この記事は、川越・ふじみ野・鶴瀬のあたりから早稲田大学を目指す高校3年生・既卒生と保護者の方に向けて書いています。テーマは早稲田の英語だけです。「早稲田の英語」という一つの言葉で対策を考えている人が、自分の受ける学部に絞って準備を組み直せるように、問題冊子で確認した数字を並べます。
EIMEIでは大学ごとに入試対策読本を自作しています。早稲田については2024〜2026年度の問題冊子を科目別に確認し、英語は33冊ぶんでした。
早稲田の英語は「1つの試験」ではありません
先に結論です。学部が違えば別の試験です。試験時間・配点・大問構成・記述の有無まで違い、学部をまたいで共通と言える形式はほとんどありません。
- 法学部 90分・60点。長文2題(1000語超)、正誤指摘、短文空所補充、英作文2題。記述は英作文2題のみ。和訳・英訳・要約は3年とも出ていません。
- 商学部 90分・地歴公民型80点/数学型60点。Ⅰが職場を舞台にした会話文、Ⅱ〜Ⅴが長文4題。2026年度は15ページと3年間の最大。記述は整序英作文。
- 社会科学部 60分・60点。2026年度は長文4題のみ。正誤指摘は10問→6問→0問と縮小して消えました。記述はゼロ、完全マークで、設問文まで英語です。
- 文学部・文化構想学部(一般選抜) 90分・75点。Ⅰ空所補充14問/Ⅱ内容一致10問/Ⅲ文挿入7問/Ⅳ会話文7問/Ⅴ英語要約1問。設問番号1〜38まで両学部・3年とも一致。記述はⅤだけ。
- 教育学部A方式 90分・50点。3年とも長文3題のみ。会話文・文法・英作文の独立問題は一度も出ていません。記述ゼロ、全問マーク。
- 教育学部C方式(英語英文学科) Ⅰ読解(2つの英文を比較)/Ⅱ日本語論述180〜250字/Ⅲ英語論述150語程度。3年とも条件まで同じ。
- 国際教養学部 外国語80点が Reading 90分と Writing 60分に分かれます。Readingは記述ゼロ、設問文もすべて英語で全問マーク。Writingは全問記述、語数指定なし。
- 基幹理工・創造理工・先進理工 90分・120点。Part IからVの5部で全問マーク。3学部は同一の問題冊子です。
- 人間科学部 60分・50点。〔Ⅰ〕短文読解/〔Ⅱ〕前置詞の空所補充/〔Ⅲ〕誤文訂正で3年とも不変。全問マーク。
- 政治経済学部 学部独自の英語の試験はなく、共通テストの英語25点と総合問題120分100点。2027年度から共通テストの外国語が英語必須に変わります。
教育学部B方式の英語は上の分析では扱っていないので、要項と過去問で確認してください。学部全体の作りは早稲田の傾向と対策にまとめています。
「英語だけで決まる」学部はありません
英語が飛び抜けて重いのは商学部の地歴公民型(200点中80点)くらいで、それでも満点の4割です。法学部は英語60・国語50・選択40、教育学部A方式は3科目50点ずつの完全均等。しかも多くの文系学部には成績標準化があり、法・商・教育(A・B方式)・文・文化構想の一般選抜は全教科が対象です。目的の一つは配点の重みを合計点に適切に反映することなので、裏返すと1科目だけ大きく崩れたときの損失が素点で考えるより大きくなりえます。英語だけ積み上げて早稲田の国語や選択科目を放置すると、そこが足を引っ張ります。
逆に、英語で満点を取る必要もありません。2026年度の受験者平均点(素点)は、文学部の英語が75点満点で34.864点(46%)、法学部が60点満点で29.873点(50%)、社会科学部が60点満点で33.246点(総合問題型・55%)、国際教養学部の外国語が80点満点で42.824点(54%)。英語で7割取れれば、それだけで平均を大きく引き離せます。形式がまったく同じ文学部と文化構想学部でも平均は46%と57%で11ポイント開くので、自分の素点は「何割取れたか」ではなく「その年の受験者平均と比べてどうか」で見てください。
1分あたりに処理する語数で、時間配分を決める
落ちる一番多いパターンは、読めなかったのではなく最後まで届かなかった、というものです。
- 国際教養学部Reading 1本1200〜1500語を3本、13〜14ページ分を90分。合計3,600〜4,500語なので、設問を解く時間を含めて1分あたり40〜50語。読む速度そのものはこの倍近くが必要です。
- 法学部 長文2題で1000語超。マーク部分を60分以内に抜けないと英作文2題が書けません。語数指定はありませんが実際は1題150語前後で、2本を20分以内という想定です。
