「リーディングは点が動いてきたのに、リスニングだけ変わらない」。高3の秋から既卒生まで、毎年いちばん多く聞く英語の相談です。この記事はリスニングだけに絞り、「聞き取れない」の中身を4つに切り分けて、大問ごとに何を練習するかを書きます。リーディング側の時間配分と手順は共通テスト英語の攻略にまとめているので、ここでは深追いしません。
事実として書くのは、EIMEI予備校で自作している共通テスト対策の読本(共通テスト2021〜2026年度の解説とリスニングスクリプト、センター試験2007〜2020年度の解説を分析)で確認できた範囲だけです。配点・試験時間などの実施要項は年度により変更がありうるので、自分が受ける年度の要項で必ず確認してください。
まず構造を数字で押さえる ― 大問6・全37問、読み上げ回数が違う
読本の6年分スクリプト全分析でまず確認できるのは、リスニングが大問6つ・全37問、読み上げ回数は第1・2問が2回、第3問以降が1回という構造が6年間変わっていないことです。
2回聞ける大問は前半の2つだけで、第3問から先は一度しか流れません。「もう一回聞けば分かる」感覚のまま練習すると、本番で通用しない練習を積み続けます。骨格も6年間同じです。
- 第1問 短文(A=内容一致、B=イラスト選択)/第2問 短い対話+イラスト
- 第3問 対話6本/第4問 A=図表完成、B=条件マッチング
- 第5問 講義+ワークシート/第6問 A=対話、B=複数話者の議論
2025年度には内部の配分が変わりました。変更は3点です。
- 第1問Bが3問から4問へ、第2問が4問から3問へ配分変更
- 第5問の後半が「講義の続きの独話」から、学生2人の発言の一致・不一致判定+対話でのグラフ読み取りへ
- 第6問Bの話者が4人から3人へ減少
枠は動かないのに、中身の問われ方は動いています。最新形式は2025・2026年度の過去問で必ず確認を。
「配点が軽いから後回し」と言う人もいますが、37問という問題数は、リーディングの8大問と並べて「おまけ」と呼べる分量ではありません。ただし配点そのものは実施要項の話で、読本も最新の発表で確認するよう明記しています。リーディングとリスニングの比率と、志望校がそれをどう使うかは、必ず自分で要項を見てください。
「聞き取れない」は4種類ある
つまずきの原因は1つではありません。少なくとも4つに分かれます。
①音が聞き取れない
音声が言葉に分かれていない状態です。スクリプトを見た瞬間に「こんな簡単なことを言っていたのか」と驚くならここ。練習は後述の段階1しかありません。
②聞こえるが意味が追いつかない
単語は拾えるのに意味が遅れて届く状態です。見分け方はスクリプトを黙読して意味が取れるか。分からないなら耳ではなく語彙・構文の問題で、シャドーイングを増やしても動きません。
③聞けているが設問に答えられない
内容は分かったのに×になる型です。読本の分析では、会話中の値段・日時・数量が終盤に But / Actually / Oh, wait などの逆接語で訂正されるパターンが毎年出ます。最初の数字で答えを決める人はここで落ちます。
④図表・条件の処理が間に合わない
音も意味も取れていて手が止まる型です。第4問Aと第5問には数の言い換え(a quarter=25%、exactly half、the third most)が集中し、聞いた瞬間に数字へ直せないと置いていかれます。第4問Bも4案に複数条件が語られ、処理の順番を決めていないと間に合いません。
切り分けは、過去問1回分の直後に間違えた問題だけを、(1)スクリプトを見ずに聞き直す、(2)正解できたら③か④、(3)取れないならスクリプトを見ながら聞き、驚きがあれば①、(4)黙読で意味が取れないなら②。5分で終わります。切り分けずに量を増やすのが、いちばんもったいないやり方です。
大問ごとに、どこで差がつくか
第1問・第2問 ― 2回読みは落とさない場所
2回読まれるので取りにいきます。差がつくのはイラスト問題で、否定(〜ではない)で決まることが多く、not を聞き逃すと4択が総崩れになります。音声の前に4枚の差分を1語ずつメモしてから、not を待ちます。2025年度から第1問Bが4問に増え、比重は上がりました。
第3問 ― 対話6本、ここから1回読み
素材の大半は買い物・学校・旅行・家庭の4場面に収まります。難解な語は出にくく、代わりに場面の語彙が固まっていないと落ちます。数字が出ても確定させず、会話が終わってから決めます。
第4問A ― 図表完成
