英単語が覚えきれないまま9月が終わりそうなとき、どこから立て直すか|川越の予備校が手順で説明します

こんにちは、EIMEI予備校の二神です。

9月に入ってからの面談で、同じ相談が続いています。「9月半ばなのに、英単語もまだ覚えきれていない」「単語以外の英語も、まだ重い」。言い方はそれぞれですが、中身は同じです。単語帳が終わらない。終わらないから長文に進めない。進めないまま日付だけが進む。

この記事は、川越とその周辺の高校に通う高校3年生・既卒生で、英単語が予定どおり終わっていない人に向けて書きます。やることは巻き返しではなく立て直しです。どこを削り、どこから入れるかを決める話をします。

なお、英単語は「頻度順」より「テーマ順」はすでに公開ずみですが、あちらはどう並べて覚えるか、この記事は覚えきれていない状態からどう立て直すかの話です。

まず「覚えきれていない」を3つに分ける

「単語が終わっていない」という一言には、別々の問題が3つ混ざっています。ここを分けないまま1ページ目に戻ると、いちばん時間のない人がいちばん遠回りをします。

① 見たことがない語

まだ触れていない範囲、あるいは触れたけれど何も残っていない語です。体感では「ここが全部」に感じられますが、実際にはこの層が一番少ないことが多いです。

② 見たことはあるが、出てこない語

ページを見れば「ああ、これ」と思うのに、英文の中で出会うと意味が浮かばない語です。入れた回数が足りないのではなく、取り出した回数が足りない状態です。単語帳を眺める作業は、入れる練習にはなっても取り出す練習にはなりません。ちなみに retrieval practice(検索練習)という語は、そのまま入試英文に出ます。単語帳にも収録しました。覚え方そのものが入試の題材になっているわけです。

③ 意味は分かるのに、文の中で読めない語

これが一番やっかいです。訳語は言えるのに、本文では別の顔で出てくる語。単語帳の第2義・第3義のほうが入試では主役という語がかなりあります。

  • condition|「状態」ではなく実験の「条件群」。心理系の長文で読み違える最大の原因です。
  • patient|名詞の「患者」だけだと、形容詞の「忍耐強い」で止まります。
  • literature|「文学」だけでなく「先行研究・文献」。研究紹介の段落で頻出です。
  • property|「財産」ではなく「性質」。the properties of glass のように使われます。
  • significant|「重要な」に加えて「(統計的に)有意な」。研究系の英文では後者です。
  • その他|diet(減量ではなく食生活)、measure(測定する/対策)、discipline(規律/学問分野)、develop(発達する/病気にかかる)、native(母語の/在来の)。

③の人は、新しい語を増やしても点は動きません。いま持っている語の第2義を足すほうが速く効きます。

3分でできる仕分け

単語帳から40語を無作為に選び、英語だけを見て、1語につき2秒で〇△×を書きます。〇=意味が即答できた、△=見覚えはあるが出てこない、×=知らない。

△が半分以上なら②なので、範囲を広げず取り出す回数を増やします。×が半分以上なら①なので、次の優先順位で範囲を絞ります。〇が多いのに読めないなら③か、語彙以外です。語彙以外の可能性は英語長文が読めない原因の見分け方で切り分けてください。

どこから手をつけるか ― 入試で実際に繰り返し出る語から

ここからは数字の話です。私が作った『テーマ別頻出英単語帳』は、全国約190大学の入試英語問題(2007〜2026年度)をテキスト化した415題・約86万語のコーパスで頻度集計して編みました。見えたのは出る語はかなり偏っているという事実です。

テーマ別集計で上位に来た語を、出現回数とともに挙げます。ocean が67回、plastic が65回、waste が61回、plant が57回、climate と glass と animal が各50回、tree が46回、disease が44回、carbon が42回、museum が35回、worker が30回、gender が21回。そして最頻出の内容語は brain でした。

