英文和訳(下線部訳)の書き方|点が入る4条件と6つの手順、減点されやすい6つ|川越の予備校が解説

この記事は、志望校の英語に「下線部を日本語に訳せ」という設問がある高校生・既卒生に向けて書いています。マーク式の問題集だけを回してきた人が和訳でつまずく箇所と、その直し方をまとめます。

和訳はセンスで決まる設問ではありません。採点者が見る場所は決まっているので、手順を固定すれば点は動きます。逆に、手順を持たないまま「なんとなく意味は分かる」で書くと、毎回同じ理由で削られます。

まず確認:和訳は、どの学部で出るのか

「国公立は記述、私立はマーク」という思い込みが対策の順番を狂わせます。私立にも和訳を書かせる学部があり、国公立にも和訳を出さない大学があります。EIMEI予備校では大学ごとに入試対策読本を自作していて、問題冊子を数えた実測値があります。

私立で和訳が出る学部

  • 中央大学 法学部:英語90分150点のうち記述が60点(和訳30点+和文英訳20点+語彙記述10点)。大学公表の出題の意図には「指定された英文を日本語に訳す問題」「その内容を自然な日本語で適切に表現する力を問う」と書かれています。
  • 中央大学 経済学部Ⅰ・Ⅱ:下線部和訳と和文英訳が出ます(配点は非公表)。2026年度に、独立していた和訳の大問が長文の中に吸収されました。なお中央で記述があるのは法・経済・商の3学部だけで、5学部共通選抜・文・総合政策・国際経営・理工系3学部は全問マークです。
  • 立教大学 文学部 2月11日:立教で独自の英語を解くのはこの日程だけです。大問Ⅰ・Ⅱのどちらか一方に和訳が1問入り、条件は「30字以内で和訳せよ。ただし、句読点は合計字数に含まれる」。英文自体は10語前後の平易な一文ですが、字数が厳しい設問です。
  • 学習院大学 法・経済・文・理:マークが8〜9割で、記述は部分和訳が0〜2問。字数は句読点を含めて15字/20字/25字以内、書き出しや結びの語句が与えられることが多いです。完全和訳・説明記述・自由英作文は一切ありません。
  • 慶應義塾大学 文学部:約2,100語(2026年度は実測2,136語)の人文系評論1本に、下線部和訳2問が毎年固定。日本語の内容説明2問(100〜120字が1問+50〜75字が1問)と英作文1本も付きます。辞書2冊を持ち込んで120分ですが、英語の受験者平均は150点満点で67.13点(44.8%)。辞書があっても構文把握は救われません。
  • 慶應義塾大学 医学部:全問記述で90分150点・設問24〜32問。英文和訳3〜4問、和文英訳2〜3問、字数指定の日本語説明(25〜100字)2〜3問が同居します。

和訳が出ない学部もある

  • 慶應の法学部は全問マーク看護医療学部は71問すべて記号選択総合政策・環境情報は60問すべてマーク
  • 学習院の国際社会科学部は英語の設問文・図表つき長文・自由英作文で、和訳はありません。
  • 埼玉大学の前期(教養・経済・教育の3学部が同じ冊子)は2022〜2026年度の5年とも「長文2題(5択)+自由英作文120〜150語」で、和訳も要約も5年間一度も出ていません

線引きはここ

受ける予定の学部・方式の中に、和訳が1つでも出るものがあるなら練習は必要。1つもないなら、その時間は読む速さと語法・語彙に回したほうが点になります。単位は「大学」ではなく「学部・方式」です。中央を5学部共通選抜だけで受けるなら和訳は不要ですが、法学部を1つ足した瞬間に60点分が記述になります。

国公立は、二次の記述が「要約・和訳・内容説明・自由英作文」の4つの型の配合でできていると考えると整理が速いです。京都大学は下線部和訳と日本語の内容説明がほぼすべて、東京大学は大問4(B)が和訳枠、一橋大学は和訳と30〜80字の内容説明が中心。地方国立も、共通テストで測れない和訳・説明記述・自由英作文に特化する方向が鮮明です。

和訳で点が入る条件は4つ

採点は訳文の雰囲気ではなく、要素ごとに見られます。

  1. 文構造が取れている:主語と述語がどれか、どの語がどこにかかるかが訳文から読み取れること。ここを外すと単語が全部合っていても大きく削られます。
  2. 単語の意味を文脈に合わせている:辞書の第1義をそのまま置かず、その文章の話題に合う意味を選べていること。
  3. 指示語・省略を補っている:this、such、繰り返しを避けて消えた語などが、読んで分かる形になっていること。
  4. 日本語として成立している:主語と述語が対応し、修飾の係り先が一通りに読めること。中央大学の出題の意図でも求められているのは「自然な日本語」で、直訳を並べるだけでは伸びません。

