「勉強の計画が立てられない」「立てても2日で崩れて、そのまま見なくなる」。川越・ふじみ野・鶴瀬でEIMEI予備校の代表をしている二神大輝です。面談で多い相談です。
この記事は計画の作り方そのものに絞ります。何を、どの単位で、どこに置くか。そして崩れた週をどう戻すか。中高一貫校の中学生から高校生・既卒生まで、学年を問わず使える手順としてまとめました。記録のしかたや記録を続けるしくみは受験の自己管理の記事で扱っているので、ここでは深追いしません。
計画が崩れる原因は、だいたい4つに分けられます
「崩れた」と一言でまとめると、次に何を直すのか分かりません。生徒の計画表を一緒に見ると、崩れ方はほぼこの4つのどれかです。
原因① 量の見積もりが現実と合っていない
「英語長文3題と数学10ページ」と書いたが、長文1題に丸つけと見直しまで入れて50分かかり、1題目で予定が終わった。予定が崩れたのではなく、最初から入らない量が書かれていただけです。
原因② 単位が大きすぎる、または細かすぎる
「英語長文を伸ばす」は予定ではなく目標です。大きすぎて、見ても手が動きません。逆に「18時00分から18時25分まで単語」のように分単位で埋めると、1つずれた時点で後ろが全部ずれます。大きすぎても細かすぎても、同じように崩れます。
原因③ 予備日がない
7日分の予定を7日に詰めると、学校行事や部活の予定変更のどれか1つで崩れます。崩れたあとに戻す場所がないので、計画表を見なくなります。予定を置かない日を先に確保していないことが、崩れを「立て直せない崩れ」に変えています。
原因④ 「何をやるか」が決まる前に時間割を作っている
いちばん多いのがこれです。1週間の枠を描いて、マスを埋めながら中身を考える。すると枠の大きさに合わせて中身が決まり、空いたマスに「とりあえず単語」と入り、やるべき範囲は置き場所が見つかりません。順番が逆です。やる範囲を決めるのが先で、時間割は最後に作る置き場所です。
見積もりのズレは、あなただけに起きているわけではありません
原因①について数字を出します。作業にかかる時間を人がどれくらい読み違えるかを調べた研究では、卒業論文に取り組む学生の予測は平均33.9日、実際にかかったのは平均55.5日でした。予測どおりに終えられたのは全体の29.7%です。学業の課題を対象にした別の実験でも、予測5.8日に対して実際は10.7日、予測内に終わった人は37.1%でした。
3人に2人は自分の見積もりを超えます。予定どおり終わらないのは計画を立てるのが下手だからではなく、見積もりのときに起きる標準的なズレと考えたほうが実態に合います。ここから出てくる手順は単純です。
- 「何時間で終わりそうか」を考える前に、「前回、似たことに実際どれくらいかかったか」を1つ思い出す
- 思い出せた数字を、そのまま今週の見積もりに使う
- 思い出せなければ、今週は記録を取るだけにして、来週の計画からその数字を使う
過去問1年分の演習と丸つけに何分か、英作文1本の見直しに何分か、問題集1ページあたり何分か。この3つの実績値があるだけで、翌週の精度は上がります。「今回はもっと速くやる」という前提の計画は、ほぼ崩れます。
計画を作る順番(5ステップ・合計70分)
順番を固定します。最初の1回だけ70分ほどかかりますが、2回目以降は週10分の更新で回ります。
ステップ1 入試日から逆算して残り週数を数える(5分)
第一志望の入試日までを週数で数えます。月で数えると量の割り振りができません。次に使えない週を引きます。定期テストの週、模試の週、学校行事の週です。残った数字が、実際に使える週数です。
過去問を何年分入れるかは、この残り週数の後ろから枠を取る形で決まります。過去問はいつから何年分やるかを先に見て、後ろを確保してから前を埋めてください。
ステップ2 やる範囲を決める(30分)
時間割を作る前にここを終わらせます。科目ごとに5分ずつ、次の3つを書きます。
- 科目名
- 入試までに終わらせる範囲(単元名・ページ数・問題数など、数えられる形で)
- 今どこまで終わっているか
「数学を固める」ではなく「場合の数・確率と微分積分の2単元、問題集の該当範囲120題」と書きます。数えられない書き方をした範囲は、計画に入れられません。全科目を書き出すと、たいてい入試までに入らない量になります。削る判断はこの段階でします。後で削ると作り直しです。
ステップ3 1週間あたりの量に割る(15分)
