この記事は、理系に進むつもりで、理科を物理・化学・生物のどれにするか決めかねている高1・高2と、その保護者の方に向けて書いています。自作読本『物理 頻出単元と大学別対策』『化学 頻出単元と大学別対策』『生物 頻出単元と大学別対策』の集計をもとに、選ぶときに見るべき順番を整理しました。川越校舎で理系の生徒と面談するとき、実際に見せている材料です。
先に結論を書きます。科目の好き嫌いより先に見るべきなのは、「志望しそうな学部で、その科目が使えるのか」です。好きな科目を選んでも、受けたい学部でその科目が選択肢にない、ということが実際に起こります。
1. まず「その学部で、その科目が使えるか」を確認する
3冊の読本は、早稲田・明治・青山学院・立教・中央・法政・慶應義塾・学習院・東洋・東京電機の10大学の入試問題冊子を、大学別対策読本をつくる過程で年度別・大問別に読み込んだデータが土台です。その中でいちばん先に効いてくるのが、科目の指定と選択の仕組みでした。
とくに生物は「そもそも選べるか」の壁が高い科目です。青山学院大学は、この10大学で唯一、生物という入試科目自体を持ちません。理工学部は物理科学科が物理必須、数理サイエンス学科以降は物理・化学から1科目選択という構成で、取得できた範囲の公式募集要項に「生物」「生物基礎」の語が一度も出てきませんでした。明治大学理工学部も、物理3題と化学3題の計6題から3題を選ぶ方式で、生物という選択肢自体がありません。慶應義塾大学は理工学部が物理・化学の両方必須、薬学部は化学のみで物理・生物では受験できません。
学部ごとに科目が違う大学もあります。法政大学は、情報科学部が物理のみ、デザイン工学部・理工学部は物理または化学、生命科学部は物理・化学・生物から選択で、理科は1科目のみです。生物で受けられるのは生命科学部だけ、ということになります。慶應義塾大学医学部は理科3科目から2科目選択(物理を選んだ場合は理科200点・120分のうち実質60分)、看護医療学部は数学・化学・生物から1科目選択です。東洋大学・東京電機大学は理科1科目選択で、東京電機大学は出願学科・系が指定する科目以外を選ぶと合否判定の対象外になります。
ここから読み取れることは単純です。化学は理系学部で使える範囲が広く、生物は学部によって入口そのものが閉じている。理工系を広く見ておきたいなら物理か化学、生命科学・看護・農学系が本命なら生物という選択肢が生きてきます。理工系のどこを受けるか迷っている段階の方は、理工学部の比較もあわせてご覧ください。
2. 3科目で「型」がどう違うか
3冊の読本は、それぞれ違う数の分類で科目を整理しています。この分け方そのものが、科目の性格をよく表しています。
- 物理…力学・電磁気・波動・熱力学・原子の5単元。力学と電磁気が、10大学すべてで出る二本柱です。
- 化学…理論化学・有機化学・無機化学・高分子化合物の4分類。理論化学と有機化学が二本柱です。
- 生物…代謝・遺伝情報の発現・遺伝・動物の反応と恒常性・生殖と発生・植物の反応・生態と環境・進化と系統。代謝と遺伝情報の発現が二本柱です。
計算量でいちばん重いのは、化学の理論化学です。読本は理論化学を「計算を中心とした多数のサブ分野」「化学という科目そのものの計算処理能力を測る土台」と位置づけています。明治大学理工学部では、化学3題のうちE枠が理論で、1題あたり約26分という制約の中では「Eは計算が重いためDかFを選ぶほうが時間効率がよい」と原資料が評価しているほどです。
暗記量が前に出るのは、化学の無機化学です。読本は無機化学を「計算そのものを主眼とするのではなく、反応の暗記量と、それを組み合わせて考察する力が問われる」分類と説明しています。
