日本大学・駒澤大学・専修大学を受けようと考えている高校3年生・既卒生と、その保護者の方に向けた記事です。この3校は「日東駒専」とひとまとめに呼ばれますが、方式の名前も、英語の問題の作りも別物です。EIMEI予備校(川越・ふじみ野・鶴瀬)では大学ごとに入試対策読本を自作し、過去問の長文を1本ずつ数えて集計しています。その実測値だけで3校を並べます。
まず、3校が「別物」であることを数字で見る
読本で分析したデータの範囲です。
- 日本大学:40パッセージ(2023・2025年度/N全学統一方式・学部別A方式ほか多学部)
- 駒澤大学:51パッセージ(2021〜2023年度/T方式・全学部統一・グローバル・メディア・スタディーズ)
- 専修大学:42パッセージ(2022〜2024年度/経済各方式・商・国際コミュニケーション・文学部E方式)
偏りの出方が違います。専修は42本中12本が心理学。駒澤は51本中十数本に表・グラフが付く。日本大学の40本は伝記・歴史・文化の「一項目完結型」が中心で、抽象的な議論がほとんど出ません。同じ括りでも、当日読む文章の手触りは別物です。東洋大学は別記事があるので、ここでは残る3校に絞ります。
共通点もあります。語彙・文法の独立小問が全体の3〜5割を占め、長文は平易〜標準の時事・教養記事。全問マークが基本で、記述・英作文は専修の文学部E方式など例外を除いてありません。グループ全体の話は日東駒専の英語にまとめています。なお、この記事に書くのは読本で数えた形式とテーマだけです。試験時間・配点・科目の指定は年度や方式で変わることがあるので、自分が受ける年度の募集要項で必ず確認してください。
日本大学 ― 大問が多い、教養百科型の速解
形式の要点です。
- N方式:文法・語彙の小問3セット+長文+会話文+整序で、7〜8大問のオールマークの速解型。
- 学部別A方式:こちらも全マークで、大問の並びと小問数が学部ごとに違うだけの同系統。
学部で並びは変わっても作りは同じ系統なので、学部ごとに別の準備は不要です。一方で大問の数が多く、1問にかけられる時間が短いため、語彙・文法の即答力が土台になります。
長文は百科事典の項目のようです。読本で拾えたのは灯台の歴史、無声映画の弁士、フラメンコの起源、鯨油から石油へ、消費税の歴史、テスラとエジソン、向井千秋。健康もの(睡眠不足、衛生仮説、バーカー仮説、ハーブ療法)と環境もの(温暖化の概説、ファストファッション、タイヤ粉塵)も出ますが、いずれも事実整理型で議論文ではありません。対策は「広く浅い教養」×「事実関係を速く正確に追う読み」に尽きます。段落ごとに「誰が・いつ・何をしたか」をチェックする読み方が、そのまま得点です。
もう1点、単語帳の付録で設問文まで英語の入試が年々増えていることに触れていて、日本大学の文理学部もその例に挙がっています。志望学部の設問が日本語か英語かは、過去問を開いた最初に確認してください。
駒澤大学 ― 図表が組み込まれ、語彙文法が約半分
駒澤は方式で形式が二手に分かれます。
- T方式・全学部統一:長文2本+図表付き読解1本+会話文+語彙定義・熟語・整序・アクセントで大問8〜10構成。語彙文法の比重が約半分。
- グローバル・メディア・スタディーズ(GMS):別形式で、長文3本+報道記事の語句補充+会話文補充の読解中心5大問。
T方式・全学部が「小問の種類が多い知識寄り」、GMSが「長文の本数で押す読解寄り」と逆向きです。アクセント・語彙定義は3校で駒澤だけの小問で、やっていない人はここが丸ごと空きます。
最大の特徴はほぼ毎回組み込まれる図表・データ読解です。世界人口ランキングの変動、幸福度ランキング、食品ロスの国別データ、住みやすい都市ランキング、ヒートアイランドの地点比較。表・グラフ付きが51本中十数本を占めます。問われるのは数値の変化と順位の入れ替わりなので、練習すべきは精読より表の縦横を素早く把握する動作のほうです。
学部の顔も明確です。GMSはメディア×社会の時事(SNSの偽情報、ニュースリテラシー、大学新聞の財政難、ネパール人介護労働者)で、出典はVOA・Pew・NHKなどの報道。T方式・全学部は文化史・言語論(浮世絵、バウハウス、紙の発明、チョムスキーの普遍文法)が安定枠。環境もの(水資源・山火事)も7本と多めです。
専修大学 ― 心理学が偏って出る。文学部E方式だけは別物
