この記事は、年内入試(総合型選抜・学校推薦型選抜)の結果が出たあとに何をするかをまとめたものです。合格した人、不合格だった人、まだ結果を待っている人の3通りに向けて、それぞれ別の節を用意しました。自分に当てはまる節から読んでください。
先に一つだけお断りします。この記事に出てくる制度の規定は、文部科学省の大学入学者選抜実施要項に書かれている内容です。実際の発表日、提出書類、手続きの締切、専願の条件は大学ごとに違います。自分が受けた大学の募集要項で必ず確認してください。この記事では同じことを何度も書きます。
まず、制度が決めている日程の骨格
2027年度入試(令和9年度実施要項)の規定です。
- 総合型選抜:出願は2026年9月1日以降、合格発表は2026年11月1日以降。
- 学校推薦型選抜:出願は2026年11月1日以降、合格発表は2026年12月1日以降で、かつ一般選抜の試験期日の10日前まで(共通テストを使う場合は前日までのなるべく早い期日)。
ここで制度が定めているのはいちばん早い日付だけです。実際の発表日と手続き締切は大学ごとに決まります。「総合型の結果を見てから学校推薦型に出願する」という組み方ができるかどうかも、自分の志望校の組み合わせ次第です。総合型の発表が11月下旬で、学校推薦型の出願締切が11月上旬という並びもふつうに起こります。要項の日付を並べて確認してください。制度の中身は年内入試の制度と面接で整理しています。
合格した人へ
1. 4つの締切を「いつ・どこで・何を」の1文にする
合格後にいちばん多い失敗は、手続きの締切を過ぎることです。合格しても手続きを逃せば無効になります。防ぎ方は気合ではなく、書き方です。次の4つを、それぞれ1文の形で書いてください。
- 出願(まだ残っている方式があれば)
- 試験日
- 合格発表
- 入学手続きの締切
書き方は「もし12月◯日の朝になったら、登校前に◯◯大学の出願サイトを開く」のように、いつ・どこで・何をするかを先に決めておく形にします。
同時に、提出書類を一覧にしてください。入学手続きの書類は、大学に出すものと高校に頼むものが混ざります。高校に依頼するものは、締切から逆算して早めに出します。
2. 併願していた一般選抜をどうするか
ここは思い込みで決めないでください。実施要項には、専願・併願を直接定める条文がありません。評定平均の一律の基準もありません。あるのは、大学ごとの募集要項に書かれた条件だけです。
ただし制度の文言に、一つ手がかりがあります。学校推薦型選抜で面接の必須化に例外が認められているのは「非公募型の学校推薦型選抜であって合格した際には入学することを入学志願者が確約して受験するもの」だけです。つまり制度は、入学を確約して受ける方式の存在を前提にしています。
やることは2つです。
- 自分が受けた方式が、入学を確約して受けるものだったかを要項の出願資格の欄で読み直す。
- 確約型だった場合、出願済み・出願予定の一般選抜をどうするかは自分だけで判断せず、要項の記載と高校の先生の指示を確認する。指定校の枠を使った場合はとくにそうです。
併願が認められている方式で合格した場合は、一般選抜を続けるかどうかを自分で決められます。判断の材料は要項の文言です。
3. 入学までの数か月でやっておくと、入学後に効く3つ
大学を中途退学する理由の1位は「転学・進路変更」で22.0%、学力不振(7.3%)の3倍です。入る前に中身を確かめる作業は、4年間を守る作業です。次の3つは、どれも1〜2時間で始められます。
- 1年次の必修科目の一覧を1枚出す。 大学のカリキュラム表から、1年次に何を学ぶかを書き写します。学部系統によって中身は大きく違い、たとえば経済・経営系はミクロ・マクロ経済と簿記・会計・統計・数学の基礎から入ります。使う教科書が分かれば、入学前に最初の章だけ読めます。
