この記事は、いま高校1年生で、総合型選抜や学校推薦型選抜(推薦)を少しでも考えている人と、その保護者の方に向けて書いています。高1の冬、つまり12月から3月までの4か月に何をしておけば、高3の秋に慌てずにすむのかを、月ごとに整理しました。
今日は2026年11月2日です。高3の先輩たちは、まさにいま推薦の出願や試験の真っ最中です。その様子を横目に「自分はまだ先」と思うかもしれませんが、推薦の準備は高3になってから急に始めても間に合いにくいところがあります。かといって、高1の冬に志望理由書を書き上げる必要もありません。この時期にやるのは、あとから取り戻しにくいものを、取りこぼさないことです。
高1の冬が大事なのは「取り戻しにくいもの」が動き出すから
まず、いまの高1が受ける入試の時期を確認しておきます。文部科学省の「令和9年度大学入学者選抜実施要項」では、総合型選抜は入学願書の受付が9月1日以降、判定結果の発表が11月1日以降、学校推薦型選抜は願書受付が11月1日以降、判定結果の発表が12月1日以降と決められています。これは2027年度入試のルールですが、いまの高1も高3の9月から12月にかけて出願や試験を迎えることになります。
出願のときに大学へ出す調査書には、高1からの成績や記録が入ります。高3の夏に「評定が少し足りない」と気づいても、過ぎた学期の成績は変えられません。英語の資格も、受けられる回数は限られています。活動の記録も、あとから思い出して書こうとすると、日付も中身もあいまいになります。高1の冬は、こうしたあとから取り戻しにくいものを整え始めるのにちょうどいい時期です。
面接は、ほぼすべての総合型・推薦で行われる流れに
もう一つ知っておいてほしいのが、面接の扱いです。同じ実施要項では、総合型選抜と学校推薦型選抜で、志望する学問分野への意欲や適性などを見る面接(ディベート、集団討論、プレゼンテーション、口頭試問なども含み、オンラインも含む)による評価が必須になりました。令和9年度選抜から適用され、令和8年度にすでにあった選抜区分で導入が難しいものは、令和11年度選抜までに面接を導入するという経過措置が書かれています。
令和11年度選抜は、2029年4月に入学する人の入試です。つまり、いまの高1がちょうどその年に受験します。高1の冬から、自分の考えを人に話す機会を少しずつ増やしておくと、高3で面接練習を始めたときの伸び方が違ってきます。面接の中で教科の知識を問われる「口頭試問」については、口頭試問とは?面接との違いと学部別の準備で詳しく説明しています。
なお、いまの高1が受ける2029年度入試の各大学の募集要項は、まだ出ていません。この記事で挙げる大学の条件は2027年度入試のものなので、「このくらいの水準が求められることがある」という目安として読んでください。
12月:2学期の成績を受け取ったら、評定を「数字」で確認する
12月は2学期の成績がつく時期です。通知表を受け取ったら、各教科の評定を書き出して、全教科の平均を自分で計算してみてください。推薦の出願条件でよく使われるのは、調査書の「全体の学習成績の状況」、いわゆる評定平均です。
実際の条件を2つ見てみます。埼玉大学 経済学部(昼間コース)の総合型選抜では、2027年度の募集要項で、調査書の全体の学習成績の状況が3.8以上であることが出願資格の一つになっています。順天堂大学 スポーツ健康科学部の学校推薦型選抜(公募推薦方式)では、全体の学習成績の状況(評定平均値)が3.5以上とされています。大学や方式によって基準は違い、評定の条件がない方式もありますが、条件があるところでは、その数字に届いていなければ出願そのものができません。
平均を出したら、次の3つを確認しておきます。
- 平均を下げている教科はどれか(苦手教科なのか、提出物の出し忘れなのか)
- 学年末にどの教科をどのくらい上げれば、平均がいくつになるか
- 評定のつけ方(定期テスト、提出物、授業態度などの割合)を先生から聞いているか
評定は定期テストの点数だけで決まるわけではありません。提出物の期限を守る、小テストの再提出をきちんとする、といった地道な部分で差がつくことも多いので、まず自分の高校での評価のされ方を知ることから始めてください。具体的な上げ方は評定平均の上げ方にまとめています。
12月:英語の資格は「いつ取ったスコアが使えるか」まで考えて計画する
英語の資格を出願条件にしたり、評価に使ったりする総合型・推薦は少なくありません。高1の冬は、最初の目標を決めて1回受けてみるのにいい時期です。
