この記事は、埼玉大学を受ける川越の高校生・既卒生のために、個別学力検査(いわゆる二次試験)の中身と準備だけにしぼって書いています。共通テストの比重が大きい大学なので、二次で何が出るかを確かめないまま出願する人が毎年います。
事実は、私が自作している埼玉大学の入試対策読本の範囲だけです。2022〜2026年度の前期日程の問題冊子を科目別に読み直した記録と、大学公表の要項にもとづきます。配点・科目・日程は年度で変わるので、自分が受ける年度の入学者選抜要項で必ず確認してください。全科目の見取り図は埼玉大学の傾向と対策の記事にあります。
個別試験は何点分を左右するのか
一般選抜は共通テストと個別試験を足した総合点で1回だけ判定されます。読本で教科別の配点まで確認できた3つの募集単位です。
- 教育学部 学校教育コース 乳幼児教育専修(前期) 共通950+個別の英語500=1,450点(共通の比率65.5%)
- 工学部 電気電子物理工学科(前期) 共通850+個別400(数学300・小論文100)=1,250点(同68.0%)
- 工学部 情報工学科(前期) 共通900+個別400(数学300・小論文100)=1,300点(同69.2%)
読本で計算した6つの日程のうち5つで、共通テストが満点の6〜7割を占めていました。個別の比重が最大なのは情報工学科の後期で、個別600点(数学300+物理300)が満点1,500点の40%。乳幼児教育専修の後期は個別試験がなく、共通950点だけで判定します。比率では「二次は3割」でも、電気電子物理工学科の前期なら個別400点は共通850点の47%に当たる量です。配点比のちがいは学部別の記事に。
学部ごとに、個別試験で何を受けるのか
埼玉大学の個別試験は、学部名ではなく問題冊子の表紙で決まります。読本の照合結果です。
- 英語 「英語(教養学部・経済学部・教育学部)」の1冊を3学部で解きます。専修ごとには分かれません。
- 国語 教育学部用と経済学部用の2種類。大問一の現代文は5年とも両学部で完全に同一で、そこから先が別です。
- 数学 中身は2系統。「数学(工学部)」と「数学(理学部 数学科)」は5年とも大問1〜4のすべてが同じ問題。「数学(経済学部・教育学部)」は理工系と共通の大問が5年で1つもない別の試験です。
- 理科 「理科(教育学部)」だけ。工学部の前期に個別の英語と理科はなく、数学300+小論文100です。
教科別の配点まで確認できたのは上の3募集単位です。ほかの学部・学科は満点(学科によって800点から2,550点まで)だけが分かっていて、教科ごとの内訳と、教育学部のどの専修が国語・数学・理科を課すのかは要項で確認してください。
試験時間は、読本では分かっていません。冊子の表紙にも読み取れた要項にも記載がなく、第1段階選抜(二段階選抜)の有無・基準も同じです。この2つは要項と受験票の時間割で必ず確認してください。日程は2027年度なら前期が2月25日と26日(学部で分かれます)、発表が3月6日、後期が3月12日・13日です。
英語:長文2題と自由英作文。和訳・要約は5年間出ていない
英語の冊子5年分は、5年とも同じ3題構成でした。
- 大問Ⅰ 長文読解(5択・14問) 約750〜950語。設問数は5年とも14問。
- 大問Ⅱ 長文読解(5択・12〜13問) 語数も設問の型もⅠと同じ。
- 大問Ⅲ 自由英作文(記述・1問) 120〜150語の意見論述。理由や例を2つ以上。
選択式は合計26〜27問。答案用紙は2枚で、1枚目にⅠ・Ⅱの番号を書き込み、2枚目がⅢの英作文です。記述はⅢの1題だけで、英文和訳・和文英訳・要約は5年間一度も出ていません。発音・会話文・整序英作文もなしです。長文2題の語数合計は約1,560〜1,810語で、2025・2026年度はやや増えています。どの長文にも語注が付きます。長文1題を20分前後で読み切るのを基準にしてください(国公立の二次記述の記事)。
設問は3種類です。空所補充(前置詞・語形・句動詞・関係詞などの語法。1題に4〜6か所)、下線部の言い換え(イディオムや比喩)、内容一致・NOT問題・要旨選択(選択肢の英文が長い)。空所補充と言い換えで設問のおよそ半分を占めます。「読めているのに選べない」失点は、句動詞と語法の不足から来ていることが多いはずです。難単語の丸暗記より語法が先です(国公立の英語の記事)。
