英語の音読は何のためにやるのか|目的別のやり方・終わりの基準・効果の測り方を川越の予備校が解説

この記事は、学校や塾で「英語は音読したほうがいい」と言われたものの、何のためにやるのか分からないまま声を出している高校生・既卒生と保護者の方に向けて書いています。川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎の面談でいちばん多いつまずきは、「回数をこなせば効く」と思って始めてしまうことです。

ここでは音読の目的と手順だけに絞ります。数字として書くのは、EIMEI予備校で自作している読本(共通テスト2021〜2026年度とセンター試験2007〜2020年度の解説・スクリプトの分析、入試英文コーパスの頻度集計)で確認できた範囲だけです。実施要項は年度により変わりうるので、自分が受ける年度の要項で必ず確認してください。

音読は「目的」を決めないと効かない

音読というのは、勉強法の名前ではありません。「英文を声に出して読む」という動作の名前です。動作が同じでも、狙うものが違えば、使う素材・区切り方・いつやめるかが全部変わります。ここを決めずに始めるので、「やっているのに効いている気がしない」となります。

「毎日10分音読する」という計画は、やる時間だけを決めて、何ができたら成功かを決めていない計画です。1か月たっても何が変わったか言えません。決めるのは、次の3つです。

  • 何を狙うか(目的を1つに絞る)
  • どの英文でやるか(素材の条件を決める)
  • 何ができたら次に行くか(終わりの基準を1つの文で書く)

とくに3つめが抜けがちです。「何回読むか」で管理すると、読めていなくても回数が終われば終わりになります。「何ができたら次に行くか」で管理すれば、できるまで残り、できたら進めます。

音読で狙えることは3つに分かれる

音読で狙えることを、EIMEI予備校では3つに分けて説明しています。3つ同時にはやりません。今週はどれを狙うか1つ決めます。

目的① 文構造を取る速さを上げる

英文を意味のかたまりごとに前から処理し、戻らずに最後まで行く動作を速くするための音読です。

やり方。まず鉛筆で、自分でスラッシュを入れます。主語のかたまり、動詞、目的語、前置詞句、関係詞の切れ目。そこで区切って読みます。一度も前に戻らないことだけを守ります。途中で分からなくなっても、その1回は最後まで行きます。

回数と終わりの基準。回数では決めません。「一度も前に戻らず、立ち止まらず、日本語に訳さずに、最後まで読み切れた」ら終わりです。目安は3〜5回。5回やっても戻るなら、回数を増やすのではなく素材を1段階やさしくします。音読の問題ではなく素材の難しさの問題です。

記録するもの。1回目と最後の回の所要時間を秒で書きます。150語なら「1回目95秒/最後62秒」のように。ここが縮まないなら、まだ構造が取れていません。

目的② 語彙と語順を口に残す

単語を1語ずつではなく、結びつく語のかたまりごとに口から出せるようにするための音読です。

自作の単語帳は、全国約190大学の入試英語(2007〜2026年度)をテキスト化した415題・約86万語のコーパスで頻度を集計して作っています。そこで分かるのは、入試長文では語が単独ではなくテーマの仲間と束で現れるということです。気候変動の長文なら carbon・emission・renewable が束で出ます。だから音読も束でやります。

やり方。1回に5〜8個のかたまりを選び、コロケーションごと声に出します。conduct an experiment/reduce the risk of …/have an impact on …/be more likely to do/compared with …。後ろにつく語まで一緒に言います。

終わりの基準。英文を見ずに、日本語だけを見て、そのかたまりが英語で口から出るか。5〜8個のうち8割出れば次のセットへ。出なかったものは次の回に残します。

目的③ 音と文字を一致させる(リスニングにつなげる)

文字で読めば分かる英文を、音で流れてきたときにも同じ速さで処理できるようにするための音読です。リスニングに直結するのはこの目的です。

やり方。順番が決まっています。①音声を1回、文字を見ずに聞く。聞き取れなかった箇所に、スクリプトを見てから印をつける。②スクリプトを見ながら、音声に自分の声を重ねて読む。③もう一度、文字を見ずに聞く。

終わりの基準①でつけた印の箇所が、③で拾えるようになったら終わりです。印が全部消えるまで②を繰り返します。ここで「自分の読みやすい速さ」で読むと、本番の読み上げ速度と合わないまま練習が終わります。速さは必ず音声側に合わせます。

