法政大学は学部ではなく「試験日」で問題が決まる|日程・方式ごとの違いを川越の予備校が実測データで解説

法政大学を受ける高校生・既卒生と、その保護者の方へ。「過去問を買ったけれど、どの日程を解けばいいのか分からない」「A方式とT日程、どっちで出願すればいいのか」という段階の人のために書きました。大学全体の傾向は法政大学 一般選抜 全科目の傾向と対策にまとめてあるので、ここでは日程・方式ごとの違いだけを、自作の入試対策読本(2024〜2026年度の問題冊子105冊を集計)の数字で書きます。

法政の問題は「学部」ではなく「試験日」で決まる

法政の入試を理解する鍵は一つだけです。問題は、学部ごとではなく「試験日ごと」に作られています。

たとえば法学部Ⅱ日程の試験日には、法学部Ⅱ日程・国際文化学部・キャリアデザイン学部の3学部が試験を行い、この3学部の受験生はまったく同じ英語・国語・日本史を解きます。逆に、同じ法学部でもⅠ日程(国際政治学科)とⅡ日程(法律・政治学科)では別問題です。つまり「法政の法学部の過去問」という言い方には意味がなく、あるのは「Ⅰ日程の問題」と「Ⅱ日程の問題」だけです。

問題冊子の表紙には3桁の番号が印刷されていて、これが日程を表します。105冊を機械的に突き合わせた結果、違う番号の冊子で内容が一致した例は一つもありませんでした。同じ番号なら同じ問題、違う番号なら別の試験。この1点が、出願設計から過去問の選び方まで全部を決めます。

まず方式の違いを「科目数」と「受ける日」で押さえる

法政の一般選抜は5つに分かれますが、法政の校舎で試験を受けるのは3つだけです。

  • A方式(個別日程):3科目。2月7日〜16日に学部ごとの日程で実施。募集人員2,682名で全体の67%を占める本体です
  • T日程(統一日程):2科目。2月5日に全学一斉で、GISを除く14学部が同じ問題を解きます
  • 英語外部試験利用入試:1科目。T日程と同じ2月5日・同じ問題冊子で、英語が免除され英語以外の1科目だけで合否が決まります

残る2つは共通テスト利用のB方式(3教科)とC方式(6教科7科目)で、法政で試験を受ける必要がありません。2026年度の倍率は、英語外部試験利用16.2倍、T日程8.5倍、A方式6.2倍、B方式5.4倍、C方式2.6倍。科目が少ない入口ほど倍率が高いという、きれいな逆順です。

英語外部試験利用入試はスコアを「出願資格」としてのみ使い、高低は合否に影響しません。募集人員は方式全体で119名しかなく、キャリアデザイン学部55.1倍、人間環境学部34.3倍という学科も。本命に据える方式ではありません。なお追加合格があるのはA方式だけです。

同じ問題を解く日程の組み合わせ(冊子番号の対応)

ここが実務で一番使うところです。試験日・冊子番号・同じ問題を解く学部の対応は次のとおり。この学部グループの組み方は2024年度から2026年度まで変わっていません(日付そのものは年度によって動きます)。

  • 205(T日程):GISを除く14学部が共通。英語外部試験利用入試も同じ冊子
  • 207(2月7日):文Ⅰ日程(哲・日本文・史)/経営Ⅰ日程(経営)/人間環境/GIS
  • 208(2月8日):法Ⅰ日程(国際政治)/文Ⅱ日程(英文・地理・心理)/経営Ⅱ日程(経営戦略・市場経営)
  • 209(2月9日):経済Ⅰ日程(国際経済・現代ビジネス)/社会Ⅰ日程(社会政策科・メディア社会)/現代福祉
  • 211(2月11日):理系Ⅰ日程。情報科(ディジタルメディア)/デザイン工(都市環境デザイン工・システムデザイン)/理工(機械工・応用情報工)/生命科(生命機能)
  • 212(2月12日):経済Ⅱ日程(経済)/社会Ⅱ日程(社会)/スポーツ健康
  • 214(2月14日):理系Ⅱ日程。情報科(コンピュータ科)/デザイン工(建築)/理工(電気電子工・経営システム工・創生科)/生命科(環境応用化・応用植物科)
  • 216(2月16日):法Ⅱ日程(法律・政治)/国際文化/キャリアデザイン

