こんにちは、EIMEI予備校で英語科を担当している二神です。
この記事は、東洋大学を第一志望または併願先に考えている高校3年生・既卒生と、その保護者の方に向けて書いています。全科目ではなく英語1科目だけを深く扱います。東洋大学の英語は、60分の割り方・目標得点・過去問の集め方を決めた人とそうでない人で、同じ学力でも点差がつく試験です。
EIMEIでは大学ごとに入試対策読本を自作しています。東洋大学の読本は2022〜2024年度の一般選抜前期日程の問題冊子・約150冊を確認して作り、英語は25冊(実質13種類の問題)を分析しました。以下はその実測値です。
まず基本形|60分・大問5題・全問マーク・解答数37〜45
- 試験時間:1時限60分(1科目)
- 解答方式:全問マークシート。記述は一切なし
- 配点:1科目100点が基本(方式によって特定科目を2倍にする)
- 大問数:5題(Ⅰ・Ⅱ長文読解/Ⅲ文法語法/Ⅳ会話文/Ⅴ整序英作文)
- 解答数:37〜45
- 出ないもの:発音問題、自由英作文、物語文・小説
ここから最初の計算ができます。60分で37〜45問なので1問あたり80〜97秒。読本が全科目共通の原則として置く「1問70〜100秒」の帯です。つまり難問を粘る試験ではなく、標準的な問題を止まらずに処理し切る試験です。
もうひとつ大事なのが全学統一問題という仕組みで、同じ試験日なら学部・学科が違っても英語は一字一句同じ問題が配られます。学部・方式・配点は年度ごとに変わるので、自分が受ける年度の要項で必ず確認してください。
大問ごとに、何が出て、何問で、何分か
Ⅰ・Ⅱ 長文読解|各600〜700語、設問9〜14問、各18〜20分
長文が2題。1題600〜700語、設問は各9〜14問。素材は海外ニュース・エッセイ(CNN、NYT、BBC系など)からの説明文で、心理学・動物行動・考古学・歴史・時事社会問題が中心。「データを説明する文」と「エピソード性のある文」の組み合わせが多く、物語文は出ません。
設問は下線部の言い換え、空所補充(語彙・接続詞)、内容一致(複数選択・真偽判定)が柱で、背景知識より該当箇所を素早く探して選択肢と照合する力が問われます。特に内容一致の「三つ選べ(四つ以上マークすると無効)」が毎回1問程度あり、取りこぼしの温床です。選択肢を本文の段落に対応させて1つずつ判定してください。目安は各18〜20分(読本の標準は19分ずつ)。
Ⅲ 文法語法|8〜12問、6分
単文の空所補充で8〜12問。時制・仮定法・関係詞・分詞構文・比較・熟語という定番が並び、標準レベルで形式が年度をまたいで安定しています。読本の位置づけは「拾う。満点を狙う」。目安6分=1問30〜45秒。
Ⅳ 会話文|5〜7問、5分
旅行・病院・カフェ・学校などの日常会話で、8〜9個の選択肢群から空所に当てはめる形式。5〜7問。確実なものから埋めて消去法で詰めると速くなります。目安5分。
Ⅴ 整序英作文|6〜7問、6分(日程により有無)
6〜7問。和文に対応させる形式で、「語群から空所に入る語を選ぶ」型と「並べ替えて指定位置の語を選ぶ」型が日程によって混在します。基本文法が固まれば得点源。目安6分。
語彙・文法と長文の比重を、分母つきで見る
- 知識系3題(Ⅲ+Ⅳ+Ⅴ):8〜12問+5〜7問+6〜7問=19〜26問
- 長文2題(Ⅰ+Ⅱ):9〜14問×2=18〜28問
つまり解答数37〜45問のうち、知識系と読解はほぼ半々です。読本の別冊(私大グループ別の傾向分析)でも東洋大学は「読解と知識問題がほぼ半々」、日東駒専全体でも語彙・文法の独立小問が3〜5割を占めるのが標準です。
ところが時間は半々になりません。知識系3題は合計17分(6+5+6)、長文2題は合計38分。問題数はほぼ半々なのに時間は長文に2倍以上、配点でも長文が半分以上を占めます。知識系の3題は、点を取るだけでなく長文のための時間を作る大問です。文法語法が標準レベルで形式も安定しているのは、「ここで時間を稼げ」という設計だと読んでください。
日程で設問構成が変わる|整序英作文の有無
見落としやすいのが、日程によって大問数そのものが変わった年があることです。読本の分析では2022年度は2月8日と2月11日にだけ整序英作文があり、他の日程にはありませんでした。同じ年度に4題構成と5題構成が混在していたということです。2023年度以降は整序英作文がほぼ全日程に定着し、5題構成が標準になりました。
