早稲田大学は学部ごとに別の大学|配点・試験時間・記述の有無で見る学部の違いと併願の組み方【川越の予備校が解説】

早稲田大学を受けると決めたものの、どの学部に出願するか決めきれていない高校生と、その保護者の方に向けた記事です。「早稲田の英語」「早稲田の国語」という言葉でくくると、どこかで必ず対策を外します。ここでは学部ごとの違いだけを並べます。

材料はEIMEI予備校で自作している早稲田大学の入試対策読本です。2024〜2026年度の一般選抜の問題冊子130冊を確認し、大学公表の2027年度入試情報を合わせました。科目ごとの傾向と対策は早稲田大学 一般選抜 全科目の傾向と対策にあります。

1. 原則は「学部ごとに完全な別問題」です

130冊を照合して分かったのは、早稲田の入試問題は原則として学部ごとに別の冊子・別の内容だということです。学部が違えば大問構成も設問形式も出題範囲も違います。

国語を例にとります。法学部は漢文が毎年独立した大問で出て、最後に180字の記述があります。商学部も漢文は毎年出ますが説明記述はゼロ。教育学部A方式は漢字の書き取りまで選択式で記述が1問もありません。文化構想学部には漢文の独立大問がなく、代わりに現古漢を同時に読ませる大問が毎年出ます。同じ「早稲田の国語」でくくれば、必ずどこかで外します。

ですから「早稲田の過去問」を年度単位で買って端から解く進め方は効率が悪く、受ける学部の冊子だけを集中的に回すほうが効きます。そのためには学部を早めに決める必要があります。

2. 配点と試験時間を並べてみる

学部・方式ごとの満点と内訳です(2027年度入試情報にもとづきます)。

  •  150=外国語90分60/国語90分50/地歴公民または数学60分40
  • 商(地歴公民型) 200=外国語90分80/国語60分60/地歴公民60分60
  • 商(数学型) 180=外国語90分60/国語60分60/数学90分60
  • 文(一般) 200=外国語90分75/国語90分75/地歴60分50
  • 文化構想(一般) 文学部と同じ配点構成(200)
  • 教育(A方式) 150=外国語90分50/国語90分50/地歴60分50
  • 教育(B方式) 150=外国語90分50/数学120分50/理科60分50
  • 政治経済 200=共通テスト100+総合問題120分100
  • 社会科学 240=共通テスト120+外国語60分60+総合問題または数学60分60
  • 国際教養 200=共通テスト100+外国語80(Reading90分・Writing60分)+英語4技能テスト20
  • 人間科学 150=共通テスト60+外国語60分50+国語または数学60分40
  • 理工3学部 360=数学120分120/理科120分120(2科目各60)/外国語90分120。創造理工の建築学科のみ空間表現120分40が加わり400点

商学部の地歴公民型は外国語が80点で満点の4割、法学部も外国語60点で満点の4割です。一方教育学部A方式は3科目が50点ずつの完全均等。英語が突出して得意なら商学部、3科目まんべんなくなら教育学部が有利に働きます。配点上、英語が飛び抜けて重いのは商学部の地歴公民型くらいで、「早稲田は英語だけやれば受かる」は成り立ちません。

試験時間も割れます。同じ国語でも法・文・文化構想・教育A方式は90分、商・人間科学は60分。商学部は3大問を60分で1題20分の感覚、文学部は4大問を90分で分量に対してかなり厳しくなります。地歴は5学部とも60分です。

3. 共通テストが合否に入る学部と、入らない学部

ここが出願設計の分岐点です。共通テストの点が合否に直接入るのは政治経済・社会科学・国際教養・人間科学・スポーツ科学・教育C/D方式。法・商・文・文化構想・教育A方式B方式・理工3学部の一般選抜には入りません。私大専願が成り立つのは、こちら側だけです。

なお、共通テストの成績だけで合否を決める共通テスト利用入試を実施しているのは、政治経済・法・社会科学・国際教養・スポーツ科学・人間科学の6学部。文・文化構想・商・教育・理工3学部にこの単独方式はありません。

法学部だけ、共通テストの使い方が特殊です

法学部は満点150点で、共通テストの点が別枠で上乗せされることはありません。ただし科目の選び方によっては共通テストの受験が必須になります。外国語で英語以外を選ぶと共通テストの当該科目200点が学部の外国語配点60点に、数学を選ぶと共通テストの数学200点が配点40点に換算されるからです。つまり3科目とも学部独自の試験を受けるのは、外国語で英語、選択科目で地歴・公民を選んだ人だけです。

