この記事は、成蹊大学を受ける人・併願先に入れている人のうち、英語を何からどう仕上げるか決めきれていない高校生・既卒生へ向けたものです。成蹊は方式と学部で英語の問題が変わります。
数字は、EIMEI予備校が自作している成蹊の入試対策読本(問題冊子と大学公表の要項・入試結果の集計)から引いています。軸は2026年度で、配点や試験時間は年度で動くので自分が受ける年度の要項で必ず確認してください。
まず全体像。英語は「方式×学部」で決まる
成蹊の一般選抜はA・E・C・S・Pの5方式(G方式は2026年度に廃止)。独自問題で英語を解くのはA方式とE方式だけです。
- A方式(3教科型学部個別入試・全6学部)学部ごとの試験日に、学部ごとの問題。2026年度は2月10日〜14日。
- E方式(2教科型全学部統一入試・全6学部)2月3日に全学部共通の問題で2教科。1回で複数学部に出願でき、違うのは配点だけ。
- C方式・S方式は共通テストのみ。独自の英語はありません。
- P方式(理工学部以外の5学部)共通テスト5科目+独自試験1科目。独自試験はE方式と同じ日・同じ問題(英語200点、日本文学科のみ国語)。
募集人員1,232名のうちA方式が729名で約6割、E方式は1学科4名から20名の枠。第一志望はA方式で取りにいき、E方式は「取れたら大きい1回」と置くのが基本です。方式の組み立ては成蹊の方式別の記事で確認してください。
A方式の英語は学部ごとに別問題。型は4年間ほぼ固定
英語の問題冊子23冊(2023〜2026年度)を照合すると、試験日の違う学部どうしで同一問題の組は1つもありませんでした(別冊子どうしの文字列の一致率は最大0.011。同じ冊子を別の方法で抽出したものどうしは0.38〜0.55)。年度をまたいだ流用もなく、A方式とE方式の間にも共通の問題はありません。例外は試験日が同じ2月13日の経済学部と国際共創学部だけ。大問構成は3〜4年分でほとんど動かないので、過去問は必ず学部名でそろえてください。
法学部A方式(2月14日)6大問40問、全問マーク
- Ⅰ 発音5問/Ⅱ 語彙5問(英英定義に合う語)/Ⅲ 熟語・語法5問/Ⅳ 整序5問(和文付きの8語整序、3番目の語をマーク)
- Ⅴ 長文・物語10問(英米の古典童話・短編。約1800〜2000語。選択肢は日本語)
- Ⅵ 長文・社会10問(約650〜750語。下線部解釈・多義語)
小問は4年とも40問。60分・英語120点・国語100点・選択100点の320点満点で英語が最も重い科目。Ⅵは刑務所と更生、夫婦別姓、言語政策と法・社会制度の題材が4年続きます。2026年度は大学が問題・解答・出題意図を公開しており、公式解答で採点できる唯一の年度です。
経営学部A方式(2月11日)会話と企業ケース
- Ⅰ 会話文12〜13問(約450〜550語。語群から補充、使わない選択肢が混じる)/Ⅱ 実在企業のケース8〜11問(約500〜600語)/Ⅲ 長文8問(約700〜1000語)/Ⅳ 文補充4問(約150語の短文2題)/Ⅴ 文法語法6問
全問マーク、60分、英語は150点(350点満点)。Ⅱの企業ケースは4年とも出ています。1題は短い代わりに形式の切り替えが多いのが特徴です。
文学部A方式(2月12日)整序10問と和訳1問
- Ⅰ 整序10問(6語群から5語を使うので不要語が1つ)/Ⅱ 会話文8問(約500〜700語)/Ⅲ 長文8〜10問(物語・逸話が多い)/Ⅳ 長文7〜8問(内容一致を3つ選ぶ)
記述は英文和訳の1問だけ(2023・2024年度はⅣ、2025・2026年度はⅢ)。60分で、英語の配点は英語英米文学科200点(450点満点)、国際文化・現代社会学科150点(400点満点)、日本文学科100点(350点満点)。英語英米文学科は450点の半分近くが英語なので、整序10問と和訳1問が直接効きます。
経済学部・国際共創学部A方式(2月13日)2026年度から長文2題
経済学部A方式は2025年度まで英語と国語の融合冊子で、英語1語の記述、漢字の書き取り、品詞名、文学史まで問われました。2026年度に英語単独になり国際共創学部と共通の1冊に。Ⅰ 貧困と経済学の役割(約1200語)小問12=文補充7・10語の整序・正誤判定7、Ⅱ トレヴァーの小説(約1500語)小問13。表紙の「記述式あり」に反し設問はマークだけでしたが、続くかは1年分では分かりません。英語は経済学部100点、国際共創学部は200点(450点満点)です。