同じ年度でも、解く日が違えば別問題・別の設問の作り方です。2022年度のセットを解いて「60分で余裕がある」と判断すると本番の5題構成で崩れるので、2022年度はⅤがある前提で時間を厳しめに設定してください。
過去問は「学部別」ではなく「日程別」に集める
約150冊を突き合わせて分かった規則は2つです。同じ年度・同じ試験日なら、学部・学科・3教科型か4教科型かにかかわらず問題は一字一句同じ。試験日が違えば完全に別の問題。
つまり文学部の過去問と、同じ日に試験がある経済学部の過去問を解くのは同じ問題を二度解くことです。集め方は次の順です。
- 自分が受ける日程(たとえば2月9日)の問題を、学部を問わず集める。同じ日の別学部の冊子は重複なので1冊でよい
- その日程の直近3年分を、時間を計って解く
- 複数日程を受けるなら、日程の数だけ演習量が必要。2日程で6セット、3日程で9セットが目安
- 形式は日程をまたいで共通なので、自分の日程の分が足りなければ他の日程のセットで形式慣れを補う
解く順番は、新しい順ではなく古い順に解き、最新年度を最後に残す。最新年度が本番に最も近い形式なので、仕上がった状態で解くほうが予行演習になります。日程の選び方は東洋大学の日程別の考え方にまとめました。
長文のテーマ傾向|「もの・習慣の歴史」が3分の1
別冊では2020〜2024年度の東洋大学の長文32パッセージを分類しましたが、11本、約3分の1が歴史・文化系でした。日東駒専の4大学で最も文化史に寄っています。実際に出たのは、塩の世界史、日本のプリン受容史、古代エジプトの暦、フェラーリのロゴの起源、バスケットボール発明秘話、浮世絵が西洋美術に与えた影響。「もの・習慣の起源と広がり」を追う説明文が絶え間なく出ます。
第二の軸は教育・学び(幼児の読字習得、メンター論、Z世代のYouTube独学)。近年は先史時代の女性も狩猟をしていたという通説の見直し(2024年度)、AI介護ロボット(2023年度)、デジタルフットプリント(2024年度)という現代的なテーマも増えています。
EIMEIでは、全国約190大学の入試英語(2007〜2026年度)から作った415題・約86万語のコーパスをもとにテーマ別の頻出英単語帳も自作しています。その集計と重ねると優先順位が決まります。
- 歴史・文化・人類学:415題中125題で最多。century、museum(35回)、traditional、ancient が上位。東洋大学の長文32本中11本がこの系統なので最優先
- 心理・脳科学:104題で最大勢力。brain がテーマ別集計で最頻出の内容語。東洋大学の素材にも「心理学」が明記されています
- 生物・生態系:animal(50回)、plant(57回)、tree(46回)。東洋大学の「動物行動」はこの語彙群
- AI・情報技術:全国的に2025〜26年度で急増。東洋大学でも介護ロボットとデジタルフットプリントが既出
- 物語・エッセイの語彙:コーパスでは101題と多いものの、東洋大学は物語文・小説が出ません。優先度を下げてよい
読み慣れの作り方も具体化できます。「食べ物・道具・習慣の起源をたどる英文」を週に2本。これが東洋大学の長文で最も既視感を作れる読み方です。グループ全体の整理は日東駒専の英語のまとめにあります。
1分あたり何語を処理するのか、計算する
- 長文は1題600〜700語が2題=合計1,200〜1,400語
- 長文に充てる時間は各19分=合計38分
- 1,200÷38=約32語/分、1,400÷38=約37語/分
必要な処理速度は1分あたり32〜37語。ただしこの38分には設問を読んで照合する時間も含まれます。もう一段分解して1題19分を本文9分・設問10分と割ると、本文を読む速さは600÷9=約67語/分、700÷9=約78語/分。返り読みをせずに読み進めて、この帯です。
使い方は単純で、手元の長文教材で600語の英文を9分以内に1回で読み切れるかを測ってください。15分かかっているなら60分は物理的に足りません。足りないのが語彙か、文構造の把握か、返り読みの癖かで手当てが変わります。切り分け方は英語が時間内に解き終わらないときの考え方に書きました。
60分の使い方と、目標得点の作り方