素材の選び方 ― すでに意味が分かっている英文を使う

音読素材の条件は1つだけです。すでに意味と構造が分かっている英文を使うこと。初見の英文を音読素材にしません。

理由は単純です。音読中は、声に出す作業をしています。そこに「意味を考える作業」を同時に載せると、どちらも中途半端になり、声だけが流れて、読めないまま回数が増えていく状態になります。素材は、一度解いて解説を読み、和訳と構造が確認できたものに限ります。授業や演習で扱った英文の再利用が条件に合います。

語数の目安は1本120〜200語です。段落1つ、長くても2つ。入試の長文1題は、コーパスの415題・約86万語を単純に割ると1題あたり約2,000語規模になります。1題まるごとでは1回で終わらないので、段落単位で切り出します

難しさの目安は、黙読して辞書なしで語の8〜9割が分かるもの。知らない語が1行に2つ以上あるなら、先に語彙です。テーマごとの語彙の集め方はテーマ別英単語にまとめています。

もう1つ。素材は「同じものを繰り返す」。毎日違う英文を1回ずつ読むやり方は、3つの目的のどれにも届きません。手持ちは3本まで。2週間その3本を回します。

1回の練習を15分で区切る

1回15分。時間で区切り、中身を固定します。

  1. 0〜2分 素材を開き、前回つまずいた箇所の印を見る。今日の目的(①②③のどれか)を確認する。
  2. 2〜5分 スラッシュを入れ直す(目的①)。前回と区切りが変わった箇所は、理解が変わった箇所です。
  3. 5〜9分 区切り読みを3回。1回ごとに所要秒数を書く。戻った箇所に印。
  4. 9〜12分 音声に重ねて2回(目的③)。
  5. 12〜15分 日本語を見て英語で言うかたまり5つ(目的②)。出なかったものに印。

最後に、今日ついた印を数えます。印の数が、次回の練習内容になります。川越校舎の自習室は朝7時から使えるので、登校前の15分をここに当てている生徒もいます。

効いているかを確かめる ― 1週間後と1か月後に測るもの

音読は、やった感覚だけが残りやすい練習です。測るものを先に決めないと、続いているのに効いていない状態に気づけません。

1週間後に測るもの(同じ素材で)

  • 同じ英文の所要時間(秒)。目安は1週間で1回目の8割、2週間で7割。150語で95秒なら65秒前後まで。
  • 印の数。戻った箇所・出なかった表現の印が前回より減っているか。

1か月後に測るもの(初見の素材で)

  • 読む速さ。同じ難しさの初見の英文を時間を計って黙読し、語数÷分で1分あたりの語数を出す。必要な数字は大学ごとに違います。志望校でいくつ必要かは英語が時間内に解き終わらない(1分あたりの語数)で確認してください。
  • 設問の正答。初見の長文での内容一致問題の正答数。速さが上がったのに正答が動かないなら、原因は音読ではなく設問の処理側です。切り分け方は英語長文が読めない原因の見分け方に書いています。
  • リスニングの聞き取り。共通テストのリスニングは、読本の6年分スクリプト分析で大問6・全37問、読み上げ回数は第1・2問が2回、第3問以降は1回という構造が6年間変わっていません。だから測るのは「2回目で拾えた」ではなく1回で拾えた割合です。第3問以降だけを抜き出し、1回で解いて正答数を記録します。目安は1か月で2問増えること。
  • リスニング第5問(講義)は、冒頭30秒に主題と構成の予告があります。この30秒で「何の話か」「いくつに分かれるか」をメモできたかを、毎回○×で記録します。

リスニング対策として使うときの注意

目的③で使うなら、共通テストのリスニングで実際に問われていることに素材を合わせます。読本のスクリプト分析で確認できている点を挙げます。大問別の詳しい話は共通テストのリスニングにまとめました。