言いたいのは「この語を覚えろ」ではありません。数千語の単語帳の中に、何十回も出てくる語と1回も出てこない語が同居しているということです。残り時間が少ない人が均等に回すのは、この偏りを無視するという意味になります。

分野の偏りも同じです。姉妹編の『入試英語の教養 頻出テーマ読本』で1,005本の長文パッセージを数えると、歴史・文化・人類学125本、脳科学・心理学119本、医療・健康105本、エッセイ・物語101本。この上位4分野だけで全体のおよそ4割を超えます。以下は環境76本、科学技術一般74本、社会・格差71本と続きます。

残り時間が少ないときの優先順位

読本の分類に沿って並べます。上から順にやり、下は切るという運用です。

第1順位|全テーマ共通のアカデミック頻出語50

単語帳の第0章にあたる、テーマを問わず論説文の骨組みを作る語です。researcher/study/evidence/suggest/indicate/significant/factor/tend to do/issue/claim/lack/gap。そして despite と whereas。whereas は対比の目印なので、取りこぼすと筆者の主張が反転して読めます。

ここが曖昧だと、どのテーマの長文も霞みます。逆に言えば、50語なら今からでも1週間で固められます。ここ以上に効率のいい出発点はありません。

第2順位|設問の英語

設問文まで英語の大学は年々増えています。早稲田社学・基幹理工、慶應SFC、東京理科(薬・創域)、中央総政、日大文理など。ここの誤読は、本文が読めていても1問まるごと落ちます。

  • EXCEPT|All of the following are true EXCEPT … は「誤りを選ぶ」問題。
  • respectively(それぞれ)と relatively(比較的)|取り違えが多い組み合わせ。
  • the passage as a whole|本文全体。部分一致の選択肢を切る合図。
  • is closest in meaning to(同義語問題の定型)/What can be inferred(推論を問う)/is NOT mentioned(言及されていないものを選ぶ)。

数としては数十項目。1日で通せて、その日から失点が減るという意味で、費用対効果は最上位です。

第3順位|志望校の頻出テーマ2〜3章だけ

12テーマを均等に回すと間に合いません。志望校の過去問3年分で出たテーマを数え、上位2〜3つに絞ります。環境が3回出ている大学なら環境の30語、物語文が出る大学なら心情・表情・動作の語を先に、という決め方です。

志望校によって語彙の重みが違うことも押さえてください。別冊の『私大グループ別 傾向分析と予想テーマ』で形式を分析すると、日東駒専では語彙・文法の独立小問が全体の3〜5割を占めます。駒澤のT方式・全学部は語彙文法の比重が約半分、成城も語彙文法・会話・実用文で全体の約半分です。

これらの大学では、語彙の詰め直しがそのまま配点の半分への対策になります。「長文が読めないから長文をやる」より先に語彙小問を固めるほうが、点の動きは速いということです。

第4順位|すでに知っている語の第2義

先に挙げた condition・patient・literature の類です。新語ではないので負荷が軽く、それでいて読み違いが直接消えます。

第5順位|それ以外

残りはやらないと決めてよい範囲です。切ると決めないと上の4つが終わりません。

1日あたりの回し方と、1週間での確認のしかた

ここからは手順です。7日で結果が見える形にします。

  1. 初日:仕分け。第1順位の50語を英語だけ見て〇△×に分けます。所要10分。×と△だけを紙1枚に書き出します。ここに書かれた語が今週の範囲です。
  2. 2日目以降:1日15分を2回。朝と夜に分けます。作業は「紙を見て、英語から意味を声に出す」だけ。見返すのではなく、言えるかを毎回試すのが条件です。日を空けて思い出すほうが長期記憶に残ります。
  3. 覚える単位は2〜4語のかたまり。a recent study shows/take measures/be more likely to do/reduce the risk of。単語単体で覚えた語は、長文の中では見つかりません。
  4. 3日目に設問の英語を1回通す。1回30分で足ります。覚えるというより、声に出して確認するだけで効果が出ます。
  5. 4日目以降、テーマ章を1つだけ足す。志望校の頻出テーマのうち1つを30語。同時に2つ以上は足しません。
  6. 7日目:長文1本で確認。志望校に近い長文を時間を計って解き、止まった語に線を引きます。

