この記事は、第一志望はだいたい決まっているのに、出願校がまだ確定していない高校3年生・既卒生と、その保護者の方に向けて書いています。川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で面談をしていると、秋から冬にかけて同じ声が並びます。「滑り止めをちゃんと決めたい」「併願校があんまり決まっていない」「受ける校数をはっきり決めきれていない」。
この3つは、迷っているというより決める作業をまだ始めていない状態です。出願は方式・日程・検定料・書類・締切の5つが埋まった時点で確定します。すでに公開している併願校の決め方が「どういう考え方で選ぶか」を扱うのに対し、この記事は「選んだあと、出願を確定させるまでの作業手順と締切の管理」です。志望校そのものが仮置きの段階なら、志望校の決め方が先になります。
1. 何校受けるのが普通なのか
面談で最も多い質問です。読本でまとめている調査データから。リクルート進学総研の進学センサス2025(大学進学者2万7千人以上が回答)では、興味を持った大学は平均4.67校、資料を取り寄せたのは6.29校、最終的に出願したのは2.42校。1校だけに出願した人が48.4%です。
ただしこれは全国平均で、推薦・総合型で年内に決まった人も含みます。一般選抜で私立を複数受ける人とは前提が違うので、「2.42校が正解」とは言えません。読み取ってほしいのは、興味を持った大学の半分以上は出願しないまま候補から外れるのが普通だということ。候補が減るのは失敗ではありません。
そのうえで、目安は「何校か」ではなく「何セットか」で数えるのが実務的です。中央大学の5学部共通選抜は、2月9日の試験1回で法・経済・商・文・総合政策の5学部に最大6出願まで判定を受けられます。出願数は6でも、受験するのは1日、解く問題も1種類です。校数ではなくセットで考えてください。
2. 出願を確定させるまでの5つの作業
この順番でやります。入れ替えると、やり直しが出ます。
手順1|受験方式を決める(1校あたり2つまで)
入り口には一般選抜、共通テスト利用、学校推薦型選抜、総合型選抜があり、同じ学科に複数の方式で出願できることも多くあります。全部を検討すると決められなくなるので、使う方式は2つまでに絞ります。材料は3つ。評定平均と指定校推薦の枠があるか、志望理由書・小論文・面接に取り組む時間があるか、共通テストを受けるか。共通テスト利用は個別試験なしで複数校に出願できる反面、合格ラインは高めです(共通テスト利用の記事)。
方式の数だけ締切が増え、書類が増え、検定料が増えます。ここで絞ることが、あとの工程を全部軽くします。
手順2|日程の重なりを確認する
試験日を紙に書き出し、同じ日に2つ入っていないか(物理的に受けられません)、何日連続になるか(受けられても後半の答案の質は落ちます)を確認します。重なりは身近に起きます。大学別読本で確認できた例です(年度は読本が扱っている年度のもの。最新の要項で必ず差し替えてください)。
- 中央大学(2026年度)2月10日は文学部と国際経営学部、2月11日は商学部選抜Aと国際情報学部、2月15日は経済学部選抜Ⅱと理工系3学部が重なります。
- 早稲田大学(2027年度)基幹理工・創造理工・先進理工が2月16日で同日です。この3つは併願できず、出願時に1学部を選びます。
- 青山学院大学(2026年度)経済学部はA方式とB方式が2月19日の同日。地歴公民か数学かを出願前に決める必要があります。
逆に、日程が分かれているために機会が増える組み合わせもあります。青山学院の理工学部はA方式2月10日・B方式2月11日で、両方出せば理工学部だけで2回。東京電機大学の前期は5日間から試験日を自由に選べます。
手順3|検定料を合計する
1回だけ計算して保護者と共有します。私立の一般選抜は1校あたり3万5千円前後が目安です。あわせて初年度納付金と4年間の総額、通学時間も1回だけ調べて共有してください。一度も話さないと、合格したあとで問題になります。
手順4|出願書類をそろえる
最も地味で、最も事故が起きる工程です。
- 慶應義塾大学は「出願登録」「検定料の支払い」「書類の郵送」の3段階すべてが必須で、ネット登録だけでは完了しません。
