こんにちは、EIMEI予備校で英語科を担当している二神です。
この記事は、「英文法に抜けがある気がするけれど、どこが抜けているのか分からない」という高2・高3に向けて書いています。抜けを30分で洗い出し、志望校に合わせた順番で埋める手順をまとめました。
「英文法をやる量」は、志望校によって2倍以上変わります。文法が独立した大問として毎年出る大学と、独立問題が1問もなく長文を読む土台としてだけ必要な大学が、同じGMARCHの中に並んでいます。
まず、志望校によって文法の「出方」がここまで違います
EIMEI予備校では大学ごとに入試対策読本を自作しています。問題冊子を1冊ずつ数えたので、数字で示します。
法政大学:全問マークだが、日程で文法の重みが正反対
法政の英語は問題冊子17冊を読み比べました。17冊すべてが全問マークシートで、和訳・英訳・自由英作文は3年間・全日程で1問もありません。英作文の力は語句整序でだけ問われます。
A方式は3つに分かれます。経済Ⅰ・社会Ⅰ・現代福祉、経済Ⅱ・社会Ⅱ・スポーツ健康が使う冊子には、大問Ⅰに4択の短文空所補充が15問あり、残りが長文2〜3本。この骨格は2024・2025・2026年度の3年間まったく同じでした。難問はなく、時制・準動詞・仮定法・関係詞・前置詞・イディオムで足ります。
一方、文Ⅰ・経営Ⅰ・人間環境・GIS、法Ⅰ・文Ⅱ・経営Ⅱ、法Ⅱ・国際文化・キャリアデザインが使う冊子には、独立した文法・発音の大問がありません。長文4本(文学部志望は3本)を読み切れるかで決まり、整序は長文中に埋め込まれます。T日程は2024年度に知識問題の大問が2つありましたが、2025年度に文法の大問が消え、2026年度には会話文も消えて長文4本になりました。
明治大学:学部で0問から15問まで
明治は2024〜2026年度の学部別入試を見ました。法学部は3年ともⅠ・Ⅱの長文2題だけで、文法語法や会話文の独立大問は3年間で0回。情報コミュニケーション学部も、整序英作文と文法単独問題が3年とも0回です。
逆の学部もあります。政治経済学部は前置詞の空所補充・動詞の語形変化の記入・和文英訳の語句整序が、いずれも3年のうち3回出ています。商学部は大問Ⅰが文法語法・語彙14〜15問で、記述は動詞の語形変化8語だけ。問題冊子の表紙に「あいまいな綴り方は不正解とする」と明記されています。文学部はⅠが「二つの文に共通して入る1語」、Ⅱが語形変化・派生語で、記述の1語記入が計9〜10語。国際日本学部はⅢに文法語法10問(前置詞・イディオム・仮定法・比較)があり、英語の配点が満点350点のうち200点を占めます。経営学部は2024・2025年度にあったⅢ文法語法15問が2026年度に消え、共通テスト型の図表・実用文読解が2大問25問新設されました。
立教大学:独自の英語は文学部日程だけ、そのマークの4割が知識問題
立教はもう一段違います。一般入試の英語は資格・検定試験か共通テストの得点で代替され、立教が作る英語の試験は2月11日の文学部日程だけです。Ⅰ・Ⅱが論説文の読解、Ⅲが誤り箇所の指摘8問、Ⅳが会話文6問、Ⅴが空所に1語を補う記述5問。2023年度と2025年度でマーク33問・記述6問が完全に同じでした。
Ⅲの誤り指摘8問とⅣの会話文6問を合わせた14問が、マーク33問の4割強を占めます。Ⅴは選択肢がなく、前置詞・冠詞・関係詞・代名詞・分詞・動詞を自分で書きます。大学の出題意図でも、Ⅲは「文法・語法の知識を試す問題」と説明されています。
グループ全体で見ると
日東駒専の英語は、語彙・文法の独立小問が全体の3〜5割を占めます。東洋大学は長文2本+短文の語彙文法空所+会話文の文挿入+和文対応の整序英作文という5大問(60分)で、読解と知識問題がほぼ半々。國學院大学は「長文2本+誤り指摘5問+短文空所8問」の4大問がほぼ固定。武蔵大学は5大問60分で、語彙文法・会話・実用文が全体の約半分です。
大学ごとの違いは大学別 英語の比較と大学別 一般選抜の傾向と対策まとめにあります。
「抜け」は4種類に分けると見えます
「文法に抜けがある」という感覚は、中身の違う4つを一緒にしています。分けないと打ち手が決まりません。
①用語は知っているが使えない
「分詞構文」「仮定法過去完了」と名前は言えるのに、英文の中でその形を見ても気づかない、自分では作れない。いちばん多いタイプです。
②文構造が取れない
単語は全部知っているのに、どれが主語でどれが動詞か分からない。関係詞・分詞・挿入・倒置で文が崩れる。長文の失点に直結するので優先度が最も高い抜けです。原因の切り分け方は英語長文が読めない原因の見分け方に詳しく書きました。
