こんにちは、EIMEI予備校の二神です。英語科を担当しています。
この記事は、川越・ふじみ野・鶴瀬の高校に通う高3生と既卒生、そして保護者の方に向けて書いています。面談でいちばん多い質問が「過去問っていつから始めればいいですか」です。これに一般論で答えると、たいてい外れます。始める時期も必要な年数も、受ける大学の問題の作られ方で変わるからです。
材料は、私が自作した大学別の入試対策読本(東洋・青山学院・中央・東京電機・学習院・法政・慶應・明治・立教・埼玉・成蹊・早稲田)です。問題冊子を1冊ずつ突き合わせて分かったことだけを書きます。
1. まず「何を過去問と呼ぶか」を確定する
「過去問を3年分やりました」という報告を、私はそのままでは受け取れません。その3年分が本番と同じ試験のものかどうかが、大学によって全く違うからです。ここを確定させないと、足りているのかどうかを判断できません。
タイプA|同じ試験日なら、学部が違っても同じ問題
東洋大学は全学統一問題です。同じ年度・同じ試験日であれば、学部・学科・3教科型か4教科型かにかかわらず、問題は一字一句同じでした(数学だけ文系用と理系用に分かれます)。読本では約150冊を照合して確かめています。つまり文学部哲学科の過去問と、同じ日に試験がある経済学部の過去問を両方解くのは、同じ問題を二度解いているだけです。東洋の問題は「日程ごとに1種類」だと考えてください。
立教大学も同じ構造です。大学のQ&Aに「同一試験日で同じ試験科目の場合は、学部を問わず同じ問題が出題されるため、学部ごとの対策は不要です」と明記されています。つまり経済学部志望でも、同じ日程の文学部の過去問がそのまま自分の教材になります。「志望学部の過去問が3年分しかない」という悩みが立教には存在しません。例外は理学部数学科の数学だけです。
法政大学は、問題冊子の表紙に3桁の番号が印刷されていて、これが日程を表しています。同じ番号なら同じ問題です。法学部Ⅱ日程・国際文化学部・キャリアデザイン学部(216)の受験生は、英語も国語も日本史も同じ問題を解きます。逆に同じ法学部でもⅠ日程とⅡ日程は別問題なので、「法政の法学部の過去問」という言い方には意味がありません。詳しくは法政大学の入試対策記事に書きました。
タイプB|学部ごとに、全部別の問題
明治大学は正反対です。155冊の表紙と中身を照合しましたが、複数の学部が同じ問題を使う組み合わせが一つもありませんでした。理工学部と総合数理学部の数学は、冊子の厚さも大問数も試験時間も解答用紙の枚数も違う完全な別問題です。しかも全学部統一入試は、学部別入試とはまた別の問題です。
中央大学も学部ごとに別問題です。3年分の冊子を全部突き合わせても、二つの学部が同じ英文を使った例は一つもありませんでした。試験時間さえ80分の学部と90分の学部に分かれています。中央大学の入試対策記事でも触れましたが、5学部共通選抜と学部別選抜はまったく別の試験です。さらに経済学部はⅠとⅡ、商学部はAとBで問題が違うので、「経済学部の過去問」と言うときは2月14日のものか2月15日のものかを必ず確かめてください。
早稲田大学も原則は学部ごとに完全な別問題です。ただし例外が三つあります。基幹・創造・先進の理工3学部は英語・数学・理科すべてが同一冊子。文学部と文化構想学部の英語は大問構成が3年とも完全に同じ(中身の英文だけ別)。教育学部C方式の読解英文の一方は、同じ年度のA方式で出題された長文と同一でした。
タイプC|方式・日程で決まる
青山学院大学は、全学部日程なら11学部すべてが同じ問題です(国語の古文の大問と、数学の文系用・理工用だけが分岐)。しかし個別学部日程は原則として学部ごとに別問題で、しかも全学部日程が全問マークシートなのに対し、個別学部日程では和訳・計算過程・200字や600字の記述が当たり前に出ます。同じ学科を受けるのに、入口によって求められる力が違うのです。文学部英米文学科はA方式とB・C方式で英語が完全に別です。
学習院大学には「プラス試験」があり、大学は「他学部のコア試験日に、そのコア試験と同じ問題で選抜を行います」と説明しています。81冊で確かめたところ、冊子の表紙に「(01コア・05プラス)」のように番号が印刷されていて、この対応は3年間安定していました。法学部プラス試験の過去問がない、と悩む必要はありません。それは経済学部コア試験の過去問です。
東京電機大学は日程ごとに完全な独自問題です。2022〜2024年度の15日程分を調べて、使い回しが一つもありませんでした。同じ日に複数学科を併願しても対策は増えませんが、複数の日を受けるなら、その日数分だけ過去問演習が必要になります。
