こんにちは、EIMEI予備校の二神です。
この記事は、中高一貫校に通う中学生とその保護者の方——とくに川越・ふじみ野・鶴瀬から通っている方に向けて書いています。扱うのは英語だけ。答えたいのは一つ、中学のうちに英語でどこまでやっておくと、大学受験が楽になるのかです。
中高一貫校は一般に英語の進度が速く、中学のうちに高校範囲へ入る学校が多いです。速いこと自体は不利ではありません。ただ、速い進度には一度崩れると戻りにくいという性質があります。学校は止まらないので、分からないまま次に進み、やがて「どこから分からなくなったのか」が本人にも分からなくなる。英語は積み上げなので、この崩れは数年後の入試まで残ります。逆に言えば、崩れていない状態で中学を終えられれば、高校の3年間は上に積むだけの時間になります。
中高一貫の中学生全体の話は中高一貫校の中学生へ向けた記事、高1・高2の組み立ては高1・高2向けの記事にあります。この記事はその英語版です。数字は自作の入試対策読本と分野別の読本で実際に測ったものだけを使います。
1.大学入試の英語は、何をどれだけ求めてくるのか
語彙は「テーマの束」で出てくる
自作の英単語帳は、全国約190大学の入試英語(2007〜2026年度)から作った415題・約86万語のコーパスで、テーマ別の出現頻度を集計して編みました。数字を見ると、単語がテーマの仲間と束になって現れることがはっきり分かります。
- 環境・気候変動…ocean 67回、plastic 65回、waste 61回、climate 50回、carbon 42回。
- 生物・生態系…plant 57回、animal 50回、tree 46回。
- 医療・健康…disease 44回、drug 34回。
- 歴史・文化…museum 35回。century、traditional、ancient も上位。
- 経済・仕事…worker 30回、consumer 29回。社会・格差では gender 21回。
もう一つ、テーマに関係なくどの長文にも出てくる語が50語ほどあります。researcher、study、evidence、suggest、indicate、significant、factor、tend to do、despite、whereas。難しい構文を必要とせず、中学英語の文法のままで意味が取れる語ばかりです。考え方はテーマ別英単語の記事に書きました。
語数と時間:1分に何語という世界
読本では問題冊子から試験時間と語数を測っています。見てほしいのは1分あたりの数字です。
- 長文1題の長さは600〜800語から1,100語級まで。1題に1,400語を使う学部もあります。
- 中央大学の5学部共通選抜は80分で総語数2,300語超。そこに文法語彙15問と誤り指摘が乗ります。割ると1分あたり約29語。
- 慶應義塾大学商学部は90分で約5,200語(設問・選択肢込み)。1分あたり約58語です。
- 成蹊大学は90分で3,000語超、立教大学も1回の試験で約3,000語。3,000語前後が一つの標準です。
大事なのは、この数字に設問を読む時間も、選択肢を見比べる時間も含まれていることです。つまり本文を読む速さそのものは、これよりずっと速くないと間に合いません。中学生の目標が「速く読む」ではなく「止まらずに読む」になる理由です。
出題テーマは、英語というより理科と社会
入試英語の教養をまとめた読本では、全国約190大学・約2,600題の入試英語から1,005本の長文パッセージを取り出し、1本ずつ分野に分けました。歴史・文化・人類学125本、脳科学・心理学119本、医療・健康105本、エッセイ・文学・物語101本、環境・気候変動76本、科学技術一般74本、社会・格差71本、言語66本、生物・生態系65本、経済64本、教育・学習55本、AI・情報技術44本、哲学・倫理ほか40本。
中身は、食の世界史(コーヒーの歴史は少なくとも5大学、茶の歴史は4大学で出題)、文化財の返還、動物の心、絶滅と保全、ことばは「乱れ」か「変化」か、農耕は進歩だったのか、AIと仕事。英語の試験でありながら、問われているのは「知っているか」でもあります。しかも1,005パッセージのうち2025・2026年度の2年分だけで724本、全体の72%。話題の入れ替わりが速いということです。
設問文そのものが英語の大学が増えている
単語帳では最後の章を「設問の英語」に充てました。設問文がすべて英語の学部が、はっきり増えています。中央大学の総合政策(1,100語級の長文2題)と国際情報、早稲田大学の社会科学・基幹理工、慶應義塾大学のSFC、東京理科大学の薬・創域、日本大学の文理など。