自由英作文のテーマは、宇宙探査への支出か地球上の必要か(2022年度)、大学で役に立たないことを学ぶ意味(2023年度)、2024年度は2022年度とほぼ同じ文での再出題、テクノロジーの影響を3問から1問選択(2025年度)、異文化理解と学校の役割(2026年度)。過去5年分のテーマは全部書いて添削を受ける価値があります。教育・技術・環境・異文化・公共支出の5分野で賛成・反対の理由を2つずつ用意しておくと、選択式の年にも対応できます。
個別の英語の配点は募集単位ごとに違い、読本で確認できたのは乳幼児教育専修の500点です。この募集単位は個別が英語1科目だけ(小論文・面接・実技なし)。共通の外国語200点と合わせて英語だけで700点、満点1,450点の48%になります。
数学:大問4題・全問記述・答案用紙4枚
2系統とも大問4題・全問記述・答案用紙4枚で、マーク式はありません。
工学部・理学部数学科
数学300点は個別400点の4分の3。共通の数学200点と合わせて500点で、満点の約4割が数学で動きます。5年分20題では数Ⅲの微積分・極限が5年とも出て、20題のうち10題に絡みます(面積・体積・回転体・極限)。ほかは数列4/5年、ベクトル3/5年、複素数平面2/5年、確率2/5年、統計的推測は0/5年。誘導は丁寧で(1)(2)が(3)の足場です。記述で重いのは証明で、2024年度に3問、2025年度に解の存在と一意性、2026年度に漸化式の不等式評価と直近3年続いています。はさみうちの原理や中間値の定理を使う答案を書く練習が要ります。
また理学部数学科の過去問を買い足しても演習は1題も増えません(5年とも全大問が同じ問題)。5年分で使えるのは20題です。
経済学部・教育学部
この冊子の5年分20題には、数Ⅲと複素数平面が1題も出ていません。確率5/5年、数Ⅱの微分積分4/5年、ベクトル・整数・2次関数が各3/5年、統計的推測0/5年。証明は5年中4回で、題材は不等式と整数。典型的な問題が中心なので、答案を書き切れるかで差がつきます。
国語:教育学部は現代文+古文+漢文、経済学部は現代文2題
国語はすべて記述式で、選択問題がありません。「国語(教育学部)」は答案用紙3枚で一 現代文・二 古文・三 漢文、「国語(経済学部)」は2枚で現代文2題です。
大問一は漢字10問(書き取りと読み)+傍線部の説明3問で型が固定。説明は句読点を含む字数指定で1問40〜160字、3問の合計は250〜360字でした。経済学部の大問二は説明3問(1問80〜120字)で、一と二を合わせて説明6問・520〜660字を書きます。経済学部の冊子に古文・漢文は5年とも出ていません。
教育学部の古文は1題5〜6問で、口語訳と文学史(成立順、八代集の順序)が5年とも出題。文法も5年とも出て、5年中3回は品詞分解。和歌が設問の中心の年が5年中3回あります。漢文は1題5問で、書き下し・口語訳・「なぜか」の説明が5年ともそろい、古文・漢文の記述には字数指定がなく数行ずつ書きます。現代文の字数は少なく見えても古文・漢文で10〜11問が加わるので、答案の総量は経済学部と同じかそれ以上。3題の時間配分を決めてから過去問へ。
理科:「理由を説明せよ」と「図を描け」が中心
理科の冊子は教育学部専用です。2026年度に選び方が変わり、4科目から出願時に選んだ2科目になりました(2027年度も同じ形式)。すべて記述で、「理由を説明せよ」「図・グラフを描け」「◯字以内で説明せよ」が大半。難度は教科書の標準レベルです。
- 物理(5年で9題) 力学5年中4回、熱3回、電磁気2回、原子0回。力の矢印やグラフの作図が5年中4回。
- 化学(5年で9題) 理論は5年とも、無機4回。2024年度以降は化学基礎中心の小問集合が主軸で、理由を書かせる問いが多い。
- 生物(5年で10題) 生態・動物の反応・細胞・植物の反応が各5年中3回。40〜120字の論述が5年中4回。遺伝の計算は5年で出ていません。
小論文:工学部の前期に100点ある
工学部の前期は数学300点+小論文100点で、各学科に共通の型とみられます。ただし小論文の問題は読本の分析に含まれていません。テーマ型なのか数理の題材なのかは確認できていないので、中身は書きません。100点は満点1,250点の8%で、数学で差がつかない年に効きます。大学は過去問を入試課と外部サイトで公開しているので、秋のうちに形式を確かめてください。書き方は小論文の記事に。
