こんにちは、EIMEI予備校で英語科を担当している二神です。
この記事は、「英語の長文が読めない」と感じている高校生と、その保護者の方に向けて書いています。単語帳もやった、文法問題集も一周した、それでも模試の長文で点が取れない。そういう人が、いま足りないのは単語か、文法か、構文か、速度かを1日で切り分けるための記事です。
「読めない」は原因を特定しないかぎり埋まりません。単語が原因の人が英文解釈をやっても伸びませんし、構文が原因の人が単語帳を5周しても伸びません。しかも原因は、同じ英文を3通りの読み方で読むだけで、かなりの精度で分かります。
「読めない」には4つの原因があります
原因はだいたい次の4つのどれか、あるいはその組み合わせです。
- 単語…知らない語が多すぎて、文の意味が像を結ばない。
- 文法…時制・態・助動詞・準動詞・仮定法などの意味を取り違える。
- 構文…単語は全部知っているのに、どれが主語でどれが動詞かが取れない。関係詞・分詞・比較・倒置・挿入で文が崩れる。
- 速度…時間をかければ読める。時間内に終わらないだけ。
この4つは症状が似ています。どれであっても自覚は「読めない」で同じなので、自覚だけで判断するとたいてい外します。しかも順番があります。単語が足りないまま構文の練習をしても分析する材料がありませんし、構文が取れないまま速読をすると「速く読み飛ばす」だけの癖がつきます。だから最初に測ります。
自己診断:同じ英文1本を、3通りの読み方で読む
同じ英文を、条件を変えて3回読みます。条件を変えたときに何が変わったかで、原因が分かります。準備するものは3つです。
- 英文1題…志望校の過去問か模試の長文。500語前後が扱いやすいです。条件はまだ解いたことがないことと、解答に全訳が付いていること。全訳がないものは使えません。
- ストップウォッチ…スマホのタイマーで可。通知は切ってください。
- 辞書…紙でも電子でもアプリでも構いません。
所要時間は90分ほどです。土日の午前に一度やってみてください。
ステップ1 時間を計って、いつも通り解く
普通に解きます。ただし3つの数字を必ず記録してください。
- ①本文を読み終わるまでの時間(設問に入る前まで)
- ②解答が終わるまでの合計時間
- ③正答率
大事なのは、途中で辞書を引かないこと、分からなくても最後まで読み切ること、そして意味が分からなかった単語にその場で丸をつけることです。採点まで終わったら手を止めます。ここで解説を読むと、次のステップが使えなくなります。
ステップ2 辞書あり・時間無制限で、もう一度解く
同じ英文を、今度は辞書を引きながら、時間を気にせず読みます。丸をつけた単語は全部引き、意味を余白に書き込みます。そのうえで設問を別の紙に解き直します(1回目の答えは見ないでください)。記録するのは2つです。
- ④丸をつけた単語の数(未知語の数)
- ⑤辞書あり・時間無制限の正答率
ここで測るのは「単語と時間さえあれば解けるのか」です。正答率が跳ね上がるなら読解力そのものは足りていて、足りないのは語彙か時間です。
ステップ3 全訳と、1文ずつ照合する
最後に全訳を開きます。ただし通して読むのではありません。英文の1文目を読み、声に出して日本語にしてから全訳のその1文を見る。合っていれば次へ、ズレていたら印。これを最後まで繰り返します。
「なんとなく合っている」は不合格にしてください。主語・動詞・目的語を言い当てられていない文、否定や条件がひっくり返っている文、修飾関係がズレている文。これらは全部「ズレた文」に数えます。
印をつけた文を、3つに仕分けます。
- 単語型…知らない語があった。それが分かれば訳せた。
- 構文型…単語は全部知っていたのに骨格が取れなかった。関係詞・分詞・比較・倒置・挿入・同格・長い主語が入っていることが多いです。
- 文法型…骨格は取れていたが、時制・態・助動詞・仮定法・準動詞などで意味が逆になっていた。
記録するのは⑥ズレた文の数と内訳です。
6つの数字から原因を判定する
①〜⑥がそろいました。500語の英文を使った前提で判定します。
- 単語が原因…④が15語以上(500語なら3%以上)で、⑥のズレた文の多くが「単語型」。この状態では何を読んでも同じことが起きます。最優先は語彙です。
- 構文が原因…④が5語以下(1%以下)なのに、⑥が5文以上あり、その多くが「構文型」。単語を増やしても解決しません。英文解釈です。
- 文法が原因…⑥の多くが「文法型」。あるいは空所補充・語法・正誤指摘で落としている。文法問題集に戻ります。
- 速度が原因…④も⑥も少ないのに、③(時間内の正答率)が低く⑤(時間無制限)は高い。③と⑤の差が2割以上なら速度の問題です。①の時点で制限時間を使い切っている場合も同じ。
- どれでもない場合…ほとんどズレず、時間もある。それでも設問を落とす。これは英語力ではなく設問の処理の問題で、選択肢のどこが本文と食い違うかを線で結ぶ練習に切り替えます。