出てくる表現はこういうものです。According to the passage(本文によれば)/is closest in meaning to(意味が最も近い)/What can be inferred(何が推論できるか)/is NOT mentioned(言及されていない)/Choose all that apply(当てはまるものをすべて選べ)。とくに紛らわしいのがEXCEPTで、All of the following are true EXCEPT … は「誤りを1つ選べ」という指示です。設問語の誤読は、読めていても1問まるごと落ちます。
2.中学のうちにやっておくと効く4つ
ゴールから逆算します。どれも教材を増やす話ではなく、やり方を変える話です。
(1)語彙を「テーマ」でまとめて覚える
到達目標。共通の頻出語50語が、見て0.5秒で意味が出る。そのうえで興味のある分野を1つ決めて、その分野の語を20語ほど束で持っている。
確かめ方。50語のうち意味が出てこない語を数えます。10語以上なら、他の何より先にここです。分野の語は ocean・plastic・waste・climate・carbon のように関連語を5つ並べて書けるかで見ます。
なぜ効くのか。コーパスの頻度がそのまま理由です。テーマの仲間として覚えた語彙は、本番で「次に来る語」の予測になります。中学のうちに束ねる癖がつくと、高校で語彙を増やす作業が同じ時間でずっと進みます。
(2)1文の主語と動詞を、指で押さえる
到達目標。初見の英文でも主語と動詞を指で押さえられる。修飾を後回しにして骨組みだけ先に取れる。
確かめ方。任意の5文で主語に線、動詞に二重線を引く。5文中4文で合っていれば十分です。詰まる型(関係詞、分詞、長い主語)はだいたい決まっています。
なぜ効くのか。共通テストでは発音・アクセント・文法四択・語句整序という「知識を単独で問う問題」が全廃されました。文法が不要になったのではなく、読むための道具として全設問の背後に沈んだのです。「文法問題が解ける」より「文の骨組みが取れる」ほうが得点になります。
(3)まとまった量を、止まらずに読む
到達目標。600語程度の初見の英文を辞書なしで読み切り、内容を日本語で一言だけ言える。
確かめ方。「この文章は何の話だったか」を一言で言う。訳さなくていいので、言えるかだけ見ます。言えないときは、語彙ではなく段落のつながりを追えていないことが多い。途中で止まった回数を数えるのも有効です。
なぜ効くのか。1分あたり29〜58語という密度は、何度も止まる読み方では成立しません。共通テストの攻略読本でも、時間配分の発想は「速く読む」ではなく「読む回数を減らす」だと書きました。
(4)英語で書かれた説明を、英語のまま理解する
到達目標。上の設問英語が、和訳を挟まずに指示として分かる。英語の短い説明(注意書き、申込条件、図表の見出し)から必要な情報を拾える。
確かめ方。上の表現を、訳さずに「何をせよと言っているか」で答えられるか。
なぜ効くのか。共通テストの実用文(告知・広告・チャット・申込フォーム)で落とす原因が、読解力不足ではなく条件の見落としだからです。申込期限、対象学年、weekends only という小さい注意書き。ひっかけの大半がここに集まります。
3.学校の教材・小テスト・定期テストとの付き合い方
重なる部分。(2)と(3)は学校の教材でそのままできます。定期テストの範囲を「訳を作る」ではなく「一言で言う」に変えるだけで(3)になり、小テストの語彙も分野ごとに書き写して覚え直せば(1)になります。
重ならない部分。定期テストは範囲が決まっていて、初見ではありません。訳を覚えて点が出る作りのこともあります。入試は全部が初見です。だから定期テストの点だけでは、初見の英文を読めるかが分かりません。しかも定期テストには1分あたりの語数という発想がありません。
おすすめは「定期テストの勉強は範囲で、月に1〜2回だけ範囲外の英文を読む」という分け方です。範囲外の1本だけで、定期テストでは測れない部分が測れます。テスト対策そのものは定期テスト英語の記事に。なお、定期テストで点が取れているのに読めない、という状態は起こります。測っているものが違うだけで、気づくのが早ければ手の打ちようがあります。
4.英検との関係
効くのは、締め切りが外から来ることです。高校受験がないぶん、中学3年間は外からの締め切りがほとんどありません。英検の日程は、その数少ない外圧になります。級を上げる過程で、語彙を計画的に増やす経験と、時間を計って解く経験が両方できます。