共通テストで取れなかったとき、個別試験でどこまで動くか
配点だけで考えます。共通テストで大きく崩れた分を個別試験だけで取り返すのは簡単ではありません。共通テストが満点の6〜7割を占めるからです。
- 電気電子物理工学科の前期(共通850・個別400)で、共通テストの得点率が10ポイント下がると85点を失います。個別400点の21%分、個別の数学300点だけで埋めるなら28%分です。
- 逆に、個別の数学を1割(30点)上げることは、共通850点の約3.5%分に当たります。
- 乳幼児教育専修の前期(共通950・個別英語500)は個別1科目の比重が大きく、英語で1割(50点)上げることは共通950点を5%強(約48点)上げるのとほぼ同じ。共通テストの5%は各科目に散らばった失点を拾う作業ですが、英語は1つの試験の中で完結します。
つまり挽回の余地は「個別の比重が大きい募集単位」と「配点の重い1科目」に集中しています。自己採点が低かったときにやることは、新しい科目を増やすことではなく、配点の重い1科目に残りの時間を全部寄せることです。前期と後期で個別の科目・配点が変わる学科もあるので(情報工学科は後期が数学+物理で600点)、出願は配点表を見てから決めてください(国公立か私立か)。
共通テストが終わってから本番までの進め方
読本の割り振りは、秋に1年分を時間を気にせず解いて型をメモし、11〜12月に2年分で時間配分と証明の答案を固め、1月は共通テストに集中して個別は週1回だけ答案を書く、残り2年分を共通テスト後に回す、というものです。2027年度なら共通テストが1月16日・17日、工学部の前期が2月26日で、共通テスト後に使えるのは約5週間半です。
- 自己採点の翌日 配点表に自分の点を当てはめ、残り何点を個別で取るのかを数字にします。出願はこの数字を出してから。
- 1月下旬 自分が解く冊子を用意し、答案用紙の枚数と大問数を確かめて1年分を通しで解きます。
- 2月上旬 残りを本番の形で通し、落とした場所を型で分類します(空所補充・言い換え・内容一致/計算・証明・図示)。
- 2月中旬 最後に残した新しい年度を通しで解き、弱点だけを埋めます。英作文は週2本、数Ⅲの積分は毎日1題。
- 直前 新しい問題を増やさず、英作文の型(主張→理由2つ→例→結論)を1枚にまとめます。工学部は小論文の形式を最終確認。
- 発表(3月6日)以降 後期は個別科目が違います(工学部は数学+物理)。
採点は自分でやらないでください。解答例の公表は読本では見つかっておらず、数学の記述答案と自由英作文は自分では採点できません。答案を残し、数学は途中式を省かずに書き、英作文は語数を記録します。
高2のうちから準備できること
- 自分が受ける個別科目を先に確認する 英語1科目の募集単位、数学+小論文の募集単位、古文・漢文まで書く募集単位が同じ大学の中にあります。
- 共通テスト6教科の土台を崩さない 文系の乳幼児教育専修でも数学は2科目必須で200点。英語はリーディング×1.6+リスニング×0.4で200点に換算されます。
- 英語は「750〜950語の説明文を20分」 個別の長文は5択で、共通テストのリーディングと地続きです。
- 工学部志望なら、数Ⅲの微積分を高2のうちに入口まで 20題のうち10題に絡みます。
- 教育学部志望なら、古文の口語訳と品詞分解から 高2の文法の授業で練習できます。
- 自由英作文を1本書いてみる 120〜150語です。
埼玉大学を受けるなら、最低限やっておく3つ
- 自分が解く冊子を特定して、5年分をそろえる 学部名ではなく表紙で。
- 配点の重い1科目に時間を寄せる 乳幼児教育専修なら英語500点、工学部の前期なら数学300点。1科目で完結する点は動かしやすいです。
- 記述答案を人に見てもらう 自由英作文と数学の証明は自分では採点できません。添削を受ける相手を今のうちに決めてください。
EIMEI予備校の川越校舎は川越駅から徒歩5分、自習室は朝7時から使えます。共通テストと二次のどちらに時間を寄せるかは、配点表を見ながら一緒に決めます。試験時間・第1段階選抜・教科ごとの配点・試験日は、必ず自分が受ける年度の入学者選抜要項で確認してください。
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