高校の評定(5段階)は、定期テストの点数だけで決まるものではありません。各科目で「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点をA・B・Cで評価し、それを基本的な要素にして評定が出されます。
つまり評定を上げるには、3観点のどこでBやCがついているかを知り、観点ごとに手を打つのが近道です。高1・高2の評定は学年ごとに調査書に残り、総合型選抜・学校推薦型選抜で評定の条件がある方式では、出願資格の判定に使われます。
この記事では、文部科学省の学習評価の資料で3観点の中身を確認し、定期テスト・提出物・授業での取り組みを、具体的な手順に落とします。
1. 基本情報:高校の評定の決まり方
| 項目 | 内容(文部科学省の資料より) |
|---|---|
| 評価の観点 | 知識・技能/思考・判断・表現/主体的に学習に取り組む態度 |
| 観点別学習状況の評価 | A「十分満足できる」・B「おおむね満足できる」・C「努力を要する」の3段階 |
| 評定 | 5〜1の5段階(3が「おおむね満足できる」、4が「十分満足できる」、5が「十分満足できるもののうち、特に程度が高い」) |
| 観点と評定の関係 | 観点は評定を行う際の基本的な要素。観点別評価から評定への総括のしかたは各学校で定める |
| 高校の指導要録 | 2019年3月の文部科学省の通知で、各教科・科目の観点別学習状況を記載することとされた |
| 調査書の評定欄 | 学年ごとに記入。高1・高2の評定も出願時まで残る |
評定平均がどう計算されるか(四捨五入のしかた、いつまでの成績か)は評定平均の計算方法で、文部科学省の実施要項をもとに整理しています。
2. 3観点はそれぞれ何を見ているか
知識・技能
用語や公式、文法などを覚えているかだけでなく、概念として理解し、使えるかどうかも含みます。中央教育審議会の報告では、ペーパーテストで事実的な知識を問う問題と、概念的な理解を問う問題のバランスに配慮すること、文章で説明したり、観察・実験をしたり、式やグラフで表したりする場面を設けることが挙げられています。
思考・判断・表現
知識を使って考え、判断し、それを書いたり話したりして表せるかを見ます。同じ報告では、ペーパーテストだけでなく、論述やレポートの作成、発表、グループでの話合い、作品の制作や表現などの多様な活動を評価に取り入れることが示されています。
主体的に学習に取り組む態度
ここが誤解されやすい観点です。報告では、この観点は挙手の回数やノートの取り方などの形式的な活動で評価するものではないとされています。見るのは次の2つの側面です。
- 知識・技能を身につけたり、思考力などを身につけたりするために粘り強く取り組もうとしているか
- その中で自分の学習を調整しようとしているか(分からないところを見つけ、やり方を変えるなど)
評価の材料としては、ノートやレポートなどの記述、授業中の発言、教師による行動観察、生徒の自己評価や相互評価の状況などが例として挙がっています。
3. 最初にやること:自分の学校の評価のルールを知る
観点別評価から評定をどう出すかは各学校が決めます。同じ科目でも、学校によってテストと提出物の扱いが違います。まず次のものを集めてください。
- 年度初めに配られるシラバス・評価の説明(観点ごとに何で評価するか)
- 各科目の最初の授業で先生が話した評価の方法のメモ
- 前の学期の通知表(観点別のA・B・Cが載っていれば、それも)
通知表に観点別の結果が書かれていない場合や、説明が分からない場合は、科目の先生に「どの観点が足りなかったか、次に何をすればよいか」を聞いてかまいません。点数を上げてほしいと頼むのではなく、何をすれば次の学期で上がるかを聞くのがポイントです。
4. 定期テストの手順(知識・技能と思考・判断・表現)
定期テストは2つの観点にまたがります。暗記で取れる問題と、記述・説明の問題を分けて準備します。
テスト3週間前〜2週間前
- テスト範囲の授業ノート・プリント・教科書の問題を1か所に集める
- 提出物(問題集・ワーク)の範囲を確認し、1周目をこの時期に終わらせる
- 前回のテストで間違えた問題を、問題の種類ごとに分ける(用語・計算・記述)
テスト2週間前〜1週間前
- ワークの2周目は間違えた問題だけを解き直す
- 用語・単語・公式は、見て分かるではなく書いて再現できるかで確認する
- 授業で先生が強調した説明を、自分の言葉で2〜3行に書いてみる(記述問題の準備)
テスト1週間前〜前日
- 記述問題は、解答を見る前に自分で書き、模範解答と比べて足りない語句に線を引く
- 提出物を仕上げ、答え合わせと直しまで済ませる
- 前日は新しいことに手を出さず、間違えた問題の一覧だけを見直す
テスト返却後
- 間違えた問題を「知らなかった」「知っていたが使えなかった」「書き方で減点された」に分ける
- 次のテストまでにどれを直すかを1つ決めて、ノートの最初のページに書く
英語の定期テストの具体的な進め方は定期テスト英語の対策、学年末テストの時期の準備は高1・高2の学年末テスト対策を参考にしてください。
5. 提出物の手順(主体的に学習に取り組む態度と思考・判断・表現)
提出物は「出したかどうか」だけでなく、中身が評価の材料になります。主体的に学習に取り組む態度は、粘り強く取り組んでいるか、自分の学習を調整しようとしているかを見る観点なので、直しの跡や振り返りの記述に意味があります。
提出物のチェックリスト
- 締切日を科目ごとに手帳やスマホに書き、締切の2日前を自分の締切にしている
- 問題を解いたあと、答え合わせをして、間違いを赤で直している
