明治大学を受けると決めたものの、10学部のうちどこに出願するか決めきれていない高校生と、その保護者の方に向けた記事です。明治は学部ごとに別の問題を解く大学で、学部が変われば必要な点数も、書かされる量も、使える選択科目も変わります。ここでは制度の全体像ではなく学部ごとの違いだけを並べます。
材料はEIMEI予備校で自作している明治大学の入試対策読本です。2024〜2026年度の学部別入学試験の問題冊子155冊を確認し、大学公表の2026年度入試結果と2027年度入試情報を合わせました。科目ごとの勉強法は明治大学 一般選抜 全科目の傾向と対策にありますので、そちらと合わせてお読みください。
1. 学部別か全学部統一か、答えは学部ごとに違います
明治の一般選抜には、学部ごとに別問題を解く学部別入学試験と、全学部が同じ問題を解く全学部統一入学試験があり、両方に出願できます。ここまでは共通です。違うのは、どちらが有利かが学部によって逆転することです。
必要な得点率は、文系ほど全学部統一のほうが高い
2026年度の合格最低得点率を並べます。
- 法 学部別66% → 全学部統一76%(+10ポイント)
- 商 70% → 77%(+7)
- 政治経済 66〜69% → 77%(+8〜11)
- 文 66〜71% → 73〜78%(+7)
- 経営(3科目) 75% → 80%(+5)
- 情報コミュニケーション 69% → 79%(+10)
- 国際日本 71% → 81%(+10)
- 理工 65〜73% → 66〜76%(+1〜3)
- 農 69〜74% → 72〜76%(+2〜3)
文系学部では全学部統一のほうが7〜11ポイント高い点が要り、理系(理工・農)では差が1〜3ポイントしかありません。文系にとって全学部統一は「高い点が要る入口」、理系にとっては「ほぼ同じ入口」です。
ところが倍率は、学部によって逆転します
点が高く要るなら倍率も高いはずだ、とはなっていません。学部別→全学部統一の順です。
- 全学部統一のほうが倍率が低い 法(5.4倍→4.0倍)、商(6.4→5.5)、文(4.0〜6.5→3.0〜5.4)、総合数理(5.6〜5.9→2.4〜5.4)
- ほぼ同じ 理工(2.6〜4.5→2.4〜4.3)、農(4.4〜7.4→3.8〜7.1)
- 全学部統一のほうが高い 政治経済(3.2〜4.0→3.8〜5.0)、国際日本(6.3→8.5〜9.1)
- 全学部統一が突出して高い 経営(4.2→10.6〜12.8)、情報コミュニケーション(5.1→9.4)
理由は合格者の数です。経営学部の全学部統一は3科目方式で1,106人が受けて合格104人。同じ経営の学部別3科目方式は4,276人受けて1,012人合格ですから、枠の規模が一桁違います。一方、法学部の全学部統一は2,546人が受けて629人が合格しており、一定の枠があります。だから法は倍率が下がり、経営は跳ね上がります。
だから、学部ごとにこう使い分けます
- 法・商・文・総合数理 全学部統一も出願する価値が高い学部です。必要な点は上がりますが、倍率はむしろ下がります。法学部志望の方は法学部の入試を大学別に比べた記事もどうぞ。
- 経営・情報コミュニケーション・国際日本 全学部統一の合格枠がきわめて小さい学部です。ここを主戦場にする設計はすすめません。第一志望なら学部別を軸に。
- 理工・農 どちらの入口でも数字がほとんど変わりません。受けやすいほうでも、両方でもかまいません。
- 英語の外部検定スコアがある人 全学部統一の英語4技能方式は経営で得点率90%・倍率12.8倍、国際日本で90%・8.5倍と明治でもっとも狭い門です。スコアがあるから有利、とは限りません。
2. 学部ごとの科目・配点・試験時間
英語の重さが、学部で倍違います
2026年度の学部別入学試験の配点と試験時間を、英語の割合の順に並べます。
- 国際日本(2科目) 350/外国語200(80分)・国語150(60分)。英語が満点の57%で、明治で最も英語が重い学部です。
- 総合数理 320/数学200(120分)・外国語120(70分)。数学が満点の63%。英語とは逆の偏りです。
- 商(英語4技能試験利用) 550/英語300(80分)・国語150(60分)・地歴公民数学100(60分)。
- 法 350/外国語150(70分)・国語100(60分)・地歴公民100(60分)。