複数当てはまる人が大半です。その順番は記事の後半に書きます。
速度の目安は、志望校の語数と制限時間から決める
「速く読めるようになりたい」という相談はよく受けますが、どれくらい速ければいいのかを決めずに練習しても終わりが来ません。基準は志望校が決めてくれます。EIMEIでは大学別に入試対策読本を自作し、実際の問題冊子から語数と制限時間を数えています。そこから引きます。
- 中央大学 5学部共通選抜…80分、総語数2,300語超。1分あたり約29語。文法語彙15問と誤り指摘も乗るので、読む時間はさらに短くなります。
- 成蹊大学 E方式…90分、総語数3,000語超。1分あたり約33語。
- 立教大学 2月11日の文学部独自日程…75分、1回の試験で読む総語数が約3,000語。1分あたり約40語。
- 慶應義塾大学 商学部…90分、英文の総語数は設問・選択肢込みで3年とも約5,200語。1分あたり約58語。読本でも「かなり厳しい密度」と書いています。
- 慶應義塾大学 文学部…120分で約2,100語を1本。1分あたり約18語。この学部だけ辞書を2冊まで持ち込めます。速度ではなく構文と和訳の試験です。
使い方を3つ書きます。
第一に、この「1分あたり」は読む速度ではありません。設問を解く時間もマークする時間も含んだ処理速度です。読む時間が全体の半分なら、本文を読む速度はこの2倍必要。中央の5学部共通選抜で約58語/分、慶應商学部で約116語/分です。
第二に、志望校によって要求が違います。慶應文学部の18語/分と商学部の58語/分は3倍以上の開きです。「速読」と一括りにせず、自分が受ける学部の数字を1つ書き写してください。それが練習の終点です。
第三に、自分の速度は300語の英文1本で測れます。辞書なしで内容を説明できる程度に読んで何分か。5分なら60語/分、3分なら100語/分。週1回、記録してください。速度は測らないと上がりません。
なお、共通テストのリーディングについては語数と制限時間の数字を書きません。手元の読本は大学別の個別試験を数えたもので、共通テストの語数を数えた記録がないからです。確認できていない数字は書かない方針です。ただし上の基準を満たす速度がついていれば、共通テストの読解で時間が足りなくなることはまずありません。
原因別:次にやる教材と、その回し方
自分の判定のところだけ読んでください。市販の定番教材を挙げますが、どれか1冊で構いません。複数を同時にやると、どれも終わりません。
単語が原因だった人
使うのは『システム英単語』か『英単語ターゲット1900』のどちらか1冊。学校で配られたものがあるなら、それで構いません。持っている単語帳を替えるのが、いちばんもったいない選択です。
- 1日100語を10分、週6日。19日で1周します。
- 1周目は意味を1つだけ。派生語も語法も多義も触りません。
- 判定は英語を見て1秒で日本語が出るか。3秒かかるものは「出なかった」に数えます。
- 音声を必ず使います。発音を知らない語は、長文の中で認識が遅れます。
- 2周目以降は出なかった語だけ。5周までは間隔を詰め、以降は週1回の総復習に切り替えます。
熟語は単語帳が3周終わってから、『速読英熟語』か『解体英熟語』のどちらかを。終わりの判定は、最初の500語の英文で未知語が5語以下になっているかどうかです。
文法が原因だった人
ここはさらに2つに分かれます。ゼロから怪しい場合(不定詞と動名詞の違いが説明できない、関係代名詞と関係副詞の使い分けが曖昧など)は、『大岩のいちばんはじめの英文法』のような講義形式の1冊を2週間で1周します。問題を解く段階ではなく、用語と仕組みを入れる段階です。
一通りやったはずだが抜けている場合は、『Next Stage』『Vintage』『スクランブル』のどれか1冊です。学校で配られたものがあればそれを使い、『Evergreen』や学校の総合英語を辞書として引きます。
回し方で大事なのは1点だけ。4択を「解く」のではなく、「なぜ他の3つが違うのか」を口で説明する。説明できない問題に印をつけ、総合英語でその項目を引く。これをやらないと選択肢の形を覚えるだけになり、長文の中では使えないまま終わります。
- 1周目は分野順に。1日30問。説明できなかったものに印。
- 2周目は印のついたものだけ。ここで初めて速く回せます。
- 3周目で印が1割を切ったら終了。4周目以降は不要です。文法問題集を何周もするより長文に戻るほうが伸びます。
構文が原因だった人
ここがいちばん多く、いちばん伸びしろがある判定です。単語も文法も入っているのに読めない人は、英文解釈を1冊通すだけで景色が変わります。レベルに応じて次のどれか1冊を。
- 入門…『英文読解入門 基本はここだ!』または『入門英文解釈の技術70』。SVOCを振るところから始めます。
