この記事は、明治大学農学部の自己推薦特別入学試験を考えている高校生と保護者に向けたものです。農学科・農芸化学科・生命科学科・食料環境政策学科の4学科で行われるこの入試について、2027年度の入学試験要項で確認できた内容をもとに、出願条件・日程・選考の流れと、学年ごとの準備の進め方をまとめました。
農学部の自己推薦は、第二次選考で「特別講義を受けて、その内容について筆記試験を受ける」という少し変わった形をとっています。小論文の練習だけでは準備しきれない部分があるので、その対策も具体的に書きます。来年以降に受ける高1・高2の人は、とくに学科ごとに違う評定の条件から確認してください。
2027年度 農学部 自己推薦特別入試のあらまし
| 項目 | 2027年度の内容 |
|---|---|
| 対象学科 | 農学科、農芸化学科、生命科学科、食料環境政策学科 |
| 募集人員 | 各学科とも公募生A・B合わせて10名 |
| 専願 | 志望学科を専願とし、合格したら入学を確約できること |
| 第一次選考 | 書類選考 |
| 第二次選考 | 特別講義の受講、特別講義に関する筆記試験、個別面接 |
| 第二次の会場 | 生田キャンパス |
公募生Aは日本の高校などを卒業(見込み)の人、公募生Bは外国で12年の課程を修了(見込み)した日本国籍の人(帰国生)向けの区分です。この記事では、多くの人が当てはまる公募生Aを中心に説明します。
大事なのは、この入試は専願だという点です。同じ明治大学でも、国際日本学部の自己推薦は他大学との併願を認めていますが、農学部は志望学科を専願とし、合格した場合は入学を確約できることが出願資格に入っています。例外として、食料環境政策学科に出願する人は、地域農業振興特別入学試験にも出願できると書かれています。
学科ごとに違う評定の条件
公募生Aの出願資格には、「全体の学習成績の状況」(いわゆる評定平均)の基準が学科ごとに決められています。しかも、それぞれ2通りの出し方があります。
| 学科 | 評定の基準 |
|---|---|
| 農学科 | 4.0以上、または学業以外に優れた活動歴があり3.5以上 |
| 農芸化学科 | 4.3以上、または学業以外に優れた活動歴があり4.0以上 |
| 生命科学科 | 4.0以上、または学業以外に優れた活動歴があり3.5以上 |
| 食料環境政策学科 | 4.0以上、または学業以外に優れた活動歴があり3.5以上 |
農芸化学科だけ基準が一段高いことに注意してください。評定4.3は、ほとんどの科目で5か4を取り続けないと届かない数字です。農芸化学科を考えている高1の人は、今学期の定期テストからが勝負だと考えてください。
生命科学科については、生物基礎・生物と化学基礎・化学を履修していることが「望ましい」と要項に書かれています。必須ではありませんが、高2で理科の科目を選ぶときに関わってくるので、生命科学科を考えている人は科目選択の前に一度確認しておきましょう。
「学業以外に優れた活動歴」とは
評定が一段低い基準で出願する場合(A-②)は、活動歴報告書と活動歴を証明する資料を追加で出します。要項では、スポーツ競技を除いたうえで、高校在学中に優れた能力を継続的に発揮した活動として、次のような例が挙げられています。
- 研究発表・懸賞論文:数学オリンピック・化学オリンピック・生物学オリンピックなどの国際科学技術コンテストや公的な発表会、各種懸賞論文での優秀な成績。農業関係では日本学校農業クラブ全国大会などでの優秀な成績
- 資格検定:外国語、数学、簿記、パソコン技能などの極めて高度な資格
- 社会貢献:ボランティアや地域での活動に恒常的に参加し、献身的・指導的な役割を果たして、その実績を社会的に証明できるもの
- 文化・芸術:学外の大会・展覧会・コンクールなどで、個人または団体で優秀な成績を収めたもの
生命科学科は、この中でも研究発表・懸賞論文の実績を重視するとされています。スポーツ競技の実績はこの活動歴に含まれないと明記されているので、運動部での実績を評定の不足分の代わりに使うことはできません。ここは勘違いしやすいところです。
農業高校や総合学科で学校農業クラブの活動をしている人、学校の課題研究で校外の発表会に出た人は、その記録をていねいに残しておきましょう。探究活動の選び方は探究・ボランティアの選び方で説明しています。
2027年度の日程
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 2026年9月1日〜9月4日 | 第一次選考の出願(締切日消印有効) |
| 2026年9月24日まで | UCAROの会員登録・出願連携 |
| 2026年9月25日 | 第一次選考の合格発表(UCARO) |
| 2026年9月25日〜10月1日 | 第二次選考の出願(締切日消印有効) |
| 2026年10月10日 | 第二次選考(生田キャンパス) |
| 2026年11月4日 | 第二次選考の合格発表(UCARO) |
| 2027年1月14日〜1月22日 | 入学手続(一括納入のみ、期間後は不可) |
今年受けた高3の人は、10月10日の第二次選考を終え、11月4日の発表を待っているところだと思います。専願の入試なので、合格した場合はそこで進路が決まります。結果が出るまでの数日も、一般選抜や他の入試に向けた勉強は止めないでおきましょう。もし思うような結果でなかった場合でも、勉強を続けていれば一般選抜への切り替えがすぐにできます。
高1・高2の人が覚えておきたいのは、出願が9月の最初の週だということです。夏休みが終わる頃には書類がすべてそろっていなければなりません。調査書の発行を学校に頼む時期も、夏休み前に確認しておく必要があります。