2. だから「何年分」ではなく「何セット」で数える
つまり「3年分やれば安心」という基準は成り立ちません。数えるべきは年数ではなくセット数です。
- 東洋:自分が受ける日程の直近3年分。2日程受けるなら6セット、3日程なら9セットが目安。同じ日の別学部の冊子は重複なので1冊でよい。
- 法政:まず自分の冊子番号を特定し、その番号の過去問だけを解く。T日程も受けるなら205の過去問を別に解く(A方式とは別問題で、しかも重い)。自分に関係ある日程は1つか2つだけです。
- 立教:日程で集める。学部は問わない。余力があれば他の日程も解けば、同じ年度でも完全に新しい教材になります。
- 明治:3年分は3年分のまま。増えません。そのかわり学部ごとの形式が3年間ほとんど動いていないので、同じ3年分を3周する使い方が合っています。量では損をしますが、精度で得をします。
- 早稲田(文・文化構想):英語だけは互いの過去問が使えるので実質6年分。ただし国語は構成そのものが違うので共用できません。
- 学習院:プラス試験志望なら、対応するコア試験の過去問。演習素材が実質的に倍になります。
主要大学それぞれの構造は大学別 入試対策記事のまとめから確認できます。自分の受ける試験がどの冊子なのかだけは、先に確定させてください。
3. 解く順番と、時期の目安
「第一志望から解くべきか、併願校から解くべきか」とよく聞かれますが、私がすすめる順番は年度の古い順です。第一志望か併願校かではなく、手元の年度をどう配分するかで考えます。
- 9〜10月:いちばん古い年度を1セット、時間を計らずに解く。点数は気にしません。どんな問題が出るのかを知るのが目的です。このとき、大学が公表している「出題意図」を全科目読みます(法政・中央・立教は公開しています)。
- 11〜12月:分野別の弱点をつぶす期間です。ここでは過去問に手を出しません。1回目で届かなかった科目の、優先度の高い分野から埋めます。全範囲をやり直す時間はもうありません。
- 1月:2年目の年度を、本番と同じ時間で解く。採点し、素点を記録します。出題意図をもう一度読みます。
- 1月下旬:弱点の補強と、時事のチェック。政治・経済を選択している人は必須です。
- 2月上旬:いちばん新しい年度を、本番と同じ時間割で解く。最新年度が本番にいちばん近い形なので、最後の予行演習にとっておきます。
併願校を複数受ける人は、試験日の早い順に前倒しします。たとえば明治を学部別と全学部統一の両方で受けるなら、全学部統一が2月5日と先に来るので、1月のうちに全学部統一の過去問を1年分は通しで解いておく必要があります。「第一志望を最優先」で組むと、先に来る併願校が未対策のまま本番を迎えることになります。
時間を計るときは、必ず自分の条件で計ってください。法政では同じ冊子でも学部によって解く範囲と時間が違います。A方式の英語は文学部(哲・日本文・史)が3題60分、経営・人間環境は4題90分。ここを間違えて練習すると、本番で時間配分が崩れます。秋からの組み立て全体は高3の秋からの勉強の進め方にまとめています。
4. 1年分を解いたあとにやること
過去問演習でいちばんもったいないのは、採点して点数を出して終わりにすることです。1セット解いたら、次の手順を踏んでください。
記録するのは3つだけです。①科目ごとの素点と得点率、②分野ごとの失点(どの大問で何点落としたか)、③時間が足りたかどうか(足りなければ、どの大問で詰まったか)。この3つを年度ごとに並べます。
そして合格最低点と比べないでください。法政は全科目で得点調整(標準化)を行っていて、公表される合格最低点は標準化後の点数です。中央は合格最低点の横に*印がついているものが偏差点で、素点ではありません。立教は偏差値法で得点処理をしています。素点と調整後の点を直接比べても意味がないので、比べる相手は過去の自分です。10月に55%だったものが1月に70%になっていれば、仕上がりは進んでいます。
次に出題意図と照合します。順番があります。先に出題意図を読み、時間を計って解き、解答例と自分の答案を並べ、点数ではなく「大学が求めた観点を満たしているか」で照合する。満たしていなかった観点を書き出して、次に解くときはそこだけを意識する。とくに記述・論述のある科目では、大学が挙げた観点がそのまま採点基準です。
最後に、記述がある科目は必ず人に見てもらってください。これは自分では採点できません。模範解答と見比べて「だいたい合っている」と思ったものの多くは、実際には点になりません。中央の法学部なら和訳・英訳・語彙記述で60点分、商学部なら80語以上の自由英作文があります。週に1本でいいので、学校や塾の先生に見てもらう習慣をつけてください。
