志望理由書の書き出しと締めの書き方:よくあるNG例と直し方を学部系統別に紹介

この記事は、総合型選抜や学校推薦型選抜の志望理由書を書き始めたものの、最初の一文と最後の一文で手が止まっている高校生に向けて書いています。来年以降に受ける高1・高2の人が下書きを始めるときにも、今年出願を控えている高3の人が最後の見直しをするときにも使えるように、よくあるNG例と直し方を学部の系統別に並べました。

志望理由書は、全体の構成が整っていても、書き出しと締めが弱いと読み手の印象に残りにくくなります。反対に、この二か所を直すだけで、同じ中身でもずっと読みやすくなることがあります。

志望理由書はなぜ書き出しと締めが大事なのか

文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項では、総合型選抜について、活動報告書・大学入学希望理由書・学修計画書など志願者本人が書いた資料を必ず評価に活用することが定められています。さらに同じ要項で、総合型選抜・学校推薦型選抜では面接による評価を必ず行うことになりました(令和8年度入試ですでに行われていた選抜で、すぐに面接を入れるのが難しいものは、遅くとも令和11年度入試までに導入するという経過措置があります)。

つまり志望理由書は、書類審査で読まれるだけでなく、面接で質問される材料にもなります。読み手は限られた時間で多くの書類を読むので、最初の数行で「この人は何を学びたいのか」がわかる書類のほうが、内容を正確に受け取ってもらえます。締めは、面接官がその書類から質問を考えるときの手がかりにもなります。

全体の組み立て方は志望理由書の書き方で説明しているので、ここでは書き出しと締めに絞ります。

書き出しでよくあるNG例

NG1:「私は貴学の〇〇学部を志望します」から始める

志望理由書なので、志望していることは読み手も最初からわかっています。この一文から始めると、最初の行で何も新しいことを伝えられません。

直し方:最初の一文に、学びたいテーマを入れます。「私は、地域の高齢者が買い物に困らない仕組みを、経済学の視点から考えたいと思っています」のように、何を学びたいのかを先に書くと、続く経験の話がその理由として読めるようになります。

NG2:子どものころの思い出から長く書き始める

「小学生のころ、祖母の家で……」と思い出から入る書き出しは多いのですが、出来事の説明が長くなると、学びたいことが出てくるのが後半になってしまいます。字数の限られた書類では、思い出の部分だけで全体の三分の一を使ってしまうこともあります。

直し方:きっかけの出来事は2〜3文に縮め、そこで何に気づいたのかを一文で書きます。出来事より、そこから何を疑問に思ったかのほうが、大学で学ぶことにつながります。

NG3:社会問題の一般論から始める

「現在、日本では少子高齢化が進んでいます」「グローバル化が進む現代において」といった書き出しは、誰が書いても同じ文になります。読み手には、あなたがなぜその問題に関心を持ったのかが伝わりません。

直し方:社会の話から始めたいなら、自分が見たこと・調べたことと結びつけます。「私の住む町では、この5年で小学校が二つ統合されました」のように、身近な事実から入ると、同じテーマでもその人だけの文章になります。数字を使うなら、自分で確認した出典のあるものにしてください。

NG4:名言や辞書の定義から始める

有名な人の言葉や、辞書の定義を最初に置く書き出しも見かけます。小論文の書き出しの型として教わることもありますが、志望理由書では自分の言葉が出てくるまでが遠くなるため、ほとんどの場合おすすめしません。

締めでよくあるNG例

NG1:「貴学で学びたいと強く思います」で終わる

熱意を伝えたい気持ちはわかりますが、「強く」「ぜひ」を重ねても、何をしたいのかは伝わりません。

直し方:締めには、大学で具体的に何をするかを書きます。たとえば「1年次の演習で地域調査の方法を学び、3年次からのゼミで商店街の購買データを分析したい」のように、授業やゼミの名前を入れると、大学のことを調べたうえで書いていることが伝わります。授業やゼミの調べ方は志望理由書のための大学研究(シラバス・先生の研究)を参考にしてください。

NG2:卒業後の夢だけを大きく書く

「将来は世界中の人を笑顔にしたい」のように、大きな目標だけで終わると、大学の4年間で何をするのかが抜け落ちてしまいます。

直し方:将来の目標を書く場合は、そこに至るまでに大学で身につけたい力を一つ挟みます。「将来」と「入学後」の間をつなぐ一文があると、締めが現実的になります。

NG3:書き出しと締めで言っていることが違う

書き出しでは環境問題に関心があると書いたのに、締めでは国際協力の仕事がしたいと書いてある、というように、途中で話がずれていくことがあります。下書きを何度も書き直すうちに起こりやすい失敗です。

直し方:書き終えたら、最初の一文と最後の一文だけを続けて読んでみてください。それだけで話がつながっていれば、全体もぶれていません。つながらない場合は、どちらかを書き直します。

学部系統別:書き出しと締めの直し方

ここからは、系統ごとに起こりやすいNGと直し方を紹介します。例文はあくまで形の参考なので、そのまま使わず、自分の経験と言葉に置き換えてください。

教育学部・教育系

よくあるNG:「小さいころから先生になるのが夢でした」で始まり、「子どもに寄り添える教師になりたい」で終わる。

教員志望の理由として自然ですが、同じ書き出しの人がとても多くなります。どんな子どもの、どんな場面に関わりたいのかを書き出しに入れてください。たとえば、学習支援のボランティアで計算につまずく子に出会い、教え方で理解が変わることに気づいた、という経験があるなら、そこから始めます。締めは「寄り添う」という言葉を、大学で学びたい教育方法や心理の授業に置き換えると具体的になります。

