法政大学の英語は「日程」で決まる|T日程とA方式の違いと1分あたりの語数【川越の予備校が解説】

法政大学を受ける予定で、英語をどう仕上げるか決めきれていない高校生・既卒生と、その保護者の方に向けた記事です。EIMEI予備校では大学ごとに入試対策読本を自作していて、法政は2024〜2026年度の問題冊子105冊を通読しました。そのうち英語は17冊。ここに書くのは、その17冊から読み取れたことだけです。

法政の英語は、ほかの大学と同じ感覚で対策すると空振りします。法政の問題は学部ごとではなく「試験日ごと」に作られているからです。

法政の英語は「学部」ではなく「日程」で決まる

法政の問題冊子の表紙には3桁の番号が印刷されています。これが試験日を表す番号です。同じ番号の冊子は同じ問題、番号が違えば別の問題。読本では105冊を、文章を12文字ずつ区切って一致率を計算する方法で突き合わせ、違う番号の冊子で内容が一致した組み合わせは一つもないことを確かめました。

裏返せば、同じ番号の学部群はまったく同じ問題を解いています。冊子216は法学部Ⅱ日程(法律・政治)・国際文化学部・キャリアデザイン学部の3学部で、この3学部の受験生は英語も国語も日本史も同じ問題です。

逆に、同じ法学部でもⅠ日程(国際政治学科)は冊子208、Ⅱ日程(法律・政治学科)は冊子216で、完全に別の問題になります。「法政の法学部の英語の過去問」という言い方には、実は意味がありません。あるのは「208の英語」と「216の英語」です。

だから過去問は「日程別」に集める

  1. 自分の志望学科がどの日程・どの冊子番号に当たるかを、その年度の要項と入試情報サイトで確認する
  2. その番号の過去問だけを解く。他の番号は自分とは別の試験です
  3. T日程も受けるなら、T日程(冊子205)の過去問を別に解く

過去問集には複数の日程が収録されていますが、自分に関係があるのは1つか2つだけ。全部解くと半分以上が「自分が受けない試験」の練習になります。日程と学部の組み方は法政大学の日程別のしくみにまとめています。

T日程とA方式は、同じ法政でも別の試験

まず、英語17冊すべてに共通して確定していることから。

  • 17冊すべて全問マークシート。和訳・英訳・自由英作文は一つもありません
  • 英作文の力は語句整序(2番目と4番目に来る語を選ぶマーク形式)でのみ問われます
  • 試験時間はT日程が2限90分、A方式が1限90分。ただしA方式の文学部(哲・日本文・史)だけは60分です
  • 配点は17冊すべての表紙に記載がありません。科目ごとの配点は、自分が受ける年度の入学試験要項で必ず確認してください

記述がゼロという事実は、対策の方向を決めます。法政の英語のためだけなら、和訳や自由英作文の練習は不要です(他大学との併願で要るなら別の話です)。

T日程(冊子205)は3年で形が変わった

T日程は2月5日に全学一斉で、GISを除く14学部が同じ1セットを解きます。その大問構成が3年で大きく動いています。

  • 2024年度 大問5。文法語法+会話/不要文削除+語彙補充/長文3本
  • 2025年度 大問4。長文3本+会話文(戯曲)1本。独立した文法の大問が消滅
  • 2026年度 大問4長文4本。会話文も消え、すべて説明文・歴史記述に

2026年度は長文1本あたり1,000語前後を4本で、法政のなかで最も読解量が多い試験です。知識問題は長文の中の設問(語義・言い換え・整序)に吸収されました。設問は「下線部と最も意味が近いものを選べ」型が中心で、選択肢自体が長い。単語を知らなくても文脈から絞る力が要ります。

A方式の英語は、日程で3つのタイプに分かれる

「A方式ならどの日でも同じ」は成り立ちません。3年分を並べると、はっきり3つに分かれます。

タイプA 文法独立型(冊子209・212)

大問Ⅰに4択の短文空所補充が15問、残りが長文2〜3本。冊子209(経済Ⅰ・社会Ⅰ・現代福祉)は文法15問+長文2本+インタビュー1本で、2024・2025・2026年度の3年間まったく同じ骨格でした。法政で最も再現性が高い日程です。冊子212(経済Ⅱ・社会Ⅱ・スポーツ健康)も同系統で、長文の1本が会話文に置き換わります。文法15問を何分で片づけ、長文に何分割くかを決めて練習すれば、形式適応はほぼ完成します。

タイプB 長文のみ型(冊子207・208・216)

