こんにちは、EIMEI予備校の二神です。
この記事は、川越とその周辺の高校に通う高1・高2と、その保護者の方に向けて書いています。日本史・世界史・地理・政治経済のうち、どれを受験科目にするかで迷っている段階の人が対象です。
EIMEIでは大学別の入試対策読本を自作していて、その制作過程で集めた過去問分析データを、社会4科目それぞれ単元別・地域別に並べ替えた読本にまとめています。この記事は、その4冊から「科目を選ぶときに先に知っておくべきこと」だけを取り出したものです。
先にお断り|数字の読み方
以下に出てくる「3/3」「11冊中10冊」といった数字は、各大学の分析資料に記載された分母・分子をそのまま使ったものです。分析した冊数も大問の数え方も大学ごとに違うため、大学をまたいで数字を並べて優劣を比べることはできません。同じ大学の中で単元どうしを比べるか、同じ単元で大学ごとの「出る・出ない」を個別に見るか、この2通りの読み方をしてください。対象年度はおおむね2022〜2026年度です。
1|「好きかどうか」より先に見るのは、志望校でその科目が使えるか
社会の科目選びでいちばん多い失敗は、好き嫌いや得意不得意から決めてしまい、後から「その大学ではその科目が選べない」と気づくことです。4科目は、入試制度の中での立ち位置がそろっていません。
地理がいちばんはっきりしています。読本が対象とする10大学のうち、地理を入試科目として確認できたのは7大学(早稲田・明治・立教・法政・慶應義塾・学習院・東洋)だけで、しかもそのすべてが学部・方式を限定した上での話です。「全学部・全方式で地理が使える」大学は、参照した資料の中にはありませんでした。青山学院大学は全学部日程の地理歴史・公民の選択科目が「世界史探究」「日本史探究」「政治・経済」の3科目のみで地理が入っておらず(2026年度入学者選抜要項で確認)、中央大学も確認できた5学部共通選抜・学部別選抜の選択肢に地理という科目名が登場しません。東京電機大学は地理の分析資料そのものが存在せず、データなしとして扱っています。
政治・経済にも入口の限定があります。法政大学は、T日程には政治・経済という選択科目自体が存在しません。慶應義塾大学と東京電機大学については、政治・経済の過去問分析ファイルが読本のコーパスに存在せず、「実施していない」とは断定せずデータなしとして扱っています。
一方、日本史・世界史は入口が広い科目です。読本の対象大学のうちデータがないのは東京電機大学(理工系中心)だけで、慶應義塾大学でも理系4学部(医・理工・看護医療・薬)が世界史を課さないという限定にとどまります。
もうひとつ、地理には演習機会の少なさという制約があります。立教大学は地理選択者が受けられるのが2月8日の1回だけで、原資料は「地理・政経選択者は1回勝負であり、地形図を落とした時点で挽回不能」と明記しています。学習院大学は法・経済・文の3コアのみで演習素材は年3冊、慶應義塾大学は商学部A方式前期の1本のみです。「使える大学がいくつあるか」だけでなく、「その大学の中で何回受けられるか」まで見る必要があります。
2|4科目は「広さ」「暗記」「資料読解」「論述」の配合が違う
同じ社会でも、求められる力の配合が科目ごとに違います。読本の集計から見えるのは次の4点です。
出る範囲の広がり方が違う
- 日本史|単元(政治・社会経済・文化・外交)に加えて時代という軸で大学差が出ます。慶應義塾大学経済学部B方式は原始古代・中世が3年間・全10大問で0(0/10)で、出題範囲が実質1500年以降のみです。一方、法政大学は11冊中11冊に近世・近代が含まれます。
- 世界史|軸は地域です。中国・東アジア史とヨーロッパ史はどの大学でもほぼ必出ですが、アフリカ史・アメリカ史は分かれます。学習院大学は50大問中約5大問でアフリカ史を扱う一方、青山学院大学経済学部A方式は4年間でアフリカ・アメリカが主題の大問がゼロです。
- 地理|系統地理(自然・産業・人口都市・資源)と地誌の2本立てで、配分が大学で変わります。学習院大学は43大問中23大問(53%)が地誌、法政大学は33大問中13大問(39%)です。
- 政治・経済|日本国憲法・統治機構と経済理論・市場と企業が骨格で、データのある大学のほとんどで出ます。そのうえに時事が乗ります。
