この記事は、GMARCH(学習院・明治・青山学院・立教・中央・法政)を志望していて、一般選抜で国語を使う高校生・既卒生と保護者の方に向けたものです。川越で個別指導をしているEIMEI予備校が、自作の入試対策読本の分析データから、6大学の国語の違いを並べます。
先に結論です。「GMARCH向けの国語の勉強」というひとまとまりのものはありません。同じGMARCHの中に、漢文が20点で確定している学部と、3年間ずっと漢文が0問の学部があります。古文がまったく出ない学部があり、古文を2題解く方式があります。記述が1問もない日程があり、70字の比較論述が出た方式もあります。やることは自分が受ける大学・学部・日程の形で決まります。
以下は過去問冊子を大問別に読んだ実測値です。分析した冊数も年度の幅も大学ごとに違うので、大学をまたいで比べることはできません。明治大学のデータは学部別入学試験のもので、全学部統一入試は対象外です。
まず漢文です。出るのはここだけ
準備をいちばん左右するのが漢文の有無です。
- 学習院大学/国語9冊のうち漢文があるのは文学部コア試験だけ。3年とも出て配点20点で固定です。法・経済系の6冊は0問でした。
- 明治大学/学部別入試の国語23冊で、独立大問として出るのは文学部だけ。2024年度『近古史談』、2025年度『貞観政要』と杜甫の詩、2026年度『後山談叢』と3年連続です。他7学部は3年とも0で、募集要項にも「漢文の独立問題は出題しない」と明記されています。
- 青山学院大学/国語11冊で独立大問は4年間ゼロ。出題範囲の表記は「言語文化(古文・漢文を含む)」ですが、実際は引用だけでした(2024年度の現代文に十七条憲法の訓読文など)。
- 立教大学/入るのは2月11日の文学部日程だけ。大学の出題意図にも「漢文は2月11日の文学部日程のみ出題」と明記され、この日だけ現代文が2題から1題に減ります。全学部日程の11冊は0です。
- 中央大学/出るのは文学部だけで20点が3年間固定。他の7学部・方式では3年間で1度もありません。
- 法政大学/国語9冊で漢文が出るのは冊子207の文学部志望者とT日程の文学部日本文学科の2つだけ。全員が必ず解く漢文は9冊中0冊です。
文学部系統を受けないなら、漢文の句法を暗記する必要はほぼありません。ただし明治の法・商では古文の小問に訓点つきの漢文や書き下し文が混じった年があるので、返り点と書き下しの初歩だけは確保してください。
大学ごとの骨格:時間・配点・大問・記述
学習院大学
9冊で3通りです。文学部コアは4大問・90分・150点(現代文45+45、古文40、漢文20)で21〜24ページ。法学部コア系は60分100点で現代文65+古文35(2025年度のみ漢字10の大問が加わる)、経済学部コア系は60分120点で現代文80+古文40(同じく2025年度のみ漢字10)、どちらも13〜16ページ。字数指定の論述は9冊すべてゼロ、記述は漢字・抜き出し・返り点・文法だけです。
明治大学
全学部60分(農学部のみ2科目120分の中)。法学部は評論2+古文1で31〜34問と設問数が最多、字数指定の記述はなく抜き出しは3〜28字。商学部は3大問24〜25問・5択で説明記述が毎年1題(26〜40字)。政治経済学部は評論・随筆2+古文+漢字語彙の4大問30〜31問で50字以内が3年連続、本文26〜28ページ。経営学部は2大問だけ(各10〜12問、30〜40字1問)、国際日本学部は国語150点で60字以内が2024・2026年度に、情報コミュニケーション学部は3大問28ページで長文記述なし、農学部は漢字2大問+評論+古文が3年とも固定です。
青山学院大学
全学部日程は70分・全問マークで記述ゼロ、解答欄35〜36問が4年間安定。文学部の日本文・史・比較芸術学科だけが古文の大問Ⅲも解いて150点、他学部は現代文2題のみで100点です。文学部英米文学科C方式は60分100点で「現代文→古文→現代文」、記述は3〜5問と軽量。日本文学科A方式は90分150点で古文の問題四が加わり古文2題。日本文学科B方式は60分150点で大問が一つだけ、国文学系の長い評論に古文原文と和歌が大量に引用された形で、記述は6〜7問・最大字数が30字から70字まで年で振れます。
立教大学
