こんにちは、EIMEI予備校で英語科を担当している二神です。
この記事は、日本大学・東洋大学・駒澤大学・専修大学(日東駒専)を第一志望、または併願先に考えている高校3年生・既卒生と、その保護者の方に向けて書いています。「日東駒専なら基礎ができていれば届く」とよく言われますが、その「基礎」をどの分野で、どこまで、どの速さで仕上げればいいのかまでは、あまり語られません。そこを数字で示すのがこの記事の目的です。
EIMEIでは大学別の入試対策読本とは別に、私大グループ別の傾向分析と予想テーマという冊子を自作しています。早慶上理・GMARCH・成成明学獨國武・日東駒専の20大学について、2020〜2026年度の入試英語から長文パッセージ約860本を抜き出し、大学・学部別にテーマと形式を分類したものです。以下はその日東駒専の章から、要点をかみ砕いてお伝えします。
結論|問われているのは難問対応力ではなく、基礎の運用速度
読本の日東駒専の総論を一文にすると、こうなります。合否を分けるのは難問対応力ではなく、基礎の運用速度と取りこぼしのなさ。
根拠は構成にあります。このグループの英語は語彙・文法の独立小問が全体の3〜5割を占め、長文は平易〜標準の時事・教養記事です。全問マークが基本で、記述・英作文は専修大学の文学部E方式など一部の例外を除いてありません。
つまり、難しい英文を粘って読み解く力を試す試験ではなく、知っていることを、決められた時間内に、迷わず出せるかを試す試験です。ここを取り違えると、努力の方向がずれます。
ただし「4大学どこも同じ」ではありません。テーマを分析すると個性ははっきりしています。日大は伝記と教養百科、東洋は文化史、駒澤は図表読解とメディア、専修は心理学。過去問の空気に早く慣れた受験生が勝つグループなので、この個性を知って素材に「既視感」を作っておくこと自体が、そのまま時間短縮になります。
1. 語彙・文法の小問で落とさないための基準
まず、小問の比重が実際にどれくらいかを大学別に見ます。読本の分析ではこうです。
- 東洋大学:読解と知識問題がほぼ半々
- 駒澤大学(T方式・全学部統一):語彙文法の比重が約半分
- 日本大学(N全学統一方式):文法・語彙小問が3セット+長文+会話文+整序の7〜8大問
- 専修大学(経済・商・国際コミュニケーション系):長文2〜3本+会話文+語句整序のマーク定型
読解対策だけをしていては、配点の半分近くに手を付けないまま本番を迎えることになります。
では基準をどこに置くか。読本の日本大学の項では、対策の第一歩として「まず語彙・文法小問を8割固定」と書きました。私はこれを日東駒専の4大学すべての共通ラインとして生徒に示しています。理由は単純で、小問で8割が安定していない状態のまま長文演習を増やしても、失点の原因が読解力なのか知識不足なのか切り分けられないからです。
確認の手順は、次の3ステップで十分です。
- 志望校の過去問1年分から、語彙・文法・整序・会話文の小問だけを抜き出して続けて解く。長文は飛ばす。
- 正答率を出す。同時に、1問あたりにかけた時間を測る。長考して当てた問題は「取れた」に数えない。
- 8割に届かない間は、演習時間の配分を小問寄りに保つ。届いたら長文の比率を上げる。
知識問題は、形式ごとに癖があります。東洋には和文対応の整序英作文、駒澤には語彙定義・熟語・整序・アクセントが大問として並びます。アクセントや語彙定義は知識でそのまま取れる分野なので、直前期に集中して投資する価値があります。
語彙そのものの入れ方は、テーマごとにまとめて覚えるやり方が日東駒専と相性がいいと考えています。詳しくはテーマ別に英単語を覚える方法の記事にまとめました。
2. 長文は何本・何語・何分か
ここは正直にお伝えします。読本の分析で語数と試験時間まで明記できたのは東洋大学です。
東洋は分析した全年度・全方式で5大問構成・60分が完全に共通でした。内訳は長文読解2本(各400〜700語、空所補充+内容一致が中心、出典明記)+短文の語彙文法空所+会話文の文挿入+和文対応の整序英作文です。
他の3大学は、長文の本数と大問構成が読本で確認できています。
- 日本大学:N方式は文法・語彙小問3セット+長文+会話文+整序の7〜8大問のオールマーク速解型
- 駒澤大学:T方式・全学部統一は長文2本+図表付き読解1本+会話文+知識大問で8〜10大問。グローバル・メディア・スタディーズ(GMS)は別形式で、長文3本+報道記事の語句補充+会話文補充の読解中心5大問
- 専修大学:経済・商・国際コミュニケーション系は長文2〜3本+会話文+語句整序
