この記事は、受けたい総合型選抜や学校推薦型選抜の出願基準に評定平均値が届いていない、または届くかどうか不安な高校生と、その保護者の方に向けて書いています。高1・高2の人にとっては「まだ間に合うこと」、高3の人にとっては「いまから選べる道」を整理する内容です。
評定の基準は大学ごと、学部ごと、入試方式ごとに違います。基準に届かないからといって年内入試をあきらめる必要はありませんが、探し方を知らないと選択肢を見落とします。2027年度の要項で確認できた例を使って、条件の読み方と探し方を順番に説明します。
評定の基準は、大学が入試ごとに決めている
文部科学省の「令和9年度大学入学者選抜実施要項」では、大学が重要と判断する教科・科目を指定して、単位の修得や一定水準以上の評定の獲得を出願要件として求めることができるとされています。つまり評定の基準は国が一律に決めているものではなく、各大学が入試ごとに設定しているものです。
出願要件に使われるのは、調査書の「各教科の学習成績の状況」、いわゆる評定平均値です。ただし同じ実施要項には、大学は調査書の学習成績の状況だけでなく、ほかの記載事項も有効に活用することも書かれています。評定は出願できるかどうかの入口の条件で、合否は書類や面接などとあわせて決まると考えてください。
同じ大学でも、学部や方式で基準が違う
まず知っておきたいのは、評定の基準が大学単位ではなく、学部や方式ごとに決まっていることです。2027年度の要項から、具体的な例を挙げます。
| 入試 | 評定に関する条件(2027年度) |
|---|---|
| 明治大学 文学部 自己推薦特別入学試験 | 全体の学習成績の状況が3.5以上。西洋史学専攻のみ、英語の学習成績の状況4.0以上も必要 |
| 明治大学 国際日本学部 自己推薦特別入学試験 | 評定平均値4.0以上(あわせて英語資格の基準あり) |
| 早稲田大学 社会科学部 全国自己推薦入試 | 全体の評定平均値4.0以上(あわせて欠席日数や英語4技能テストの条件あり) |
| 青山学院大学 文学部英米文学科 自己推薦(英語資格取得者対象) | 要項の出願資格に評定の条件の記載なし(英語資格の基準あり) |
| 東洋大学 総合型選抜 基礎学力テスト型入試 | 要項の出願資格に評定の条件の記載なし |
同じ明治大学の自己推薦でも、文学部は3.5以上、国際日本学部は4.0以上と基準が違います。また明治大学文学部の西洋史学専攻のように、全体の評定とは別に特定の教科の評定を求めるケースもあります。志望校を1つの大学に絞っていても、学部や専攻まで見ないと条件はわかりません。
どの時点の成績で計算されるかを確かめる
評定の条件を見るときは、数字と同じくらい「いつまでの成績で計算するか」が大切です。早稲田大学社会科学部の全国自己推薦入試では、卒業見込みの人は1年1学期(前期)から3年1学期(前期)までの全体の評定平均値で判断すると書かれています。明治大学の文学部も、第3学年1学期末または前期末までの成績です。
ということは、高1・高2の人は、まだこれからの定期テストで評定平均値を動かせるということです。高3の人も、3年1学期の成績が計算に入る入試では、その分が反映されています。逆に、3年1学期(前期)までの成績で計算する入試では、高3の秋になってから評定を上げても出願基準には反映されません。評定を上げる具体的な方法は評定平均の上げ方で詳しく書いています。
あわせて、評定以外の条件も見落とさないようにしましょう。早稲田大学社会科学部の全国自己推薦入試には、調査書の欠席日数が45日以内(4年制の定時制課程は60日以内)という条件があります。評定は足りていても、別の条件で出願できないこともあるので、出願資格の欄は最後まで読んでください。
足りないとわかったときに、最初にやること
「たぶん足りない」と感じた段階で、まず自分の評定平均値を正確に知ることから始めてください。自分で計算した数字と、高校が調査書に書く数字が違っていることもあります。大学の要項が指定している期間の成績で、いくつになるのかを担任の先生に確認するのが確実です。
そのうえで、基準との差がどのくらいあるかを書き出します。差がわずかで、まだ計算に入る定期テストが残っているなら、評定を上げる道があります。差が大きい、または計算の期間がもう終わっているなら、ここから先の選択肢1〜3を検討します。どちらの場合も、一人で悩まずに先生と一緒に整理したほうが判断が早くなります。相談の仕方は推薦の準備、学校の先生と塾にどう相談するが参考になります。
選択肢1:評定の条件がない方式を探す
評定が届かないときに最初に考えたいのは、出願資格に評定の条件を置いていない入試です。上の表の青山学院大学文学部英米文学科の自己推薦は、英語資格(実用英語技能検定準1級以上など)の基準がある一方で、要項の出願資格には評定の条件が書かれていません。東洋大学の総合型選抜 基礎学力テスト型入試も、要項の出願資格は大学入学資格を持っていること(見込みを含む)で、評定の条件は書かれていません。
