この記事は、お子さんが総合型選抜や学校推薦型選抜(いわゆる年内入試)を考えはじめた高1・高2の保護者の方に向けて書いています。いま高3で入試のまっただ中にいるご家庭にも、残りの時期の過ごし方として読んでいただける内容です。
年内入試は、一般選抜とくらべて「何をいつまでにやるか」が見えにくい入試です。日程の大枠を知っておくだけで、家庭での声のかけ方やサポートのタイミングがずいぶん変わります。ここでは、文部科学省の実施要項と大学の2027年度の要項で確認できた日程をもとに、1年間の流れと家庭でできることを整理します。
まず知っておきたい、国が決めている日程の枠
大学の入試日程は大学ごとにばらばらに見えますが、実は文部科学省の「大学入学者選抜実施要項」で大きな枠が決まっています。2027年度入試(2026年度に実施)の枠は次のとおりです。
| 区分 | 2027年度入試の枠(文部科学省の実施要項) |
|---|---|
| 総合型選抜 | 出願受付は2026年9月1日以降、合格発表は2026年11月1日以降 |
| 学校推薦型選抜 | 出願受付は2026年11月1日以降、合格発表は2026年12月1日以降で、一般選抜の試験期日の10日前まで |
| 大学入学共通テスト | 本試験は2027年1月16日・17日 |
| 一般選抜(個別試験) | 試験期日は2027年2月1日から3月25日まで、合格発表は3月31日まで |
| 募集要項の発表 | 2026年12月15日まで |
つまり、総合型選抜は高3の9月から出願が始まり、11月から合否が出はじめる入試です。学校推薦型選抜はそれより少し遅く、11月出願・12月発表が基本になります。今日は11月2日なので、今年の受験生はちょうど総合型の結果が出はじめ、学校推薦型の出願が始まった時期にいます。
また同じ実施要項では、総合型選抜と学校推薦型選抜で原則として面接を必ず行うこと(入学確約を伴う非公募型の推薦などは大学の判断)、総合型選抜では志望理由書や活動報告書など本人が書いた書類を必ず評価に使うことが定められています。すでに実施している入試で面接を入れていないものも、遅くとも2029年度入試までに面接を導入することになっています。書類と面接の準備は、どの大学を受けるにしても避けて通れないと考えてください。
実際の大学の日程を見てみると
枠の中で、各大学はかなり違う日程を組んでいます。2027年度の要項で確認できた例をいくつか挙げます。
- 青山学院大学 文学部英米文学科 自己推薦(英語資格取得者対象):Web出願登録は2026年8月27日〜9月10日、第二次審査の試験日は10月24日、合格発表は11月16日、入学手続書類の提出締切は11月30日
- 早稲田大学 社会科学部 全国自己推薦入試:出願期間は2026年9月25日〜10月1日、一次選考の合格発表は11月13日、二次選考は11月22日、二次の合格発表は12月11日
- 東洋大学 総合型選抜 基礎学力テスト型入試:出願期間は10月29日〜11月4日、試験日は11月29日、合格発表は12月14日
早いところでは夏休みの終わりに出願が始まり、遅いところでは12月に試験があります。どの大学を受けるかで、本番の時期が3か月近くずれるということです。志望校の候補が決まったら、まず日程を一覧にするところから始めると、家庭での見通しが立てやすくなります。
高3の1年間の流れを、逆算して見る
ここからは、高3の秋に出願するケースを想定して、いつ何をするかを並べます。高1・高2のご家庭は「この流れが来年・再来年にくる」と考えて読んでください。
高2の冬〜高3の春:志望の方向を決める
総合型選抜の書類では「なぜこの学部で学びたいのか」を、自分の経験と結びつけて書くことになります。その材料になるのが、高1・高2での探究や部活動、学校外の活動です。高2の冬から高3の春にかけては、学びたい分野を2〜3に絞り、大学の情報を集めはじめる時期です。前年度の要項はこの時期でも読めるので、出願資格に評定や英語資格の条件があるかを早めに確かめておくと安心です。
準備の始め方は高2の冬から始める推薦準備でも詳しく書いています。
高3の4月〜6月:大学研究と自己分析
この時期は、オープンキャンパスや大学の説明会に参加しながら、学部のカリキュラムや先生の研究を調べる時期です。並行して、自分がこれまで何に関心を持ってきたかを振り返る自己分析を進めます。早稲田大学社会科学部の全国自己推薦入試や明治大学の自己推薦特別入学試験のように、評定平均値を高3の1学期(前期)までの成績で計算する入試があるため、1学期の定期テストも大事です。
高3の7月〜8月:書類を書き、要項を読み込む
夏休みは志望理由書や活動報告書を何度も書き直す時期です。早稲田大学社会科学部は2027年度の全国自己推薦入学試験要項を2026年7月2日に掲載しており、志望校の要項が出たら、提出書類の様式、字数、出願期間をここで確定させます。課題レポートや事前課題がある大学は、その準備もこの時期に重なります。
高3の9月〜10月:出願と一次選考
総合型選抜の出願が始まります。調査書は高校に発行をお願いする書類なので、出願期間から逆算して早めに担任の先生に伝える必要があります。書類選考のあと、面接や小論文などの二次選考が10月から11月にかけて行われます。
高3の11月〜12月:合否と学校推薦型選抜
総合型選抜の合否が出はじめ、学校推薦型選抜の出願と試験が続きます。合格した場合は入学手続の締切が来るので、どこに手続をするかを家族で決める場面が出てきます。年内入試で決まらなかった場合は、一般選抜への切り替えをすぐに始めます。