数の言い換えが集中します。聞きながら紙の上で数字に直してから図表に当てるのが正攻法で、頭の中だけで処理すると落とします。increase と decrease は単語帳でも図表問題の基本ペアです。
第4問B ― 条件マッチング
4案それぞれに複数条件が語られ、条件違反が1つでもあれば消す消去法が正攻法です。「週末のみ」「売れ行き不振」の一言で候補が落ち、全条件に合う案は1つだけ。良い点ではなく違反を探します。読本はこの大問を、リーディングの実用文(第1・2・5問)と同じ思考だと整理しています。
第5問 ― 講義+ワークシート
差がいちばん大きく出ます。手がかりは2つ。講義の冒頭30秒に主題と構成の予告があるので、ワークシートの見出しと対応させれば、以降は「どの見出しの話が始まったか」を追うだけです。もう1つは2025年度からの変更で、後半が学生2人の発言の一致・部分一致・不一致の判定になったこと。2人の要旨を1行でメモしないと解けません。テーマは6年分で一貫しています。
- 2021 ヒュッゲと幸福度報告書(幸福)/2022 ギグワークの功罪(働き方)
- 2023 アジアゾウの減少と保護(動物保護)/2024 ガラスの特性と環境(素材と環境)
- 2025 贈答文化と廃棄削減(消費と環境)/2026 内陸国の海水魚養殖と食料安全保障(食料と技術)
SDGs・ライフスタイル系から外れた年が1年もありません。
第6問 ― A対話・B議論
Bが最後の関門です。話者が3人に減っても問われることは同じで、「最後まで意見を変えない人」と「途中で変える人」を聞き分け、賛否の人数を集計します。メモは「賛/反/△」と論点1語で足り、文を書くと必ず遅れます。
先読みは「どこで」「何を」見るか
先読みに使えるのは音声が流れていない時間だけで、その量は過去問を通して自分で測ってください。優先順位は2つ。第1・2問の合間ではなく、説明音声・例題の時間に第4・5問の図表へ向ける(第1・2問は2回読まれるので割く価値が小さい)。そして1回読みの第3問以降は設問先読みに全投資する。見るものは大問別に決めます。
- 第1問B・第2問 4枚のイラストの差分を1語ずつ。言語化がそのまま解答根拠です。
- 第3問 設問文だけ。金額か時刻か次の行動かを確認。選択肢まで読む余裕はありません。
- 第4問 Aは図表の軸と単位、空所の位置(単位を見ていないと当てる場所を間違えます)。Bは4案の名前と条件欄、設問が指定する条件を先に指で押さえます。
- 第5問 ワークシートの見出しと空所の並び。冒頭30秒の予告と対応させる準備です。
- 第6問 Aは話者2人の関係、Bは話題と話者の数。メモ欄の位置を決めます。
練習メニューは3段階 ― 分量を数字で決める
段階1 音と文字を一致させる(1日20分)
素材は1回読みの大問のスクリプト1〜2分ぶんで十分です。
- ディクテーション5分。目的は「聞き取れていない音の場所を特定すること」で、内容理解のためではありません。
- 答え合わせ5分。書けなかった箇所を、知らない語か、知っているのに音が取れなかったのかで分けます。後者だけが耳の課題です。
- シャドーイング10分(同じ素材を5回)。目的は「口が音についていける速さまで上げて、意味を処理する余力を作ること」。発音をきれいにするためではありません。
次に進む基準を決めます。ディクテーションは同じ素材で書き取り漏れが3か所以内なら合格。シャドーイングはスクリプトを見ずに8割ついていけて、直後に内容を日本語1文で言えたら合格。そこまで来たら同じ素材は捨てます。1素材は長くて3日です。
段階2 止めずに通す(1日20〜25分・週3回)
大問1つ分を、止めず巻き戻さず通します。解答10分・採点3分・スクリプト確認7分。
採点後に必ず、間違えた問題を4分類に振り分けます。①なら段階1へ、②なら語彙へ、③なら設問処理のルール(数字を確定しない・not を待つ)、④なら数の言い換えと消去法。振り分けずに次へ進むと、同じ型で落ち続けます。
段階3 本番と同じ条件で通す(2週に1回、直前は毎週)
1回分を通しで、止めずにやります。試験時間は実施要項の話なので、要項で確認したうえで通してください。終わったら大問別の得点と手が止まった場所を1行で記録します。3回たまれば、どの大問で落としているかが見えます。そこだけを段階1・2に戻すのが一番速い道です。
語彙でつまずいているときの見分け方と対処
見分け方はスクリプトの黙読で意味が取れるか。止まるなら耳の練習を足しても動きません。必要な語彙は2層に分けます。