- 商(学部別方式) 350/外国語150(80分)・国語100(60分)・地歴公民数学100(60分)。
- 政治経済 350/外国語150(60分)・国語100(60分)・地歴公民数学100(60分)。英語が60分なのはこの学部だけです。
- 経営(3科目) 350/外国語150(70分)・国語100(60分)・共テ1科目100。
- 農(農・農芸化学・生命科学) 450/外国語150(60分)・国語数学化学生物から2科目300(2科目で120分)。食料環境政策学科は国語が必須です。
- 理工 360/数学120(90分)・理科120(80分)・外国語120(60分)。
- 文 300/国語100(60分)・外国語100(60分)・地理歴史100(60分)。
- 情報コミュニケーション 300/外国語100(60分)・国語100(60分)・地歴公民数学100(60分)。
英語が武器なら国際日本、数学が武器なら総合数理という選び方が配点の上で成り立ちます。逆に文学部と情報コミュニケーション学部は3科目が100点ずつで、1科目の大崩れを他で取り返しにくい配点です。
選択科目で、出願できる学部が決まります
- 法 世界史・日本史・公共政経の3つのみ。地理と数学では受験できません。
- 情報コミュニケーション 世界史・日本史・公共政経・数学の4つ。地理がありません。
- 文 世界史・日本史・地理の3つ。
- 地理で受験する人 学部別で地理が使えるのは商・政治経済・文・農(食料環境政策)だけです。
共通テストが要る学部があります
経営学部は2026年度から、学部別入試の2方式ともが共通テスト併用型になりました。経営学部を学部別で受けるなら共通テストの受験が必須です。国際日本学部にも併用型の方式があります。ここを見落とすと出願そのものができません。経営学部志望の方は経済・経営・商学部の入試を比べた記事もどうぞ。
3. 記述・論述がある学部と、ない学部
学部選びで一番効く違いです。明治は「書かせる学部」と「ほとんど書かせない学部」がはっきり分かれます。
漢文の独立大問があるのは文学部だけ
155冊を確認した結果、学部別入試で漢文の独立した大問が出ているのは文学部だけでした。しかも3年すべてで出題され、口語訳・書き下し・返り点の記述まで問われます。
募集要項の書き方は3通りです。情報コミュニケーションと農は「漢文を除く」、法・商・政治経済・経営・国際日本は「漢文の独立問題は出題しない」。ただし法学部と商学部では、古文の小問に訓点つきの漢文や書き下し文が混じる年があります。文学部以外なら返り点と書き下しの初歩だけで足り、句法の網羅は不要です。
国語の記述は、重い順にこうなります
- 文 口語訳2問前後・書き下し・返り点と古典側に集中。もっとも重い。
- 国際日本 60字以内の説明記述が2024・2026年度に出題。国語は150点。
- 政治経済 50字以内の説明記述が3年連続で大問一に1題。4大問30問超。
- 商 字数指定の説明記述が毎年1題(26〜40字)。
- 経営 40字以内(2025年度)・30字以内(2026年度)が1問。現代文+古文の2大問だけで分量はもっとも穏やか。
- 法 漢字と抜き出し(3〜28字)のみで、字数指定の自作記述なし。そのかわり設問数が最多で34問の年があります。
- 情報コミュニケーション・農 抜き出しと漢字が中心。農は漢字の独立大問が2つあります。
地歴公民の論述は、学部を絞れば不要になります
- 日本史 論述は政治経済の大問Ⅰ150字(3年とも固定)と、文学部の20字以内1問(2025・2026年度)だけ。法・商・情報コミュニケーション・農にはありません。
- 世界史 論述は商(4行以内、約100〜120字)と政治経済(220〜260字)の2学部だけ。法・文・情報コミュニケーション・農では不要です。
- 政治・経済 論述が常設なのは情報コミュニケーションだけ(2024年度は30字1問と70字2問、2025年度は60字と90字、2026年度は字数指定なし2問)。法・政治経済・商・農にはありません。
- 地理 文学部は枠内に書く論述が毎年6〜7問、政治経済は字数指定型が最多(2026年度は60字×4と40字×1)、商は毎年1題。農(食料環境政策)は3年とも一切ありません。
数学と理科の記述