- 標準…『基礎英文解釈の技術100』または『英文熟考 上』。GMARCH・地方国公立はここで足ります。
- 発展…『ポレポレ英文読解プロセス50』または『英文読解の透視図』。早慶や、慶應文学部のような和訳中心の試験ならここまで。
回し方は単語帳とまったく違います。量をこなす勉強ではありません。
- 1日3〜5文。これ以上やらないでください。
- 1文ごとに紙にSVOCを書き込みます。頭の中でやると、できたつもりになります。
- そのうえで和訳を紙に書きます。書くと、分かっていない箇所が必ず露出します。
- 解説を読み、構造把握のどこが違ったかを特定します。訳が合っていても構造が違えば間違いとして扱います。
- 最後にその文を5回音読。構造を意識したまま、前から読みます。
1冊終わるのに1〜2か月かかります。それで構いません。終わったら最初の500語の英文でステップ3(全訳との1文照合)をやり直してください。ズレた文が5文以上から1〜2文に減っていれば成功です。
速度が原因だった人
時間をかければ読める状態です。やるべきは読み返さずに前から処理する訓練で、飛ばし読みの練習ではありません。教材は全文の構造図・全訳・音声が付いているものを選びます。
- 『速読英単語 必修編』…単語と音読教材を兼ねられます。
- 『大学入試 英語長文ハイパートレーニング』…構造図と音声が丁寧です。
- 『関正生のThe Rules 英語長文問題集』…設問の解き方も学べます。
- 『やっておきたい英語長文300/500/700』…語数で選べるので、志望校に合わせやすいです。
回し方は1題を5日。「たくさん解く」ではなく「1題をしゃぶり尽くす」形です。
- 1日目…時間を計って解き、①②③を記録。
- 2日目…解説を読み、全文の構造を自分で取り直す。分からない文はSVOCを振る。
- 3日目…全文を音読10回。意味を取りながら読みます。口だけ動かすのは効果がありません。
- 4日目…音声を聞きながらの音読を10回。ここで速度が上がります。音声は読み返しを許さないので、前から処理する癖がつきます。
- 5日目…もう一度、時間を計って読む。1日目の①と比べます。
この5日で1セット、週1題を2か月で計8題。少なく見えますが、読み返さずに読む癖はこのやり方でしかつきません。
あわせて、「大問1つに何分」を先に決めて、時間が来たら未練を残さず次に行く練習も。明治大学の政治経済学部のように60分で60問を超える試験では、読本でも「過去問は必ず時間を計り、『1題20分』を守れるかだけを見てください」と書いています。正答率より先に、時間を守る練習です。
2つ以上当てはまった人の順番
ほとんどの人は複数当てはまります。順番は固定です。
- 単語…未知語が3%を超えているなら、ここが先。ほかを先にやっても分析材料がありません。
- 文法…構文の参考書は文法用語で書かれています。用語が分からないと解説が読めません。
- 構文…ここで「読める」の中身が変わります。
- 速度…最後。正確に読めないうちに速度をやると、速い誤読ができあがります。
期間の目安は、高2の終わりから始める場合で単語2か月・文法1.5か月・構文2か月・速度2か月、合計7〜8か月です。高3の4月からなら単語と文法を並行させて圧縮します。このときも削るのは速度ではなく、文法問題集の周回数です。
1か月後に、同じ手順でもう一度測る
この診断の価値は同じ手順を繰り返せることです。1か月後、別の英文で同じ3ステップをやり、同じ6つの数字を記録します。
- ④が減っていれば、単語の勉強は効いています。
- ⑥が減っていれば、文法・構文の勉強は効いています。
- ①が短くなっていれば、速度の練習は効いています。
- どれも動いていないなら、やり方が間違っています。教材ではなく回し方を変えてください。
ノートの1ページに、日付と6つの数字だけを書く。月に1行ずつ増えていく。これだけで「なんとなく読めない」が「あと何をどれだけやればいいか」に変わります。
ここまでの手順は一人でも実行できるように書きました。ただ実際には、ステップ3の照合で自分の訳が合っているかを自分で判定しきれないという壁にぶつかる人が多くいます。ここだけは誰かに見てもらったほうが早く進みます。
EIMEI予備校は1対1の個別指導で、川越校舎は2026年6月に開校しました。川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えるので、登校前に音読と単語をやってから学校へ、という組み方もできます。
実際の英文を持ってきてもらえれば、この3ステップを一緒にやって、原因の切り分けと次にやる教材・ページ数までその場で決めます。無料体験・個別説明会はこちらからお申し込みいただけます。模試の結果と、いま使っている単語帳・文法問題集をお持ちください。
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