冊子番号は年度をまたいで安定しています。2024年度の207と2026年度の207は、同じ学部グループの問題です(問題自体は別物)。ここから2つのことが裏づけられました。T日程(205)とA方式は完全に別問題で、同じ年度でも共通する文章は一つもありません。そしてA方式は日程ごとに別問題で、207と208、209と212はまったく違う問題です。

だから過去問は「自分の番号」だけを集める

ここまでが分かると、解くべき過去問が機械的に確定します。

  1. 上の一覧で、自分の志望学科がどの冊子番号かを確認する
  2. その番号の過去問だけを解く。他の番号は、自分とは別の試験です
  3. T日程も受けるなら、205の過去問を別に解く。A方式とは別問題で、しかも重い
  4. 英語外部試験利用入試は205の過去問で足ります(英語は免除なので、英語以外の科目だけ)

法政の過去問集には複数の日程が収録されていますが、自分に関係のある日程は1つか2つだけです。全部解こうとすると半分以上が無駄になります。自分の番号を2〜3年分きちんと回すほうが効きます(大学公式の問題公開は2年分)。

もう一つ、法政は「出題意図」を大問単位で公表しています(2026年度は51ページ分、対象はT日程とA方式のみ)。過去問を解く前に自分の日程の分を読んでおくと、記述の有無や論述の字数が先に頭に入ります。

時期の配分や解いたあとの処理は過去問はいつから、何年分、どう解くかにまとめてあります。法政は、その手順の前に「番号の確定」が1つ増える大学です。

日程ごとに、科目の中身がここまで違う

英語|T日程とA方式は別の試験

全17冊に共通して、法政の英語は全問マークシートで、和訳・英訳・自由英作文は3年間で1問もありません。そのうえでT日程(205)は、2024年度にあった文法語法の大問が2025年度に消え、2026年度には会話文も消えて長文4本(1本1,000語前後)に。90分のなかでは法政で最も読解量が多い試験です。

A方式の英語は、日程で3つのタイプに分かれます。

  • 文法独立型(209・212):大問Ⅰに4択の短文空所補充15問+長文。冊子209は3年間同じ骨格で、最も再現性が高い日程です
  • 長文のみ型(207・208・216):独立した知識問題の大問がなく、長文4本。整序は長文中に埋め込まれます
  • 理系日程型(211・214):大問4〜7と最多。図表・グラフ・模式図の読み取りが半分近くを占め、発音アクセントと語句整序が出るのは実質この日程だけです

さらに冊子207には、同じ冊子なのに解く範囲と時間が違うという例外があります。表紙に「文学部(哲・日本文・史)は3題を60分」「経営・人間環境は4題を90分」と明記されていて、同じ過去問でも計るべき時間が違います。

国語|古文と漢文が出る日程、出ない日程

9冊を調べたところ、日程で完全に分かれていました。

  • 現代文だけで済む:冊子209(経済Ⅰ・社会Ⅰ・現代福祉)。3年連続で古文も漢文も出ず、記述もゼロの全問マーク。ただし2026年度に4大問へ増え、60分での余裕は減りました
  • 現代文+古文:冊子207の経営・人間環境・GIS志望者
  • 現代文+古文+漢文:冊子207の文学部志望者と、T日程の文学部日本文学科(ここだけ90分)

9冊のうち漢文が出るのはこの2つだけで、全員が必ず解く漢文は0冊。記述は冊子207とT日程に集中し、30〜40字・文末が固定された穴埋め式の要約記述です。

地歴公民|論述が出るのは日程で決まる

日本史(11冊)と世界史(10冊)は、きれいに裏返しの構造でした。

  • 日本史:論述があるのは冊子207・208・216だけで、60〜80字で1問。209・212は3年連続ゼロ。用語を書かせる問題は11冊で0問でした
  • 世界史:論述は3年間10冊でゼロ。代わりに207・208・216では語句記述が6〜13問あり、「漢字で記入せよ」等の指定がつきます。209・212はほぼ全問マークです

地理は11冊すべて3大問・全問記述式で、マークで逃げられません。そして2万5千分の1地形図の読図が中核になるのは法学部系(208・216)とT日程、経済学部系(209・212)は読図ゼロ。日程で地形図の練習が必須か不要かが変わります。政治・経済は8冊すべて3大問・全問マーク・記述ゼロですが、経済学部系(209・212)では2文正誤型に「すべて正しい場合はオ」という第5の選択肢が加わります。