5. 過去問が足りない大学で、予想問題をどう使うか
ここまで読んで気づいた方もいると思いますが、そもそも解くべき過去問が物理的に足りない大学があります。
- 法政:大学公式の一般選抜の過去問公開は2年分です。
- 学習院 国際文化交流学部:2026年度が第1回の入試なので、過去問は1年分しかありません。
- 成蹊 国際共創学部:2026年4月開設で、過去問はまだ1年分です。
- 東京電機:とくに生物は15冊のあいだに素材の重複がゼロで、「同じ日程の過去問を繰り返せば当たる」戦略が通用しません。
さらに、過去問はあるのに使えないというケースもあります。慶應の経済学部は2027年度から小論文がなくなって2科目入試になり、数学(A方式)と地理歴史(B方式)は配点が150点から200点へ、時間が80分から100分へ拡大します。明治の経営学部は2026年度に共通テスト併用型へ移行し、英語で文法語法の独立大問が消えて共通テスト型の図表・実用文読解が2大問新設されました。法政のT日程の英語も、2025年度に文法の大問が消え、2026年度には会話文も消えて長文4本になっています。
こうした大学では、古い過去問を何周しても本番と同じ練習になりません。そこでEIMEIでは、英語の予想問題を大学別に自作しています。現在そろっているのは、東洋・青山学院・中央・東京電機・法政T日程・早稲田文化構想・慶應経済・早稲田商です。ちょうど、過去問が足りない大学と、形式が変わった直後の大学が並んでいます。
予想問題の土台になっているのが、別冊『私大グループ別 傾向分析と予想テーマ』です。20大学について2020〜2026年度の入試英語の長文パッセージ約860本を大学・学部別に分析しました。そこから見えた2027年度の最有力テーマは、生成AIと仕事・教育・倫理、スマートフォンと若者のメンタルヘルス、心理学の有名研究、気候変動の「対策と副作用」、食の世界史と食の未来、ジェンダーと格差、日本社会もの(少子高齢化・空き家・観光・外国人労働者)などです。
大学ごとの癖も出ます。たとえば東洋大学の入試対策記事でも書いたとおり、東洋の長文は文化史が突出していて、32本中11本が歴史・文化系でした。塩の世界史、日本のプリン受容史、浮世絵の西洋美術への影響。こうした「もの・習慣の歴史」が絶え間なく出ます。予想問題も、そのジャンルに寄せて作ります。
ただし、はっきり書いておきます。予想テーマは的中を保証するものではありません。狙いは山当てではなく、「その大学が好む知のジャンル」を事前に頭に入れておくことです。予想が外れた英文に出会っても、隣接する分野の知識があれば読める。それがテーマ準備の本当の価値です。予想問題は過去問の代わりではなく、過去問を使い切った人のための追加のセットです。順番は必ず、過去問が先です。
川越で過去問を回すなら
過去問演習は、自宅で気が向いたときにやると崩れます。本番と同じ時間で、途中で止めずに解き切る場所が要ります。EIMEI予備校の川越校舎は川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えるので、本番と同じ時間帯に1セット解いてから学校に行く、という使い方ができます。
指導は1対1の個別指導です。この記事の「冊子番号を確定させる」「セット数を数える」「記述を人に見てもらう」は、どれも生徒一人ひとりで答えが違う作業です。
「自分の志望校は何セット必要なのか」「いま持っている過去問集のどこを解けばいいのか」。そこだけでも一度、一緒に整理しませんか。過去問集を持ってきていただければ、その場で解くべき年度と日程を確定させます。EIMEI予備校 川越校舎の無料体験・個別説明会はこちらからお申し込みいただけます。
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EIMEI予備校について
EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。
- 川越校舎(2026年6月開校)川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えます。
- ふじみ野校舎 ふじみ野駅東口から徒歩1分。
- 鶴瀬校舎 鶴瀬駅西口から徒歩3分。
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