早稲田大学人間科学部の入試ページに公募制の学校推薦入試は載っておらず(学校推薦は指定校推薦のみ)、学部が独自に行う年内の方式は総合型選抜の「FACT選抜」です。
FACT選抜は評定平均3.9以上、理科・国語の評定平均4.1以上などの条件があり、事前課題のレポート、1,200〜1,500字の手書きの志望理由書、120分の論述試験と面接で選考されます。2026年度入試の結果は志願者51名・合格者25名(実質倍率2.0倍)でした。
2027年度のFACT選抜は2026年11月1日の最終合格発表まで終わっています。この記事では公式要項で確認できた内容を整理し、2028年度入試を目指す高1・高2が今から準備することをまとめます。
1. FACT選抜とはどんな入試か
FACTは「根本的・学術的-汎用能力選抜」の略称です。募集要項では、社会の問題に人間科学の立場から答えを出すために必要な5つの力(対話・論理・表現・分析・省察)を見る入試と説明されています。
- 評定は全教科をバランスよく見たうえで、理科・国語を特に重視
- 論述と面接では、データを客観的に読み取り要約する力、論理性、省察性、表現力を評価
- 活動状況、志望動機と学習意欲、大学での学習目標と将来像の具体性、学科との適合性も書類と面接で見る
このほか全学の「地域探究・貢献入学試験」の案内も学部ページにありますが、内容は入学センターのページで確認してください。この記事ではFACT選抜を扱います。
文系・理系どちらかに寄った入試ではなく、理科と国語の両方をしっかり学んできた人を想定していることが、出願資格からも分かります。
2. 基本情報(2027年度)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 募集学科 | 人間環境科学科・健康福祉科学科・人間情報科学科(出願時に1学科を選択、学科の併願不可) |
| 募集人員 | 全学科合わせて若干名 |
| 出願期間 | 2026年9月1日(火)〜9月8日(火)消印有効・郵送のみ(終了) |
| 1次選考 | 書類審査(事前課題を含む) |
| 1次合格発表 | 2026年9月25日(金)(終了) |
| 2次選考 | 2026年10月10日(土)論述試験・面接試験(所沢キャンパス、終了) |
| 最終合格発表 | 2026年11月1日(日)(終了) |
大学公式の入試結果
| 年度 | 結果 |
|---|---|
| 2026年度入試 | 志願者51名(男子23・女子28)・合格者25名(男子8・女子17)、実質倍率2.0倍 |
| 2025年度入試 | 志願者46名(男子16・女子30)・合格者28名(男子10・女子18)、実質倍率1.6倍 |
募集人員は「若干名」ですが、2年続けて25名以上が合格しています。一方で2026年度は志願者が増えて倍率が上がりました。数字は年によって動くので、倍率より出願資格と書類の完成度を先に考えるのが現実的です。
出願手続きで気をつけること
- 出願書類は簡易書留・速達郵便で送ります(2027年度は締切日消印有効、郵送受付のみ)
- 入学検定料は1次と2次で別々に納めます。2次の検定料は1次合格者だけが、合格発表後の決められた期間に納めます
- 出願後に学科を変えることはできません。学科の内容を十分に調べてから1つを選びます
3. 出願資格(国内の高校生向け:出願資格A)
次の条件をすべて満たす必要があります。調査書は高校1年1学期から3年1学期までが対象です。
- 人間科学部を第一志望とすること
- 2027年3月卒業見込み、または2026年3月卒業であること
- 全体の評定平均値3.9以上
- 理科を3科目以上履修(うち1科目以上は物理・化学・生物・地学のいずれか)
- 国語を3科目以上履修
- 理科と国語で履修した全科目の評定平均値4.1以上
- 数学Ⅰ・Ⅱ・A・Bをすべて履修
- 3年7月末までの欠席日数が合計40日以内(本人の責任によらない身体・健康上の理由でやむを得ず超えた場合は、調査書に欠席理由が書かれていれば出願可)
- 指定の外国語資格・検定試験の結果を1つ提出(またはIBのPredicted Score)
外国語は英検・TOEFL iBT・IELTS・TEAP・GTEC・TOEICのほか、ドイツ語・フランス語・中国語・スペイン語の検定も対象です。スコアの基準は設けられていませんが、入学日から遡って2年以内に受験したもので、自宅受験型は使えません。英検は合格証明書(和文)かCSEスコア証明書を出します。海外の高校で学んだ人向けの出願資格Bは条件が別なので、要項で確認してください。
欠席日数や評定の条件の読み方は出願資格の読み方も参考になります。
4. 出願書類の中心は「事前課題」と「志望理由書」
事前課題(レポート)
事前課題は出願に必須で、2027年度は要項と同じ2026年6月15日に学部Webサイトで公開されました。2027年度は実際に手を動かして観察・実験し、結果をまとめる形式で、主な条件は次のとおりでした。
- レポート本体はA4片面で5ページ以上10ページ以内(図表・写真・参考文献リストを含み、表紙を除く)
- 手書きでもワープロでも可。グラフ・表・図解・写真の活用が推奨され、カラーも可
- 本体とは別に資料を添付する場合はA4で5ページ以内
- 消せるボールペンなどは使わない。レポートに本人や在籍校が分かる情報を入れない
- 指定のレポート表紙をつけ、全ページの下中央にページ番号(連番と総ページ数)を入れる
- 研究の手法に詳しい教員などに助言を求めることや、AIを特性や限界を理解したうえで準備に使うことは妨げないとされているが、実験の遂行、レポートの構成と執筆は自分の責任で主体的に行う
- 実験で得た生データは2次選考の合格発表まで保管し、大学からの照会に応じられるようにする