- 志望理由書に書いた「問い」を、もう一度紙に書き直す。 面接の準備で作った線(これまでの活動経験 → その中で見つけた問い → 大学での学習計画 → 将来構想)のうち、真ん中の「問い」を書き直します。書類に書いた本、活動、数字のうち、今の自分が説明できないものがあれば、そこを埋めます。この作業は、入学後に演習やゼミを選ぶときの材料になります。
- 用語を1つ選んで、30秒で口に出して説明する練習を続ける。 口頭試問型の面接の準備として効くやり方ですが、入学後にも同じ力が要ります。定義を言う、理由を言う、例を挙げる。書いて覚えたことと、口で説明できることは別です。
不合格だった人へ
ここは行動だけを書きます。順番に確認してください。
今日のうちに、この4つ
- 残り日数を数え直す。 出願を予定している一般選抜の試験日までの日数を、カレンダーで実数で数えます。共通テストを使うなら、その日までの日数も別に数えます。
- 出願の締切を確認する。 一般選抜の出願締切は、年内入試の結果が出るより前に始まっている大学があります。出願・試験日・発表・手続き締切の4つを、さきほどの「いつ・どこで・何を」の形で書きます。出願校をいつ確定させるかも合わせて読んでください。
- 受けた大学の一般選抜の枠を確認する。 学校推薦型選抜には、募集人員の上限が制度で決まっています。学部等の募集単位ごとの入学定員の5割を超えない範囲(附属高校長の推薦分を含む)です。一方、総合型選抜には募集人員の上限の規定がありません。自分が受けた学科に一般選抜の枠がどれだけあるか、日程が何回あるかは、要項の募集人員の欄を見れば分かります。同じ学科をもう一度受けられる場合があります。
- 提出書類のコピーを机に出す。 次の節で使います。手元にない場合は、書いた内容を思い出せる範囲で書き起こしてください。
1週間で戻すための7日の手順
1日に1つだけやります。すべて半日以内で終わります。
- 1日目:出願を考えている大学の要項を全部開き、試験科目と配点を書き写す(1校5分)。4つの締切を書く。
- 2日目:直近の模試の成績表を出し、C判定が出ている帯を確認する。C判定は合格可能性50%前後、つまり定義上は五分五分です(判定の定義は模試の会社ごとに違います。同じ模試の推移だけを見てください)。ここを出発点の帯にします。
- 3日目:その帯から1校選び、直近1年分の過去問を、受験科目すべて、本番と同じ試験時間で解く。途中で答えを見ない。
- 4日目:採点する。科目ごとに「得点率」「時間内に最後まで到達したか」「落とした大問と分野」「落とし方」を書く。落とし方は知らない/使えない/時間切れ/ミスの4つに分けます。素点でおよそ7割を「この帯は届く」の目安にします。
- 5日目:落とした分野を上から2つ選び、そこだけの教材と進め方を決める。「知らない」なら覚える、「使えない」なら演習、「時間切れ」なら配分の練習、「ミス」なら見直しの手順。
- 6日目:年内入試で作ったものを仕分ける(次の節)。
- 7日目:実力校・挑戦校・安全校の3校と、使う方式を各校2つまでに決める。大学進学者の平均出願校数は2.42校です。ここで決めたものは仮置きで、模試ごとに書き直します。
この7日で、次にやる勉強が決まります。手順の全体像は受験の立て直しと12月から本番までの流れにまとめてあります。なお、つらさが続くときは、学校の先生や保護者の方、専門の窓口に相談してください。
年内入試の準備から、一般選抜に持ち込めるもの
年内入試のためにやった作業は、そのまま一般選抜で使えるものがあります。3通りのどの人にも当てはまります。
- 読んだ資料。 志望理由書や小論文のために読んだ本・記事は、その学部系統の入門にあたる内容です。捨てずに読み返し、要旨を100字で書き直してください。
- 書いた文章。 年内入試で小論文を課された人は、その原稿と、書くときに使った型が残っています。小論文・記述を課す方式を一般選抜で受けるなら、同じ型を使えます。自分が受ける方式に小論文があるかは要項で確認してください。
- 調べた学部の中身。 1年次のカリキュラム表と必修科目の一覧は、出願校を決め直すときの材料です。「同じ経営学部でも数学を多用する大学とほとんど使わない大学がある」「同じ情報系でも文系型と理系型がある」といった差は、カリキュラム表を開かないと分かりません。