この4つは独立です。自分がどの条件で落としているかを特定するのが、練習の中身になります

手順を6ステップで固定する

30〜40語の下線部で、1文あたり6〜8分が目安です。

①主語と述語を確定する(30秒)

最初にやるのは訳すことではなく、その文の述語動詞はどれか、その主語はどれかを決めることです。カンマや関係詞にまどわされず、文全体を支えている動詞を見つけ、等位接続詞で2つある場合は2つとも印をつけます。

②かたまりに切る(1分)

前置詞句、to不定詞、分詞、関係詞節、that節の単位でスラッシュを入れます。「The idea / that a language shapes the way / we see the world / has been debated / for a century.」のように区切ります。切れ目を紙に書くのが大事で、頭の中だけでやると長い文で崩れます。

③修飾の関係を決める(1〜2分)

切ったかたまりがどこにかかるかを決めます。「他の読み方もありうるか」を1回だけ自分に問うのがコツで、2通り読めるときは前後の文の内容が支える方を選びます。

④日本語の語順に並べ替える(2分)

英語の語順のまま置き換えるのをやめて、日本語として自然な並びに作り直します。後ろから訳す・前から訳すという機械的なルールではなく、修飾語を修飾される語の前に置く、長い修飾は文を切って分ける、という判断です。京都大学の対策は「構文より日本語の語順再設計の練習を」と言えるほど、ここが本体です。

⑤指示語を補う(1分)

this、such、doといった語が指す中身を、前の文から持ってきて訳文に入れます。基準は次に説明します。

⑥読み返す(1分)

英文を見ずに、自分の日本語だけを読みます。意味の通らない箇所、主語と述語が合わない箇所、係り先が2通りに読める箇所を直し、そのあとで英文と突き合わせて訳し漏れを確認します。

いきなり④から始める癖がある人は、①〜③を紙に書く工程を2週間だけ強制すると誤読が減ります。

減点されやすい6つと、その直し方

  1. 構文の取り違え:分詞構文を進行形と読む、that節の切れ目を間違えるなど。→ 述語動詞を全部丸で囲み、数が合うか確認する
  2. 多義語の訳し分け:soundを「音」、a good dealを「良い取引」と機械的に置くなど。→ 訳し終えたあとで、話題に合う意味かを1語ずつ点検する
  3. 無生物主語の処理:「The rain prevented us from going out.」を「雨が私たちを外出から妨げた」と書くなど。→ 主語を原因として訳し、人を主語に立て直す(「雨のせいで外出できなかった」)。
  4. 否定の範囲:「Not all birds can fly.」を「すべての鳥は飛べない」と訳すなど。→ 「すべてが〜ではない」と「すべてが〜ない」を区別する
  5. 比較の対象:thanの後ろの省略で、何と何を比べているかがずれます。→ than以下を省略なしの形に復元してから訳す
  6. 関係詞の先行詞:直前の名詞に飛びつくと、修飾語をはさんだ本来の先行詞を外します。→ 関係詞節を独立した文に書き戻し、主語に入れて意味が通る名詞を選ぶ

自分がどれを何回やったかを記録すると、次の1文で見るべき場所が決まります。①と⑥は文法の穴が原因のことが多いので、英文法の抜けの埋め方を先に済ませたほうが速いです。

指示語・省略は、どこまで補うか

補うもの

  • 下線部の中だけでは意味が決まらない指示語:this、these、such、the former、do soなど。指示内容の把握そのものが問われていることが多いからです。
  • 繰り返しを避けて消えた語:「He can speak French better than she can.」のcanの後ろなど。
  • 日本語にすると誰の行為か分からなくなる主語

補わないもの

  • 下線部の中に答えがある指示語:同じ文の名詞を指すだけなら「その」で足ります。
  • 本文に書かれていない説明:推測した背景知識を足すのは和訳ではなく説明です。足しすぎた分だけ減点されます
  • 三人称代名詞のすべて:theyを毎回固有名詞に置き換えると読みにくくなります。直前で明らかなら「彼ら」でよいです。