専修は学部・方式でマーク一色か記述ありかが分かれます。
- 経済・商・国際コミュニケーション系:長文2〜3本+会話文+語句整序のマーク定型。
- 文学部E方式:長文1本+日本語要約160字+英文メールの返信という記述重視で、ほかとは別物。
「専修大学の英語」でまとめて過去問を集めると、E方式志望でないのに要約を練習したり、E方式志望なのにマークだけ回して記述に触れず本番を迎えたりします。まず出す方式を確定させてから過去問を集めてください。マーク方式で定番なのは空所補充型の中文で、1つのパッセージに空所が10前後あり、文脈と文法を同時に使わせます。
テーマの偏りは数字が示します。42本中12本が心理学。アッシュの同調実験、集合知(牛の体重当て)、性格検査の信頼性、As Ifの原則、後悔の心理、乳児の道徳性実験、検索練習、フレネミー研究。さらに2024年度はChatGPT関連が一気に3本(教育局の禁止撤回、能力と限界、雇用への影響)で、生成AIの波をこのグループで最も早く反映しました。エッセイ・随筆も5本あり(終戦直後の回想、移民作家の制服論)、説明文とは別の読み方が必要です。研究紹介型は「実験の手順」と「わかったこと」の2点を押さえる読みで、日本大学の事実追跡とも駒澤の図表読解とも別です。
3校のテーマを、単語帳のデータと結びつける
入試英文のコーパスをテーマ別に頻度集計した単語帳もあります。重ねると順番が決まります。
- 心理・脳科学はコーパス最大勢力の104題で、brain がテーマ別集計の最頻出内容語。participant / task / condition の実験描写語が柱。専修の12/42と噛み合います。
- 歴史・文化・人類学はパッセージ数最多の125題、century・museum(35回)・ancient が上位。日本大学の「ものの歴史」と駒澤T方式・全学部の文化史枠の下地。
- 医療・健康は86題で集計2位、disease(44回)・drug(34回)。環境・気候変動は ocean(67回)・plastic(65回)・waste(61回)・climate(50回)・carbon(42回)が最上位常連。日本大学の健康もの・温暖化型と、駒澤の環境7本に効きます。
- AI・情報技術は2025〜26年度に出題が急増中、machine・model も上位。専修のChatGPT3本と駒澤GMSの偽情報を支えます。
- 共通語彙の章には increase / decrease が「図表問題の基本ペア」として入っています。駒澤の図表枠では、この周辺語がそのまま設問語です。
3校を併願するなら、共通のアカデミック語→心理→歴史文化→環境→AIの順で回すと当たる面積が最も広くなります。使い方はテーマ別英単語に書いています。
「1分あたりに処理する語数」をどう見積もるか
読本で語数と試験時間の両方が確認できているのは東洋大学です。東洋は5大問構成60分で長文2本が各400〜700語、長文だけで800〜1400語。仮に長文2本に30分を割り当てると1分あたり27〜47語、残り30分で語彙文法・会話文・整序を片づける設計です。
日本大学・駒澤・専修については、読本の分析に試験時間と語数が含まれていません。推測で埋めずに、募集要項で試験時間を確認し、過去問1回分の語数を自分で数えてください。手順はこうです。
- 募集要項で試験時間を確認する。
- 過去問1回分の長文の語数を数える(1行の語数×行数の概算で構いません)。
- 語彙文法・会話文・整序に何分使うかを先に決めて引く。残りが長文に使える時間です。
- 残り時間で語数を割り、自分に必要な1分あたりの語数を出す。
大問数からの逆算も併用してください。日本大学N方式は7〜8大問、駒澤T方式・全学部は8〜10大問。試験時間を大問数で割れば1大問あたりの上限が出ます。駒澤は語彙文法が約半分なので、そこを短く切り上げられるかが全体を決めます。測り方は英語が時間内に解き終わらないときで手順化しています。
3校併願で、重なるところと重ならないところ
重なるのはここ。
- 語彙・文法の独立小問。全体の3〜5割を占め、日本大学N方式の小問3セット、駒澤の約半分、専修のマーク定型すべてに入ります。1回の練習が3校分です。
- 整序と会話文。3校すべてに形を変えて入っています。マーク形式そのものと共通のアカデミック語彙(researcher・study・evidence・suggest など)も共通です。
