【川越の高校生へ】共通テスト利用入試の使い方|私大併願の組み立て方と「何科目型を選ぶか」の判断基準

こんにちは、EIMEI予備校の二神です。

この記事は、川越とその周辺の高校に通っていて、共通テスト利用入試を使って私大の併願を組み立てたい高2・高3生と、その保護者の方に向けて書いています。「共テ利用は倍率が低いから得」という話はよく聞きますが、実際の数字を並べると、そう単純ではありません。

この記事の倍率・得点率・科目構成は、EIMEI予備校が作成した大学別の「入試対策読本」に載せた各大学の公表値です。

まず「共テ利用」「共テ併用」「一般方式」を区別する

言葉が似ているので、最初にここを揃えます。

  • 一般方式(独自試験のみ)…大学が作った問題を、大学の会場で解く。共通テストは使わない
  • 共通テスト利用…大学独自の試験が一切ない。共通テストの得点だけで合否が決まる
  • 共通テスト併用…共通テストの指定科目と、大学の個別試験を合計する

青山学院大学はこの三つを「三つの入口」と呼び、必要な力も倍率も対策の中身も違うと位置づけています。全学部日程はマーク式3教科、個別学部日程は学部により和訳・計算過程・論述、共通テスト利用は「対策は共通テストそのもの」です(青山学院大学の記事)。中央大学の併用方式は、個別試験が一般方式と同じ問題なので追加の対策が不要です。

注意したいのが、そもそも共テ利用がない大学があることです。慶應義塾大学は10学部すべてに共通テスト利用も併用方式もありません。逆に明治大学の経営学部は、2026年度から学部別入試の2方式ともが共通テスト併用型になりました。経営学部を学部別で受けるなら、共通テストの受験が必須です。国際日本学部にも併用型があります。

共テ利用は本当に「入りやすい」のか。倍率と得点率を分けて見る

まず倍率です。2026年度の数字を並べます。

  • 青山学院大学…一般方式5.3倍に対し共通テスト利用3.9倍。合格者は一般方式5,282人に対し共テ利用が5,676人で、合格者の半分以上が共テ利用から出ています
  • 立教大学…一般入試5.1倍に対し共通テスト利用3.7倍
  • 中央大学…一般方式4.3倍に対し共通テスト利用3.4倍
  • 早稲田大学…文学部は一般10.9倍に対し共通テスト利用方式4.6倍。文化構想学部は10.5倍に対し4.4倍

確かに共テ利用のほうが低い。ただしここに二つの落とし穴があります。

落とし穴1|倍率の定義が違うので、単純に比べられない

中央大学は入試結果データの注記で、この点をはっきり書いています。一般方式など4つの方式は受験者数÷合格者数ですが、共通テスト利用選抜だけは志願者数÷合格者数です。大学での試験がないので、受験者数という概念がないからです。つまり共テ利用の倍率には、一般方式なら欠席者として分母から抜ける人が入ったままです。立教も同じ。「3.4倍対4.3倍だから共テ利用のほうが入りやすい」という読み方は成り立ちません。

落とし穴2|倍率は低くても、必要な得点率は高い

学習院大学は合格最低点を0.1点刻みで公表しています。独自試験(コア・プラス)はおおむね55%から71%。これに対し共通テスト利用は71%から83%です。文学部哲学科83.0%、法学部82.0%。文系のコア試験が55%〜60%台前半なのと比べると、差は歴然です(学習院大学の記事)。

青山学院も同じで、共通テスト利用の合格最低点はほとんどの学部・方式が77〜88%(文学部日本文学科87.8%)。読本では「8割台前半が最低ライン」としています。早稲田の文学部も、一般68%に対し共通テスト利用方式74%です。

結論は一つです。共通テスト利用は「倍率が低い代わりに、要求される得点率が高い」方式です。ラクな入口ではなく、共通テストで高得点を取れる人に有利な入口だと理解してください。

科目数を1つ増やすと、倍率は1〜3ポイント下がる

ここが共テ利用でいちばん大きい論点です。同じ学科でも、何科目型で出すかで倍率がまったく違います。

立教大学|3科目型と6科目型の差

立教の共通テスト利用には3科目型・4科目型(理学部・環境学部)・6科目型があります。2026年度、同じ学科で並べるとこうなります。

  • 異文化コミュニケーション…3科目型6.6倍→6科目型2.8倍(−3.8)
  • スポーツウエルネス…6.6倍→3.1倍(−3.5)
  • 現代心理・心理…5.3倍→2.9倍(−2.4)
  • 経営…7.1倍→4.9倍(−2.2)
  • 法・法…3.5倍→2.3倍(−1.2)
  • 文・史…3.0倍→2.0倍(−1.0)

読本で並べた学科は、ほぼすべてで6科目型のほうが低くなりました。理由は単純で、6科目を高い水準でそろえられる受験生が少ないからです。理学部も4科目型と6科目型で、数学科3.5倍/2.4倍、物理学科4.8倍/3.5倍と同じ傾向です。