③例外・語法の知識
動詞ごとに取れる形(to不定詞か動名詞か)、前置詞との結びつき、イディオム、多義語。独立問題で差がつくのはほぼここです。明治の4学部を横断しても、優先順位の最上位は多義語とイディオムの言い換え力、次が前置詞と動詞の語形変化でした。
④時制・態など基本の理解があいまい
現在完了と過去の使い分け、受動態で何が主語になるか、助動詞の過去形の意味。ここがあいまいだと①〜③を積んでも安定しません。
抜けを30分で洗い出す手順
新しい教材は買いません。学校の教科書と配られた問題集だけで足ります。
- 5分/「論理・表現」の教科書の目次を開き、単元名をすべて書き出します。単元名がそのまま文法項目のリストなので、これが診断シートになります。
- 10分/各単元に◯△✕を付けます。◯は「人に説明できる」、△は「見れば分かるが自分では作れない」、✕は「用語自体があいまい」。迷ったら下に付けます。
- 10分/「英語コミュニケーション」の教科書から、直近に授業でやった本文の長い一文を5つ選び、主語と動詞に印を付け、接続詞・関係詞を丸で囲みます。5文のうち何文で主語と動詞を言い切れたかを数えます。3文以下なら②が最優先です。
- 5分/学校の問題集の、すでに解いた範囲から1ページを解き直し、間違いを①〜④に分類します。
教科書のレベルで、見るところが変わります
川越周辺の高校で使われている英語の教科書は、記事高校別 英語の教科書レベル一覧で、発展・標準・基礎に分けて整理しています。
- 発展レベル(ELEMENT、CROWN)…本文の一文が長く、関係詞や分詞が重なります。手順3がそのまま入試レベルの診断になります。③の語法・イディオムは教科書だけでは足りません。
- 標準レベル(LANDMARK、MY WAY、Heartening、BLUE MARBLE、New Rays)…②は取れている人が多く、抜けは③に寄ります。手順4の解き直しを2ページに増やしてください。
- 基礎レベル(Power On、CREATIVE)…まず④です。手順1の目次で、時制・態・助動詞の単元に◯が付くかを最初に確認します。△なら、志望校の形式を調べるより先にそこを埋めます。
- 海外向けの教材(American English File)…会話や運用が中心で、日本の入試の形式とは作りが違います。形式の確認は「論理・表現」の教科書側でやってください。
一覧に載っている10校のうち7校で、「論理・表現」にVision Quest(啓林館)が使われています。
埋める順番:長文のために先に要るもの、独立問題のために後から積むもの
先に固めるのは3つです。文構造(主語・動詞と修飾の切れ目)、動詞の形(時制・態・準動詞)、接続と関係詞。志望校が何であっても要ります。長文が読めなければ、どの大学でも点になりません。
後から積むのは語法(動詞ごとの型)、イディオムと多義語、語形変化と綴りで、量は志望校の形式次第です。
根拠があります。法政の文法15問の論点は時制・準動詞・仮定法・関係詞・前置詞・イディオム。立教Ⅴの記述5問は前置詞・冠詞・関係詞・代名詞・分詞・動詞。明治国際日本のⅢ10問は前置詞・イディオム・仮定法・比較。3大学に共通して入っているのが「動詞の形」と「前置詞」です。
形式別に、必要な力が違います
整序問題
答え方が大学ごとに違います。法政は「2番目と4番目」、明治の理工学部は「2番目と6番目」をマーク、明治政治経済学部は「何番目か」を答える形、國學院は長文の中で「3番目と6番目」。東洋大学は和文が与えられる整序英作文です。全文を並べきらなくても、指定された位置だけ確定できれば点になります。練習では、動詞の型(何を目的語に取るか、前置詞が要るか)から骨組みを決め、修飾語を後から足します。
空所補充
同じ空所補充でも、選択肢があるかどうかで必要な力が別です。法政の4択短文空所補充15問は選択肢を使い切る型が多く、消去の精度がそのまま点になります。対して立教のⅤ5問、明治文学部のⅠ・Ⅱ、明治農学部のⅢ(毎年6問)は選択肢がなく、自分で書きます。明治商学部の記述は語形変化8語だけですが、表紙に「あいまいな綴り方は不正解」と書かれています。選択肢なしの形式があるなら、練習も書いて確認する必要があります。
誤り指摘