確認は「覚えた数」ではなく「止まった語の内訳」で見る

線を引いた語を3つに仕分けます。(a)第1順位の50語にあった語、(b)テーマ章にあった語、(c)どちらにもない語。

(a)が多いなら範囲を広げるのはまだ早いので、同じ50語をもう1週間。(b)が多いなら方向は合っているので、テーマ章を1つずつ足します。(c)が多いなら語彙の問題ではない可能性が高いので、次の章へ。「何語覚えたか」ではなく「長文で止まった回数」で見るのが、得点に直結する確認のしかたです。

やる気ではなく、仕組みで回す

読本の心理の章から1つ。行動を最も安定して支えるのは意志ではなく習慣で、習慣は「きっかけ→行動→報酬」のループとして自動化されると、意志力をほとんど消費しなくなります。つまり単語をやる時間と場所を固定することです。きっかけを1つだけ決めて、そこに紙1枚を置いてください。川越校舎で自習室を朝7時から開けているのも、この固定を作りやすくするためです。

単語をやっても長文が読めないときに、次に足すもの

先ほどの(c)が多かった人、つまり止まった語が単語帳のどこにも載っていなかった人へ。「単語以外の英語がまだ重い」という相談への答えです。

足すもの①|本文が前提にしている「考え方」

英語長文が読めない原因が、単語でも構文でもないことがあります。本文が前提にしている考え方を知らないという場合です。

たとえば meritocracy(能力主義)を批判する文章。この語がもともと批判のために作られた語だと知らないと、筆者がどちら側に立っているのかすら分かりません。この語を広めたイギリスの社会学者マイケル・ヤングが1958年に出した本は、能力だけで人を選び抜いた社会が崩壊していく風刺小説でした。

こうした「知らないと文意そのものが取れない概念」を24個にまとめたのが『英語長文 抽象概念の予備知識』です。読みにくさには型があり、造語・専門用語/通説と実際の食い違い/対立する2つの立場/具体例なしの抽象論の4つに整理できます。詳しくは英語長文が読めない原因は単語ではなく「概念」に書きました。

足すもの②|テーマの背景知識

概念ほど抽象的でなくても、話の筋を先に知っているだけで読む速度は変わります。記憶が録画ではなく思い出すたびに作り直されるものだと知っていれば、記憶科学の英文は「知っている話を英語で確認する」作業になります。

出題頻度の高い18テーマは入試英語の頻出テーマ18にまとめました。語彙と背景知識を同じテーマで同時に入れるのが効率のいい使い方です。

足すもの③|処理速度

読めているのに終わらないなら速度の問題です。志望校が1分あたり何語を要求しているかは計算できます。英語が時間内に解き終わらないときの考え方に、大学別の実測値を載せました。

9月に単語が終わっていないこと自体は、判断材料にすぎません

この相談を受けるとき、私がまず確かめるのは「どれくらい遅れているか」ではありません。遅れの中身が①②③のどれか、そして志望校が語彙にどれだけ配点を置いているかです。この2つが決まれば、何を切るかも決まります。決めないまま単語帳の1ページ目に戻るのが、いちばん危ないと考えています。

勉強のやり方を変えてもつらさが続くときは、ひとりで抱えずに学校の先生や保護者の方、専門の相談窓口に話してください。ここに書いたのは勉強の設計の話です。

EIMEI予備校の川越校舎は川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分です。1対1の個別指導なので、手持ちの単語帳を開いてもらって、〇△×の仕分けから志望校に合わせた優先順位の設定まで一緒に決められます。川越校舎の無料体験・個別説明会はこちらから申し込めます。

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EIMEI予備校について

EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。

  • 川越校舎(2026年6月開校)川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えます。
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  • 鶴瀬校舎 鶴瀬駅西口から徒歩3分。

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二神大輝