ただし例外があります。文学部英米文学専修は3科目型2.0倍に対し6科目型2.6倍、経営学部国際経営学科は5.1倍に対し6.1倍で、逆転しています。志望学科の数字は必ず自分で確認してください立教大学の記事)。

法政大学|B方式5.4倍、C方式2.6倍

法政の共テ利用は、3教科のB方式と6教科7科目のC方式の2つ。2026年度はB方式が3.6倍から5.4倍へ跳ね(合格者が36.8%減)、C方式は2.4倍から2.6倍でほぼ横ばいでした。C方式の2.6倍は法政の全方式で最も低く、検定料18,000円で法政で試験を受ける必要がなく、2月の日程を1日も使いません法政大学の記事)。

中央大学|法学部法律学科は5教科型1.7倍、3科目型5.1倍

中央も同じです。法学部法律学科は5教科型1.7倍に対し3教科型5.1倍。しかも募集人員は5教科型のほうが115名と圧倒的に多く設定されています。文学部の4教科型(専攻フリー)は2.2倍、国際経営学部は4教科型2.0倍に対し3教科型4.0倍でした。

得点率も、科目数が多いほど下がる

倍率だけでなく、合格最低点の得点率も同じ方向に動きます。

  • 青山学院…法学部法学科は3科目型82.4%に対し5科目型77.4%。教育人間科学部教育学科は3科目型83.0%に対し5科目型78.7%
  • 学習院…経済学部は4科目型80.1%に対し6科目型74.0%。文学部教育学科の5教科型は71.2%で、学習院の共テ利用で最も低い数字

科目数を増やすと平均は下がるので当然ではありますが、広く浅く取れるタイプの受験生には多科目型が有利だということがはっきり出ています。

何科目型を選ぶか。判断基準は5つ

基準1|共通テストを何科目受けるか。ここがすべての出発点

国公立を併願していて共通テストを5〜6科目しっかり受けるなら、多科目型は迷わず出願候補です。立教の6科目型、法政のC方式、中央の5教科型・4教科型は、いずれも国公立併願層の枠です。逆に3科目しか受けないなら、多科目型は選択肢に入りません。ここを決めるのが先です。

基準2|私大専願の3科目型は「一般方式より厳しい」ことがある

立教の2026年度、共テ3科目型の異文化コミュニケーション6.6倍・スポーツウエルネス6.6倍は、一般入試(それぞれ6.6倍・6.1倍)と比べて、異文化はほぼ同水準、スポーツウエルネスは共テ3科目型のほうが高い結果でした。「共通テスト利用は一般入試より入りやすい」と一律に考えるのは誤りです。

基準3|数学があるかどうかで、選べる方式が半分変わる

学習院の共テ利用は、経済学部が4科目型・6科目型とも数学Ⅰ・A必須。国際社会科学部の4科目型も同じです。「私大文系だから数学は要らない」という思い込みで、学習院の共通テスト利用の半分が視界から消えます。逆に、共通テストで数学を取る予定がある受験生にはここが狙い目です。

基準4|苦手科目を避けられる方式がないか探す

学習院の理学部生命科学科の3教科4科目型は国語がありません。外国語200・数学2科目・理科1科目の600点満点です。

法政のB方式は、英語のリーディングとリスニングの配点内訳が学部で大きく違います。国際文化は75点/75点、人間環境は50点/50点、理工は75点/25点、デザイン工のシステムデザインは160点/40点。同じ共通テストの点でも、出願する学部で有利不利が変わります。

基準5|「押さえ」として得点率が低い方式を1本入れる

青山学院の共テ利用で唯一7割台前半なのが、理工学部物理科学科の71.2%です。他がほぼ77〜88%の中で、ここだけ際立って低い。理工志望で共通テストを受けるなら、押さえとして出願候補に入れる価値があります。

一般方式と共テ利用を、どう組み合わせるか

ここまでの基準を、出願の形に落とします。

型1|国公立併願(共通テストを5〜6科目受ける)

共テ利用の多科目型を軸にし、一般方式を1〜2回足すのが基本形です。

  • 立教…6科目型を軸。3科目型より倍率が0.9〜3.8ポイント低い。加えて一般入試を1〜2回
  • 法政…C方式(2.6倍)を軸に、B方式を1つ足す。C方式どうし・B方式どうしは併願できませんが、またげば併願可
  • 中央…法学部5教科型(1.7倍)、文学部4教科型(2.2倍)。手応えが悪かった場合に備えて2月9日の5学部共通選抜も押さえる

検定料も軽い。中央の共テ利用は15,000円、法政・立教・学習院は18,000円で、独自試験の35,000円の半分以下です。

型2|私大専願(共通テストは3科目)