明治の理系型で完全記述が課されるのは総合数理学部の後半2題だけです。理工学部は最終結果だけでよく、途中経過は要りません。農学部はほぼ全問マークで、数学Ⅲは3年とも出ていません。理工学部の理科は物理3題・化学3題の計6題から3題を選ぶ方式で、4題以上解答するとすべて無効になります。
英語の記述
書く量が多いのは法学部(日本語50字以内の要約・説明が3年連続)と理工学部(記述が4問→5問→6問と毎年増加、和訳が毎年1文)です。商・文・情報コミュニケーション・総合数理・農は語形変化や1語記入が中心で、和訳・自由英作文は3年間出ていません。
4. 併願するなら、どの学部とどの学部が近いか
日程は重なりません。だから止めどきを自分で決めます
2027年度は2月5日に全学部統一、そのあと2月7日から17日に学部別が1日1学部で10日程並びます(2月12日のみ試験なし)。順に理工、情報コミュニケーション、国際日本、経営、政治経済、文、法、農、商、総合数理です。重なる組み合わせが一つもないので、制度上は10学部すべてに出願できます。ただし出願できることと対策が間に合うことは別です。
中身が共用できる組み合わせ
- 法+情報コミュニケーション 英語の形式は別物ですが、どちらも国語は漢文なしで記述が軽く、古典の学習をそのまま共用できます。
- 漢文なしの学部どうし 法・商・政治経済・経営・国際日本・情報コミュニケーション・農は、漢文に時間を割かない前提で計画を組めます。
- 全学部統一+学部別 受験機会をいちばん増やせます。全学部統一は1回で複数学部の判定を受けられ、2月5日に本番を経験できる利点もあります。
注意が要る組み合わせ
- 文学部を含む併願 文学部だけ漢文が要ります。文学部のためだけに漢文を記述まで仕上げる必要があるかを、先に考えてください。
- 経営学部を含む併願 学部別も共通テスト併用型なので、共通テストの受験が必須になります。
- 理工+総合数理 日程は2月7日と17日で離れていますが、数学は90分・120点と120分・200点で難度も解答形式も違います。別々の対策が要ります。
- 地理で受験する人 法学部と情報コミュニケーション学部は地理で受けられません。
- 同一学部内の学科併願 同じ学部の複数の学科・専攻は併願できません(方式をまたぐ併願は可能)。専攻が14に分かれる文学部は、出願時点で一つに決める必要があります。専攻によって合格最低点は15点ほど違います。
なお明治の学部別入試には、複数の学部が同じ問題を使う組み合わせが一つもありません。過去問は受ける学部のものだけが本番と同型です。そのかわり学部ごとの形式が3年間ほとんど動いていないので、3年分を3周すれば本番がほぼ再現できます。他大学との比較はGMARCHの英語を比べた記事もどうぞ。
5. 学部を決めきれていない人は、いつまでに何を決めるか
決める順番があります。上から順に片づけてください。
- まず選択科目を決める いちばん早い期限です。地理を選ぶと法学部と情報コミュニケーション学部が消え、数学を選ぶと法学部と文学部が消えます。候補が科目で消えないか先に確認を。
- 共通テストを受けるかを決める 経営が候補に入るなら、学部別も共通テスト併用型なので、共通テストは受ける前提で年間計画を組みます。
- 漢文をやるかを決める 文学部を受けるかどうかで国語の学習計画が変わります。受けないと決めたら、その時間は現代文の速読と古文の基本に回せます。
- 記述・論述の型を作り始める 政治経済学部の日本史150字と世界史220〜260字、情報コミュニケーション学部の政治・経済の60〜90字は、秋までに書き始めないと間に合いません。候補に入っているなら早めに着手します。
- 最後に全学部統一を使うかを決める 法・商・文・総合数理なら出願の価値が高く、経営・情報コミュニケーション・国際日本なら学部別を軸にする。ここは出願期間に間に合えば十分です。
目標点の置き方だけ補足します。2026年度の合格最低得点率は、学部別で6割台後半から7割台前半、全学部統一で7割台後半から8割台でした。学部別なら最低点の1割増し、全学部統一なら最低点+数点を目標にしてください。大学ごとの違いを横に並べたい方は、大学別の傾向と対策まとめもどうぞ。
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