- 商学部 90分で会話文1つと長文4題、マークは100問超、記述5〜6カ所。長文1題15分で抜け、残りを会話文と記述に充てる配分。崩すと後半が丸ごと空欄になります。
- 社会科学部 60分で長文4題なので1題14分前後。
- 国際教養学部Writing 60分で3題。Ⅲは400〜500語の英文を日本語で要約します。
- 教育学部A方式 90分で長文3題、1題30分。ただし段落番号が[18]から[27]まで振られる分量で、読む持久力がそのまま点です。
- 人間科学部 長文は300〜500語で、2025・2026年度は6本。合計1,800〜3,000語に前置詞10問と誤文訂正を加えて60分。
語数の記載がない学部(文・文化構想・理工3学部)は、1題あたりの持ち時間から設計してください。やり方は英語が時間内に解き終わらないときで説明しています。
長文のテーマには、はっきりした学部色があります
法・商・社会科学の英語9冊を数えると、題材に偏りがありました。AI・生成AIが9冊中7回、環境・気候変動が4回、言語とアイデンティティ・教育と格差・先住民とマイノリティ・歴史と医療史が各3回、経済学とゲーム理論が2回。学部ごとの色も出ます。
- 文学部 文学・歴史・言語(タキトゥス、ベーオウルフ、浮世絵、英語史)。
- 文化構想学部 社会・現代思想(AI、ロヒンギャ、多文化主義、ガスライティング)。この2学部は言語と文化が3年連続です。
- 教育学部A方式 言語と認知が3年連続で必出。ほかにAI、脳科学、メディア、文化財返還。
- 国際教養学部 人文・科学史・思想史(ライデン瓶、日本の識字率、砂糖の世界史)。
- 理工3学部 情報セキュリティ、素数と暗号、食料安全保障、分子生物学。
- 社会科学部 国際政治、経済学、環境、先住民、言語。人間科学部は科学・時事ニュース系。
これを語彙の優先順位に翻訳します。EIMEIのテーマ別英単語帳は、全国約190大学・415題(約86万語)の入試英文コーパスの頻度集計をもとに12テーマ+共通語彙・約440項目に整理したものです。文化構想と社会科学ならAI・情報技術と社会・格差・多様性、文学部と国際教養なら歴史・文化・人類学(コーパス内で最多の125題)、教育A方式なら言語・コミュニケーションと心理・脳科学から入ります。
抽象度の高い話題は別に読本があります。全国約190大学と共通テストの英語長文1,005パッセージの主題分析から24概念を選んだもので、24章のうち11章に早稲田の出題が接点として挙がっています。2026年度だけでも、サンデルのメリトクラシー批判、資本と労働の分配をめぐるピケティの議論、「自然」という語の多義性が出ています。単語を知っていても、前提の考え方を知らないと筆者がどちら側に立っているのかすら分からない種類の英文です。
英語資格・共通テストで代わりになる部分
- 文学部・文化構想学部の英語4技能テスト利用方式 満点125点が国語75点と地歴50点で、英語は出願資格として使われます。スコアによる加点はありません。基準は実用英語技能検定2,200(各技能500)、TEAP280(65)、GTEC(CBT)1,100(250)、ケンブリッジ英語検定160(150)、IELTS(Academic)5.5(5.0)、TOEFL iBT 60(14)。TOEFL iBTは受験時期で扱いが変わります。2026年度の合格最低点は文86.0点(69%)、文化構想85.5点(68%)。
- 国際教養学部 こちらは出願資格ではなく、4技能テストのスコアが20点満点で加点されます。2026年度の受験者平均は14.143点(71%)。高いスコアを持った人が集まる方式なので差をつけるのは難しく、スコアがないと不利になります。
- 文学部・文化構想学部の共通テスト利用方式 共通テスト1教科1科目50点に学部独自の外国語75点と国語75点を加えるので、英語の試験はなくなりません。必要な得点率も文74%・文化構想72%で一般選抜より高いです。
- 法学部 外国語でドイツ語・フランス語・中国語を選ぶ場合、当該外国語の試験は行われず、共通テストの当該科目200点満点を配点60点に換算します(共通テストの受験が必須)。
- 共通テストの点が合否に直接入るのは政治経済・社会科学・国際教養・人間科学・スポーツ科学・教育C/D方式。ここを受けるなら共通テスト英語は切れません。
出願基準や配点は年度で変わります。上の数字をそのまま信じず、自分が受ける年度の入学者選抜要項で必ず確認してください。
併願するとき、英語の準備が重なるところ