独立した知識問題の大問がありません。冊子208(法Ⅰ・文Ⅱ・経営Ⅱ)と冊子216(法Ⅱ・国際文化・キャリアデザイン)は長文4本のみで、216は文化史・メディア史など人文寄り。整序は長文の中に埋め込まれています。

とくに注意が要るのが冊子207(文Ⅰ・経営Ⅰ・人間環境・GIS)です。表紙に「文学部(哲・日本文・史)は大問Ⅰ〜Ⅲの3題を60分/経営学部・人間環境学部は大問Ⅰ〜Ⅳの4題を90分」と明記されています。同じ冊子なのに、学部で解く範囲も時間も違います。

タイプC 理系日程型(冊子211・214)

大問数が4〜7と最も多く、図表・グラフ・写真・模式図の読み取りが半分近くを占めます。そして発音アクセントと語句整序が出るのは、実質この日程だけ。理系志望者には6〜8問分あるので直前期の暗記で回収できます。逆に文系志望なら、発音アクセントの優先度は最低で構いません。

長文のテーマは、はっきり偏っている

3年分の出典を並べると、時事・社会(移民、観光、住宅、気候変動、AI)と心理・脳科学が全日程で頻出でした。加えて理系日程は図表を伴う科学記事、文学部系や法学部Ⅱ日程は文化史・エッセイが軸です。実際に出たテーマの一部を挙げます。

  • 時事・社会 日本の空き家問題/ライドシェア解禁/オーバーツーリズム/AI求人市場
  • 心理・脳科学 記憶と忘却/視覚思考者と神経多様性/人間関係と幸福/休息の価値
  • 科学(理系日程に多い) LEDと相変化材料/折り紙と医療工学/月面3Dプリンタ建設/非周期タイル
  • 文化・歴史 茶の伝来史/白バラ抵抗運動/冷戦期アメリカのテレビ普及
  • T日程はとくに抽象度が高い 2026年度は「MOOCと大学の未来」「ヴィクトリア朝の労働時間短縮と余暇の誕生」

単語帳のデータと重ねると、やることが絞れる

EIMEI予備校ではテーマ別の頻出英単語帳も自作しています。415題・約86万語の入試英文コーパスの頻度集計ですが、その上位は法政の出題ときれいに重なります。

  • 歴史・文化・人類学はパッセージ数が最多の125題。冊子216の文化史やT日程の歴史記述がここです
  • 心理・脳科学は104題でテーマ別集計の最大勢力。brain がテーマ別で最頻出の内容語でした
  • 環境・気候変動は ocean 67回、plastic 65回、waste 61回、climate 50回、carbon 42回
  • AI・情報技術は2025〜2026年度に出題が急増中です

つまり社会・環境・AI・心理の4分野は、日本語で背景知識を持っておくだけで読む時間が縮みます。知っている話題の1,000語と知らない話題の1,000語では、かかる時間がまるで違うからです。語彙の固め方はテーマ別英単語の記事に書いています。

1分あたり何語を処理することになるのか

時間配分は数字で決めます。読本で語数まで測れているのはT日程なので、そこから計算します。T日程(2026年度)は1,000語前後の長文が4本で、およそ4,000語。試験時間は90分です。

  • 4,000語 ÷ 90分 = 1分あたり約44語(設問を読んでマークする時間も込みの数字)
  • 設問処理とマークに40分使うと決めるなら、本文を読む正味は50分。4,000語 ÷ 50分 = 1分あたり80語を読解速度として用意することになります

A方式については、読本では語数を測っていません。ですから自分の冊子番号の過去問を1年分そろえて、長文の語数を自分で数えてください。1行あたりの語数と行数を掛ければ10分で出ます。それを、確定している持ち時間で割ります。

  • 冊子208・216(長文4本を90分)1本あたり22.5分
  • 冊子207の経営・人間環境(4題90分)1題あたり22.5分
  • 冊子207の文学部(3題60分)1題あたり20分。4題90分の日程より、1題あたりはやや厳しい計算です
  • 冊子209・212(文法15問+長文2〜3本を90分)文法に10分と決めるなら、長文に残るのは80分

出した配分は紙に書いて持っていきます。「大問Ⅰに15分、Ⅱに12分」と決めて試験室に入るのと、その場で考えるのとでは最初の1分が変わります。終わらない原因の切り分け方は英語が時間内に解き終わらないときの記事にまとめました。