立教Ⅲの8問、國學院の5問のように、出る大学では毎年固定枠です。上智の経済経営、青山学院の全学部日程、東京理科大学でも誤文指摘・誤文判定が出ます。感覚で探さず見る順番を決めておくのがコツです。①動詞の形(時制・態・主語との一致)→②名詞の数と冠詞→③前置詞→④比較・代名詞の指すもの。立教では誤り指摘の論点が2023年度の時制・一致中心から2025年度は語法・構文へ広がったので、③④まで機械的に見る癖を付けておくと安全です。
共通テストの英語で、文法はどう問われるか
共通テストでは、センター試験にあった発音問題、アクセント問題、文法・語法の四択(毎年10問)、語句整序、不要文指摘が全廃されました。文法が不要になったわけではなく、「読むための道具」として全設問の背後に沈んだということです。文法問題集を仕上げること自体は今も有効ですが、それは共通テストの直接対策ではなく、読む速度の土台づくりだと考えてください。
それでも文法が要る場面があります。物語文(第3問・第6問)では時系列の並べ替えが毎年出ますが、回想は had+過去分詞が目印なので、時制が読めないと順番を間違えます。2025年度に新設された第4問(添削・推敲型)では接続語を補う設問が出ますが、必要なのは訳ではなく役割です(however は逆接、therefore は帰結、in addition は追加、for example は例示)。文の挿入位置を選ぶ設問は、挿入文の代名詞や指示語(this、such)が指すものが直前にある場所を探します。正解の選択肢はほぼ本文の言い換えで(本文 buy に対して選択肢 purchase、once a week に対して weekly)、これを見抜く力は語法・多義語の知識そのものです。大問ごとの手順は共通テスト英語の攻略にまとめています。
1週間の回し方
抜け埋めは長時間まとめてやると忘れます。1日20〜30分で単元2つ分を上限にしてください。
- 月曜〜金曜…✕と△の単元を上から2つずつ。問題集の該当ページを解き、間違いに日付を書きます。ノートは作りません。
- 確認のしかた…翌日の最初の3分で、前日の△を選択肢を見ずに口で説明する。できたら◯に書き換えます。解き直して正解しても、説明できなければ△のままです。
- できなかったものの扱い…同じ日に繰り返しません。1日後・3日後・7日後の3回だけ戻ります。3回目でまだ✕なら単元ごと飛ばし、月末にまとめて扱います。
- 土曜…長文1本を読み、その週にやった項目が本文のどこに出ているかに線を引きます。5か所見つかればその週の内容は入試で使える形になっています。0〜1か所なら単元の選び方が入試とずれています。
- 日曜…3回目の✕だけを片づけます。新しい単元には入りません。
土曜の作業がいちばん大事です。問題集の中だけで正解できても長文で見つけられないなら、①の抜けが残っています。
高2と高3で変えること
高2は、志望校の形式に合わせません。やるのは①②④、つまり文構造と動詞の形と基本の理解です。「論理・表現」の進度と定期テストの範囲が文法の単元とほぼ一致するので、定期テストをそのまま診断に使えます(使い方は高校英語の定期テスト対策に書いています)。高2の終わりまでに「教科書の目次の全単元が◯か△」を目標にしてください。立教のように英語が資格試験のスコアで確定する大学もあるので、外部試験を使うなら準備は高2からです。
高3は、夏までに志望校の形式を確定させます。4月から6月は②③を進め、夏に志望学部の過去問3年分を「解く」のではなく「大問構成を数える」ために開きます。数えるのは、文法の独立大問があるか、記述が何問あるか、整序の答え方、選択肢のない空所補充があるか。この4つで秋以降の配分が決まります。
秋以降は形式に合わせて切ります。明治の法学部や情報コミュニケーション学部、法政の長文のみ型の日程のように文法の独立問題が0問の学部なら、文法問題集は閉じて長文と言い換え処理に全部回すのが正しい判断です。逆に法政の文法独立型の日程や明治の国際日本学部なら、秋以降も文法の単問演習を週2回は残します。
抜けは探しさえすれば見つかります。もし勉強が手につかない状態が続くときは、学校の先生や保護者の方に早めに相談してください。
あわせて読みたい
EIMEI予備校について
EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。
- 川越校舎(2026年6月開校)川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えます。
- ふじみ野校舎 ふじみ野駅東口から徒歩1分。
- 鶴瀬校舎 鶴瀬駅西口から徒歩3分。
川越校舎の詳細・無料体験のお申し込みはこちら/ふじみ野・鶴瀬校舎のことは公式LINEからお問い合わせください。