1層目はアカデミック語彙で、効くのは第5問の講義です。EIMEI予備校で自作しているテーマ別の単語帳は、全国約190大学の入試英語(2007〜2026年度)415題・約86万語のコーパスで頻度を集計し、12テーマ+共通語彙・約440項目に絞っています。共通語彙の章(アカデミック頻出語50)の study、evidence、significant、increase/decrease、compare といった語が、講義の骨組みとグラフの説明を作っています。講義テーマは単語帳の章とほぼ一対一で対応します。
- 幸福度 → 心理・脳科学(well-being。コーパス最大勢力で104題)
- ギグワーク → 経済・仕事・消費(consumer 29回、worker 30回、labor、demand)
- アジアゾウ保護 → 生物・生態系(endangered、habitat、conservation。animal 50回)
- ガラスと環境 → 科学一般(glass 50回)/贈答文化と廃棄 → 環境・気候変動(waste 61回、plastic 65回、landfill)
- 養殖と食料安全保障 → 環境(agriculture、shortage、consumption)+生物・生態系
読本が未使用ゾーンとして挙げる食品ロス・観光と地域・睡眠と健康も、順に環境・気候変動、社会(tourism、overtourism は出題急増中)、心理・脳科学の章です(予想であり、的中を保証するものではありません)。第5問対策は「単語帳の章を選んで回す」形に具体化できます。詳しくはテーマ別英単語の記事へ。
2層目は場面の語彙で、効くのは第3問や第6問Aです。4場面の語はアカデミック語彙の単語帳には入りません。ここはスクリプトで出会った語を自分の1枚にまとめるのが確実で、段階1で「知らない語」に分類した語を足していきます。
残り3か月・残り1か月の優先順位
残り3か月の人は次の順で。
- 段階1を毎日20分。ここを切らさないのが最優先です。
- 段階2を週3回。第5問と第6問Bのメモの形、第4問の消去法を優先します。
- 段階3を2週に1回。記録を3回ためて弱い大問を特定します。
- 単語帳は共通語彙の章+SDGs帯の3章(環境/経済・仕事・消費/生物・生態系)に絞ります。
残り1か月の人は、増やさず減らします。
- 直近2年分(2025・2026年度)を、訂正パターン(But / Actually)を意識して聞く。形式が変わった第5問後半と第6問Bをここで確認します。
- 数の言い換え(a quarter/half/twice)を瞬時に数字化できるか確認する。
- 段階1は5〜10分に短縮して毎日続け、ゼロの日を作らないこと。
- いちばん新しい本試験で形式確認。2025年度のような内部改訂は起こりえます。
直前期の全体の進め方は共通テスト直前の記事にまとめています。
私大・国公立の入試で、リスニングはどう関わるか
確認が必要な部分。共通テストの成績を私大の入試に使う方式では、英語をリーディングとリスニングの合計で見るのか、リーディングだけか、比率をどう換算するのかが方式ごとに違います。国公立でも共通テストの英語の扱いと二次の配点の関係は大学ごとです。これは読本の範囲ではなく募集要項の話なので、志望校の要項で必ず確認してください。制度は共通テスト利用入試の記事、国公立の英語は国公立 英語の傾向の記事へ。
はっきり言える部分。読本の分析では、共通テストの題材は二次・私大の頻出テーマの入門版という位置づけです。第5問の講義テーマ(幸福、働き方、環境、食料、動物保護)は、私大・国公立の長文で出るテーマの帯と重なります。リスニングのために入れた背景知識と語彙は、そこだけで終わりません。
川越で、リスニングをどう立て直すか
EIMEI予備校の1対1では、過去問1回分のあとの切り分けを一緒にやり、段階1の素材と次に進む基準を決めてから週の分量を組みます。川越校舎の自習室は朝7時から使えるので、段階1の20分を朝に固定する生徒もいます。つらさが抜けないときは、勉強の設計の話とは別に、学校の先生や保護者の方、専門の窓口に相談してください。
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EIMEI予備校について
EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。
- 川越校舎(2026年6月開校)川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えます。
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