総量を使える週数で割ります。120題を残り20週で割れば週6題です。割った単位が1〜2週間で終わる大きさかを確認します。ボランティア9,000人以上を対象にした実地実験では、1年間の目標を「毎週」「隔週」といった小さな単位に分けて示されたグループのほうが活動量が7〜8%多く、同じ調査では単位を細かくしすぎるより、ある程度融通の利く単位のほうが長く続きやすいことも示されています。1日単位まで割らず、週単位で止めるのが扱いやすい大きさです。
ステップ4 曜日に置く(15分)
ここで初めて曜日を決めます。週6題なら「火曜に2題、木曜に2題、土曜に2題」。時刻ではなく曜日と枠で置きます。
置き方は「もし◯◯になったら、△△をする」の形で1文にし、状況と行動を先に結びつけます。「火曜の夕食後に数学2題」「帰って鞄を置いたら英語長文1題」。この形にした人のほうが目標の達成率が高かったことは、94件の研究をまとめた分析で報告されています。時刻より直前の行動を引き金にすると、学校の終わる時刻が日によって違っても崩れません。
1つの枠には1科目だけ置きます。作業を行き来すると、切り替えのたびに時間のロスが出ることが実験で確認されています。
ステップ5 予備日を入れる(5分)
最後に、1週間のうち1日を予定ゼロの予備日にします。置く予定は6日分だけです。予測どおり終わった人は29.7%、別の実験でも37.1%でした。7日分を7日に置けば高い確率で崩れます。6日分なら1日ずれても吸収できて、週末に計画表がまだ生きています。
「1週間の型」を先に作る
毎週ゼロから作り直すのは続きません。枠の配置を1つ決めて、中身だけ差し替える形にします。これを「型」と呼びます。
平日・休日の枠の作り方
平日は3枠が上限です。朝に1枠、帰った直後に1枠、夜に1枠。1枠60〜90分。それ以上並べても、ほとんどの週で埋まりません。3枠のうちいちばん確実に取れる枠を決め、そこにいちばん重い科目を置きます。川越校舎の自習室は朝7時から使えるので、学校の前に1枠取る生徒もいます。主枠を決めていないと、重い科目が毎日いちばん疲れた枠に流れます。
休日は5枠が上限です。午前2枠、午後2枠、夜1枠。置くのは平日に入らないものだけ。過去問1年分の通し演習、記述の添削直し、長い範囲の復習です。平日にできることを休日に置くと、入試直前に過去問を置く場所がなくなります。
崩れやすい枠の見つけ方
- 型の枠を紙に一覧にする(平日3枠×5日+休日5枠×2日)
- 2週間、枠が終わったら丸、終わらなかったら×をつける
- 2週間で2回×がついた枠に印をつける
見つかった枠は、消すのではなく中身を軽くします。60分の演習枠を、20分の確認枠(単語・公式・前日の解き直し)に変えます。軽くすれば枠は残り、余裕のある週に元の中身を戻せます。
崩れた週の戻し方
崩れる週は必ず来ます。分かれ道は1つです。遅れを取り返そうとしないこと。
前日の残りを翌日に上乗せすると、翌日は「1日分+前日の残り」になります。1日分でも見積もりを超えることがあるのに、1.5日分が入るはずがありません。結果として翌日も崩れ、遅れは前日より広がります。やることは3つです。
- 遅れた分は追いかけない。できなかった予定に線を引いて消す
- 次の枠から型に戻る。「明日の朝の枠から再開」と決め、今日の残りで取り返そうとしない
- 週の終わりに総量を見直す。2週続けて同じところが崩れたなら、削るのはステップ2で決めた範囲そのもの
3つめが本題です。崩れが続くのは、最初に置いた総量が入らなかったという情報です。総量を入る形に直すのが、立て直すという作業の中身です。何から手をつけるか分からないときは、受験の立て直しに順番の決め方をまとめています。
週1回10分のふりかえりで見る4項目
決まった曜日に10分。紙1枚で足ります。
- 置いた量のうち終わった割合。「18枠のうち13枠」と数で書く。8割前後なら型は機能、5割を切ったら量が多すぎます
- 実績時間をメモできた回数。ここがゼロの週は、翌週の見積もりの材料がありません
- 今週いちばん崩れた枠。科目ではなく「木曜の夜」のように枠で答えます
- 来週、減らす枠を1つ決める。足すのは次の週。まず1つ減らして、型が回るところまで軽くします
数字が悪い週があっても構いません。いちばん悪い1つだけを直します。3週続けてほとんど回らないときは、学校の先生や保護者に状況を話して一緒に組み直してください。つらさが続くときは、学校の先生・保護者や専門の窓口に相談してください。
計画に入れる順番は、出題頻度で決められます