読本の標準はⅢ文法(6分)→Ⅳ会話(5分)→Ⅴ整序(6分)→Ⅰ長文(19分)→Ⅱ長文(19分)→見直し・マーク確認(5分)。長文は設問を先に読んでから本文の順で。最後の5分は必ずマーク確認に。「三つ選べ」で四つ塗って無効、解答欄がずれて全滅という失点は毎年起きています。
- 素点で7割が基本の目標
- 内訳は文法・会話・整序で9割、長文で6割
- 英語重視方式で出願するなら英語は8割
「7割」の根拠も書いておきます。東洋大学が公表する合格最低点は300点満点の表示で156〜189点、率では52〜63%。ただしこれは調整後の点数で素点そのものではなく、「最低点が180点だから素点6割でいい」とは読めません。全問マークで標準的な難度なので受験者平均は素点5〜6割の帯と見込まれ、そこを確実に上回る位置として素点7割を置いています。最低点が180点前後の人気学科なら7割5分です。
英語重視型の考え方も整理します。東洋大学には3教科均等配点(300点満点)のほか、英語を2倍にする3教科英語重視(400点満点)や最高得点科目を2倍にする方式が並びます。2倍の科目では1問が他科目の2問分なので、英語8割・他2科目6割5分は3科目すべて7割と合計では同じところに着地します。苦手科目を7割に上げるより、得意な英語を8割に伸ばすほうが現実的なことは多いはずです。同じ学科に複数方式で出願できる場合が多いので、英語が得点源なら均等配点と英語重視の両方に出すのが定石です。ただし方式の組み合わせは学部ごとに違うので、要項で必ず確認してください。
英語外部試験のスコアを持っている人へ
東洋大学の前期日程には英語外部試験のスコアを利用できる制度があります。英検などのスコアを持っている人は、自分の学部が対象か、どう換算されるかを要項で確認してください。対象学部や換算表は年度で変わるため、読本もこの記事もそこには踏み込みません。大きいのは準備時間の配分が変わる可能性があることで、使えるなら英語に充てるはずだった時間の一部を選択科目に回せる場合があります。確かめないまま10月・11月を過ごすのが一番もったいないのです。外部スコアの使われ方は英検などの外部スコアの記事にまとめました。
東洋大学を受けるなら、最低限やっておくこと3つ
- 自分が受ける日程の過去問を、直近3年分、時間を計って解く。学部ではなく日程で集める。2日程受けるなら6セット
- 文法・会話・整序の3題を、合計17分以内で終える練習をする。文法問題集を1冊、空所補充の形式で仕上げること
- 整序英作文を、和文からの語順再現として毎日2問。形式が固定されているので積み上げがそのまま点になります
そして過去問は点数だけを記録しないでください。「時間内に最後まで到達したか」「飛ばした問題は何問か」「マークミスはなかったか」も一緒に記録します。東洋大学の対策では点数より先にこの3つが改善していくのが正しい順序で、時間内に到達できてから分野別の穴を埋めます。
残り3か月の優先順位
10月|速さの土台を作る 600語の英文を9分で読み切る練習を週3本、時間を計って。文法問題集を空所補充形式で1周。単語は歴史・文化系と心理系を優先。そして受ける日程を決め、過去問を日程別に集め始める(ここが遅れると11月以降がすべてずれます)。
11月|形式に慣れる 自分の日程の過去問を古い年度から1セットずつ、必ず60分を計って通しで。整序英作文を毎日2問。「三つ選べ」を段落対応で判定する型を固める。2022年度のセットはⅤがある前提で時間を厳しく。
12月|1周目を終わらせる 受ける日程の3年分を12月中に1周目完了(複数日程なら日程の数だけ)。2周目は間違えた大問だけ、3周目は最新年度だけを本番の時刻に合わせて。大問別に採点して「文法・会話・整序で9割」を確認します。
1月以降は共通テスト利用や併願校と重なります。東洋大学は同じ試験日に複数学科・専攻を併願でき、同じ日に複数学科を出す併願なら問題が1種類なので対策の負担は増えません。全科目のまとめは東洋大学の傾向と対策にあります。
最後に一つ。制度・日程・配点・出題傾向は毎年変わります。出願前に必ず大学の最新の入学者選抜要項で確認してください。勉強が思うように進まない時期が続くときは、一人で抱えず学校の先生や保護者の方に早めに相談してください。
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