時間配分は、東洋の60分から逆算した私の指導上の目安としてお読みください。東洋なら、長文2本で合計30分(1本15分)、知識3大問で20分、見直しに10分。長文1本15分は、400〜700語を読んで設問まで終える速さです。これが現時点で何分かかるかを測ると、必要な短縮幅がはっきりします。
駒澤のように大問が8〜10並ぶ形式では、1大問あたりに使える時間はさらに短くなります。「知識大問は考えずに終わらせて、長文と図表に時間を寄せる」という優先順位を、演習の段階で体に入れておく必要があります。
長文そのものの読み方については、英語長文が読めない原因と読み方の手順で詳しく書いています。日大の長文は抽象的な議論がほとんどなく事実整理型なので、読本でも「段落ごとの事実チェック読み」を勧めました。
3. 大学ごとの違い|日程で決まる大学と、学部で別物になる大学
同じグループでも、対策の単位が「大学」で済むか「学部・方式」まで下ろす必要があるかが分かれます。
形式が統一されている側
東洋大学は、読本で分析した範囲では学部・方式が違っても5大問構成が統一されていました。形式が固定されている分、過去問を回す効率が最も高い大学です。テーマは文化史が突出していて、分析した32本のうち11本が歴史・文化系。塩の世界史、日本のプリン受容史、古代エジプトの暦、フェラーリのロゴの起源、バスケットボール発明秘話といった「もの・習慣の歴史」が絶え間なく出ます。東洋については東洋大学の入試英語 傾向分析に一大学分をまとめてあります。
日本大学も、N全学統一方式と学部別A方式は同系統です。学部別A方式も全マークで、大問の並びと小問数が学部ごとに違うだけ。テーマは百科事典の項目のような一項目完結型の説明文が中心で、灯台の歴史、無声映画の弁士、フラメンコの起源、鯨油から石油へ、コーヒーのアメリカ伝播、テスラとエジソン、向井千秋といった伝記・歴史・文化ものが並びます。
学部・方式で別物になる側
駒澤大学は、T方式・全学部統一とGMSで試験の性格が変わります。T方式・全学部統一はほぼ毎回組み込まれる図表・データ読解が看板で、世界人口ランキングの変動、幸福度ランキング、食品ロスの国別データ、コーヒー消費量の国際比較、住みやすい都市ランキングなど、分析した51本のうち十数本が表・グラフ付きでした。図表は数値の変化や順位の入れ替わりを問うので、表の縦横を素早く把握する練習が要ります。一方GMSは読解中心の別形式で、SNSの偽情報、ニュースリテラシー、ネパール人介護労働者といったメディア×社会の時事が濃く、VOA・Pew・NHKなどの報道が出典です。
専修大学は、経済・商・国際コミュニケーション系がマーク定型なのに対し、文学部E方式だけが記述重視で別物です。長文1本+日本語要約160字+英文メール返信という構成で、知らずに受けると事故になります。テーマの偏りも明確で、分析した42本のうち12本が心理学。アッシュの同調実験、集合知、性格検査の信頼性、後悔の心理、乳児の道徳性実験、検索練習といった有名研究の紹介記事が毎回のように出ます。加えて2024年にはChatGPT関連が一気に3本出題され、生成AIの波をこのグループで最も早く反映した大学になりました。
大学別の読本は大学別 入試対策読本のまとめから一覧できます。
4. GMARCH第一志望の人が日東駒専を併願するときの注意
ここが、この記事で一番お伝えしたい部分かもしれません。
読本のGMARCHの章では、素材を「質の高い新聞の日曜版」と表現しました。BBC・Guardian・AP・NYTなどの報道記事を標準的な難度にリライトしたもので、時事・心理学の研究紹介・文化史の逸話が三本柱です。日東駒専の平易〜標準の時事・教養記事と、素材の性格はかなり近い。だからこそ「GMARCHの勉強をしていれば下は自動的に取れる」と考えがちです。
実際には、次の3点で落とし穴があります。
- 知識小問の即答力が別物です。GMARCHには和訳・要約・英作文を課す学部があり(読本では明治の法・理工、中央の法、青学の個別方式、学習院などを挙げました)、そこを志望する人ほど、じっくり書く訓練に時間を割きます。その練習は、語彙・文法小問が3〜5割を占める試験の速さには直結しません。併願校の過去問で、小問だけの時間を別に測ってください。
- 形式固有の問題に触れずに本番を迎えがちです。東洋の和文対応の整序英作文、駒澤のアクセントや語彙定義、日大の整序。どれも難しくはありませんが、初見で出会うと時間を奪われます。1回分を通しで解けば解消します。
- 方式ごとの確認を省いてしまいます。読本ではGMARCHについて「同じ大学を複数方式で受ける場合も、方式ごとに形式確認が必須」と書きました。これは日東駒専側でも同じで、駒澤のGMSと専修の文学部E方式は、同じ大学の他方式とは別の試験だと考えたほうが安全です。