看護・医療系

よくあるNG:家族の入院や通院の体験を長く書き、「人の役に立つ看護師になりたい」で締める。

家族の体験がきっかけであることは多く、それ自体は問題ありません。ただ、体験の描写が長くなると、看護の何に関心があるのかが見えにくくなります。そのとき医療者のどんな行動に目が留まったかを一文で書き、それを学びたい理由にします。締めは、実習や専門科目で身につけたいことを書きます。看護・医療系の準備全体は看護・医療系を目指す人へにまとめています。

経済・経営・商学系

よくあるNG:「将来は起業したい」「経済を学んで社会に貢献したい」から書き始める。

経済・経営系は、学ぶ範囲が広いため、何を学びたいのかがぼやけやすい系統です。身近な店や地域、ニュースで見た企業の動きなど、具体的な対象を書き出しに置いてください。締めでは、統計やマーケティング、会計など、その対象を考えるために学びたい分野を挙げると、大学での学びが見えてきます。

国際・外国語系

よくあるNG:「グローバル化が進む現代において、英語力は欠かせません」で始まる。

英語ができるようになりたい、だけでは、語学学校との違いが説明できません。言語を使って何を知りたいのか、誰とどんなことを話したいのかを書き出しに入れます。留学生との交流や、海外のニュースを読んで疑問に思ったことなど、自分の経験から入ると説得力が出ます。締めでは、地域研究や言語学、異文化コミュニケーションなど、語学以外に学びたい分野にも触れてください。

法学・政治学系

よくあるNG:「弁護士になって困っている人を助けたい」で始まり、同じ言葉で終わる。

職業の夢から入ると、法律のどの分野に関心があるのかがわかりません。ルールや制度について疑問を持った具体的な出来事から書き出すと、法学を学ぶ理由が見えます。たとえば、校則の見直しに関わった経験や、ニュースで見た裁判の判決などです。政治的な立場を主張する書き方ではなく、「なぜこの制度はこうなっているのか」という問いの形にすると、学問としての関心が伝わります。

文学部・人文系

よくあるNG:「本を読むのが好きなので文学部を志望します」で始まる。

好きという気持ちは大切ですが、読書が好きな人は大勢います。どの作品のどんなところに疑問を持ったか、何を調べてみたくなったかまで書いてください。締めでは、関心のある時代や作家、研究方法を挙げると、大学で何をするかが伝わります。人文系の書類については文学部・人文系の推薦も参考になります。

理工・情報系

よくあるNG:「昔から理科が得意で、ものづくりに興味がありました」で始まり、「新しい技術で社会に貢献したい」で締める。

得意科目と大きな目標だけでは、どの分野を学びたいのかが伝わりません。自分で手を動かして試したこと、うまくいかなかったことから書き出すと、理工系らしい志望理由書になります。たとえば、課題研究で実験の結果が予想と違い、条件を変えて何度も測り直した経験などです。締めでは、関心のある研究分野や、入学後に取り組みたい実験・プログラミングの内容を挙げ、「社会に貢献」をどんな形で考えているのかを一文で具体的にしてください。

書き出しと締めを直すときの手順

  1. まず本文の真ん中(経験と、そこから考えたこと)を書き切る。書き出しは最後に書いても構いません。
  2. 「私が大学で学びたいのは〇〇です」と一文で言えるかを確かめる。言えなければ、まだ書き出しを書く段階ではありません。
  3. その一文を書き出しに置き、きっかけの出来事を2〜3文でつなげる。
  4. 締めに、入学後に学ぶ授業やゼミと、それを将来どう生かすかを書く。
  5. 最初の一文と最後の一文を続けて読み、話がつながっているかを確認する。
  6. 声に出して読み、面接で「ここをもう少し詳しく」と聞かれたら答えられるかを考える。

見直しは、書いた直後より一晩おいてからのほうが、読み手の立場で読めます。学校の先生や家族など、その分野に詳しくない人に読んでもらい、最初の数行で何を学びたいのかが伝わったかを聞いてみるのもよい方法です。

学年別:いつ取りかかるか

高1・高2

高1・高2の冬は、志望理由書を完成させる時期ではなく、書き出しに使える「自分だけの材料」を集める時期です。気になったニュース、読んだ本、学校の探究で調べたことを、日付と一緒にメモしておいてください。高2の3月ごろまでに一度、600字程度で下書きを書いてみると、自分に足りない材料がわかります。書くことが見つからない人は志望理由書に書くことがない高校生へから読んでみてください。

高3

これから学校推薦型選抜などに出願する人は、提出前に書き出しと締めだけでも上の手順で見直してください。すでに出願した人は、提出した志望理由書のコピーを読み返し、最初と最後に書いたことを面接で自分の言葉で説明できるよう準備しておきましょう。

参考にした公式情報

入試の内容は変更されることがあります。出願前に必ず大学の公式発表を確認してください。

あわせて読みたい

EMiL個別について

EMiL個別は、総合型選抜・学校推薦型選抜を専門にした1対1の個別指導塾です。EIMEI予備校の鶴瀬・ふじみ野・川越の校舎とオンラインで受講できます。志望理由書に書くことを見つけるところから、小論文・面接の練習、評定や英検の対策まで、一人ひとりの志望校に合わせて一緒に準備します。

EMiL個別の詳しい内容はこちら/ご相談は各校舎の公式LINEから

📩 二神大輝 の更新をメールで受け取る
新しい記事が公開されたらお知らせします(いつでも解除OK) ・ 読者 2人
この記事が役に立ったら、いいね!

この記事を書いた人

二神大輝