資料読解の比重がいちばん重いのは地理
明治大学の地理は、統計表・グラフの読み取りが「全学部・全年度で最重量」と原資料が明記しています。法政大学は統計表9/11冊(82%)・グラフ8/11冊(73%)、学習院大学は8冊すべてで統計表を使用します。さらに地形図読図は地理にしかない技能で、立教大学は大問Ⅲとして4年連続必出・配点は約3分の1、明治大学の文学部と農学部食料環境政策学科も3年連続必出です。ただし例外もあり、慶應義塾大学商学部A方式前期は3年間で地図・統計表・グラフ・写真・雨温図が1枚も出ず、地形図読図も3年間ゼロです。
日本史の資料読解は史料の形で出ます。法政大学は11冊中10冊で史料などが素材化され、早稲田大学商学部は大問1〜4の4題(67%)が史料です。逆に学習院大学の日本史は全10冊で史料引用が2件のみ、図版・グラフ・統計表を用いた設問は0件でした。
論述の有無は、科目より「大学・学部・日程」で決まる
ここは一般化できません。世界史では法政大学が3年間・10冊すべてで論述ゼロ、東洋大学も全問マークシートでゼロである一方、早稲田大学法学部は250〜300字が3年連続、青山学院大学文学部史学科は350字以内で一貫、学習院大学文学部コアは200字論述2題です。日本史では法政大学が日程で、慶應義塾大学が学部で論述の有無が決まり、立教大学は毎回1問(45〜70字)、学習院大学は文学部コア(7行指定)だけにあります。地理は学習院大学が全問記述で50〜200字の論述が毎年出る一方、東洋大学は全問マークシートで論述ゼロという両極です。
政治・経済には「計算」と「時事の鮮度」という別の軸がある
政治・経済は論述が構造的にゼロの大学が多い科目です(法政大学は8冊すべて、学習院大学は10冊すべて、立教大学は4年間1問もなし)。そのかわり計算問題が効きます。立教大学は4年間毎年、購買力平価・ドント式議席配分・ジニ係数・国際収支などが出ることが最大の特徴として明記され、青山学院大学も両方式とも毎年、早稲田大学商学部も毎年出ます。一方で中央大学は計算が経済学部(2/14・2/15方式)の専売特許で、共通選抜・法学部別・商学部は3年間ゼロです。時事の射程も大学差が大きく、法政大学は「試験直前まで」、学習院大学は「試験の8〜9か月前まで」、中央大学はおおむね「試験の半年〜1年半前」と、それぞれの原資料に明記されています。
3|途中で変えられるか、変えるならいつまでか
正直に書きます。「いつまでなら変更できるか」を示すデータは、今回の4冊の読本には含まれていません。ここは断定を避けます。そのうえで、読本の事実から言えることだけを挙げます。
- 地理から他科目へ、他科目から地理への切り替えはコストが大きくなりがちです。地形図読図・統計読解は知識の暗記ではなく技能で、過去問演習を通じた練習そのものが必要になると読本は整理しています。知識を足せば間に合う、という性質の分野ではありません。
- 志望校を後から広げる場合、地理・政治経済は入口の限定にぶつかる可能性があります。地理は10大学中7大学・すべて学部方式限定、政治・経済も法政大学T日程には選択肢自体がありません。
- 日本史・世界史の中での切り替えは、入口の広さという点では比較的安全ですが、世界史は地域、日本史は時代という軸で「どこを捨てられるか」が大学ごとに違うため、志望校が変わると優先順位も組み直しになります。
一般論としては、変えるなら、志望校の過去問演習を本格的に始める前までと考えておくのが安全です。ただし在籍する高校のカリキュラムや履修状況によって事情は変わるので、学校の先生にも必ず確認してください。
4|共通テストだけで使う場合と、私大の個別試験で使う場合
この2つは、同じ科目名でも準備の中身が変わります。読本から確実に言えることを2つ挙げます。
ひとつめ。科目の区分そのものが違います。読本が対象とする10大学の一般選抜を調べた範囲では、「倫理」を単体で、あるいは「政治・経済」と組み合わせて課す学部・方式は1件も確認できませんでした。私立大学の一般選抜では「政治・経済」単体を課すのが通例で、「倫理」「倫理,政治・経済」という区分は主に大学入学共通テストや国公立大学の個別試験で使われるものです。学習院大学の原資料にも「青年期・倫理分野からの出題は確認できず」という明示的な記述があります。