日本英語検定協会の公式ページによると、2026年度第3回の英検(従来型)は、個人申込の受付が2026年10月30日から12月14日までです(コンビニ支払・郵便局ATM支払の場合は12月11日まで)。一次試験(本会場)は2027年1月24日で、二次試験は満20歳以下の人は原則としてB日程の3月7日になります(一部の特別会場などはA日程)。申込は冬休みの前に締め切られるので、受けるなら12月の早いうちに家族と相談して申し込んでおきましょう。
ここで一つ注意があります。先ほどの埼玉大学 経済学部の総合型選抜では、英語の外部試験の基準(英検ならCSEスコア1950など)とあわせて、スコアは出願時までの2年以内に取得したものに限ると書かれています。いまの高1が2027年1月の英検を受けた場合、高3の秋の出願時点ではまだ2年以内に収まる計算です。ただ、高1の夏や秋に取ったスコアは、出願の時期によっては2年を過ぎてしまうことがあります。「2年以内」を何日から数えるのかも大学によって書き方が違うので、使う予定の大学の要項で確かめてください。
こうした期限があるので、高1の冬の受験は「いまの実力を知る」「試験の形式に慣れる」ためのものと考えておくのがおすすめです。そのうえで、本番で使うスコアは高2から高3の夏までにもう一度取りにいく、という二段構えにしておくと、期限にも水準にも対応しやすくなります。どの級・どのスコアをいつまでに目指すかは、英検はいつまでに取るべきかで詳しく書いています。
1月:冬休みに「気になったこと」を書き出してみる
冬休みは、部活や行事が少し落ち着く時期です。ここで一度、自分が何に関心を持っているのかを書き出してみてください。総合型選抜では、文部科学省の実施要項で入学希望理由書など、志願者本人が書く資料の活用が必須とされています。高3でその書類を書くとき、いちばん困るのが「書くことがない」という状態です。
とはいえ、高1の段階で志望学部を決めきる必要はありません。やり方はシンプルで、ノートかスマートフォンのメモに、次のようなことを思いつくまま書いていきます。
- 授業で「もう少し知りたい」と思った単元や話題
- ニュースや動画を見て、引っかかったこと・腹が立ったこと
- 部活やアルバイト、家の手伝いで「なぜこうなっているんだろう」と思ったこと
- 将来なってみたい職業や、やってみたい仕事の内容
10個ほど書けたら、その中から「1時間くらい調べても飽きなさそうなもの」に印をつけます。それが、高2からの探究や活動のテーマの候補になります。
総合的な探究の時間を「宿題」で終わらせない
高校によっては、高1の後半から総合的な探究の時間でテーマ決めや調べ学習が始まります。これを単なる授業の課題として流してしまうのはもったいないです。高1の冬に書き出した関心と、探究のテーマを少しでもつなげておくと、高3で出願書類を書くときに「高1から考えてきたこと」として話の筋が通ります。テーマの決め方は探究テーマの決め方と、総合的な探究の時間を出願書類に生かす方法を参考にしてください。
2月:活動の記録をつけ始め、学年末テストに備える
2月は学年末テストの準備が中心になります。高1の最後の評定が決まる大事な試験なので、12月に確認した「上げたい教科」に時間をかけてください。
そのうえで、2月から始めてほしいのが活動の記録です。総合型選抜では、活動報告書のように、高校での取り組みを書く書類を求める大学があります。そのときに必要になるのは、「何を・いつ・どのくらいの期間・どんな役割で・何を考えたか」という具体的な情報です。
記録のつけ方は難しく考えなくて大丈夫です。月に1回、次の項目を1行ずつ書くだけでも、高3になったときには大きな材料になります。
- 日付と活動の名前(部活の大会、委員会、探究の発表、ボランティア、校外の講座など)
- 自分の役割と、具体的にやったこと
- うまくいかなかったこと、そのときどうしたか
- その活動で新しく気になったこと
賞状や大会の結果、校外の講座の修了証などは、もらったらすぐに写真を撮ってフォルダにまとめておきましょう。出願のときに証明書類として出せる場合があります。
3月:文理選択・科目選択と、大学の入試の形を見ておく
高1の冬から春にかけては、高2からの文理選択や科目選択を決める高校が多い時期です。推薦を考えている人は、ここで志望しそうな分野の入試で、どの科目の力が問われるかを一度見ておくと、選択で後悔しにくくなります。
たとえば埼玉大学の2027年度の特別選抜学生募集要項を見ると、理学部 生体制御学科の総合型選抜では、第1次選抜合格者に生物学と英語の口頭試問を含む面接が課されます。工学部 情報工学科の総合型選抜では、英語と数学の口頭試問を含む面接があります。総合型だから教科の勉強はいらない、ということはなく、学部によっては高校で学ぶ科目の理解がそのまま問われます。