- 法政大学は郵送のみで窓口持参は不可、締切日当日の消印有効。複数出願は出願登録も封筒も書類も別々に必要で、調査書も出願1件につき1通です。
- 中央大学も郵送のみ(簡易書留・締切日消印有効)。さらに選択科目は出願時登録制で当日変更できず、志望学科・志望順位も出願後に変えられません。
調査書は出るまで時間がかかるので、必要枚数を数えてから学校に依頼するのが安全です。
手順5|4つの締切をカレンダーにする
全校・全方式の出願締切・試験日・合格発表・入学手続締切を1か所に集めます(やり方は後半で書きます)。
3. 日程が重なる・連続すると何が起きるか
慶應義塾大学の10学部は2月9日から18日の連続10日間に1日ずつ配置され、同じ日に2学部が重なることは一切ありません。日程上は検定料さえ払えば10学部すべてに出願できます。ただし10日連続で受け続けることは現実的ではなく、この期間は早稲田をはじめ多くの私大の入試期間とも重なります。読本では目安として、慶應は3学部までを勧めています。
早稲田大学も2月12日から23日の12日間、ほぼ毎日どこかの学部の試験があり、4学部併願すればその期間の半分近くが本番です。中央大学は2月11日から16日が商A・法・商B・経済Ⅰ・経済Ⅱ/理工系・総合政策と6日連続。読本では連続受験は3日までを目安に、そのあと1日休みを入れる組み方を勧めています。学習院大学は2月5日から11日の7日間に全学部が収まるので、他大学との調整はこの7日間を1ブロックとして考えるのが実際的です。
つまり、大学ごとに見ると余裕があっても、重ねると連続になります。慶應の10日間と早稲田の12日間と中央の9日間は、2月の同じところに乗っています。全部を1枚に重ねないと、この重なりは見えません。
4. 検定料は「組み方」で変わる
同じ数だけ判定を受けても、出し方で金額が変わります。読本で確認できた範囲です。
- 中央大学 5学部共通選抜2月9日の1日で最大6出願。2出願目以降は15,000円なので、6出願で35,000+15,000×5=110,000円。通常なら6回で210,000円です。
- 中央大学 学部別選抜一般方式・英語外部試験利用方式・共通テスト併用方式は同じ日に同じ問題。3方式に出しても対策は1つで足り、35,000+15,000+15,000=65,000円。別々なら105,000円で、4万円の差です。
- 法政大学 T日程2月5日の1回で文系なら最大10学部。1件35,000円、2件50,000円、3件65,000円、5件95,000円、10件170,000円(2件目以降は1件15,000円)。通常なら350,000円です。同じ2月5日の英語外部試験利用入試も同じ問題で、割引はT日程と合算されます。
- 成蹊大学2出願目以降は一律10,000円割引(細則は要項で確認を)。E方式は2月3日の1回で複数学部に出願できます。
ただし条件を外すと効きません。中央大学の学部別選抜で2出願目が15,000円になるのは、(1)同じ学部の中か理工系3学部の中での併願、(2)試験日が同じ、(3)同時出願または追加出願、の3つをすべて満たす場合です。商学部の選抜A(2月11日)と選抜B(2月13日)は日が違うので対象外。さらに別々のUCAROアカウントから出願すると減額が適用されません。法政も割引はT日程と英語外部試験利用入試だけで、A方式は1件ごとに35,000円です。
割引のない大学もあります。慶應義塾大学は医学部以外の9学部が35,000円(医学部60,000円)で、共通テスト利用がないため安価に本数を稼げず、3学部で105,000円、5学部で175,000円です。立教大学は1試験日につき選考料35,000円で割引制度なし。学習院大学はコア試験・プラス試験それぞれ1学部35,000円で、複数出願による割引規定は要項に記載を確認できませんでした。
加えて出願登録ごとの手数料が別途かかります(中央1,350円、法政・慶應・立教1,100円、学習院1,300円)。いっぽう共通テストだけで判定する方式は安く、中央の共通テスト利用と成蹊C方式が15,000円、法政C方式と学習院の共通テスト利用が18,000円です。ただし合格ラインは高めなので、安いからという理由だけで本数を増やすのは勧めません。金額の上限を先に家庭で決めてから出願計画を立ててください。