ふたつめ。私大の個別試験は、形式の差がそのまま合否に効きます。ここまで見てきたとおり、論述の有無、計算の有無、読図の有無、史料の比重、マークか記述かは、大学・学部・日程の単位で分かれます。慶應義塾大学は日本史も世界史も学部ごとに「別科目と考えてよいほど」性格が違い、法政大学は日本史・世界史とも日程(冊子)で形式が決まります。つまり、私大の個別試験で社会を使うなら、「大学名」ではなく「大学・学部・方式・日程」まで一致させて過去問を選ぶ必要があります。
逆に、社会を共通テストだけで使う予定なら、大学ごとの形式差に振り回される必要は小さくなります。ただし今回の読本は各大学の個別試験の分析であり、共通テストそのものの出題分析ではありません。共通テスト側の対策は別に確認してください。
5|決めたあと、最初の3か月でやること
科目を決めたら、次の順番で進めてください。高1・高2のうちにここまでやっておくと、高3で科目を選び直す事故が起きにくくなります。
- 受ける可能性のある大学・学部・方式を書き出す(1週目)|10校でも20校でも構いません。紙に並べます。
- その科目が使えるかを募集要項で確認し、表にする(2週目)|「使える/使えない/確認できない」の3列です。地理と政治・経済を考えている人は、この作業を必ず先にやってください。
- どの大学にも共通する軸から固める(1〜2か月目)|日本史なら政治史と社会経済史、世界史なら中国・東アジア史とヨーロッパ史、地理なら人口・都市と統計表・グラフの読み取り、政治・経済なら日本国憲法・統治機構と経済理論・市場と企業。ここは志望校が動いても無駄になりません。
- 答案の型を1つ決めて練習を始める(2〜3か月目)|論述がある大学なら、字数(または行数)指定の中で因果関係を説明する練習。計算型なら、公式を定義から組み立てる練習。読図型なら、地形図そのものを読む練習。この3つはどれも、あとから短期間で身につけにくいものです。
- 3か月目に、志望校の直近1年分を自分の手で解く|データの表と実物が合っているかを自分で確かめます。読本も「志望校の直近数年分の過去問を必ず自分の手で解き、表と原資料の記述が自分の受ける年度・方式にも当てはまるかを確認してください」と書いています。
科目ごとの単元の優先順位は、それぞれの記事にまとめてあります。日本史の頻出単元と大学別対策、世界史の頻出単元と大学別対策、地理の頻出単元と大学別対策、政治・経済の頻出単元と大学別対策をあわせて読んでください。高1・高2の時期に何をどの順で進めるかは、学年別ロードマップに書いています。
川越校舎で、志望校の表を一緒に作ります
EIMEI予備校 川越校舎は、川越駅から徒歩5分・本川越駅から徒歩8分の場所にあります。自習室は朝7時から使えます。指導は1対1の個別指導です。
無料体験・個別説明会では、受ける可能性のある大学・学部・方式を一緒に書き出し、「その科目が使えるか」「論述が要るか」「計算・読図が要るか」を並べた1枚の表を作ります。そのうえで、4科目のどれを選ぶか、最初の3か月に何をするかをお伝えします。まだ志望校が決まっていない高1・高2でも大丈夫です。決めてから直すより、決める前に確かめるほうが、時間を損しません。
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※この記事の出題情報は、EIMEI予備校が自作している大学別入試対策読本(過去の問題冊子と募集要項ベースの資料を分析したもの)を、科目ごとに単元別・地域別に再編したものです。分析した年度・冊数・粒度は大学ごとに異なり、大学をまたいだ数値の単純比較はできません。科目の選択可否や試験日程は変更されることがあります。出願にあたっては、必ず各大学の最新の募集要項でご確認ください。
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EIMEI予備校について
EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。
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