  • 1回しか流れない大問がある(第3問以降)。だから「聞き直せない前提」で練習します。音読で速さに慣れる意味はここにあります。
  • 値段・日時・数量は終盤に訂正される。会話の終わりに But / Actually / Oh, wait で言い直すパターンが毎年出ます。素材を音読するときは、この逆接語の直後を意識して強く読みます。ここを流す癖が残っていると、1回読みでは戻れません。
  • 数の言い換えが図表問題に集中する。a quarter=25%、exactly half、the third most のような表現が、第4問A・第5問に集まります。音読中に a quarter と言ったら、その場で「25%」と数字で言い直す手順を入れます。
  • 素材の場面は4つに偏る。買い物・学校・旅行・家庭で大半を占めます。音読素材もこの4場面から選びます。
  • 最新形式を使う。2025年度から、第1問Bが3問→4問、第2問が4問→3問に配分が変わり、第5問後半が「学生2人の発言の一致・不一致判定+対話でのグラフ読み取り」になり、第6問Bの話者が4人→3人に減りました。素材にするスクリプトは2025・2026年度を優先します。
  • 講義のテーマ帯が一貫している。第5問の講義は、ヒュッゲと幸福度(2021)、ギグワーク(2022)、アジアゾウの保護(2023)、ガラスと環境(2024)、贈答文化と廃棄(2025)、内陸国の養殖と食料安全保障(2026)と、SDGs・ライフスタイル系で一貫しています。素材をこの帯から選べば、覚えたかたまりが次の年度でも使えます。

音読が向かない場面

次の場面では、音読より先にやることがあります。

文構造が取れていない段階。主語と動詞がどこかが分からない英文を声に出しても、区切る場所が決まりません。共通テストではセンター試験にあった文法・語法の四択(毎年10問)、語句整序、発音・アクセントが全廃されましたが、文法が不要になったわけではなく、読むための道具として全設問の背後に沈んだだけです。道具が一通りそろってから音読に入ります。抜けの探し方は英文法の抜けの埋め方に書きました。

意味が分かっていない英文。初見の英文を素材にしない。前述のとおりです。

時間がないとき。試験前1週間に新しい素材で音読を始めるのは順番が違います。直前期は、すでに何度も読んだ素材を1本だけ回します。

声を出せない場所。口だけ動かす代用は目的①にはある程度使えますが、目的③には使えません。③は音声と自分の声の両方が必要です。

高1・高2と高3で変える点

高1・高2

  • 素材は教科書と学校の副教材で足ります。授業で扱った本文をその週のうちに素材にする。「意味が分かっている英文」という条件をいちばん手間なくクリアできるのが教科書です。
  • 狙うのは目的①と②。目的③(リスニング)は週1回で十分です。
  • 1回15分、週4回。測るのは「教科書1レッスン分を、戻らずに読み切れるか」。

高3・既卒生

  • 素材を、演習で解いた長文の一部と共通テストのスクリプトに切り替え、志望校の頻出テーマに寄せる。
  • 目的③の比重を上げる。1回読みの大問(第3問以降)が伸びしろです。
  • 1回15分は変えません。増やすのは回数ではなく素材の質(志望校に近いかどうか)です。
  • 11月以降は新しい素材を増やさず、すでに読んだ3本を回します。

よくある失敗3つと直し方

失敗1 毎日違う英文を1回ずつ読んでいる。量をこなした感覚は残りますが、所要時間も印の数も比較できず、変化が見えません。

直し方。素材を3本に固定して2週間回す。4本目は、3本のどれかが基準に届いてから足します。

失敗2 声は英語、頭は日本語になっている。読みながら訳し続けている状態で、戻らずに読む練習になりません。

直し方。区切りごとに「訳す」のをやめ、「状況を1つ思い浮かべる」に置き換えます。それでも訳が出るなら、その英文は難しいので1段階下げます。

失敗3 速く読むこと自体が目的になっている。速くなったのに、内容を聞かれると答えられない状態です。

直し方。音読の最後に、素材を閉じて「この段落を日本語で1文にまとめる」を必ず入れます。まとめられないなら、その回の速さには意味がありません。共通テストの物語文(2026年度は第6問にも物語が出ました)は、読んで味わうのではなく他人に要約して伝える読み方を求める大問です。「この話を1分で人に説明するなら何を言うか」という読み方は、そのまま設問対策になります。

まとめ ― 回数ではなく基準で管理する

音読で決めることは3つでした。目的を1つに絞る、意味が分かっている120〜200語の英文を3本だけ持つ、何ができたら次に行くかを1文で書く。この3つがそろえば、1回15分でも1か月後に測れる変化が出ます。基準を自分で決めるところが最初のつまずきなので、EIMEI予備校の1対1の指導ではそこを面談で一緒に作り、毎週届いたかを確認しています。

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EIMEI予備校について

EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。

  • 川越校舎(2026年6月開校)川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えます。
  • ふじみ野校舎 ふじみ野駅東口から徒歩1分。
  • 鶴瀬校舎 鶴瀬駅西口から徒歩3分。

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二神大輝