では生物は暗記だけかというと、そうとも言えません。中央大学について読本は「生物は計算がほぼ不要で知識の取りこぼしが少なければ安定するが、論述が30〜80字で毎冊5問前後あり、書く力がないと頭打ちになる」と評価しています。東京電機大学では遺伝計算(交配比・組換え価・遺伝子頻度・ハーディ・ワインベルグの法則)が15本中13本前後、慶應義塾大学看護医療学部の実験考察は「誘導つきの論理パズル」型で、PCRのサイクル数と増幅倍率の数式化などが出ます。「生物=暗記、物理=計算」という単純化は、実際の出題には当てはまりません。
論述・描図があるかどうかは、科目より大学で決まります
これが3科目を比べるうえで見落としやすい点です。同じ科目でも、書かされる量は大学でまったく違います。
物理では、論述・描図が一貫して要求される大学(慶應義塾大学医学部、中央大学共通テスト併用方式、学習院大学、青山学院大学理工A方式、立教大学)と、一貫してゼロと明記されている大学(東洋大学、法政大学、明治大学理工学部、早稲田大学理工3学部共通、慶應義塾大学理工学部)に分かれます。化学では、法政大学が全問記述で計算過程を書かせ(6冊中6冊)、構造式の作図が5冊、論述・説明記述が5冊(15〜60字)。一方で慶應義塾大学理工学部は論述が3年間ゼロです。
生物は、書く量が最も振れます。学習院大学の生物は「理科3科目で最も論述が重い」と原資料が明記しています。法政大学は6冊すべてで論述があり、1冊あたり6〜12問、80〜100字級が1〜3問。慶應義塾大学医学部は年間15〜20問で字数指定が一切ありません。逆に東洋大学は全12本がマークシート方式で、記述式の出題は皆無です。書くのが苦でないかどうかは、科目そのものより、志望校がどちら側かで判断してください。
単元ごとの頻度は、物理の頻出単元、化学の頻出単元、生物の頻出単元の記事でそれぞれ扱っています。
3. 同じ科目でも、大学・学部で出方が変わります
科目を選んだあと、「この科目ならこの範囲をやればいい」とはなりません。読本の数字がそれを示しています。
物理の原子物理は、10大学のデータの中で最も差が大きい単元です。立教大学は6日程すべてで毎回1題(36題中6)、慶應義塾大学医学部は3年とも出題(3/3、ただし小問集合の1〜2問で計算は軽い)。一方、東洋大学は8本中0、中央大学は4冊中0、法政大学は6冊中0、早稲田大学理工3学部共通も3年間ゼロです。同じ早稲田大学でも教育学部理学科B方式は3年中2回出ており、原資料は「理工志望なら原子は後回し可、教育学部志望は原子が必須」と書き分けています。
化学の高分子化合物も同じです。早稲田大学理工3学部共通は3/3で「後回しにできると誤解されがちだが実は頻出」と原資料が念押しする一方、青山学院大学は理工A方式・B方式の5冊すべてで出題がありません。ところが同じ青山学院大学の全学部日程では4年中3年出ています。しかも青山学院大学は化学9冊すべてで合成高分子(合成樹脂・ゴム・合成繊維)がゼロで、出ているのは天然高分子だけです。
生物では、慶應義塾大学が医学部・看護医療学部とも古典遺伝(メンデル比・連鎖と組換え価・検定交雑)は3年とも未出と明示される一方、東京電機大学は遺伝計算が15本中13本前後。中央大学は植物の反応が5冊すべてゼロなのに、明治大学農学部は植物の反応が3/3で最優先です。
一つお断りします。読本の数字は大学ごとに分析した冊数も大問の数え方も違うため、大学をまたいだ単純比較はできません。同じ大学の中で単元同士を比べる、同じ単元で大学ごとの「出る・出ない」を個別に見る、という読み方をしてください。学習院大学は分析対象が物理4冊・化学3冊・生物2冊と最も少なく、原資料自身が判定の限界を明記しています。
4. 共通テストだけで使うのか、個別試験でも使うのか
ここは整理が必要です。3冊の読本の数字は、すべて各大学の個別試験の問題冊子から取ったものです。共通テストそのものの分析は含まれていません。
つまり、理科を共通テストだけで使う(私大の共通テスト利用など)前提なら、これまで見てきた大学差の表はそのままは当てはまりません。そのとき確認すべきは、志望する学部が理科をどう指定しているか、指定の中にその科目が入っているか、という一点です。