また、2027年度から政治経済学部は一般選抜で使う共通テストの外国語が英語必須に変わります。

4. 記述・論述・要約・英作文がある学部

「書かされるかどうか」も学部で分かれます。マークだけで終わる学部と、原稿用紙に近い分量を書く学部が同居しています。

英語で書く学部

  • 法学部 英作文2題(語数指定なし。実際には1題150語前後を2本書く分量)。和訳・英訳・要約は3年とも出ていません。
  • 文学部・文化構想学部 Ⅴの英語要約1問のみ。書き出しが与えられ、4〜10語で完成させる、本文から3語以上を連続して借用しない、という条件です。
  • 教育学部C方式(英語英文学科) Ⅱが180〜250字の日本語論述、Ⅲが150語程度の英文1パラグラフ。Passage AまたはBから1回以上引用する条件つきです。
  • 国際教養学部Writing Ⅰ意見論述/Ⅱ図表の説明/Ⅲ英文の日本語要約。60分で全問記述、語数・字数の指定はありません。
  • 商学部 整序英作文が中心で、構成を自分で考える英作文ではありません。

一方、社会科学部・教育学部A方式・人間科学部・国際教養学部Reading・理工3学部の英語は、3年とも記述ゼロの全問マークです。英語で1文字も書かない学部と150語を2本書く学部が同じ大学にあります。書く側を受けるなら、自由英作文の書き方も参考にしてください。

国語で書く学部

説明記述があるのは2つだけです。法学部は漢字二字の書き取りと、120字以上180字以内の説明記述が毎年。教育学部C方式(国語国文学科)は180〜200字が毎年1問に50〜70字が1〜2問で、設問数12〜16問と少ないのに書く分量が多い試験です。

残りは短答のみです。商学部は書き取り3つと抜き出し、文学部は漢字・抜き出し・書き下し・返り点(2026年度は漢字までマーク化され記述は2箇所)、文化構想学部は抜き出し・漢字・返り点が2〜3箇所、人間科学部は抜き出しだけ。教育学部A方式は記述ゼロで、漢字の書き取りまで選択式です。

選択科目で書く学部

世界史で論述が出るのは法学部と商学部だけです。法学部はⅤが250〜300字で、指定語句4つに下線を引く形式が3年とも同じ。商学部はⅣに語句記述13個と100〜120字の論述。文・文化構想・教育A方式に論述はありません。

日本史は商学部に30字以内が3年連続で1問、教育学部A方式は2024年度になし、2025年度に60字×1問、2026年度に50字×2問と増加傾向です。政治経済も同じ構図で、法学部は毎年必出(2026年度は200字)、商学部は3年とも論述ゼロで記述は語句と数値計算のみ。教育学部A方式の地理も論述はゼロです。

数学は書き方まで指定されます。社会科学部の数学型は「計算の途中経過を記述すること(記述がない解答は採点対象外)」と3年とも明記され、答えが合っていても書き方で落ちます。人間科学部の数学英語型は逆に全問マークの空所補充で部分点がありません。

5. 形式が近い学部の組み合わせ

原則が「完全な別問題」である以上、併願を増やせば対策も増えます。ただし例外が三つあり、知っているかで使える演習量が変わります。

例外1 理工3学部は完全な共通問題

基幹理工・創造理工・先進理工は、英語・数学・理科のすべてで同一の問題冊子を使います。表紙右上に3学部名が併記され、学系Ⅰ・Ⅱ・Ⅲといった表記は冊子の中に一切ありません。学系は出願の単位であって、問題の区別ではないのです。過去問集はどの学部のものでも中身は同じで、違うのは合格最低点だけ。ただしこの3学部は試験日が同じ2月16日なので併願できません

例外2 文学部と文化構想学部は、英語が同じ形式の別問題

この二つの学部の英語は、大問構成が3年とも完全に同じです。Ⅰ空所補充14問、Ⅱ内容一致10問、Ⅲ文挿入7問、Ⅳ会話文7問、Ⅴ英語要約1問で、設問番号(1〜38)まで一致します。中身の英文はまったく別で、実施日も違います。

