こんにちは、EIMEI予備校の二神です。
この記事は、川越とその周辺の高校に通う高3生・既卒生(浪人生)で、「今の成績で第一志望を受けていいのか」「志望校を下げたほうがいいのか」と迷っている人と、保護者の方に向けて書いています。9月以降の面談で、いちばん重い相談がこれです。
結論から書きます。「下げる」という一語で決めないでください。「下げたい」と思う理由は5つに分かれ、理由ごとに取る行動が違います。そして帯を下げても楽にならないことがあります。出題の作りが大学ごと・学部ごとに違うからです。今の立ち位置そのものの測り方は今の立ち位置の測り方の記事にありますので、この記事では判断のしかたに絞ります。
まず「下げる」という言葉を置き換える
志望校は仮置きでよく、途中で変えるのが普通です。大学進学者2万7千人以上が答えた調査では、興味を持った大学は平均4.67校、資料を取り寄せたのは6.29校、最終的に出願したのは2.42校でした。興味を持った学校の半分以上は、出願しないまま候補から外れます。
ですから、変えることは失敗ではありません。おすすめの言い換えは、「下げる」ではなく「出発点の帯を決め直す」です。帯とは、模試の判定でまとまった大学のかたまりのこと。決め直したうえで、届くなら一段ずつ上げていく。この順序なら、届く場合は届き、届かない場合はその手前の帯で合格が残ります(志望校の決め方の記事)。
「下げたい」と思う理由を5つに分ける
面談で聞き取っていくと、理由はおおむね次の5つです。取る行動が全部違うので、まず自分がどれなのかを紙に書いてください。
①点が届いていない
やることは志望校の変更ではなく「落とし方」の分類です。解けなかった問題を、知らなかった(覚えれば取れる)/知っていたが使えなかった(演習が要る)/時間切れ(配分の練習が要る)/ミス(見直しの手順が要る)の4つに分けます。どれも能力の話ではなく、次にやることの話になります。
そのうえで、素点でおよそ7割を「この帯は届く」の目安にします。7割に届いた科目が受験科目の過半数なら、帯を動かす必要はありません。1回の点数では判断しません。
②模試の判定が悪い
判定の定義は模試会社ごとに違います。ある大手模試はC判定を合格可能性50%、別の大手模試はC判定を40%以上60%未満と定義しています。同じ「C」でも中身が違い、C判定は定義上は五分五分で「だめ」ではありません。D判定も3人に1人は受かる数字です。
偏差値も、その模試を受けた集団の中の位置を表す数字です。集団が違えば同じ学力でも数字は変わるので、見るべきは同じ模試での自分の推移だけ。判定が1回悪かったことは、志望校を変える理由になりません。
③時間が足りない
これは実在する理由です。ただし行動は「下げる」ではなく、何を捨てて何に寄せるかを決めることです。注意してほしいのは、帯を下げても勉強時間は増えないこと。次の章のとおり、帯を替えると別の対策が必要になり、乗り換えの日数がかかります。
④周りと比べて不安
26か国・約10万人の生徒を調べた研究で、同じ学力でも、周りの学力が高い集団にいる生徒ほど「自分は勉強ができない」と感じることが、26か国すべてで確認されています。上位クラスにいて落ち込んでいるとき、その落ち込みの一部は実力の情報ではなく集団の効果です。掲示板や動画の合否体験談も、うまくいった人ほど発信するので偏った標本です。
行動は、比べる相手を「前回の自分」に固定すること。同じ模試の前回と、点・分野別の正答率を並べ、上がった分野に印をつける。これを順位より先にやります。
⑤本当は別の大学・別の学部に行きたい
これが唯一、すぐに変えていい理由です。文部科学省の調査では、大学を中途退学する理由の1位は「転学・進路変更」で22.0%、学力不振(7.3%)の3倍でした。入る前のミスマッチが、辞める理由の最大です。
やることは2つ。候補の学部の1年次の必修科目の一覧を1校分読むことと、模擬授業を1つ受けること(動画配信でも可)。基準は「面白そう」ではなく「4年間続けられそう」です。
帯を下げても楽にならないことがある
ここがいちばん誤解されています。EIMEI予備校では大学ごとに入試対策読本を自作していて、私大4グループ20大学の入試英語について、2020〜2026年度の長文パッセージ約860本を分析しました。分かったのは、帯が近い大学同士でも出題の作りが別物だということです。
設問形式が違う