一方、個別試験でも理科を使うなら、読本の3つの情報が全部効いてきます。選択の仕組み、単元の頻度、そして解答形式です。名前がまぎらわしい例を一つ。中央大学の共通テスト併用方式は、当日に理科9題(物理Ⅰ〜Ⅲ・化学Ⅳ〜Ⅵ・生物Ⅶ〜Ⅸ)から3題を選んで解く個別試験があり、全問記述で、2025年は「導出の過程も含めた答えを書きなさい」と明示されています。読本は、学部別選抜と共通テスト併用方式は冊子・試験時間・配点・解答方式のすべてが異なる完全に別の試験だと書いています。
当日に大問を選ぶ方式には、共通のリスクもあります。明治大学理工学部(6題から3題)も中央大学の共通テスト併用方式(9題から3題)も、4題以上解答するとその解答がすべて無効になります。何題解くかを事前に決めておく必要があります。志望校の決め方そのものについては、理系の大学選びの記事もご覧ください。
5. 決めたあと、最初の3か月でやること
科目を決めたら、次の順番で動いてください。高1・高2なら、志望校が固まっていなくても始められます。
- 1週目|志望しそうな学部を3つ挙げ、理科の指定を募集要項で確認する。「選べる」「必須」「選べない」の3つに仕分けします。生物を考えている場合は、ここが最優先です。
- 2〜4週目|二本柱から始める。物理なら力学と電磁気、化学なら理論化学と有機化学、生物なら代謝と遺伝情報の発現。この二本柱は、どの大学を受けることになっても必要になるので、志望校が変わっても無駄になりません。
- 2か月目|志望校の過去問を1冊、自分の手で解いて解答形式を見る。マーク式か、答えのみの記述か、導出過程・論述・描図まで書かせるか。法政大学の物理は全問記述ですが6冊すべてで「余白は計算に使ってよいが採点の対象とはしない」と明記されており、記述式だから途中点がある、とは限りません。学習院大学は全大問の冒頭に「結果だけでなく考えの筋道も書きなさい」が付きます。
- 3か月目|大学差の大きい単元の優先順位を決める。物理なら波動・熱力学・原子、化学なら無機化学・高分子化合物、生物なら遺伝・動物の反応と恒常性・生殖と発生・植物の反応。ここは志望校のデータに合わせて調整する部分です。
逆にいえば、最初の1〜2か月は志望校が決まっていなくても進められます。二本柱はどこでも必要だからです。迷っている時間より、先に手を動かしたほうが早く決まります。
川越校舎で、一緒に決めます
EIMEI予備校 川越校舎は、川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分です。自習室は朝7時から使えるので、学校前に単元を1つ進めてから登校する使い方ができます。指導は1対1の個別指導なので、「あなたが受けそうな学部で理科が何を指定しているか」「その科目のどの単元から始めるか」を、一つずつ一緒に確認できます。2026年6月開校で、グループ校舎はふじみ野・鶴瀬にあります。
理科の科目選びは、好き嫌いだけでは決まりません。学部の科目指定、出題の型、書かされる量。この3つを並べて見れば、高1・高2でも判断できます。
まずは一度、無料体験・個別説明会でお話を聞かせてください。志望校がまだ決まっていない段階でも構いません。お申し込みはEIMEI予備校 川越校舎 無料体験・個別説明会からお願いします。
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EIMEI予備校について
EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。
- 川越校舎(2026年6月開校)川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えます。
- ふじみ野校舎 ふじみ野駅東口から徒歩1分。
- 鶴瀬校舎 鶴瀬駅西口から徒歩3分。
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