理工学部A方式(2月10日)英単語を綴らせる
科学系の説明文が中心で、2023年度は4題、2024・2025年度は3題。前置詞・副詞の空所に英単語を書く、同義語を抜き出す、頭文字をヒントに綴る、日本語12字以内にまとめるといった記述が混ざります。英語120点(360点満点)、60分。単語は綴れるように。2026年度の型は過去問で確認してください。
E方式の英語は全学部共通。90分・総語数3000語超
2月3日の1回で全学部共通の問題を解きます。P方式の独自試験も同じです。
- Ⅰ 文法語法15問(約450〜500語の文中)/Ⅱ 会話文10問(約700〜800語)/実用文の短問5問(広告・メールなど。2025年度から)/長文3題(1題約530〜800語、英問英答を含む)
4年とも全問マークで、総語数3000語超・外国語90分(国語または数学は75分)。配点は法学部が国語200・英語300(500点満点)、経営学部が国語200・英語400(600点満点)、日本文学科が国語300・英語200(500点満点)で、同じ答案が学科ごとに違う重みで採点されます。国語を課す学科と、数学を課す学科・専攻(経済数理学科・環境サステナビリティ学専攻・理工学部)の併願は不可です。
水準も別です。2026年度のE方式の合格最低点の得点率は文系で87〜92%(法律学科439/500)。A方式の文系57〜74%とは別の試験で、ほぼ落とさない精度が要ります。
設問形式の内訳を、分母つきで見る
- 長文は23冊すべてにあり、うち物語・小説が入るのは15冊。
- 会話文の大問は12冊。
- 自由英作文は23冊で0冊。書く練習は成蹊には要りません。
- 発音は法学部A方式の5問、英文和訳は文学部A方式の1問だけ。
- 整序は文学部10問・法学部5問に加え、理工・経済のA方式でも設問の中に出ます。
- 優先順位は長文、語彙・熟語・語法、整序、会話文の順です。
成蹊の長文は「文学」が出る
2025年度の成蹊(経済・経営・法・文・理工のA方式とE方式)から取った19パッセージのうち、5本が文学・物語系でした。英国小説の抜粋、野ウサギと子どもの物語、『バスカヴィル家の犬』論、小川洋子『博士の愛した数式』の英訳。残りは手書きと脳、制服と身体活動、夫婦別姓の報道、大英博物館や幽霊船の文化史。「物語+教養」の二段構えです。
物語文の読解(場面・心情・皮肉の把握)は説明文とは別の技術です。論説文だけを練習してきた人が法学部A方式の約2000語の物語や文学部A方式のⅢ・Ⅳで詰まるのはここです。
語彙の側からも裏が取れます。入試英文をテキスト化した415題・約86万語のコーパスでは、物語・エッセイ系が101題で歴史・文化系125題、心理・脳科学系104題に次ぐ規模。主役はglance、sigh、shrug、frown、hesitate、reluctant、relievedのような心情・表情・動作の語で、論説文の語彙を積んでもこの層は埋まりません。
1分あたりに処理する語数を、方式ごとに計算する
語数が記録されている方式について、英文量を試験時間で割ります。実測語数からの単純計算で、大学の公表値ではありません。
- 法学部A方式 長文2題で約2650〜2750語。60分のうちⅠ〜Ⅳの20問を20分で片づけ長文に40分回すと約68語/分(前半15分なら約60語/分)。成蹊で最も速い処理です。
- 経済・国際共創A方式(2026年度) 約2700語と小問25問を60分。約45語/分。
- 経営学部A方式 おおよそ2100〜2450語を60分で約35〜41語/分。速さより形式の切り替えが課題です。
- E方式 3000語超を90分。文法語法15問を10分で終えれば残り80分で約2500語=約31語/分。語数は最も低いのに合格ラインは9割前後、速さでなく精度の試験です。
文学部・理工学部A方式は語数が分析に残っていないので計算していません。配分の目安は、法学部AがⅠ〜Ⅳに15〜20分・物語25分前後・記事15分前後(物語は戻らず一読で筋を追う)、経営学部AがⅤとⅣに10分・会話15分・長文35分、E方式がⅠを10分以内・会話と実用文20分・長文3題60分。測り方は英語が時間内に解き終わらないときの記事で扱っています。
英語資格スコアが使えるのはE方式だけ