提出書類:志望理由書・自己PR書・選考課題
第一次選考は書類で決まります。全員が出すのは、入学志願票などのほかに次の3つです。
- 志望理由書(指定用紙に自筆):農学部の教育内容を踏まえて、志望理由、入学後に学びたい内容と計画、卒業後の目標
- 自己PR書(指定用紙に自筆):努力のプロセスがわかるように書く自己PR
- 選考課題:志望学科の課題だけを提出。農学科・農芸化学科・生命科学科は指定用紙に手書き、食料環境政策学科は課題の指示に従ってワープロソフトで作成
字数は要項本文には書かれておらず、課題の中身について大学は原則として問い合わせに答えないとしています。課題は要項と一緒に公表される指定書式で確認してください。
志望理由書は「農学部の教育内容を踏まえて」
要項の指示に「農学部の教育内容を踏まえ」とある以上、学部と学科のカリキュラムを読まずに書くことはできません。農学部の4学科は、作物や環境を扱う学科、化学や食品を扱う学科、生物の仕組みを扱う学科、農業や食料を経済・政策の面から扱う学科と、同じ学部でも学ぶ内容がかなり違います。なぜその学科でなければならないのかを、授業名や研究室の分野を手がかりに説明できるようにしておきましょう。調べ方は志望理由書のための大学研究(シラバス・先生の研究)で説明しています。
自己PR書は「努力のプロセス」
自己PR書で求められているのは、結果の自慢ではなく、どう努力してきたかの過程です。たとえば「家庭菜園で育てたトマトが病気になり、原因を調べて土の水はけを変えた」という話でも、何を観察し、何を調べ、何を試したかが具体的に書かれていれば、自己PRとして十分に成り立ちます。逆に、立派な賞を取っていても過程が書かれていなければ、指示に沿った書類になりません。
第二次選考:特別講義、筆記試験、個別面接
要項に載っている第二次選考の時間割(予定)は次のとおりです。
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 9:00〜9:20 | 出欠確認・事務説明 |
| 9:20〜11:20 | 特別講義(60分程度)と筆記試験(60分) |
| 11:20〜12:40 | 昼食・休憩 |
| 13:00〜 | 個別面接(1人約10〜15分) |
特別講義が始まってから30分を過ぎると入室できないとされています。初めて行くキャンパスで迷うこともあるので、当日の交通は余裕をもって組んでください。配点は数値では示されていません。
特別講義と筆記試験の準備
講義を聞いてから、その内容について書く試験です。講義のテーマは事前にはわかりません。準備としては、次の3つを練習しておくとよいでしょう。
- 60分の話をメモに取る練習。大学の公開講座やオンラインの模擬授業を聞きながら、話の柱・具体例・データを分けてメモする練習をします。全部を書き取ろうとすると追いつきません。
- メモから要約を書く練習。聞き終えたら、講義の主張を200字程度でまとめてみます。筆記試験で何を問われても、まず内容を正確に押さえていることが土台になります。
- 自分の意見をつなげる練習。要約のあとに「この話から考えたこと」を書きます。高校の生物・化学・地理・公民などで習った知識を一つでも結びつけられると、文章に厚みが出ます。
講義を聞いて書く形式は、資料を読んで書く小論文と頭の使い方が近いところがあります。小論文の資料・グラフ読み取り型も参考になります。
個別面接の準備
面接は1人10〜15分ほどです。短いので、志望理由・自己PR・選考課題に書いたことの確認が中心になると考えて準備しておくのが自然です。自分の書類をもう一度読み、「なぜ」「具体的には」と聞かれて詰まりそうなところを先に洗い出しておきましょう。専願の入試なので、「本当にこの学科で学びたいのか」が伝わるかどうかも大切です。基本の進め方は面接対策で説明しています。
学年別:いつ何をしておくか
高1(今の11月〜高2の春)
- 評定の土台づくり。農芸化学科なら4.3、ほかの学科でも4.0が目安になります。
- 高2の科目選択で、志望学科に関係する理科・社会をとれるか確認する(生命科学科は生物・化学の履修が望ましいとされています)。
- 農業や食、環境、生命に関するニュースや本に触れ、興味のある分野を絞り始める。
高2(来年4月〜冬)
- 課題研究や探究活動で、農や食、生き物に関わるテーマを一つ持つ。校外の発表会や論文コンテストに出せるとなお良いです。
- オープンキャンパスなどで生田キャンパスの雰囲気と学科ごとの違いを自分の目で確かめる。
- 講義を聞いてメモを取る練習を少しずつ始める。
高3(4月〜9月の出願まで)
- 要項と選考課題が出たら、すぐに課題に取りかかる。
- 夏休みの前半で志望理由書と自己PR書の下書きを作り、後半で学校の先生に読んでもらって直す。
- 専願なので、出願前に家族と「合格したら入学する」ことを確認しておく。
入学前教育と入学手続
合格すると、入学前教育としてレポートの作成や講義があります。要項では、期限を守らない、不正がある、正当な理由なく欠席する、といった場合には合格の取り消しを含む処分の対象になりうると書かれています。合格したあとも、大学の課題には期限どおりに取り組んでください。
入学手続は2027年1月14日から1月22日までで、入学諸費用は一括納入のみです。延納はできません。
同じ明治大学で、併願が認められている自己推薦と比べたい人は明治大学 国際日本学部の自己推薦特別入試も読んでみてください。
参考にした公式情報
入試の内容は変更されることがあります。出願前に必ず大学の公式発表を確認してください。
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