- 面接で言語化した志望理由。 活動経験 → 問い → 学習計画 → 将来構想の線は、出願校を選ぶときの判断基準そのものです。「この問いを追える科目があるか」で候補を見ていきます。
- 学力そのもの。 総合型・学校推薦型では、出願書類だけで判定することが制度上できません。学科試験・共通テスト・小論文や面接・資格検定のうち少なくとも1つを必ず活用すると定められています。推薦だから学力は不要、という制度にはなっていません。年内入試の準備で学科の基礎をやり直した人は、その分が残っています。
結果待ちの人へ
待っている間にやることは、結果が出たあとにどちらへも動けるようにしておくことです。発表の翌日から一般選抜の準備を始められる状態にしておきます。
- 出願を考えている大学の試験科目と配点を書き写す。 1校5分です。科目が合わなければ、ほかの情報は要りません。
- 過去問を1年分、診断として解く。 仕上げではなく診断です。得点率、時間内に到達したか、落とした分野、落とし方の4つを記録します。これは合否を占う作業ではなく、次に何を勉強するかを決める作業なので、結果待ちの期間にいちばん向いています。
- 4つの締切を書く。 合格した場合の入学手続き締切も、いま調べておきます。発表から手続きまでの日数が短い大学があります。
- 次の方式の要項を読む。 総合型の結果を待ちながら学校推薦型に出願する場合、その2つの日付が自分の組み合わせで成立するかを確認します。
- 提出書類のコピーを1か所にまとめる。 合格しても不合格でも、次に使います。
保護者の方へ
声かけは、行動の話だけで足ります。具体的には次の3つです。
- 4つの締切を、一緒にカレンダーに書く。 出願・試験日・発表・入学手続きの締切です。とくに入学手続きの締切は、逃すと合格が無効になります。ここは本人任せにしないほうが確実です。
- 費用と通学時間を、1回だけ数字にして共有する。 初年度に納める額、4年間の総額、通学の片道の時間。何度も話す必要はありませんが、一度も話さないと、合格したあとで問題になります。
- 1枚の紙を見る。 現在の帯、解いた過去問の得点率、3校の構成、費用。この4つが1枚にあると、話が事実の確認になります。受験の全体の流れは保護者向け 受験の流れにまとめています。
来年受ける高2生へ
今回のことから分かることを3つだけ書きます。
- 年内入試は例外的な入り方ではありません。 令和7年度の入学者では、学校推薦型選抜が34.1%、総合型選抜が19.5%。私立大学に限れば学校推薦型38.8%、総合型22.8%で、入学者の6割を超えます。学校推薦型選抜は私立大学の100.0%で実施されています。
- 面接は「学問分野に対する意欲や適性」を見る場として制度化されました。 令和9年度実施要項から、総合型選抜・学校推薦型選抜では面接による評価を必ず行うと定められました。例外は非公募型かつ入学確約型の学校推薦型選抜の1つだけです。ディベート、集団討論、プレゼンテーション、口頭試問も、制度上はすべて「面接」の中身です。自分の年度の要項で規定を確認してください。
- 準備は書類を書く前から始まります。 面接で聞かれることの多くは、出願書類を出した時点で決まります。提出書類を面接の素材にすると明記している大学があり、「書類審査との整合性」を独立した評価項目に立てている例もあります。高2のうちにやるなら、活動経験と、そこで見つけた問いを書き留めておくことです。ここが空欄だと、活動と学習計画がつながりません。志望理由書の書き方は志望理由書にまとめています。
専願かどうか、評定平均がいくつ必要かは、制度ではなく大学ごとの募集要項が決めています。「推薦は評定4.0以上」のような一般則は存在しません。調べるのは要項です。
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