挙げます(山当てではなく、既視感の網を広げるためのものです)。第8問は生成AIの学校利用/SNSの年齢制限/キャッシュレス化。宇宙(2025)→スポーツ(2026)と来て、次はテクノロジー×生活が本線とみています。第7問は記憶と学習法/動物のコミュニケーション/色と心理。リスニング第5問は食品ロス/観光と地域/睡眠と健康。実用文のグループチャットは定着とみているので、オンラインフォーム型に慣れておいてください。
8大問構成・添削型・意見文型は新課程の設計思想そのものなので2027年度も継続が前提です。配点・試験時間などの実施要項は年度により変更がありうるため、必ず大学入試センターの最新発表で確認してください。
共通テストの点数は出願の幅になります
リーディングとリスニングは国公立の一次試験であり、同時に私大の共通テスト利用入試の得点にもなります。科目の重みや二次との配分は埼玉大学の入試対策に、個別日程と共通テスト利用の関係は立教大学や法政大学の記事にまとめました。
川越で、自分の配分表を作るところから
共通テストは、才能の試験ではなく準備の試験です。手順を決め、既視感を仕込み、数字を疑う。この3つを持って会場に入れば、初見のテーマが出ても動じることはありません。
ただ実際には「自分の配分表を作る」ところでつまずく人が多いです。どの大問を削ってどこに回すかは、誰かと一緒に決めたほうが早く進みます。
EIMEI予備校は1対1の個別指導で、川越校舎は2026年6月に開校しました。川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分です。自習室は朝7時から使えるので、学校へ行く前の1時間をリスニングと単語に充てる組み方もできます。リスニングは毎日短時間で触れ続けるのが一番効くので、相性のいい使い方です。グループ校舎はふじみ野・鶴瀬にあります。
直近の模試の結果と解いた過去問を持ってきてもらえれば、大問別の所要時間を一緒に洗い出して、その場で自分用の配分表を作ります。
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EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。
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