5. 締切を落とさないための管理
締切を忘れるという失敗は毎年起きます。防ぐ方法は意志の強さではなく、行動を状況に結びつけておくことです。「もし◯月◯日の朝になったら、登校前に◯◯大学の出願サイトを開く」のようにいつ・どこで・何をするかを1文で先に決めておくと、目標の達成率が大きく上がることが、90以上の研究をまとめた分析で確かめられています。
そのうえで、全校・全方式の出願締切(消印有効か必着かも書く)/試験日/合格発表/入学手続締切を1枚に集めます。最重要は入学手続締切です。合格しても手続きを逃せば無効になります。学習院大学の手続締切は学部・区分で2月27日と3月2日に分かれ、成蹊大学はE方式2月26日・P方式3月11日。同じ大学の中でも日が違うので、方式ごとに1行ずつ書いてください。
事故が集中する4か所
- 共通テストより前に締め切られる方式学習院大学の共通テスト利用は1月15日締切で、共通テスト本番(1月17日・18日)より前。成蹊大学のC方式も2027年度は1月15日締切です。自己採点を見てから出すことはできません。
- 同じ大学で飛び抜けて早い締切中央大学の5学部共通選抜は1月23日締切で、他より1週間から2週間早い。自己採点で志望を練り直している時期に来るため、読本でも「いちばん多い失敗」として挙げられています。
- 共通テストより前に始まる出願作業慶應義塾大学の出願登録・検定料支払は12月下旬開始です(2026年度は2025年12月25日10時から)。直前期に事務作業が発生するので、学習計画に組み込んでおく必要があります。
- 方式ごとに締切が違う大学中央大学は5学部共通選抜1月23日、法・文・総合政策・国際経営・国際情報1月30日、経済・商2月3日、理工系3学部2月4日、共通テスト利用は前期2月5日・後期2月20日とばらばらです。大学名ではなく方式ごとに1行を立てる必要があります。
最後まで出せる方式も確認しておいてください。中央大学の共通テスト利用後期は2月10日から20日まで出願でき発表は3月11日で、国公立前期の手応えを見てから出せます(ただし理工系3学部に後期はありません)。東京電機大学の後期は2月27日・28日から選択、発表は3月8日です。何をどこまで調べるかは志望校が決まったら何を調べるかにまとめています。
6. 出願を確定したあと、勉強の計画をどう組み替えるか
出願が確定した時点で、やるべき過去問の量が数字として確定します。計算は受ける日程の数 × 年度数 × 科目数。東洋大学で3日程受けるなら、3年分・3科目で27回分の演習です。これは1月の1か月では終わらず、12月中に1周目を終える逆算が必要になります。
逆に、出願数が増えても演習量が増えない併願もあります。中央大学の学部別選抜は同じ日の3方式が同一問題なので対策は1つ。東洋大学は同じ試験日なら学部が違っても問題が同一で、同じ日に複数学科を出願する併願は負担が増えません。
やることは(1)過去問のセット数を数える(2)逆算して1周目を終える日を決める(3)出願作業そのものを計画に入れるの3つです。各大学の出題に合わせた進め方は、志望校から対策記事を探すページから該当の記事に進んでください。
面談で出ている3つの声への答え
- 「滑り止めをちゃんと決めたい」決められないのは基準がないからです。「同じ答案で判定を受けられるか」で候補を絞り、手順1〜5を通します。
- 「併願校があんまり決まっていない」手順2の日程表を書き出すと、物理的に受けられない組み合わせが消えて候補が絞れます。
- 「受ける校数を決めきれていない」決めるのは校数ではなく、本番に行く日数と、検定料の上限です。
出願の作業は一人でやると抜けが出ます。当校の面談では、手順1〜5を紙に書き出し、4つの締切を1枚にまとめるところまで一緒にやります。つらさが続くときは、学校の先生や保護者の方、専門の窓口に相談してください。
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EIMEI予備校について
EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。
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