評定平均は、調査書では「全体の学習成績の状況」という名前で書かれる数字です。高1から出願時点までのすべての科目の評定(5段階)を足し、評定の数で割って、小数点以下第2位を四捨五入した値で、単位数による重み付けはありません。
たとえば平均が3.96なら調査書には「4.0」、3.94なら「3.9」と書かれます。出願資格の「4.0以上」などの条件は、調査書に書かれるこの数字と照らし合わせることになります(判定のしかたは志望校の募集要項で確認してください)。
この記事では、文部科学省の「令和9年度大学入学者選抜実施要項」にある調査書の記入上の注意をもとに、計算のしかた、3年の成績の扱い、四捨五入の境目、募集要項の評定条件の読み方を順番に確認します。
1. 基本情報:評定平均(学習成績の状況)の決まり
| 項目 | 内容(令和9年度大学入学者選抜実施要項より) |
|---|---|
| 評定の段階 | 5・4・3・2・1の5段階 |
| 各教科の学習成績の状況 | その教科の科目の評定の合計 ÷ その教科の評定数(小数点以下第2位を四捨五入) |
| 全体の学習成績の状況 | すべての教科・科目の評定の合計 ÷ すべての評定数(小数点以下第2位を四捨五入) |
| 複数学年で履修する科目 | 学年ごとの評定をそれぞれ1科目分として数える |
| 3年(最終学年)の成績 | 未決定の場合は、その学年の直近の成績を総合して高校が判定した成績を記入 |
| 学習成績概評 | A(5.0〜4.3)・B(4.2〜3.5)・C(3.4〜2.7)・D(2.6〜1.9)・E(1.8以下) |
| 出願の時期 | 総合型選抜は2026年9月1日以降、学校推薦型選抜は2026年11月1日以降に願書受付(2027年度入試) |
一般に「評定平均」と呼ばれているのが、調査書ではこの数字にあたります。募集要項では「評定平均値」「全体の学習成績の状況」「学習成績の状況」などと書かれます。
2. 調査書のどこに書かれる数字か
調査書は、大学が出願者に提出を求める書類で、高校が指導要録をもとに文部科学省の様式で作ります。評定にかかわる欄は大きく3つあります。
- 各教科・科目等の学習の記録:科目ごと・学年ごとの評定(5〜1)と修得単位数
- 各教科の学習成績の状況:国語・数学・外国語など教科ごとの平均と、全体の平均(これが「全体の学習成績の状況」)
- 学習成績概評:全体の学習成績の状況をA〜Eの5段階に区分したもの
評定欄は学年ごとに分かれているので、高1の成績も高2の成績も、出願時まで調査書にそのまま残ります。高3になってから上げようとしても、平均に入る評定のうち高3の分は一部にすぎません。
なお実施要項は、大学に対して調査書の「各教科の学習成績の状況」だけでなく、それ以外の記載事項も活用するよう求めています。欠席日数や活動の記録がどう扱われるかは欠席日数・部活なしは不利?調査書で見られるところで整理しています。
3. 評定平均の計算方法(手順と計算例)
計算の手順
- 高1・高2の通知表(学年末の評定)と、高3の直近の評定を並べる
- 評定がついている科目をすべて書き出す(体育・芸術・家庭・情報なども含む)
- 評定をすべて足す
- 評定の個数で割る(単位数は使わない)
- 小数点以下第2位を四捨五入して、小数第1位までの数にする
ポイントは2つです。1つめは、2単位の科目も4単位の科目も、評定1個として同じ重さで数えること。実施要項の計算式は「評定の合計数÷評定数」で、単位数は出てきません。2つめは、保健体育のように複数学年で履修する科目は、学年ごとの評定をそれぞれ1科目分として数えることです。
計算例:全体の学習成績の状況
| 学年 | 評定の数と合計 |
|---|---|
| 高1 | 10科目、合計40 |
| 高2 | 10科目、合計39 |
| 高3(直近の成績) | 8科目、合計32 |
| 全体 | 28個、合計111 |
| 計算 | 111 ÷ 28 = 3.964… → 小数第2位を四捨五入して4.0 |
このうち評定が1つだけ1段階低かった場合は、110 ÷ 28 = 3.928… となり、調査書の数字は3.9です。評定1個の差で「4.0以上」の条件を満たすかどうかが変わります。
計算例:教科ごとの学習成績の状況(外国語)
出願資格に「外国語の学習成績の状況が4.0以上」のような条件がある場合は、外国語の科目だけで同じ計算をします。
- 高1:英語コミュニケーションⅠ 4、論理・表現Ⅰ 4
- 高2:英語コミュニケーションⅡ 4、論理・表現Ⅱ 3
- 高3:英語コミュニケーションⅢ 4
- 計算:19 ÷ 5 = 3.8 → 外国語の学習成績の状況は3.8
実施要項にも、理科の3科目(評定3・3・5)の合計11を評定数3で割り、3.66…の小数第2位を四捨五入して「3.7」とする例が載っています。
4. いつまでの成績が入るのか
実施要項では、卒業見込みの人で最終学年の成績がまだ決まっていない場合は、その学年の直近の成績を総合し、高校として判定した成績を最終学年の成績として書くことになっています。
2027年度入試では、総合型選抜の願書受付は2026年9月1日以降、学校推薦型選抜は2026年11月1日以降と定められています。どちらも高3の学年末より前なので、出願に使う調査書の高3の欄は、学年末の評定ではなく、出願までの成績から高校が判定したものになります。何学期・何月までの成績を使うかは実施要項では決められていないため、通っている高校の先生に確認してください。