一方で、併願が有利に働く面もあります。読本では駒澤の図表読解について共通テスト型教材が流用できると書きました。共通テスト対策と駒澤の図表枠は、そのまま重なります。共通テスト利用方式を併願に組み込む考え方は共通テスト利用入試の使い方にまとめてあります。
5. 2027年度に向けて押さえておきたいテーマ
読本では、20大学の全データで出題が明確に増えた潮流として次の5つを挙げました。生成AIと人間(仕事・教育・倫理・バイアス)、スマートフォンと注意・若者のメンタルヘルス、気候変動の「対策と副作用」、ジェンダーと格差、日本社会もの(少子高齢化・空き家・オーバーツーリズム・外国人労働者)。どの大学を受けるにせよ、2027年度の最有力ゾーンです。
日東駒専の4大学それぞれの予想テーマは、読本では次のように整理しました。
- 日本大学:人物伝(発明家・宇宙飛行士・文化人)/ものの歴史(乗り物・食べ物・道具の起源)/健康の常識もの(睡眠・免疫・食習慣)/日本文化の紹介もの/環境問題の概説
- 東洋大学:食と暮らしの世界史(コーヒー・チョコが本命)/通説の見直しもの/AIと高齢社会/学び方の科学(独学・メンター・読字)/スポーツ・娯楽の起源
- 駒澤大学:データで見る世界(人口・幸福度・環境指標)/SNSと偽情報/移民・労働と日本/芸術・デザインの歴史(浮世絵・バウハウス型)/水と気候
- 専修大学:心理学の有名研究もの/生成AIと学び・仕事/睡眠と習慣の科学/幸福と人間関係/多様性と包摂
グループを横断した最重要テーマの上位は、1位が生成AIと仕事・教育・倫理、2位がスマートフォンと注意・若者のメンタルヘルス、3位が心理学の有名研究・実験ものでした。3位は専修の看板そのもので、日東駒専とGMARCHを併願する人にとっては投資効率の高い領域です。
念のため書き添えますが、予想テーマは過去の出題パターンと入試英語全体のトレンドからの推定であり、的中を保証するものではありません。狙いは山当てではなく、その大学が好む知のジャンルを事前に頭に入れておくことにあります。
6. 大学別のオリジナル予想問題を、どう作っているか
EIMEIでは、英語の予想問題を大学別に自作しています。日東駒専では東洋大学の分を作っており、他に青学・中央・東京電機・法政T日程・早稲田文構・慶應経済・早稲田商などがあります。作り方は毎回同じ手順です。
- 形式を先に固定します。東洋なら5大問・60分、長文2本は各400〜700語、設問は空所補充と内容一致が中心、そこに短文の語彙文法空所、会話文の文挿入、和文対応の整序英作文。本番と同じ器を用意するのが出発点です。ここがずれると、時間配分の練習になりません。
- テーマは予想テーマの枠から選びます。東洋なら食と暮らしの世界史、通説の見直し、AIと高齢社会、学び方の科学、スポーツ・娯楽の起源。読本の分析で「この大学が好む」と判断した枠の中から、まだ本人が読んだことのない素材を選びます。
- 語彙と一文の長さを過去問に合わせます。難しく作るのは簡単ですが、それでは本番の再現になりません。日東駒専は平易〜標準の英文を速く正確に処理する試験なので、難度ではなく処理量で負荷をかけます。
- 解いた後に、日本語で背景知識を渡します。テーマ準備の価値は的中ではありません。読本の言葉を借りれば、的中しなかった英文に対しても「知の隣町」から入れるようになることです。1本解いたら、その周辺のテーマまで日本語で入れておく。これが次の英文の読みやすさに効きます。
川越校舎は1対1の個別指導なので、この予想問題も「全員に同じものを配って終わり」にはしません。小問の正答率が8割に届いていない生徒には、まず知識大問だけを切り出して渡します。長文を含めた通しは、その土台ができてからです。
まず、1回分を時間どおりに解いてみるところから
日東駒専の英語で一番よくない状態は、「基礎は大丈夫だと思う」というあいまいな自己評価のまま12月を迎えることです。小問の正答率と、長文1本にかかる分数。この2つは、過去問1年分を時間どおりに解けば今日のうちに分かります。
EIMEI予備校の川越校舎は、川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えます。2026年6月に開校しました。
「志望校の小問で今どのくらい取れているか一緒に見てほしい」「GMARCHと日東駒専の併願で、どちらの形式を優先すべきか相談したい」。こうした話は、実物を見ながらのほうが早く進みます。解いたことのある過去問と、直近の模試の成績表をお持ちください。
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