つまり英語については互いの過去問が「もう一年分」として使えます。3年分しか持っていない人が実質6年分を得られる、もっとも効率のよい組み合わせです。

ただし国語は別です。文学部は現代文2題+古文+漢文の4大問、文化構想学部は現代文2題+現古漢融合1題の3大問で、構成が違います。学力の芯は共通なので学習は共用できますが、解く順序と時間配分は別に設計してください。両学部の違いは文学部系統の学部比較もご覧ください。

例外3 教育学部C方式の英語は、同じ年のA方式の長文を使っている

教育学部C方式(英語英文学科)の読解の英文の一方は、同じ年度の教育学部A方式で出た長文とまったく同じでした。2024年度はA方式のⅡ、2025年度はⅠ、2026年度はⅢがC方式のPassage Aです。C方式志望はA方式の過去問を読解素材にできます。

時間感覚が近い組み合わせ、負担が倍になる組み合わせ

教育学部A方式と、文学部または文化構想学部も組みやすい並びです。どちらも地歴60分・国語90分・英語90分で時間感覚が近く、教育A方式は全問マークで記述の負担も軽い。共通テスト併用の学部を複数受けるのも効率がよく、政治経済・社会科学・国際教養・人間科学は共通テスト対策を共用できます。

逆に法学部と商学部を併願すると、英語も国語も選択科目も別対策です。国語は法が180字記述、商は説明記述ほぼなし。政治経済は法が論述中心、商が計算中心。両方を本気で対策する時間を確保しているか確認してください。早慶上理での組み方は早慶上理の入試の特徴にまとめています。併願は「受かりそうな順」ではなく「対策が重ならない順」で考えてください。

6. いつまでに学部を絞るか

結論から書きます。過去問の1回目を解く夏の終わりまでに、受ける学部を3つから4つに絞ってください。早稲田は学部ごとに優先順位が違うので、学部と方式が決まって初めて「先に固める分野」と「後回しでよい分野」が確定するからです。過去問3年分はこう使います。

  1. いちばん古い年度を、夏の終わりに時間を計って解き、素点を出す。
  2. 点が取れていない科目を、秋のうちに最優先の分野から潰す。全範囲をやり直す時間はありません。
  3. 2番目に古い年度を11月から12月に解き、時間配分を固める。
  4. いちばん新しい年度は直前期まで取っておき、1月後半に本番と同じ時間割で解く。

文学部と文化構想学部を併願する人は、英語だけもう3年分あります。2と3の間に挟んでください。この設計を回すには、夏の終わりに学部が決まっている必要があります。

もっと早く決めなければならないもの

英語4技能テスト利用方式を使うなら、検定のスコアが先です。文化構想学部・文学部のこの方式は基準を満たせば出願資格が得られるもので、加点はありません。基準は実用英語技能検定が総点2,200・各技能500、TEAPが280・65、GTEC(CBT)が1,100・250、IELTS(Academic)が5.5・5.0など。一般選抜と併願できるので、満たせば受けられる回数が増えます。

国際教養学部はこれとは違い、スコアが20点満点で加点される方式です。2026年度の受験者平均点は14.143点。多くの受験生が高いスコアを持って出願しているということですから、検定の受験は早めに済ませてください。

出願の段階で決め切ること

  • 日程の重なり 2月12日から23日まで、ほぼ毎日どこかの学部の試験があり、4学部受ければ期間の半分近くが本番です。文化構想(12日)と国際教養(13日)、文(17日)と人間科学(18日)は連日。移動と体力の計画も出願の段階で立ててください。
  • 理工3学部の選択 同日のため併願不可。創造理工の建築学科は空間表現が翌17日にあり2日連続です。
  • 選択科目 地歴・公民か数学か。人間科学部は国語英語型か数学英語型かで科目が変わります。
  • 理科の組み合わせ 理工3学部は学系によって選べる組み合わせが異なり、間違えると出願できません。募集要項で必ず確認を。

入試制度・日程・配点は毎年変わります。この記事は2026年9月時点の公表資料にもとづきます。出願前に必ず最新の入学者選抜要項で確認してください。

まとめ

早稲田を受けるなら、最初にやることは「早稲田対策」ではなく受ける学部を決めることです。共通テストが合否に入る学部を受けるか、書く試験と書かない試験のどちらで勝負するか。この二つを決め、形式が重なる組み合わせを軸に3〜4学部へ絞ってください。学部が決まったあとの各科目の優先順位は早稲田大学 一般選抜 全科目の傾向と対策にまとめました。

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EIMEI予備校について

EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。

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二神大輝