大学の要項の書き方も見ておきます。上智大学の2027年度 推薦入学試験(公募制)の入学試験要項では、評定について「各学科の指定する学習成績の状況を在学全期間を通じて満たす者」と書かれ、調査書には原則として高校3年間分の成績が記載されている必要があるとしています。この方式のWeb出願は2026年11月5日(木)23:59まで、出願書類の郵送は11月6日(金)消印有効です。
「在学全期間」「第3学年1学期まで」など、どの時点までの成績で判定するかは大学ごとに書き方が違います。志望校の募集要項で、評定の条件の近くにある対象期間の書き方を必ず確認してください。
5. 四捨五入の境目:3.95と3.94の違い
小数点以下第2位を四捨五入するので、調査書に「4.0」と書かれるのは平均が3.95以上のときです。3.949…なら「3.9」になります。
| 計算した平均 | 調査書の数字 |
|---|---|
| 4.05 | 4.1 |
| 3.96 | 4.0 |
| 3.95 | 4.0 |
| 3.94 | 3.9 |
| 3.45 | 3.5 |
| 3.44 | 3.4 |
出願資格の数字は「4.0以上」「3.5以上」のように小数第1位で書かれることが多く、調査書に書かれる小数第1位の数字と照らし合わせることになります。自分で計算するときに、小数第1位で切り捨ててしまうと、条件を満たしているのに出願をあきらめることになります。逆に、小数第2位まで計算した数字を見て「3.96だから大丈夫」と思っていても、高3の評定が1つ下がると3.9に落ちることがあります。境目に近い人ほど、評定1個でどう動くかまで計算しておきましょう。
6. 学習成績概評(A〜E)との関係
調査書には、全体の学習成績の状況をもとにした学習成績概評も書かれます。区分は次のとおりです。
- A:5.0〜4.3
- B:4.2〜3.5
- C:3.4〜2.7
- D:2.6〜1.9
- E:1.8以下
概評は、同じ学年の生徒全員(教育課程の異なる類型がある場合は類型別、専門学科は科別)の3か年の全体の学習成績の状況をもとに区分され、「成績段階別人数」の欄には各段階に何人いるかとその合計が書かれます。大学の出願資格で「学習成績概評A」「概評B以上」のような書き方をしている場合は、上の区分に当てはめて読みます。
7. 出願資格の評定条件の読み方
募集要項の評定条件は、次の4点に分けて読むと見落としが減ります。
- 全体か教科か:「全体の学習成績の状況」なのか、「外国語」「数学」など特定の教科なのか
- 数値と「以上」:3.5以上なら3.5ちょうどは出願できる
- 対象の期間:「在学全期間」「第3学年1学期まで」など
- 条件のつなぎ方:「かつ」は両方必要、「または」「もしくは」はどちらか一方でよい
上智大学の2027年度 推薦入学試験(公募制)の要項では、理工学部デジタルグリーンテクノロジー学科の条件が「全体の学習成績の状況4.0以上」もしくは「全体の学習成績の状況3.8以上かつ数学と理科と情報それぞれの学習成績の状況4.5以上」となっています。全体が3.9でも、数学・理科・情報がそれぞれ4.5以上なら後半の条件で出願できる、という読み方になります。
英検などの語学条件や専願の条件と合わせた読み方は募集要項「出願資格」の読み方に、条件に足りないときの考え方は評定が出願基準に足りないときの選択肢にまとめています。
8. 自分の評定平均を出すときのチェックリスト
- 高1・高2は学年末の評定で計算したか(学期ごとの成績ではない)
- 体育・芸術・家庭・情報など、評定がついている科目をすべて入れたか
- 単位数を掛けていないか(評定1個ずつ同じ重さ)
- 複数学年で履修した科目を、学年ごとに1個ずつ数えたか
- 小数第2位で四捨五入したか(切り捨てではない)
- 志望校の条件が「全体」か「教科」かを確認したか
- 高3の成績をどの時点のものにするか、担任の先生に確認したか
評定を上げるために高1・高2で何をするかは高1・高2の評定の上げ方で、観点別評価の3観点に沿って手順にしています。
9. よくある質問
Q. 体育や芸術の評定も平均に入りますか?
入ります。全体の学習成績の状況は「すべての教科・科目の評定」の合計を評定数で割るものなので、評定がついている科目はすべて対象です。
Q. 総合的な探究の時間は入りますか?
計算式が評定をもとにしているため、5段階の評定がつかないものは平均の計算に入りません。調査書では総合的な探究の時間は別の欄に記録されます。
Q. 留学していた期間の単位はどうなりますか?
実施要項では、留学に関する修得単位は学習成績の状況に算入しなくてよいとされています。留学していた人の評定の扱いで迷う場合は、志望校の募集要項と高校の先生に確認してください。
Q. 4単位の科目の評定は、2単位の科目より重く数えますか?
いいえ。単位数に関係なく、評定1個は1個として数えます。
Q. 指定校推薦の評定基準も同じ計算ですか?
調査書の「全体の学習成績の状況」は、どの入試に出す場合も同じ計算で出ます。指定校推薦の評定基準そのものは、在籍する高校の先生に確認してください。考え方は指定校推薦は取るべきかを参考にしてください。
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参考にした公式情報
入試の内容は変更されることがあります。出願前に必ず大学の公式発表を確認してください。
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