早稲田は学部ごとに試験日が1日ずつで、日程が重ならなければ何学部でも併願できます。ただし対策の重さは学部数に比例するので、併願は「受かりそうな順」ではなく「対策が重ならない順」で組んでください。
- 重なる:文学部+文化構想学部 英語は大問構成も設問番号も同じで英文だけが別。互いの過去問が「もう一年分」として使え、3年分が実質6年分になります。ただし国語は共用できません。
- 重なる:教育学部C方式+A方式 C方式のPassage Aは同じ年度のA方式で出た長文とまったく同じ英文でした(2024年度はA方式のⅡ、2025年度はⅠ、2026年度はⅢ)。A方式の過去問が読解素材になります。
- 重なる:教育学部A方式+文または文化構想 どちらも英語90分・国語90分・地歴60分で時間感覚が近く、教育A方式は全問マークなので記述の負担が軽い。
- 重なる:共通テスト併用の学部を複数 政治経済・社会科学・国際教養・人間科学は共通テストが共用できます。
- 重ならない:法学部+商学部 法は150語前後の英作文を2本書く試験、商は熟語・句動詞の物量と整序英作文の試験。英語も国語も選択科目も別対策です。
- 併願できない:理工3学部 英語も共通問題ですが試験日が同じで、出願時に1学部を選びます。
方式別の違いは早稲田の学部別・方式別に整理しています。
早稲田を受けるなら、最低限やっておくこと3つ
- 受ける学部の英語を紙1枚に書き出す。試験時間、配点、大問構成、記述の有無、1題あたりの持ち時間。この5つが言えないうちは演習の効率が上がりません。
- 語彙を「配点の柱」として扱う。文・文化構想はⅠの空所補充14問が最大配点で、標準的な単語帳の外側の語が多い。国際教養Readingは語義問題だけで毎年25〜30問。理工3学部はPart Vの語彙パズル15問が、語を知らなければ丸ごとゼロになります。商学部は会話文に be at one’s beck and call、a no-brainer といった熟語が並び、人間科学部は熟語込みの前置詞語法が大問1つぶん。どの学部でも語彙から逃げられません。
- 記述がある学部は、型を先に作る。法学部は理由を二つ挙げて筋を通す150語前後を2本。文・文化構想は書き出しが与えられた要約を4〜10語で完成させ、本文から3語以上を続けて借りない。教育C方式は180〜250字の日本語論述と150語程度の1パラグラフ。国際教養Writingは主張・理由二つ・再主張の型と、グラフ描写の定型表現。型がないまま本番で考え始めると書き終わりません。
残り数か月の優先順位
過去問が3年分あるとして書きます。
- いちばん古い年度を、時間を計って1回解く。素点を出して上の受験者平均点と比べると、「平均を超えている形式」と「大きく下回っている形式」が分かります。
- 下回った形式だけを潰す。秋に全範囲をやり直す時間はありません。文・文化構想なら和訳・発音アクセント・文法単独問題は3年12冊のどこにも出ていないので、やらなくてよい範囲です。
- 2番目に古い年度を11月から12月に解き、時間配分を固定する。「1題何分」を守れなければ、捨てる基準を決めます。
- いちばん新しい年度は1月後半まで取っておき、本番と同じ時間割で解く。文と文化構想を併願する人は英語だけもう3年分あります。
理工3学部には標準化の記載がないので、合格最低点をそのまま素点の目標にできます。基幹理工学部の2026年度は360点満点で206〜221点。235点(65%)を目標に置くと、英語は120点満点で65〜75点(54〜63%)でよい計算です。満点を狙う設計は要りません。
本当にやらなければならないのは「自分が受ける学部の英語」だけです。早稲田の英語対策が重く感じるのは、学部をまたいで全部やろうとしているときです。勉強が思うように進まない時期が続くときは、学校の先生や保護者の方、専門の相談窓口に早めに相談してください。
EIMEI予備校の川越校舎は川越駅から徒歩5分、自習室は朝7時から使えます。受ける学部が決まっている人には、その学部の英語に合わせて進め方を一緒に決めていきます。
あわせて読みたい
EIMEI予備校について
EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。
- 川越校舎(2026年6月開校)川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えます。
- ふじみ野校舎 ふじみ野駅東口から徒歩1分。
- 鶴瀬校舎 鶴瀬駅西口から徒歩3分。
川越校舎の詳細・無料体験のお申し込みはこちら/ふじみ野・鶴瀬校舎のことは公式LINEからお問い合わせください。