全学部日程は11冊すべてで現代文2題+古文1題、75分。例外が一つもありません。配点は学部で違い、文・異文化コミュニケーション・法・観光が200点、経済・現代心理が150点、経営・社会・コミュニティ福祉などが100点です。記述は毎年3〜6問で型が固定され、大問一に20〜40字の説明記述1問(11冊中9冊)、大問二の冒頭でカタカナを漢字に直す楷書記述2問(11冊中10冊)、大問三で3〜10字以内の現代語訳1問。最も重かったのは2026年度2/12の「30字以上40字以内」です。
中央大学
学部・方式で8通りです。全問マークは5学部共通選抜・経済Ⅰ・国際経営・国際情報。古典が要らないのは国際経営(現代文3題)・国際情報(現代文2題+知識1題)・総合政策(現代文3題)の3学部。古文は共通選抜・法・文・経済・商の5系統で30点固定。総合政策だけ70分で他は60分100点(文学部国文学専攻は150点)。自分の言葉で書く記述があるのは法学部だけで、2024年度60字以内、2025年度40〜50字、2026年度は50〜60字+20〜30字の2問に増えました。
法政大学
冊子番号で日程が決まり、番号が違えば完全に別問題です。T日程(冊子205)は日本文学科以外が60分で知識1題+現代文2題、日本文学科だけ90分で現代文2題+古文+漢文。冊子207は同じ冊子でも解く大問が違い、文学部志望者が現代文・古文・漢文、経営・人間環境・GIS志望者が現代文・古文・現代文。冊子209(経済Ⅰ・社会Ⅰ・現代福祉)は3年連続で古文も漢文もなく記述もゼロの全問マークです。記述は冊子207が現代文2題に各1問の「30字以上40字以内」で文末固定の穴埋め式、T日程は2025年度が最重(40字+古文10字と35字+返り点+漢文の現代語訳)、2026年度は40字×2+返り点×2でした。
現代文:分野と設問形式、漢字の比重
- 小説が出るか/学習院は9冊すべて評論、青学は11冊すべて評論で随筆も一度もなし、中央は24冊すべて評論と随筆で小説0題、明治も法・商・政治経済で3年ともゼロ。立教だけ11冊で1回(2026年度2/8)出て、擬人法・主語の省略・三人称文体といった表現の特色を問う設問が入りました。心情読解の優先度は高くありません。
- 分野/学習院は時事寄り(AI・SNS・ジャーナリズム論)と人文評論が半々で、新聞の経済面の評論欄が9冊中2回。中央は出典が学部の学問分野に寄せてあり、国際情報は情報・AI・メディアで完全統一、国際経営は経営・経済思想が3題中2題です。立教は大問一が随筆や柔らかい評論、大問二は11題すべてが硬質な評論。法政は刊行から数年以内の新しい評論が多いです。
- 漢字・語彙の比重/中央の国際情報学部は大問一がまるごと知識問題で毎年15問前後・30点、配点の3割。他学部は問一に3〜5問で、商学部だけ「読みをひらがなで書く」形式が毎年。明治の政治経済学部は漢字・語彙が独立大問、農学部は漢字の独立大問が2つで3年とも固定。法政の冊子209も2026年度に知識大問が新設されました。
古文:ジャンルと、文学史・和歌
- 時代とジャンル/中央は15題のうち13題が平安から鎌倉で日記・物語・説話が中心。青学も平安中期から鎌倉初期が中心。立教は平安5・鎌倉3・近世3で上代の独立出題は0。学習院は鎌倉の日記から室町の御伽草子、軍記、説話までジャンルが分散し特定ジャンルに絞った対策が効きません。明治の法学部は中世の説話・歌学書に偏ります。
- 設問形式/中央は敬語から主語を判定するのが定番。立教の2/8系は『源氏物語』『更級日記』など平安の王朝文が中心で敬語の網が重く、2/12系は説話・近世・中世日記が中心でその網は張られにくい。明治の文学部は口語訳2問前後と書き下し・返り点です。
- 文学史/学習院は9冊すべてで最後に必出(作者・同時代作品・ジャンル)。青学はC方式・B方式で毎年1〜2問。明治は商学部・政治経済学部で毎年1問(鏡物の判別、勅撰集の順序)、農学部・情コミでも出ます。知識で取り切れる配点です。
- 和歌/明治の商学部は和歌の解釈が必出。立教は掛詞・枕詞・縁語と古歌の引用が繰り返し問われます。青学は擬古物語や歌論で和歌が地の文に組み込まれ、飛ばして読む癖があると崩れます。
同じ大学でも、学部・日程で変わること
- 学習院/同じ文学部でも、コア試験は漢文込みの4大問150点90分、英語英米文化学科のプラス試験は2026年度が漢文なしの100点でした。
