口頭試問とは?面接との違いと学部別の準備|総合型選抜・学校推薦型選抜の実例つき

この記事は、総合型選抜や学校推薦型選抜の募集要項で「口頭試問」という言葉を見つけて、何をされるのか不安になっている高校生と、その保護者の方に向けて書いています。口頭試問とはどんな試験なのか、ふつうの面接と何が違うのかを、大学の公式の募集要項に書かれている実例をもとに説明し、学部ごとの準備の仕方まで整理しました。

今日は2026年11月2日です。高3の人にとっては、これから口頭試問を受ける大学がまだある時期です。高1・高2の人にとっては、授業の受け方を少し変えるだけで準備ができる試験でもあります。両方の立場から読めるように書いていきます。

口頭試問とは、面接の中で「知識と考え方」を口で問われる試験

口頭試問は、試験官の質問に口頭で答える形で、教科や専門分野の知識、その知識を使って考える力を確かめる試験です。紙に書く筆記試験の代わりに、その場で話して答えるものだと考えるとイメージしやすいと思います。

文部科学省の「令和9年度大学入学者選抜実施要項」では、総合型選抜と学校推薦型選抜で、志望する学問分野に対する意欲や適性などに係る面接による評価が必須とされました。その面接には「ディベート、集団討論、プレゼンテーション、口頭試問等を含む」と書かれていて、オンラインでの実施も含まれます。つまり制度のうえでは、口頭試問は面接の一つの形という位置づけです。

また、文部科学省が出している実施要項のQ&Aでは、この面接による評価は、教科・科目に係る個別テストを行うかどうかに関わらず必要であり、AI面接やペーパーインタビューで代えることはできないと説明されています。2027年度入試から、対面またはオンラインで試験官と話す場面が、総合型・推薦のほぼすべてに入ってくる流れです(すでにあった選抜区分で導入が難しいものは、令和11年度選抜までに導入するという経過措置があります)。

ふつうの面接と口頭試問は、聞かれることの中身が違う

同じ「面接」でも、志望理由を聞く面接と口頭試問では、準備の方向が違います。違いを表にまとめました。

項目 違い
主に聞かれること 面接は志望理由・高校での活動・将来の目標など、自分のこと。口頭試問は教科の内容や専門分野に関わることがら
答えの材料 面接は自分の経験や考え。口頭試問は授業で学んだ知識と、それを使った考え方
「正解」の有無 面接は正解がない質問が中心。口頭試問は知識として正しいかどうかが問われる部分がある
評価されやすい点 面接は意欲・人柄・話の一貫性。口頭試問は理解の深さ、筋道立てて説明する力、わからないときの考え方
準備の中心 面接は書類の読み込みと話す練習。口頭試問は教科の復習と、それを声に出して説明する練習

実際の試験では、二つがはっきり分かれているとは限りません。たとえば「面接(口頭試問を含む)」と書かれている大学では、前半で志望理由を聞かれ、後半で教科の質問に移るといった形もあり得ます。どういう順番や時間配分になるかは大学ごとに違い、要項に書かれていないことも多いので、両方の準備をしておくのが基本です。ふつうの面接の準備については面接対策を先に読んでおくとつながりやすいと思います。

募集要項に書かれた口頭試問の実例

ここからは、2027年度入試の公式の募集要項で、口頭試問について具体的に書かれている例を見ていきます。同じ「口頭試問」でも、学部によって問われる中身がかなり違うことがわかります。

埼玉大学 理学部 生体制御学科(総合型選抜):生物学と英語

埼玉大学の令和9年度特別選抜学生募集要項では、理学部 生体制御学科の総合型選抜で、第1次選抜の合格者に面接(生物学、英語の口頭試問を含む)を課すとしています。面接は日本語で行い、生物学と英語に関する口頭試問を含むと書かれています。

この選抜では、第1次選抜で書類に加えて講義後の小テストとレポートがあり、講義は2026年9月26日、面接は11月21日の予定です。出願期間は9月1日から9月8日でした。