重ならないのはここ。
- 読みの技術が3つとも違う。日本大学は事実関係の追跡、駒澤は表の縦横の把握、専修は研究の手順と結論。同じ「長文」でも別の動作です。
- 駒澤のアクセント・語彙定義は他2校の対策に出てきません。空所が10前後並ぶ中文は専修の定番で、他2校の主軸ではありません。
- 専修文学部E方式の記述(160字要約・英文メール)は、他の方式の練習では代替できません。
- テーマの当たり。心理学は専修、歴史文化は日本大学と駒澤T方式・全学部、図表付きは駒澤だけ。読むものは3校で分けます。
知識の小問は共通化できる、読み方と特殊な小問は共通化できないということです。大学別 英語の比較もあわせて読んでください。
東洋大学と併願するときの注意
この3校に東洋を足す人は多いと思います。気をつけたいのは東洋だけ形式が完全に固定されている点です。読本の分析では学部・方式が違っても5大問構成(60分)で完全共通。長文2本(各400〜700語)+短文の語彙文法空所+会話文の文挿入+和文対応の整序英作文で、テーマも32本中11本が歴史・文化系と偏ります。過去問の回転がそのまま効く大学です。
ここに落とし穴があります。東洋で慣れると「日東駒専に慣れた」と感じやすいのですが、日本大学は7〜8大問、駒澤T方式・全学部は8〜10大問で小問の数も種類も違い、東洋の5大問のリズムで本番に入ると時間感覚がずれます。大学ごとに「1回分を時間どおりに通す」日を別々に作ってください。東洋の中身は東洋の英語、日程の組み方は日東駒専の日程選びで扱っています。
この3校を受けるなら、最低限やっておきたい3つ
- 語彙・文法の独立小問を、考えずに即答できる状態にする。読本は日本大学について「まず語彙・文法の小問を8割固定する」を最初の目標に置いています。全体の3〜5割がここなので、不安定だと長文に回す時間が生まれません。1問10秒などと決め、超えたら飛ばす練習まで習慣にします。
- 図表付きの英文を通しで解く回を作る。駒澤なら必須です。51本中十数本なので「たまに出る」ではなく「形式として入っている」と考えてください。英文を読む前に表の縦軸・横軸・単位・年を確認する手順を固定します。
- 研究紹介型の長文を型で読めるようにする。専修の12/42に加え、単語帳でも心理・脳科学は104題で最大勢力です。「誰が・何人に・何をして・何がわかったか」の4点だけを拾うと決めてください。participant・condition・significant が設問の根拠になります。
残り3か月の優先順位
10月 ― 方式の確定と、共通部分
- 受ける方式を確定させる。日本大学はN全学統一方式か学部別A方式か、駒澤はT方式・全学部統一かGMSか、専修は経済・商・国際コミュ系かE方式か。これが決まらないと過去問が集まりません。募集要項で試験時間と科目も同時に確認します。
- 語彙・文法の小問を8割に固定する。3校で共通するので最も時間を割く価値があります。あわせて共通のアカデミック頻出語を固めます。
11月 ― 大学ごとの個性に入る
- 過去問1回分を時間どおりに通し、1分あたりの語数を測る。読み方も分ける。日本大学=段落ごとの事実チェック/駒澤=図表の縦横を先に見る/専修=研究の手順と結論。
- テーマのインプットを日本語で進める(心理→歴史文化→環境→AI)。本番で知の隣町から入るための下地です。
- 駒澤志望はアクセント・語彙定義に別枠を。専修E方式志望は160字要約と英文メールを週1本。
12月以降 ― 形式の反復と当日の段取り
- 形式が固定されている大学(東洋を併願するならとくに)は過去問の回転が効きます。
- 大問ごとの持ち時間を紙に書いて守る練習に切り替える。新しい教材を増やす時期ではありません。設問文が英語の学部なら、設問の定型表現も最後に確認します。
まず、受ける方式を1つ決めるところから
この3校は名前が並んでいるだけで、問題の作りは別です。共通化できるのは語彙・文法の小問と共通語彙までで、読み方は分けて準備します。まずは過去問1回分を時間どおりに解いて、どの大問で時間が溶けているかを見るところから。勉強がうまく進まない時期が続くときは、学校の先生や保護者の方にも早めに相談してみてください。
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