共テ利用は押さえとして1〜2本にとどめ、主戦場は一般方式に置きます。理由は基準2のとおりで、3科目型は一般方式と変わらない倍率になっていることがあるからです。

青学の読本が挙げる型もこの形です。全学部日程1回で複数学部に出願し、第一志望の学部だけ個別学部日程でも受ける。全学部日程は1種類の過去問で全学部に対応できます。ただし募集5名の学科は倍率が跳ね上がります(文学部比較芸術12.4倍、英米文10.6倍)。

型3|共通テストの手応えが読めない

共通テスト併用型を検討してください。中央大学の法学部の併用方式は2.2〜2.9倍で、個別試験は英語だけ。共通テストで国語や地歴が取れていて英語も戦えるなら、いちばん通りやすい入口です。ただし同じ併用方式でも理工系3学部は4.2〜6.9倍と混んでいます。

型4|国公立の結果を待ちたい

成蹊大学のP方式は、共通テスト5科目に独自試験1科目を加える「国公立併願アシスト入試」で、手続締切が3月11日と遅く、国公立の結果を待てます(理工学部を除く5学部、25,000円)。

出願の実務。ここで落とす人がいます

締切が共通テスト本番より前の大学がある

これがいちばん多い事故です。学習院の共通テスト利用の出願締切は1月15日。コア試験・プラス試験の1月19日より4日早く、共通テスト本番(1月17日・18日)より前です。自己採点を見てから出すことはできません。成蹊のC方式も同じで、2027年度は1月15日締切、共通テストは1月16日・17日です。出願するかどうかを共通テスト前に決めておく必要があります。

逆に遅いのが中央大学で、共通テスト利用の前期が2月5日、後期は2月20日締切。ただし理工系3学部には共通テスト利用の後期がありません。

指定より多く受けておくと有利になる大学がある

立教は、指定した科目数より多く受験した場合、高得点の科目を抽出して使います。共通テストで多めに受けておくことが、そのまま有利に働きます。

共テ利用では得点調整がない

立教は一般入試で得点調整(偏差値法)を行いますが、共通テスト利用入試は「本学独自の得点調整は行いません」と明記。法政もB方式・C方式では標準化を行いません。共テ利用は素点勝負です。

そもそも実施されていない学科がある

学習院で共通テスト利用がないのは、経済学部経営学科、文学部日本語日本文学科・心理学科、理学部物理学科・数学科、国際文化交流学部の全3学科です。募集人員も3名から15名と小さい。法政のC方式は国際文化学部とGISが実施していません。志望学科の行で確認してください。

また慶應義塾大学には共通テスト利用がないため、安価な共テ利用で併願本数を稼ぐことができません。検定料は1学部35,000円(医学部60,000円)です。

数字を読むときの注意

  • 合格最低点を公表しない大学がある。立教も中央も非公表。予備校の予想ボーダー得点率は次年度の予想値であって入試結果ではありません
  • 年による振れが大きい。学習院の2026年度は、経済学部の共テ6科目型が志願者+124.8%だった一方、文学部フランス語圏文化は−71.4%。母数が小さく毎年大きく動きます。前年の倍率で志望校を決めてはいけません
  • 「共通テスト利用方式」という名前でも中身が違う。早稲田で単独の共通テスト利用入試があるのは6学部で、文・文化構想の「共通テスト利用方式」は学部独自試験と組み合わせる別のものです

川越の高校生へ。出願に落とす順番

  1. 共通テストを何科目受けるかを決める。ここで使える方式の範囲が確定します
  2. 志望学科に共テ利用があるか、何科目型があるかを要項で確認する
  3. 3科目型と多科目型の倍率・得点率を、志望学科の行で比べる。例外があるので大学全体の傾向で決めない
  4. 数学・国語・リスニングの配点を見て、自分が有利な方式を選ぶ
  5. 締切をカレンダーに書き出す。共通テスト本番より前に締め切る大学があります
  6. 一般方式を何回受けるかを決める。共テ利用を主戦場にできるのは、共通テストで8割前後が見込める人です

そして最後に一つ。共テ利用の対策は、共通テストそのものの対策です。私大の独自試験の過去問をいくら解いても、共テ利用の点は上がりません。どちらに時間を割くかは、出願の形を決めてからでないと決まりません。

EIMEI予備校の指導

EIMEIでは、大学別の入試対策読本をもとに出願の形を先に作ってから学習計画を立てます。ここが決まらないと1年の時間配分が決まらないからです。英語については大学別の予想問題をオリジナルで作成し、1対1の個別指導で答案から弱点を特定しています。

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※本記事の倍率・得点率・科目構成は、EIMEI予備校が作成した大学別入試対策読本に収録した各大学の公表値(2026年度入試)にもとづきます。入試制度・日程・配点は毎年変わります。出願前に必ず大学の最新の入学者選抜要項をご確認ください。

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二神大輝