埼玉大学 工学部 情報工学科(総合型選抜):数学と英語

同じ要項で、工学部 情報工学科の総合型選抜では、選抜が志望の理由、調査書、小テスト、課題に対するレポート、面接(英語、数学の口頭試問を含む)によって総合的に行われると書かれています。面接は日本語で行い、数学や英語に関する口頭試問を含みます。面接の日程は11月21日です。

理系の学部で数学や理科の口頭試問がある場合、問われるのは高校で学ぶ内容の理解です。公式やきまりを覚えているかだけでなく、「なぜそうなるのか」を口で説明できるかが見られると考えて準備してください。

順天堂大学 スポーツ健康科学部(総合型選抜):保健体育の理解を踏まえた考え

順天堂大学 スポーツ健康科学部の2027年度学生募集要項では、総合型選抜Ⅰ・Ⅱ・Ⅲなどで、口頭試問を含めて面接試験を行うとされています。口頭試問では、高等学校の保健体育で学ぶ内容の理解を踏まえて、スポーツや健康にかかわることがらについて、筋道立てて自分の考えを述べることが求められています。

試験日は、総合型選抜Ⅰが2026年10月21日から23日のいずれか1日(すでに終了)、総合型選抜Ⅱが11月27日(対面)、総合型選抜Ⅲが2027年3月3日(オンライン)です。なお、同じ学部でも方式によっては口頭試問を行わないものがあり、総合型選抜ⅠのE方式(オンライン)のように、要項で口頭試問を実施しないと書かれている方式もあります。受ける方式の欄を必ず確認してください。

聖学院大学(総合型選抜):レポートやプレゼンをもとにした口頭試問

聖学院大学の入試要項2027では、総合型選抜の「課題方式自己表現入試」で、学科ごとに出された課題についてその場でレポートを作成し、作成したレポートに基づいて、課題に対する自分の意見や考えを発表する形の口頭試問があります。時間はレポート作成60分、口頭試問5分、面接15分と示されています。試験日は1期が10月17日(終了)、2期が12月19日、3期が2027年3月16日です。

また「アンバサダー入試」では、事前に提出したレポートをもとにプレゼンテーションを行い、その内容について面接官が質問する形で口頭試問が行われます(試験日は2026年9月12日で、すでに終了しています)。こちらは教科の知識というより、自分で書いた内容をどれだけ理解し、説明し直せるかが問われるタイプです。

学部別の準備の仕方

実例からわかるように、口頭試問の中身は大きく「教科の知識を問うもの」と「自分が書いたものや課題について考えを述べるもの」に分かれます。志望する学部に合わせて準備の重心を変えてください。

理学部・工学部・情報系:教科書の基本事項を「説明できる」状態にする

数学や理科の口頭試問では、難しい問題を解かせるよりも、基本的な概念をきちんと理解しているかを確かめる質問が出ることを想定して準備します。準備の手順は次のとおりです。

  1. 募集要項で、口頭試問の対象になる科目を確認する(数学、生物学など)
  2. その科目の教科書の章立てを見て、用語や公式を一つずつ「人に説明するつもりで」声に出して言ってみる
  3. 説明に詰まったところだけ教科書に戻って読み直し、自分の言葉でノートにまとめる
  4. 家族や友人、先生に「これってどういうこと?」と聞いてもらい、1〜2分で答える練習をする

数学なら、定義や定理の意味、グラフの形がなぜそうなるか。生物なら、仕組みの流れを順番に説明できるか。黒板やホワイトボードの前で説明する場面もあり得るので、図を描きながら話す練習もしておくと安心です。

英語の口頭試問:読んで、要約して、意見を言う流れに慣れる

埼玉大学の例のように、英語の口頭試問が入ることもあります。どんな形式で行われるかは要項に細かく書かれていないこともあるので、ここでは幅広く対応できる練習を挙げておきます。