ステップ2で迷うのは、どの単元を前に置くかです。ここは感覚ではなく出題実績で決められます。EIMEI予備校では大学ごとに入試対策読本を自作していて、その過去問分析データを単元ごとに組み替えたものがあります。そこから2つ挙げます。なお大学によって分析冊数や大問の数え方が違うため、大学をまたいで数字の大小は比べられません。「同じ大学の中で単元を比べる」「同じ単元で大学ごとの出る・出ないを見る」という読み方をしてください。
例1 志望校が決まっていなくても前に置ける単元(場合の数・確率)
分析した複数大学の資料の中で、場合の数・確率は出題ゼロという事例が見当たりません。慶應義塾大学は文系4学部12セットすべてで出題(12/12)、理系4学部も各3/3で、8学部12セットすべてで毎年出ています。立教大学の理系は大問Ⅰでの出題が6/6で毎回必出、中央大学の文系では独立大問としての出現が59大問中11で単元別の最多です。
つまり志望校が1校に絞れていない段階でも、この単元はステップ2の先頭に書けます。理系志望でも比重は下がりにくく、中央大学の理系では場合の数・確率が20大問中3(15%)に対し、同じ理系の微分積分(Ⅱ)は20大問中1(5%)です。
例2 志望校が決まるまで順番を決められない単元(複素数平面)
複素数平面は逆の性質です。慶應義塾大学の理工学部は3年間とも出題で3/3、理系4学部で唯一毎年です。一方法政大学の理系は63大問を通じて一度もなく0/9、学習院大学は数Ⅲを含む理学部4冊を含めた12セットすべてでゼロです。早稲田大学の理系は6冊中2冊、中央大学の理系は5冊中2冊という中間もあります。
この単元を前半に置くかは、志望校と学部が決まってからしか判断できません。差は学部単位でも出ます。早稲田大学の商学部は微分積分(Ⅱ)が3/3ですが、社会科学部は同じ3年間で0/3、代わりに整数が3/3です。単元ごとの出方は数学の頻出単元にもまとめています。
ステップ2で範囲を書くときは「志望校を問わず前に置ける単元」と「志望校が決まるまで順番を決められない単元」を分けて書いてください。分けておけば、志望校が変わっても計画の前半は作り直さずに済みます。
高1・高2と高3で、作り方はどこが変わるか
高1・高2は「型を作る」ことが目的
高1・高2は入試日までの週数が100週を超え、週単位で割ると数字が小さすぎて意味をなしません。ステップ1を「学期末まで」で数え、ステップ2の範囲を学校の進度に合わせるのが現実的です。目的も違い、この時期の計画は入試範囲を終わらせるためではなく1週間の型を見つけるために作ります。平日3枠が回るか、朝の枠が取れるか、どの枠が崩れやすいか。型が決まっていれば、高3で範囲が増えても配置は作り直さず中身の差し替えで済みます。定期テストは型を試す機会です。学年ごとの進め方は学年別ロードマップにまとめています。
高3は「後ろから枠を取る」
高3は残り週数が有限で、後半の使い方も決まっています。過去問・模試・出願の作業が入る枠を先に確保し、残った週に範囲を割ります。前から順に埋めると、後半に過去問の置き場所が残りません。秋以降は新しい範囲を足すより、置き場所を入れ替える時期です。「終わった割合」が5割を切る週が続いたら、足さずに削って入る形に戻します。
既卒生は学校の時間割がないため、平日と休日の区別が自然には生まれません。平日型の日・休日型の日・予備日を、曜日ごとに最初に固定してください。
まとめ
- 崩れた原因を4つのどれかに特定する
- 見積もる前に、前回かかった時間を1つ思い出す
- 残り週数を数える→範囲を決める→週の量に割る→曜日に置く→予備日を入れる、の順で作る
- 1週間の型を1つ決めて、中身だけ差し替える
- 崩れたら追いかけず、次の枠から戻り、週の終わりに総量を直す
- 週1回10分、4項目だけ見る
EIMEI予備校の1対1個別指導では、この5ステップを最初の面談で一緒に作ります。志望校が決まっている人には、自作の入試対策読本の出題データを見ながら、どの単元を前半に置くかまで決めていきます。
あわせて読みたい
EIMEI予備校について
EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。
- 川越校舎(2026年6月開校)川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えます。
- ふじみ野校舎 ふじみ野駅東口から徒歩1分。
- 鶴瀬校舎 鶴瀬駅西口から徒歩3分。
川越校舎の詳細・無料体験のお申し込みはこちら/ふじみ野・鶴瀬校舎のことは公式LINEからお問い合わせください。