- 直しの横に「なぜ間違えたか」を一言書いている(計算ミス、用語の取り違えなど)
- 分からなかった問題に印をつけ、授業や質問で解決したことが分かる
- 振り返りシートには「楽しかった」ではなく、何が分からなかったか・次にどうするかを書いている
- レポートは指定の字数・形式を守り、自分の考えとその理由を書いている
答えを写しただけのワークや、空欄のまま出したプリントは、どの観点の評価材料にもなりにくくなります。全部解けなくても、解けなかった問題に何をしたかが分かる形で出すことを優先してください。
6. 授業での取り組みの手順
授業中の発言は評価の材料の例として挙がっていますが、文部科学省の資料が示すとおり、挙手の回数そのものを数える評価ではありません。目立つことより、学習の中身が見える行動を積み重ねます。
- 授業の最初:前回のノートを1分見返し、今日の内容とのつながりを確認する
- 授業中:分からなかったところに印をつけ、その日のうちに教科書か質問で解決する
- 話合い・発表:自分の意見を言うときは「結論+理由1つ」の形にする。他の人の意見に付け足す形でもよい
- 授業の最後:振り返りがあれば、分かったこと・分からないこと・次にやることを1行ずつ書く
- 授業後:質問は「ここまでは分かったが、この部分が分からない」と、どこでつまずいたかを伝える
探究の授業での取り組みは、総合型選抜の書類にも生かせます。テーマの決め方は探究テーマの決め方と出願書類への生かし方にまとめています。
7. 高1・高2の1年間の進め方
| 時期 | やること |
|---|---|
| 4月 | シラバス・評価の説明を集める。科目ごとに評価の方法をメモする |
| 1学期中間 | テスト3週間前から準備。返却後に間違いを3種類に分ける |
| 1学期期末 | 提出物を自分の締切で出す。通知表の観点別の結果を確認する |
| 夏休み | BやCがついた観点を1つ選び、その科目の先生に次にやることを聞く |
| 2学期 | 弱い観点に合わせて、記述の練習や振り返りの書き方を変える |
| 冬休み〜学年末 | 学年末テストに向けて1年分の範囲を見直す。学年末の評定が調査書に入る |
高1・高2の冬に、評定以外に進めておくことは高1の冬にやっておく推薦準備と高2の冬から始める推薦準備で月別に書いています。
8. どの科目から上げるか
調査書の全体の学習成績の状況は、評定の合計を評定の数で割った単純な平均です。単位数による重み付けはないので、体育・芸術・家庭・情報の評定も、英語や数学の評定と同じ1個として数えられます。
上げる科目を選ぶときは、次の順で考えると無駄が少なくなります。
- 評定3の科目のうち、提出物や振り返りなどテスト以外の観点でBがついているもの
- 志望校の出願資格で教科の条件がある科目(外国語・数学など)
- 評定1・2がついている科目(指導要録では、単位の修得を認めない場合は評定を1とするとされています)
評定1個の差で、出願資格の「4.0以上」を満たすかどうかが変わることもあります。具体的な数字の動きは評定平均の計算方法の計算例で確認できます。
9. よくある質問
Q. テストの点は良かったのに評定が4でした。なぜですか?
評定は3観点を基本的な要素にして出されるので、テストで測りにくい観点(思考・判断・表現の一部、主体的に学習に取り組む態度)がBだった可能性があります。どの観点が足りなかったかを先生に聞き、次の学期の提出物や記述で補ってください。
Q. ノートをきれいに取れば評価は上がりますか?
文部科学省の資料では、ノートの取り方などの形式的な活動で評価するものではないとされています。見た目より、分からなかったことと、それをどう解決したかが分かるノートにするほうが意味があります。
Q. 提出物を出し忘れたらどうすればいいですか?
気づいた時点で先生に伝え、遅れて受け取ってもらえるか確認してください。扱いは学校・科目によって違います。次からは締切の2日前を自分の締切にしておくと防げます。
Q. 部活や学校の課題で勉強時間が取れません。
テスト3週間前からワークの1周目を進めておくと、直前の負担が減ります。両立の考え方は学校の課題と受験勉強の両立も参考にしてください。体調や気持ちのつらさが続くときは、一人で抱えず、学校の先生・保護者・専門の窓口に相談してください。
Q. 高3からでも評定は上げられますか?
高3の成績も調査書に入りますが、総合型選抜・学校推薦型選抜の出願時には高3の学年末の評定はまだ出ていません。高1・高2の評定が平均の大部分を占めるので、上げるなら早い学年からのほうが効果が大きくなります。
あわせて読みたい
- 評定平均の計算方法は?いつまでの成績か・四捨五入のしかた
- 高1・高2の学年末テスト対策
- 評定が出願基準に足りないときの選択肢
- 高1の冬(12月〜3月)にやっておく推薦準備
- 高2の冬から始める総合型選抜・学校推薦型選抜の準備
- 評定平均と年内入試
参考にした公式情報
- 文部科学省「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」
- 同通知 別紙3「高等学校及び特別支援学校高等部の指導要録に記載する事項等」
- 中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」
- 文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」
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