同じ帯でも、マーク一色の大学と記述が重い大学が並んでいます。全問マークで記述・英作文なしの大学がある一方、同じ帯に100〜150語の英語エッセーが必出の大学があり、その全学部日程ではさらに150〜180字の日本語要約(含めるべき3点の指定つき)が加わります。長文を伸ばしてきた人がここに移ると、エッセーと要約の型づくりが新しく要ります。
同じ大学の中でも方式で性格が変わります。全学部日程は全問マークの速読型なのに、個別方式は和訳・50語の英作文・150字の日本語論述を課す大学があります。大学名を1段動かすより、方式を1つ動かすほうが試験の中身は大きく変わることがあります。
記述量と、知識小問の比重が違う
標準的といわれる帯では、語彙・文法の独立小問が全体の3〜5割を占めます。ある大学は全方式で大問5題(60分)の形が固定され、短文空所7問+整序3問+会話文・実用文書+長文2本という構成で、語彙文法・会話・実用文が全体の約半分です。実用文書(案内・旅程・シラバス・Eメール)は毎年必ず出ます。別の大学では発音・アクセントや誤り指摘、整序(3番目と6番目を答える形)が定型で入ります。
つまり、長文読解だけを鍛えてきた人が帯を替えると、手をつけていなかった発音・誤り指摘・整序・実用文書が、いきなり得点の半分になることが起こります。
時間あたりに読む語数が違う
辞書持込可で約2,000語の長文1題を精読して和訳と説明を書く学部、約1,000語の長文3題をマークでさばく学部、60分で大問5題を処理する大学、長文3〜4本を読ませる方式。1分あたりに読む語数と、求められる読み方がまるで違います。精読で伸ばしてきた人が速読型に移れば時間が足りず、逆もまた足りません。
素材の個性もあります。分析では、ある大学は42本中12本が心理学の研究紹介、別の大学は32本中11本が歴史・文化系でした。帯を替えると、素材への「既視感」を作り直す必要があります。
ですから、帯を下げるという判断は「同じ試験で楽になること」ではなく「別の試験に乗り換えること」です。乗り換えの日数を見積もってから決めてください。
変えるかどうかを決める前にやる3つの確認
確認1 合格最低点との距離
解いた過去問の得点と、その大学の合格最低点の差を出します。注意が3つ。換算後の点数を公表している大学があること(小数点のついた最低点は、たいてい換算後です)。設問ごとの配点を公表していない大学が多く、正確な得点は出せないこと。共通テストと個別試験の両方に最低点がある場合、それぞれをクリアすればよいとは限らないこと。
ですから最低点は「だいたい6割か7割か」という粗い目安として使い、細かい点差は気にしません。
確認2 残り日数で埋まる量
①の「落とし方」の内訳を使います。「知らない」は覚えれば取れるので日数の見積もりが立ちます。「使えない」は演習の回数、「時間切れ」は配分の練習、「ミス」は見直し手順の作り直しで、必要な期間が違います。
見積もりは感覚ではなく実績で出します。この2週間で実際に埋まった分野の数を数え、残り日数をその速さで割る。「埋まる」なら変えなくてよく、「埋まらない」なら確認3へ進みます。
確認3 方式を変えれば届くか(これは「下げる」とは別の話です)
志望校を下げる前に検討すべきなのが方式です。ここで言う方式の変更は次の3つです。
- 共通テスト利用 個別試験なしで複数校に出願できます。ただし合格ラインは高めです(共通テスト利用入試の記事)。
- 日程違い 同じ大学に方式を変えて2回出願するのは、対策を増やさずに機会を増やす方法です。
- 学部違い 同一日に複数学科へ出願できる大学があります。学ぶ内容が近いなら現実的です。
実例を1つ。ある大学は一般入試で大学独自の英語問題が出るのが特定の学部日程だけで、ほかの学部は英語資格試験のスコアか共通テストを使います。この大学では、方式を変えることが「英語の対策そのものを変えること」になります。
ただし方式を増やしすぎると決められなくなるので、使う方式は各校2つまで。あわせて科目と配点を募集要項から書き写してください(1校5分)。科目が合わなければ、ほかの情報は無意味になります。
「変える」と決めた日にやること
決めたら、その日に次の4つを終わらせます。後回しにすると締切に間に合いません。
- 4つの締切を書く。出願締切・試験日・合格発表・入学手続き締切を、「もし◯月◯日の朝になったら、登校前に出願サイトを開く」の形で書きます。この形式は90以上の研究をまとめた分析で達成率を大きく上げると確かめられています。入学手続きの締切は、合格しても逃せば無効になるので最重要です。