東洋大学の基礎学力テスト型入試は、基礎学力テスト2教科(英語・国語、または英語・数学)と書類選考(調査書等と400字以内の事前課題小論文)で選考されると案内されています。評定の代わりに当日の学力テストで勝負できる入試ということです。この方式の詳しい中身は東洋大学の基礎学力テスト型とはでも書いています。
注意したいのは、評定の条件がないことと、評定を見ないことは別だという点です。調査書は提出しますし、文部科学省の実施要項でも調査書の記載事項を活用することになっています。条件がない方式を選んだ場合も、調査書にどんなことが書かれるかは意識しておいたほうがよいでしょう。
選択肢2:資格や活動で評価される方式を探す
評定の条件の代わりに、英語資格や活動実績を出願資格にしている入試もあります。青山学院大学文学部英米文学科の自己推薦は、英検準1級以上、TOEIC L&Rとスピーキング・ライティングの組み合わせ、TOEFL iBT、TEAP、IELTSのいずれかの基準を満たすことが条件です。英語が得意な人にとっては、評定よりも資格で出願資格を満たせる入試です。
ただし、資格や活動を求める入試の中には、評定の条件も同時に置いているものがあります。早稲田大学社会科学部の全国自己推薦入試は、活動実績と英語4技能テストの条件に加えて評定平均値4.0以上も必要です。「資格があれば評定は関係ない」とは限らないので、条件はすべて並べて確認してください。英語資格の条件の読み方は英検のCSEスコアと推薦の出願資格の読み方で詳しく書いています。
選択肢3:一般選抜を軸にして、年内入試を組み合わせる
評定の条件がない入試が志望の分野で見つからない場合は、一般選抜を中心に考え、受けられる年内入試を組み合わせる方法もあります。一般選抜の個別試験は2027年2月1日から3月25日までの間に行われます。年内入試の結果を待つあいだも一般選抜の勉強を続けておけば、どちらに転んでも次の手が打てます。
選択肢4:高1・高2なら、評定を上げて基準に届かせる
高1・高2の人にとって、いちばん確実な選択肢はやはり評定を上げることです。全体の評定平均値は全教科の平均なので、得意な教科をさらに伸ばすより、苦手な教科で1つ上の評定を取るほうが取り組みやすいことが多いはずです。評定は定期テストの点数だけで決まるとは限らないので、何が評価に入るのかを授業担当の先生に確かめ、提出物や日々の授業への取り組みも見直してみてください。
志望校がまだ決まっていない人も、今年度の要項で気になる学部の評定の条件を見ておくと、自分がどのくらいを目標にすればいいかがはっきりします。
評定の条件がない方式の探し方
実際に探すときは、次の順番で進めると見落としが少なくなります。
- 志望する分野の学部がある大学をいくつか挙げ、それぞれの総合型選抜・学校推薦型選抜の一覧を大学の入試情報ページで開く
- 入試方式ごとに要項を開き、出願資格の欄で「学習成績の状況」「評定平均値」という言葉を探す
- 評定の条件がある場合は、全体か教科別か、いつまでの成績で計算するかを確かめる
- 評定の条件がない場合は、代わりに英語資格、活動実績、学力テストなど何が求められているかを確かめる
- 欠席日数、卒業年度、専願か併願かなど、評定以外の条件も最後まで読む
- 学校推薦型選抜の場合は、大学の基準とは別に高校の校内選考の基準があるかを担任の先生に確認する
出願資格の欄の読み方に慣れていない人は、募集要項の出願資格の読み方もあわせて読んでください。
いまの時期に、学年ごとにできること
高3の人は、今日(11月2日)の時点で、この記事で例に挙げた自己推薦の多くはすでに出願期間を過ぎていますが、これから出願できる入試もあります。たとえば東洋大学の総合型選抜 基礎学力テスト型入試は出願期間が11月4日まで、試験日が11月29日です。評定の条件がない方式を受けるかどうか迷っている人は、締切を確認したうえですぐに判断してください。年内入試で結果が出なかった場合の一般選抜への切り替えも、並行して考えておきましょう。
高2の人は、残りの定期テストが評定平均値に入ります。この冬のうちに志望学部の評定の条件を確かめ、自分の評定と何点離れているかを計算しておくと、3学期と高3の1学期の目標が立てられます。
高1の人は、まだ評定平均値の大半がこれから決まります。いまの時点で苦手教科をそのままにしないことが、2年後の選択肢を広げることにつながります。
参考にした公式情報
- 文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」
- 明治大学「2027年度 文学部自己推薦特別入学試験要項」
- 明治大学「2027年度 国際日本学部 自己推薦特別入学試験要項」
- 早稲田大学 社会科学部「2027年度 全国自己推薦入学試験 入学試験要項」
- 青山学院大学「2027年度 自己推薦入学者選抜要項 文学部英米文学科」
- 東洋大学「総合型選抜 基礎学力テスト型入試」
- 東洋大学「2027年度 総合型選抜 基礎学力テスト型入試 入学試験要項」
入試の内容は変更されることがあります。出願前に必ず大学の公式発表を確認してください。
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