迷ったときの判断

「補った語を消しても、日本語だけで意味が決まるか」を確かめます。決まるなら不要、決まらないなら必要です。もう一つの目安は長さで、30〜40語の下線部なら訳文は60〜100字前後。大きく超えるなら足しすぎです。

字数指定があるときの扱い

実測値では、学習院の法・経済・文・理が句読点を含めて15字/20字/25字以内立教の文学部2月11日が30字以内(句読点を含む)。どちらも「訳し切る」のではなく圧縮するタイプです。

  1. まず字数を無視して削らない訳を作る。ここで構文と語義を確定させます。
  2. 点にならない語を落とす。「〜ということ」「非常に」などの緩衝語から削ります。
  3. 体言止め・漢語に置き換えて縮める。「なめらかにするために」→「平滑化のため」のように替えます。
  4. 書き出しや結びの指定があるなら、そこから逆算する。学習院では指定が多く、指定語につながる形を先に決めると迷いません。
  5. 最後に指で字数を数える。句読点が字数に含まれるかを必ず確認します。

30字以内は、練習しないとほぼ確実に字数オーバーします。和訳の問題集の模範解答を自分で30字に縮めてみるのが効率のよい練習です。訳す工程を省いて圧縮だけを取り出せます。15字・20字・25字の感覚を覚えるのが目的なので、1日5本でも効きます。

自分の訳を採点する4項目

和訳は添削がなくても自分で採点できます。模範解答と見比べるとき、見るのは次の4つだけです。

  1. 文の骨格が一致しているか:模範解答と自分の訳の主語・述語が同じか。違うなら語彙ではなく構文の問題です。
  2. 修飾の係り先が一致しているか:前の名詞にかかる句を、自分は動詞にかけていないか。
  3. 訳語の選択が一致しているか:違っていた語に印をつけ、辞書でその語の意味を全部読んで、なぜその意味が選ばれたのかを1行で書きます。これが多義語の対策そのものです。
  4. 補った情報の量が一致しているか:模範解答が補っていない指示内容を足していないか、逆に落としていないか。

○×ではなく4項目のどこが合わなかったかをメモする形にします。10本ためると、失点が構文なのか語彙なのか日本語なのかが偏って見えます。「構文」に偏った人は英語長文が読めない原因の見分け方で先に切り分けてください。

練習の回し方

1日1〜2文で足ります。ただし6ステップを全部やって、採点の4項目までやり切ります。訳す6〜8分+採点とメモ5〜7分で合計15分前後。増やすと訳すだけになって採点が飛びます。

週5日で5〜10文。加えて週1回、志望校の形式そのままで書く日を。中央大学の法学部なら、和訳と和文英訳を週に1本ずつ書いて誰かに見てもらう習慣を。60点分をマーク式の勉強で埋めることはできません。慶應の医学部のような全問記述なら、毎日1題ずつまで上げます。

使う英文の優先順位です。

  • 志望校の過去問の下線部。長さと抽象度が合っているので最も効率がいいです。
  • 同じ大学の別学部・別日程の英文。中央の経済Ⅰと経済Ⅱは大問構成と配点が同じ別問題で、片方が演習素材になります。
  • テーマを志望校に合わせる。慶應の文学部は人文系の硬い評論(2026年度は言語と思考)、立教の文学部2月11日は教養系ノンフィクション、学習院の4学部は科学・言語・文化・社会の一般向け読み物です。
  • 解説に「なぜその訳語か」が書かれている問題集。訳文だけの本では採点の③が使えません。

国公立で和訳が出る人は、要約・内容説明・自由英作文との配分も同時に決めます。型ごとの配分は国公立二次の記述で整理しています。

和訳の練習は、英作文にも効く

和訳と英作文は、同じ工程を逆向きに使う作業です。和訳で「文構造を決めてから日本語を組む」練習をすると、英作文でも「骨格を決めてから英語を組む」動きが出ます。主語と述語を先に決める癖が土台です。

和訳と和文英訳がセットの学部も多く、中央の法学部は和訳30点+和文英訳20点、学習院の4学部は部分和訳と1語ずつ記入する和文英訳です。片方だけ練習するのは、同じ配点枠を半分捨てるのと同じです。

最後に一つ。和訳に何分かけられるかは、マーク部分を速く終えられるかで決まります。時間が足りない人は、並行して処理速度も測ってください。うまく進まない時期が続くときは、一人で抱えずに学校の先生や保護者に相談してください。

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EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。

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