  • 教科書や英字のニュースの短い段落を音読し、内容を日本語と英語の両方で要約する
  • 志望分野に関わる基本的な英単語を、意味を説明できるところまで覚える
  • 「この文章についてどう思うか」という質問に、理由を一つ添えて答える練習をする

看護・医療・スポーツ健康系:高校の保健体育・生物を土台に考えを述べる

順天堂大学の例のように、高校の保健体育で学ぶ内容の理解を踏まえて考えを述べる形は、知識を答えるだけで終わりません。たとえば健康に関わるテーマについて、「教科書でこう学んだ」という事実を押さえたうえで、「だから自分はこう考える」と筋道を立てて話すことが求められます。

準備としては、保健体育の教科書の単元(健康の考え方、生活習慣、運動と体の関係など)ごとに、「大事なポイントを一言で」「それに関する自分の考えを一言で」を書き出しておくのがおすすめです。医療系を考えている人は看護・医療系を目指す人へもあわせて読んでください。

文系・教育・福祉系:自分が書いたもの、出された課題を説明し直す力

聖学院大学の例のように、その場で書いたレポートや事前に提出した課題について口頭で考えを述べる形は、文系の学部で見られることのあるタイプです。このタイプで問われるのは、書いたことを短く言い直せるか、突っ込まれたときに理由を補えるかです。

練習では、自分で書いた小論文やレポートを読み返し、「結論は何か」「その理由は何か」「反対の立場の人なら何と言うか」を、それぞれ30秒ほどで話せるようにしておきます。事前課題がある入試なら、提出したものの控えを必ず手元に残しておいてください。

口頭試問で答えに詰まったときの考え方

口頭試問でいちばん怖いのは、わからない質問が来たときだと思います。ここで覚えておいてほしいのは、知らないことを知っているふりをしないということです。

わからないときは、「その言葉ははっきりとは知らないのですが、〇〇のことだとすれば、こう考えます」と、自分が知っている範囲から考えを組み立てて話すほうが、黙り込んだり適当に答えたりするよりずっと印象がよくなります。試験官がヒントを出してくれることもあるので、そのヒントを受けて考え直す姿勢も大切です。

答えるときは、次の順番を意識すると話がまとまりやすくなります。

  1. 聞かれたことへの答えを一言で言う
  2. その理由や根拠を、授業で学んだ知識を使って説明する
  3. 必要なら、具体例や自分の体験を一つ添える

深掘りされたときの答え方は総合型・推薦の面接でよく聞かれる質問と、深掘りされたときの答え方で詳しく扱っています。オンラインで受ける場合は、画面越しでも図や説明が伝わるかを事前に試しておきましょう。

時期別:いまから何をするか

今年受ける高3の人

11月下旬から12月、そして2027年3月にも、口頭試問を含む試験が予定されている大学があります。試験日までの時間が限られているなら、範囲を広げすぎず、要項に書かれた科目の教科書の基本事項を声に出して説明する練習と、提出書類やレポートの控えを読み直して説明し直す練習の二つに絞ってください。学校の先生に10分だけでも試験官役をお願いできると、本番に近い練習になります。

来年以降に受ける高1・高2の人

口頭試問は、ふだんの授業の受け方で準備の量が変わる試験です。11月から3月にかけての今の時期なら、次のことから始めてみてください。

  • 授業で習った内容を、その日のうちに家族や友人に1分で説明してみる
  • 志望しそうな分野に関係する科目(理系なら数学・理科、医療・スポーツ系なら生物や保健体育)の定期テストで、用語の意味まで理解するつもりで勉強する
  • 小論文やレポートを書いたら、その内容を口で説明する練習を一緒にする
  • 高2の科目選択の前に、気になる学部の募集要項で口頭試問の科目を確認しておく

高1の冬からの準備全体は高1の冬(12月〜3月)にやっておく推薦準備にまとめています。

参考にした公式情報

入試の内容は変更されることがあります。出願前に必ず大学の公式発表を確認してください。

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二神大輝