もう一つは、書く・話すに早く触れられることです。入試英語には最後に書かされる大学があります。英作文を高3からにすると、その1年に詰め込むことになります。中学のうちに短い英文を書いて直される経験があると、その負荷が下がります。
ただし、英検の勉強と入試英語の勉強は同じではありません。混ぜるとどちらも中途半端になります。違いは英検の勉強と入試英語の違いの記事、逆算は英検はいつまでにの記事に書きました。有効期間や使える方式は大学と年度で違うので、使うつもりなら必ず最新の募集要項で確認してください。中学で取ったスコアがそのまま使えるとは限りませんが、外圧と書く経験は残ります。
5.学年別にやること
中1。2つだけです。共通の頻出語50語と、1文の主語・動詞。これ以外は学校の授業で十分です。加えて、出題分野の上位は歴史・文化、脳科学・心理、医療・健康でした。日本語の読み物でこの3分野に触れておくと後で効きます。英語の勉強に見えませんが、費用のかからない先行投資です。
中2。いちばん外圧が薄い学年です。やるのは習慣の固定で、先取りではありません。1日1本、200〜300語を読んで一言で言う。学校が高校範囲に入っているなら、2〜3週間おいて解き直したときに手が動くかを確かめてください。詰め込んで点が出ているだけの状態は、ここで見つけたいです。
中3。読む語数を400〜600語に上げ、設問英語に触れ始めます。そして崩れているところがあるなら、ここが戻る最後の楽なタイミングです。高校に入ると負荷が上がり、戻る時間そのものが減ります。
6.今から巻き返す手順
進度についていけていない人向けです。この順でやってください。
- 学年を忘れる。学校が高校範囲をやっていることは、戻る場所を決める材料になりません。
- 主語と動詞を確かめる。任意の5文で押さえられるか。崩れているなら、学年に関係なく文の骨組みまで戻ります。遠回りに見えていちばん速い場所です。
- 頻出語50語を数える。出てこない語が10語以上なら、難単語に進む前にここを埋めます。
- 200語の英文を1本、止まらずに読む。600語ではなく200語から。止まった回数を記録し、回数が減ることだけを見ます。
- それができてから量を上げる。順番を飛ばすと、また同じところで止まります。
もう一つ効くのは「分からない場所を、場所の名前で言えるようにすること」です。「英語が分からない」と「関係代名詞の文で主語を見失う」は別の情報で、後者が言えれば自分で戻れます。前者しか言えないなら、戻る場所の特定を誰かと一緒にやったほうが速いです。ここが、一人でいちばんやりにくい作業です。
なお、勉強のことでつらさが続くときは、勉強の設計だけで解決しようとせず、学校の先生や保護者の方、専門の相談窓口に相談してください。
7.この記事の要点
- 速い進度は戻りにくい。崩れていない状態で中学を終えることが前提です。
- 実測値は1題600〜1,100語/1回で3,000語前後/1分あたり29〜58語。出題分野は歴史・文化125本、脳科学・心理119本、医療・健康105本と、中身は理科と社会。
- 中学のうちにやるのはテーマで語彙/主語と動詞/止まらずに読む/英語のまま読むの4つです。
- 定期テストは初見ではなく、時間の負荷もかからないぶん入試とずれます。月1〜2回、範囲外の英文を読む日を。英検は外圧と書く経験として使います。
EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、中高一貫校の中学生から1対1で見ています。英語はどこで崩れているかが人によって違うので、同じ学年でも始める場所が変わります。「これで足りているのか分からない」という段階で来ていただければ、上の到達目標のどこまで来ているかを確認できます。川越校舎は自習室が朝7時から使えるので、学校の前の30分を英文1本に充てている生徒もいます。
あわせて読みたい
EIMEI予備校について
EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。
- 川越校舎(2026年6月開校)川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えます。
- ふじみ野校舎 ふじみ野駅東口から徒歩1分。
- 鶴瀬校舎 鶴瀬駅西口から徒歩3分。
川越校舎の詳細・無料体験のお申し込みはこちら/ふじみ野・鶴瀬校舎のことは公式LINEからお問い合わせください。