- 過去問を入れ替える。新しい志望校の直近1年分を本番と同じ時間で解き、直近3年分の「大問構成と時間配分」を表にします。前の志望校は挑戦校として1校残してかまいません。
- 科目の配点の変化を書き写す。同じ科目名でも配点が違えば勉強時間の配分も変わります。数学の選択が有利な大学、外部スコアが使える方式もあります。
- 3校に組み直す。現在の帯の実力校を1校、その上の挑戦校を1校、下の安全校を1校(併願校の決め方の記事)。初年度納付金と4年間の総額、通学の片道時間も1回だけ調べ、保護者と共有してください。
「変えない」と決めた日にやること
変えないという判断にも、その日の作業があります。変えないと決めることは、何を捨てるかを決めることと同じです。
- 捨てる分野を1つ決める。配点が低く、伸びが遅い分野を1つ選んで後回しにします。「全部やる」は残り日数では成立しません。
- 寄せる先を決める。志望校の直近3年分の大問構成と時間配分を表にし、拾う問題と後回しにする問題を先に決めます。
- 目標の書き方を変える。「落ちたくない」ではなく「英語の大問2を時間内に」と書き直します。研究では、避ける型の目標は試験不安を高め成績を下げる方向に結びつき、近づく型の目標は行動を生むと分かっています。
- 安全校を1校足す。第一志望を変えずに下の帯を1校加えるのは「下げる」ではありません。
- 情報を閉じる。試験科目と配点/4つの締切/入試方式/学費/1年次のカリキュラム/過去問1年分。この6項目が埋まったら調べるのをやめます。
保護者の方へ
この判断は、最後は本人が決めるほうがうまく進みます。本人が決めるために必要なのは、励ましよりも情報です。「いまの帯」「過去問の得点率」「3校の構成」「費用」が1枚にまとまっていると、話が気持ちから事実に移ります。
やめたほうがよい声かけを2つ。模試のたびに「それで大丈夫なの」と聞くこと、本人が確認を終える前に大学名を決めてしまうことです。高い目標を求めたいときは、「挑戦校として1校入れる。ただし出発点は現在の帯から」と両方を残す形で提案すると、対立が「順序」の話に変わります。
なお、つらさが続くときは、学校の先生・保護者・専門の窓口に相談してください。
出願が近づいてから変えられる範囲と、変えられない範囲
「もう遅いのでは」という質問をよく受けます。締切を軸に整理します。
- 変えられること(出願締切前) 方式の追加、学部・学科の変更、併願を1校足す、別日程を足す、勉強時間の配分、当日の解く順番と捨てる大問。
- 変えられないこと 過ぎた締切、出願後の方式・学部の変更(原則できません)、納めた受験料、入学手続きの締切。共通テストの科目登録にも制度上の期限があります。
つまり判断には締切という外側の壁があります。3つの確認は締切の前に終わらせてください。おすすめは公式の締切の1週間前を自分の締切にすることです(出願校をいつ確定させるかの記事)。
そして12月以降は現在の帯を動かさないのが原則です。この時期に帯を替えると「乗り換えの日数」が確保できません。過去問は直近3年分を古い順に解き、週1回、締切と3校の構成だけを見直します。
EIMEI予備校の面談でやっていること
川越校舎の面談では、この判断を3つの作業に分けて進めます。解いた過去問を開いて「落とし方」の内訳を一緒に読むこと。志望校と候補校の出題の作り(設問形式・記述の量・時間あたりの語数)を並べ、乗り換えに何日かかるかを見積もること。方式の比較表を作り、4つの締切をその場で書いてしまうことです。無料体験では、解いた過去問と模試の成績表をお持ちいただければ一緒に読み解きます。
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EIMEI予備校について
EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。
- 川越校舎(2026年6月開校)川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えます。
- ふじみ野校舎 ふじみ野駅東口から徒歩1分。
- 鶴瀬校舎 鶴瀬駅西口から徒歩3分。
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※研究・統計の数値は読本『志望校の決め方』『受験期のメンタル管理』、出題形式の分析は読本『私大グループ別 傾向分析と予想テーマ』(2020〜2026年度の入試英語の分析)によります。入試制度・方式・日程は毎年変わります。出願前に必ず最新の募集要項でご確認ください。