- 明治/記述の重い順は文学部(口語訳・書き下し)、国際日本(60字)、経営(30〜40字)、情コミ・農(抜き出しと漢字のみ)。
- 青山学院/同じ日本文学科でも、A方式は90分で古文2題、B方式は60分で大問一つの融合型です。
- 立教/同一試験日・同一科目なら学部を問わず同じ問題なので、志望学部以外の過去問も教材になります。ただし2/8は4年とも6,550〜6,700字で重く、2/12は2024年度7,050字から2026年度5,700字へ軽くなりました。
- 法政/共通テスト利用のB方式は、国語の使う範囲が学科で3通りに分かれます。
この大学を受けるなら、ここを先に
- 学習院/文学部コアは漢文(返り点・句法・中国文学史で毎年20点)と古文の文学史・和歌。法学部コア系は「三つ選べ(三つ以上マークで0点)」型の精読と古文文法、経済学部コア系は時事評論と抜き出しです。
- 明治/法学部は硬い評論を止まらず読み切る速度。商学部は30〜40字でまとめる型と文学史。政治経済学部は漢字・語彙の大問を最初の3分で片づける段取りと50字記述。文学部は句形・返り点・書き下しと口語訳です。
- 青山学院/全学部日程だけならマーク演習に全振り。英米文C方式は古文と漢字。日本文B方式は過去問そのものを教材にするのが最短です。
- 立教/平安から鎌倉の古文(助動詞、敬語による主語判定、和歌の修辞)、楷書の漢字記述、20〜40字の説明記述。この3つでほぼ足ります。
- 中央/法学部は40〜60字の説明記述を訓練。国際情報は大問一の知識30点を取り切る。国際経営・総合政策は志望学部の分野の新書を数冊。文学部は60分3題の時間配分です。
- 法政/冊子207とT日程は「30〜40字・文末固定」の要約記述を型として練習。冊子209は記述がないぶん、4大問に増えた分量を60分で処理する速度が課題です。
複数のGMARCHを併願するとき
共通してやれることは、思っているより少なくありません。硬い評論を速く読む力は6大学すべてで主役で、小説の比重は低いので、まずここに時間を寄せられます。漢字・同音異字・四字熟語は独立大問になる学部(中央の国際情報、明治の政治経済と農、法政の冊子209など)があり、そうでない学部でも毎年数問出ます。あとは平安から鎌倉の古文の基本と、古典の文学史を作品名・作者・成立年代・ジャンルの1枚の表にすること。これだけで、学習院・明治の商と政治経済・青学のC方式とB方式で毎年1〜2問が拾えます。
逆に、分けるべきものもはっきりしています。
- 漢文/文学部系統を受けるかで決めます。受けないなら句法暗記はせず、書き下し文が読める水準で止めます。
- 記述/「自分の言葉で40〜60字」(中央の法)、「文末固定の30〜40字」(法政)、「20〜40字」(立教)、「50字」(明治の政治経済)は、同じ字数帯でも要求が違います。記述ゼロの学部なら、その時間はマーク演習に回します。
- 時間配分/60分2大問(明治の経営)と60分4大問(明治の政治経済、法政の冊子209)は設計が別物です。解く順序を大学ごとに決めて固定します。
- 過去問の単位/法政は冊子番号、立教は試験日、中央・明治・青学は学部・方式が単位です。関係のない日程の過去問は本番と同型になりません。
残り数か月の進め方
- 10月前半までに、受ける学部・日程の形を書き出す/漢文が要るか、古文が要るか、記述があるか、何分で何大問か。この4項目で、やらないことが決まります。
- 11月までに、共通してやれるものを片づける/漢字・語彙、古文の助動詞と敬語、文学史の表。どれも短時間で積める知識で、直前期に回すと他に押されて消えます。並行して硬い評論を週2〜3本、時間を計って読みます。
- 12月以降は、志望校の型だけを回す/記述は字数を数える練習まで含めてください。中央の法学部は「句読点・記号・括弧も字数に数え、一字につき1マス」と指示が細かく、字数管理での失点が起きやすい形式です。過去問は自分の日程・冊子・方式のものだけを使います。
国語は点数が振れやすい科目です。1回の模試で判断せず、大問ごとにどこで時間を使ったかを見てください。うまく進まない時期が続くときは、学校の先生や保護者の方に相談してみてください。
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