理系の学部を考えているのに、高2の科目選択でその分野の理科を取らなかった、ということになると、あとから独学で補うのは大変です。科目選択の前に、気になる学部の募集要項を一つでいいので開いて、「選抜方法」の欄を読んでみてください。
大学の公式サイトでは、学部ごとのアドミッション・ポリシー(どんな学生を求めているか)も公開されています。3月の春休みには、気になる大学を2〜3校選んで、学部の紹介ページとアドミッション・ポリシーを読み比べてみましょう。
高1の冬にやることを月ごとに並べると
| 時期 | やること |
|---|---|
| 12月前半 | 2学期の評定を書き出して平均を計算する。英検を受けるなら12月14日までに申し込む |
| 12月後半〜1月初め | 冬休みに関心のあることを10個書き出す。英検の一次試験に向けて準備する |
| 1月 | 英検一次試験(1月24日)。探究の時間のテーマと自分の関心をつなげてみる |
| 2月 | 学年末テストで評定を上げたい教科に集中する。活動の記録をつけ始める |
| 3月 | 英検二次試験(20歳以下はB日程の3月7日)。文理・科目選択の前に、気になる学部の募集要項の選抜方法を読む |
全部を完璧にこなす必要はありません。高1の冬に「評定の平均を自分で出した」「関心のあることを書き出した」「活動の記録を始めた」の3つができていれば、高2からの準備はかなり楽になります。高2以降の流れは総合型の準備は高1から(学年別)で続きを確認できます。
高1の冬にまだやらなくていいこと
逆に、この時期に焦って手を出さなくてよいこともあります。
一つは、志望理由書を書き上げることです。志望校や学部がはっきりしないうちに書いても、高3で大きく書き直すことになります。いまは材料を集める段階です。
もう一つは、実績づくりのために、関心のない活動を増やすことです。大学が見たいのは、活動の数よりも、その活動を通して何を考え、どう動いたかです。気が進まない活動を詰め込んで評定が下がっては本末転倒です。
そして、一般選抜の勉強をやめることもおすすめしません。推薦がうまくいかなかったときの備えになるだけでなく、口頭試問や教科・科目に係る個別テストのように、推薦の中で教科の力を問われる場面もあります。
保護者の方へ
高1の冬に保護者の方にお願いしたいのは、細かく管理することよりも、通知表を一緒に見て、平均の出し方や評定の条件について話す機会をつくることです。英検の申込のように、締切が冬休み前に来るものは、家庭で予定を共有しておくと申込忘れを防げます。
また、お子さんが話す「気になったこと」を否定せずに聞いてもらえると、それが探究のテーマや志望理由の種になることがあります。
今年受ける高3のみなさんへ
高3の人は、学校推薦型選抜の出願が11月1日以降に始まり、いまちょうど出願期間に入っている大学が多い時期です。たとえば順天堂大学 スポーツ健康科学部の学校推薦型選抜は、出願期間が2026年11月1日から11月13日まで(必着)、試験日が11月26日です。埼玉大学 経済学部の総合型選抜は、出願期間が11月2日から11月9日まで(期間内郵送必着)、第1次選抜の試験が11月21日です。
締切は大学ごとに違い、郵送必着かどうかでも準備の日数が変わります。もう一度、自分が出す大学の募集要項で日付を確認してください。
参考にした公式情報
- 文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」
- 文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項(令和8年5月27日付け)等に関するQ&A」
- 埼玉大学「令和9年度 特別選抜学生募集要項(総合型選抜・学校推薦型選抜)」
- 順天堂大学 スポーツ健康科学部「学校推薦型選抜」(2027年度)
- 2027年度(令和9年度)順天堂大学 スポーツ健康科学部 学生募集要項(PDF)
- 日本英語検定協会「2026年度 試験日程(個人でお申し込みの方)」
入試の内容は変更されることがあります。出願前に必ず大学の公式発表を確認してください。
あわせて読みたい
- 総合型の準備は高1から(学年別)
- 活動報告書の書き方
- 英検はいつまでに、どの水準で
- 高2の冬から始める推薦準備
- 保護者向け:総合型・推薦の1年間のスケジュールと家庭でできる手伝い
- 口頭試問とは?面接との違いと学部別の準備
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