形式が変わった日程がある。過去問の使い方に注意

T日程は、2024年度に2つあった知識問題の大問が、2025年度に文法の大問が消え、2026年度には会話文も消えて長文4本になりました。2024年度のT日程の過去問は、構成が今と違うことを前提に使ってください。形式適応の練習としては、そのままでは機能しません。対策の重心も「文法問題を潰す」から「長文の速読と言い換え処理」へ完全に移すべきです。

理系日程(211・214)は逆の動きです。2024年度はⅠ日程とⅡ日程で構成が別物でしたが、2025年度以降そろい、2026年度にはほぼ同じ形(Ⅰ発音アクセント/Ⅱ文法・会話・整序/Ⅲ不要文削除・文補充/Ⅳ以降が図表付き長文)になりました。図表の比重は増加傾向で、2026年度は理系2日程とも図表を伴う大問が2つ以上あります。

なお、大学公式の過去問公開は2年分です。そろえられる年数は多くないので、1年ずつの使い道を決めてから解き始めてください。

標準化がある。合格最低点をそのまま目標にしない

法政は一般選抜の全科目で得点調整(標準化)を行っています。公式Q&Aに「全科目において本学独自の計算式を使って得点調整(標準化)を行い、合否判定します」とあり、選択科目だけでなく英語も国語も対象です。計算式は公表されていないので、何点得をするかを具体的に言うことは誰にもできません(共通テスト利用のB方式・C方式では標準化を行いません)。

そして公式の入試結果データには「合格最低点は、得点調整(標準化)後の点数です」と注記があります。つまり過去問の素点と公表された合格最低点を直接比べても意味がありません。たとえば法学部A方式Ⅱ日程の合格最低点は350点満点の250.5点(71.5%)ですが、「素点で250.5点取れば受かる」という意味ではありません。使えるのは学部・方式ごとの相対的な難しさを比べる材料としてです。

もう一つ、公式Q&Aには「科目ごとの基準点(合格最低点)は設けていません。総合点で合否判定します」とあります。英語だけで足切りされることはありません。ただしA方式は3科目、T日程は2科目。とくにT日程は英語の比重が実質的に重くなります。

採点したら記録するのは3つだけ。素点と得点率、どの大問で何点落としたか、時間が足りたかどうか。これを合格最低点ではなく、過去の自分と比べます。

法政を受けるなら、最低限やっておくこと3つ

  1. 自分の冊子番号を確定させ、その番号の過去問だけを、自分の条件の時間で解く。文学部志望なら3題60分、経営・人間環境なら4題90分。ここを間違えて練習すると本番で時間配分が崩れます
  2. 長文の速読量と、語義推測・言い換え処理を先に固める。どの日程でも合否を決めるのは読解スピードです。言い換え処理はT日程と冊子216でとくに大量に出ます
  3. 標準的な文法語法の4択と、語句整序に慣れる。冊子209・212と理系日程では15問がそのまま得点源。難問はなく、時制・準動詞・仮定法・関係詞・前置詞・イディオムで足ります。整序はほぼ全日程にあります

他大学と比べたときの法政の位置は、GMARCHの英語を比べた記事でも触れています。

残り3か月の優先順位

  • 9〜10月 冊子番号を確定させ、最も古い年度を1回、時間を計らずに解く。あわせて大学が公表している「出題意図」を自分の日程の全科目分読みます。法政は大問単位で「その大問が何を測るか」を公表しており、2025・2026年度の2年分が出ています(T日程とA方式のみ)
  • 11〜12月 過去問には手を出さず、弱点をつぶす期間。速読量、語義推測、文法語法の4択、語句整序。自分の日程に出るものだけをやります
  • 1月 2年目の年度を本番と同じ時間で解く。採点して素点を記録し、出題意図をもう一度読みます
  • 1月下旬 弱点の補強。長文のテーマ(社会・環境・AI・心理)の背景知識を日本語で入れるのもこの時期です
  • 2月上旬 最新年度を本番と同じ時間で解く。最後の予行演習。時間配分を紙に書いて持っていきます

この記事の数字は2026年度入試を基準にしています。試験時間・出題範囲・配点・日程の割り当ては年度によって動くので、出願の前に必ず自分が受ける年度の入学試験要項で確認してください。

川越で法政の英語対策をするなら

ここまでの話は「自分の日程を特定して、その条件で練習する」の一点に集約されます。EIMEI予備校の川越校舎は川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分、自習室は朝7時から使えます。1対1の個別指導なので、「あなたの冊子番号では何が出て、何が出ないか」から逆算してやることを決めていけます。

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EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。

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二神大輝