高3の1月〜3月:一般選抜と入学準備
共通テストが1月16日・17日、一般選抜の個別試験が2月から3月です。年内に進学先が決まった場合も、入学前課題が出る大学がありますし、高校の授業はまだ続きます。決まった後の過ごし方は年内入試の結果が出たあとにやることにまとめています。
家庭でできる手伝い
年内入試の準備は、本人が自分の言葉で書き、自分の言葉で話すことが中心です。そのうえで、家庭だからこそできる手伝いがあります。
話し相手になる
志望理由書の材料は、本人の記憶の中にあります。「どうしてその本を読もうと思ったの」「その活動でいちばん困ったのは何だった」と問いかけて話を聞くことは、家族がいちばん自然にできる手伝いです。答えを誘導せず、本人が言葉にするまで待つのがコツです。夕食のときに5分話すだけでも、書く材料はかなり増えます。
日程と書類の管理を一緒にする
受験する大学が3校、4校と増えると、出願期間、書類の郵送期限、試験日、合格発表、入学手続の締切がいくつも重なります。家族で共有できるカレンダーにすべての締切を書き込むだけで、出し忘れのような事故はかなり防げます。郵送の「必着」と「消印有効」の違いのように、要項の細かい書き方を一緒に確認するのも助けになります。
移動と当日の段取り
オープンキャンパスや試験会場への移動の段取り、当日の持ち物の確認は、家庭で手伝いやすいところです。埼玉から都内の大学に通う場合は、乗り換えや所要時間を事前に一緒に調べておくと、本人は当日の試験に集中できます。
面接練習の聞き役になる
面接の練習相手を頼まれたら、まずは最後まで聞いて、「どこがよく伝わったか」を先に返してあげてください。直す点は1つか2つに絞るほうが、本人も次に生かせます。聞く側は、志望理由や高校での活動について「それはなぜ?」と一歩だけ掘り下げる質問をしてみると、本番に近い練習になります。
生活のリズムを支える
秋は学校行事と出願準備と試験が重なり、睡眠時間が削られがちです。食事と睡眠の時間を家庭で守ってあげることは、地味ですが大きな手伝いです。
手を出しすぎないほうがいいこと
手伝いたい気持ちが強いほど、つい踏み込みすぎてしまうことがあります。次の3つは、家族が引いておいたほうがうまくいくことが多いところです。
1つめは書類を代わりに書くことです。文部科学省の実施要項でも、総合型選抜では本人が書いた書類を評価に使うことになっています。面接では書類の内容を深く聞かれるので、本人の言葉でないと答えに詰まります。言い回しを直すより、内容について質問してあげるほうが役に立ちます。
2つめは志望校を家族が決めてしまうことです。総合型選抜は「なぜこの大学か」を説明する入試なので、本人が納得していない志望校では書類も面接も説得力が出ません。候補を一緒に調べるのはよいことですが、最後の判断は本人に任せてください。
3つめはほかの子と比べることです。年内入試は合否が出る時期が人によってばらばらで、友だちが先に決まることもよくあります。結果の早い遅いは、受けた入試の日程の違いでしかありません。
出願前に家族で確認しておきたいこと
年内入試には、合格したら入学することを約束する専願の入試と、他大学との併願ができる入試があります。専願で合格すれば、原則としてそこに進学することになります。学校推薦型選抜も、高校の推薦を受けて出願するため、合格後に辞退しにくい入試です。
文部科学省の実施要項では、3月31日までに入学を辞退した人には原則として授業料などを返還することになっていますが、専願や学校推薦型選抜で合格して在学契約を結んだ人はその対象から除かれています。出願する前に「合格したら本当にそこへ行くか」を家族で話しておくことが大切です。専願と併願の見分け方は年内入試の併願ルールで詳しく書いています。
あわせて、学校推薦型選抜を考えている場合は、校内選考の時期と条件を担任の先生に早めに確認しておきましょう。学校の先生への相談の仕方は推薦の準備、学校の先生と塾にどう相談するが参考になります。
いま(11月初め)の時期に、学年ごとにできること
高3のご家庭は、総合型選抜の結果が出はじめ、学校推薦型選抜の出願が始まったところです。合格した場合は入学手続の締切を確認し、不合格だった場合は気持ちを切り替えて一般選抜の準備に戻れるよう、家庭では普段どおりに接してあげてください。結果を聞くのは本人が話したくなったときで十分です。
高2のご家庭は、来年の秋が本番です。この冬のうちに学びたい分野の方向を一緒に話し、今年度の要項(2027年度入試のもの)を読んで、評定や英語資格の条件があるかを確かめておくとよい時期です。英語資格が必要な大学を考えている場合は、受験の計画を立てはじめましょう。
高1のご家庭は、まだ志望校を決める必要はありません。この時期に大切なのは、定期テストで評定を安定させることと、興味のあることに実際に取り組んでみることです。学年ごとの準備は総合型の準備は高1からにまとめています。
参考にした公式情報
- 文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」
- 青山学院大学「2027年度 自己推薦入学者選抜要項 文学部英米文学科」
- 早稲田大学 社会科学部「入試情報」
- 早稲田大学 社会科学部「2027年度 全国自己推薦入学試験 入学試験要項」
- 東洋大学「総合型選抜 基礎学力テスト型入試」
入試の内容は変更されることがあります。出願前に必ず大学の公式発表を確認してください。
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