- 本人以外による作成、剽窃・盗用、データの捏造が疑われると採点対象外。安全面や倫理面で問題があると判断されたものも採点対象外
学部サイトには2018年度以降の事前課題と、2022年度以降の2次選考の論述試験問題が掲載されています。形式の傾向は公式の過去問で確かめてください。課題レポートの進め方は事前課題・課題レポートで解説しています。
志望理由書(様式④)
- 1,200字以上1,500字以内、日本語・横書き・本人の自筆(句読点を含み、改行でできた空欄も字数に数える。半角の数字・アルファベットは1マスに2つ)
- 書く内容は(1)その学科を志望する具体的な理由(2)人間科学部で研究したいこと(3)卒業後の抱負
- 別に「入学後のライフデザイン」欄があり、授業の履修計画と課外活動の計画を、できるだけ具体的な科目名と結びつけて文章と図表で示す(手書きでも、パソコンで作って印刷したものの切り貼りでも可。枠内に収める。カラー可、立体物・折りたたみ不可)。要項は学部Webサイト、学部要項、シラバス検索を参考にするよう案内しています
字数配分つきの構成例(1,400字で書く場合)
- きっかけと問題意識:250字(自分が見た事実や経験から、何を問いとして持ったか)
- その学科を選ぶ理由:350字(他の2学科ではなくこの学科である理由を、学科の学びの内容と結びつける)
- 人間科学部で研究したいこと:500字(扱いたいテーマ、調べ方の見通し、データや実験で確かめたいこと)
- 卒業後の抱負:300字(研究したことを社会のどこでどう生かすか)
3つの必須項目を見出しのように順番どおりに書くと、読む側が確認しやすくなります。ライフデザイン欄で書く科目名と、志望理由書の研究テーマがつながっているかも見直してください。入学後の学びの書き方は学修計画書の書き方にもまとめています。
5. 2次選考:論述試験と面接
- 論述試験:2027年度は10時〜12時の120分。数量的なデータの分析・論考・表現を含む(字数は要項に記載なし)
- 面接試験:13時30分から、1人20分程度
試験教室には時計がないので、時計は自分で持っていきます。秒針の音がするもの、電卓や辞書など時計以外の機能があるもの、通信機能があるものは使えません。スマートフォンを時計代わりにすることもできません。試験開始から20分を過ぎると入室できません。
論述では、表やグラフから何が言えて何が言えないかを区別して書く力が求められます。電卓は持ち込めないので、割合や増減を手計算で出す練習もしておきましょう。データ型の小論文の練習方法は小論文 資料読み取り型を参考にしてください。
面接では、提出した志望理由書と事前課題が質問のもとになると考えて準備します。レポートの実験について「なぜその方法にしたか」「結果が予想と違った点はどこか」を自分の言葉で説明できるようにしておきます。
6. 2028年度入試を目指す高1・高2へ
来年度の日程はまだ発表されていません。2027年度と同じ流れなら、事前課題の公開(6月中旬)から出願(9月上旬)まで約2か月半しかなく、評定と履修科目は高3の1学期で確定します。今からできる準備を時期ごとに並べます。
準備スケジュールの例
- 今〜高2の3月:理科・国語の評定を4.1以上に保つ。高3で理科・国語・数学の何を履修するか、出願資格と照らし合わせて確認
- 高2の冬〜春:英検などの外国語試験を受けておく(2年以内の有効期限に注意)
- 高2の春休み:公式サイトの過去の事前課題を1つ選び、実際にレポートを書いてみる
- 高3の4〜6月:研究したいテーマを絞り、志望理由書の下書き。欠席日数も確認
- 高3の6月中旬〜8月:事前課題に取り組む。志望理由書とライフデザイン欄を仕上げ、手書きで清書
- 高3の9月:出願(2027年度は9月上旬の約1週間)。並行して論述と面接の練習
研究したいテーマがまだ決まらない人は、まず高校の探究や授業で気になったことを書き出すところから始めてください。
7. 出願前チェックリスト
- 人間科学部が第一志望で、出願する学科を1つに決めている
- 全体3.9以上、理科・国語4.1以上の評定がある
- 理科3科目以上(基礎のつかない科目を1つ以上)、国語3科目以上、数学Ⅰ・Ⅱ・A・Bを履修している
- 3年7月末までの欠席日数が40日以内
- 有効期間内の外国語試験の結果を持っている
- 志望理由書を手書きで1,200〜1,500字に収め、必須の3項目を書いた
- 事前課題は5〜10ページで、生データを保管している
8. よくある質問
Q. 英検は何級あれば出願できますか?
A. FACT選抜(出願資格A)は外国語試験のスコア基準を設けていません。指定の試験の結果を1つ提出する形です。
Q. 他大学と併願できますか?
A. 要項には他大学との併願についての記載はありませんが、人間科学部を第一志望とすることが出願資格です。学部内での学科の併願はできません。
Q. 早稲田の他学部の推薦も考えています。
A. 学部ごとに方式と条件が大きく違います。早稲田大学 社会科学部 全国自己推薦の記事も見比べてください。
あわせて読みたい
参考にした公式情報
- 早稲田大学人間科学部 入試情報(FACT選抜・指定校推薦)
- 2027年度 FACT選抜 入学試験要項(PDF)
- 2027年度 FACT選抜 出願書類(PDF)
- 2027年度 FACT選抜 事前課題(PDF)
- 早稲田大学入学センター 近年の入試結果
- 早稲田大学入学センター 総合型選抜の入試概要・2026年度入試結果(PDF)
- 早稲田大学入学センター 総合型選抜の入試概要・2025年度入試結果(PDF)
入試の内容は変更されることがあります。出願前に必ず大学の公式発表を確認してください。
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