数学|A方式は記述、T日程はマーク

文系数学は、同じ60分でも求められる力が正反対です。A方式は3大問・記述式で1問20分、論証・図示・増減表など「書く」力。T日程(数学①)は6大問・全問マークで1問10分、高速・正確な計算処理です。

しかもA方式でも冊子209・212だけは「解答を導く途中経過も書くこと」「その指示どおりでない場合は採点の対象としない」と明記された完全記述で、答えだけでは0点です。出る分野も違い、A方式は微分積分Ⅱと図形と方程式が中心、T日程は数と式・整数・複素数が18大問中7で39%。T日程を併願するなら整数の対策が要るということです。理系数学だけは例外で、T日程とA方式は90分・7大問中5問選択・全問マークで同型でした。

理科|A方式だけ、1冊に3科目が同居

理科はA方式のみで、3限75分。冊子は日程ごとに1冊で、その1冊に物理・化学・生物が入っています。同じ日程の4学部は完全に同じ問題。情報科は物理のみ、生物を選べるのは生命科学部だけです。そして選択科目も理科も、解答用紙を選んだ時点で科目が確定し、変更は一切できません

併願を組むときの、日程の選び方

ここまでの内容は、そのまま出願設計になります。ルールは4つです。

  • A方式は同じ日に2学部を受けられません。2月16日は法Ⅱ・国際文化・キャリアデザインが重なるので、1つだけです
  • 別の日なら併願できます。法学部志望なら2月8日(国際政治)と2月16日(法律・政治)の両方を受けられます
  • T日程は1日で複数学部に出せます。科目と出題範囲が同一なら文系で最大10学部、理系で最大3学部。ただし同一学部内の学科は不可です
  • 同じ学科を、T日程・A方式・B方式・C方式の4通りで受けられます

費用も日程で変わります。併願割引があるのは2月5日のT日程と英語外部試験利用入試だけで、1件目35,000円、2件目以降は1件15,000円(この2方式は割引が合算)。3件なら65,000円、10件なら170,000円。A方式は何日程受けても1件ごとに35,000円。B方式・C方式は18,000円で、別途、出願登録ごとに事務手数料1,100円です。

ここから組み方の型が見えます。法政が第一志望の文系なら、C方式とT日程で網を広げつつA方式で本命と第2志望を2回受ける形。国公立が第一志望なら、C方式(2.6倍)が最も費用対効果の高い併願先で、2月の日程を1日も使いません。理系なら理系Ⅰ日程と理系Ⅱ日程の両方を押さえられます。

逆に、よくある失敗も挙げておきます。

  • 英語外部試験利用入試を本命にする(16.2倍。得点率も74〜78%の学科が並びます)
  • A方式を複数出せば割引が効くと思い込む(割引は2月5日の2方式だけ)
  • T日程の過去問を解かずにT日程を受ける(A方式とは別問題で、しかも重い)
  • 自分の日程以外の過去問を解いてしまう(冊子番号が違えば別の試験です)

そしてもう1点。A方式は2月7日から16日の10日間に散らばり、この間に他大学の入試も入ります。連続受験は3日までを目安にしてください。出願できる数と、実際に受けるべき数は別です。なお2026年度は志願者+5.8%に対し合格者が21.5%減り、大学全体の倍率が4.2倍から5.7倍に上がりました。理由は公表されていませんが、「法政は3倍台」という古い数字で計画を立てるのは危険です。

同じ大学群の他大学との組み合わせはGMARCHの英語はどこがどう違うか、他大学の日程の作り方は大学別 一般選抜の傾向と対策 まとめもご覧ください。

川越で法政を目指すなら、まず「番号」を決めるところから

法政の対策は、順番を間違えると時間が溶けます。志望学科を決める → 冊子番号を確定させる → その番号の過去問だけを、自分の条件の時間で解く。「自分の条件」とは、冊子207の文学部志望なら3題60分、経営・人間環境なら4題90分、という意味です。

もう一つ、自分では詰めきれないのが記述です。法政で記述が出るのは、国語(207・205の30〜40字要約)、日本史(207・208・216の論述1問)、世界史の語句記述、地理、A方式の文系数学、そして理科。模範解答と見比べて「だいたい合っている」と思ったものの多くは、点になりません。週に1本でいいので、人に見てもらう機会を作ってください。

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EIMEI予備校について

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二神大輝