2026年度から、E方式で英語外部検定のスコアが使えます。出願資格ではなく当日の英語の得点と換算点の高い方を採用する「換算点方式」で、英語を受けずに1科目だけで受験することもできるとされています。
スコアはまず100点満点の「基礎換算点」になり、学部ごとの英語の配点に換算されます(300点なら3倍)。2027年度のE方式のページでは、英検CSEで2600以上が100、2300〜2599が90、1950〜2299が70、1825〜1949が45。GTEC・TEAP・IELTS・TOEFL iBT・ケンブリッジ・TOEICにも同じ4段階があります。法学部E方式(英語300点)なら90は英語270点=9割で、最低点439/500に対し国語200点のうち169点(84.5%)で届く計算。70では英語210点にとどまり、国語で229点が必要になって満点を超えます。つまり効くのは90以上から。換算点があっても当日の英語は受けられるので、90を確保して当日も受けるのが基本です。
使えるのはE方式だけで、P方式の独自英語では使えません(2026年度要項)。A・C・S方式も記載がなく、利用なしとみられます。使える検定は1つのみ、有効期間は2027年度入試で2025年1月以降の受験。対象も換算表も年度で動くので要項で必ず確認してください。なお外部検定はE方式の保険にはなりますが、A方式の過去問演習の代わりにはなりません。
GMARCH・日東駒専と併願するとき
重なるところは4つ。第一に、500〜1000語の標準的な私大型長文を時間内に読んで内容一致を解く力(E方式の長文3題、経営学部A方式のⅢがこの層)。第二に語彙・文法・語法の独立小問で、日東駒専のグループでは独立小問が全体の3〜5割。E方式のⅠ15問、法学部A方式のⅡ・Ⅲ各5問が重なります。第三に整序。第四にテーマで、生成AIと仕事・教育、スマートフォンと注意、心理学の有名研究、気候変動の対策と副作用、ジェンダーと格差、日本社会ものはグループを問わず出ます。
重ならないところも4つ。第一に物語文で、法学部A方式は約2000語の物語が毎年の山。第二に法学部の発音5問、文学部の和訳1問、理工学部の綴りと日本語記述。第三にE方式の90分・3000語超という分量。第四に外部検定の換算です。
詳細はGMARCHの英語の比較、成成明学の英語、大学別 英語の比較にあります。
成蹊を受けるなら、最低限やっておくこと3つ
- 受ける学部・方式の過去問を3年分そろえ、大問ごとの型を書き出す。 1年分で型を知り、2年目で配分を決め、3年目を本番どおり通します。他学部の過去問は型の練習になりません。
- 物語文を、心情と場面が追える形で読む練習を入れる。 心情・表情・動作の語を音読して固め、2000語を通しで読まないまま本番に行かないこと。
- 語彙・熟語・語法・整序の小問を、失点ゼロに近づける。 法学部は40問中20問、E方式はⅠだけで15問がここ。単語はレベル順ではなくテーマごとに束で覚えると読解の予測力になります。
残り数か月の優先順位
- 9月〜10月 受ける学部・方式を決め、過去問を学部名でそろえる。長文の速読と語彙・熟語・語法を並行し、物語文の練習も始めます。E方式で外部検定を使うなら、基礎換算点90を高3の秋までに。
- 11月 小問(語彙・熟語・語法・整序)を詰める。法学部なら発音5問、文学部なら和訳1問、理工学部なら綴りをここで手当て。
- 12月 2年目を時間を計って解き、大問ごとの配分を決める。点数は必ず得点率で記録。満点が方式でバラバラ(同じ法学部でもA320点・E500点)なので素点では比べられません。
- 1月〜2月上旬 3年目を本番どおり3科目続けて解き、最新年度を最後の通し演習に。E方式の結果は2月9日に出るので、A方式の受け方はそこで最終確定できます。
目標得点も方式で変えます。2026年度のA方式の文系の合格最低点の得点率は57〜74%(法律学科234.5/320=73%)。最低点は得点調整後の値とみられるので素点で7割5分から8割を狙うのが現実的で、配点の大きい英語で8割を割らないことがそのまま合否に効きます。学部ごとの傾向の全体像は成蹊大学の傾向と対策にまとめています。
手が止まるときは一人で抱えず、学校の先生や保護者に話してみてください。
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