この記事は、成蹊大学の総合型選抜「自己推薦型」を考えている高校生と保護者に向けたものです。成蹊大学は2027年度入試(2026年に実施)で総合型選抜を組み替え、新しく作る予定だった「基礎学力型」は、夏に実施の取りやめが発表されました。何が変わり、何が残ったのかを公式発表で確認したうえで、自己推薦型の学部ごとの中身と、来年以降に受ける高1・高2が今から準備できることを整理します。
2027年度の総合型選抜で何が起きたか
3月:「自己推薦型」と「基礎学力型」への再編を発表
成蹊大学は2026年3月10日、2027年度入学者選抜から総合型選抜を再編すると発表しました。プレスリリースでは、総合型選抜を「自己推薦型」と「基礎学力型」の2つに分け、自己推薦型はこれまでの多面的な評価の流れを引き継ぎ、基礎学力型は学力試験を課す2教科型として新設する予定でした。
7月:「基礎学力型」の実施取りやめ
ところが2026年7月1日、大学は基礎学力型の実施を取りやめると公表しました。理由として挙げられているのは、文部科学省が2026年5月27日付で通知した「令和9年度大学入学者選抜実施要項」です。この中で、総合型選抜では面接による評価を必ず行うとされました。基礎学力型の選抜方法には面接が含まれておらず、大学は文部科学省と協議したうえで、今から面接を組み込むのは日程や運営体制の面で不可能と判断した、と説明しています。
7月3日には追記があり、総合型選抜全体が取りやめになったわけではないこと、自己推薦型は予定どおり実施されることが明記されました。一部の報道で全体の取りやめと読める内容があったための補足です。基礎学力型の募集人員は、ほかの選抜方式に配分されると入試情報サイトに書かれています。
つまり2027年度に一般の高校生が受けられる成蹊大学の総合型選抜は、自己推薦型だけになりました(帰国生・社会人・外国人の特別受験は別にあります)。年内入試全体の制度の変化については年内入試はどう変わるかでまとめています。
自己推薦型の基本:実施学部と出願の条件
2027年度の自己推薦型は、経済学部・経営学部・法学部・国際共創学部・理工学部で実施されます。文学部では自己推薦型の募集はありません。
募集人員は次のとおりです。理工学部は出願時に理工学科として志望し、入学する専攻は入学手続のときに選ぶ仕組みです。
| 学部・学科(専攻) | 募集人員 |
|---|---|
| 経済学部 経済数理学科 | 4名 |
| 経済学部 現代経済学科 | 10名 |
| 経営学部 総合経営学科 | 25名 |
| 法学部 法律学科 | 9名 |
| 法学部 政治学科 | 6名 |
| 国際共創学部 国際日本学専攻 | 5名 |
| 国際共創学部 環境サステナビリティ学専攻 | 7名 |
| 理工学部 理工学科 | 15名 |
出願資格の共通部分で大事なのは2つです。1つは専願であること。成蹊大学の志望学部で学ぶことを強く希望し、合格したら必ず入学することが条件です。もう1つは、総合型選抜は1区分のみ、自己推薦型は1学科・専攻のみしか出願できないことです。現役生と既卒生の区別はありません。
今回確認した要項には、評定平均の数値の基準は書かれていませんでした。その一方で、学部によっては次のような条件があります。
- 経済学部:指定の英語外部検定(英検、TOEFL iBT、TOEIC L&R、IELTS、GTEC、TEAP、ケンブリッジ英語検定)のいずれかの成績を取得していること。経済数理学科はさらに、数学Ⅰ・A・Ⅱ・Bをすべて履修し、数学の修得単位数の合計が13単位以上
- 理工学部:数学の修得単位数の合計が14単位以上(旧教育課程の人は13単位以上)、かつ理科が10単位以上
- 経営学部・法学部・国際共創学部:学部独自の出願要件はなし
単位数の条件は、高校のカリキュラムやコース選択で決まってしまいます。理工学部や経済数理学科を考えている高1は、高2以降の科目選択の前に、自分の学校で何単位になるかを担任の先生に確認しておきましょう。出願資格の読み方は募集要項の出願資格の読み方で詳しく説明しています。
2027年度の日程
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 出願期間 | 2026年9月23日(水)〜10月7日(水)消印有効 |
| 一次審査(書類)合格発表 | 11月6日(金)10時 |
| 二次審査 | 経済・経営・国際共創・理工は11月14日(土)、法は11月28日(土) |
| 二次審査合格発表 | 経済・経営・国際共創・理工は11月20日(金)、法は12月5日(土) |
| 入学手続締切 | 経済・経営・国際共創・理工は12月7日(月)、法は12月18日(金)(消印有効) |
出願は9月下旬から10月上旬で、高3の夏休みが書類づくりの山場になります。
一次審査:書類は学部ごとに中身が違う
一次審査は書類審査です。どの学部も調査書・志望理由書・活動報告書を出しますが、それに加えて学部ごとの課題があります。
- 経済学部:課題レポート(1200字程度、大学所定の書式)。テーマは2026年6月3日に公開されました
- 経営学部:課題レポート(約1200字)
- 法学部:学修計画レポート(A4で2ページ以内)、語学試験の成績など
- 国際共創学部:英語外部検定試験の成績と課題レポート
- 理工学部:英語外部検定などの証明書、科学関係のコンクールなどの資料
経済学部の課題レポートは、テーマの公開から出願まで約4か月あります。1200字のレポートでは、調べてわかった事実と自分の考えを分けて書く必要があります。本や新聞記事、公的機関のWebページなどを使う場合は、どこから得た情報かをきちんと書く練習を早めにしておくと慌てません。課題レポートの進め方は事前課題・課題レポートの進め方にまとめています。
二次審査:学部ごとの組み合わせ
二次審査も学部によってかなり違います。入試情報サイトでは、資料読解力・文章表現力の審査、討論力の審査、プレゼンテーション、面接などを学部ごとに組み合わせると説明されています。要項で確認できた内容は次のとおりです。
経済学部
筆記の事前学習確認審査(40分)と、発表審査(約20分)です。発表審査は対面の個人面接で、約10分のプレゼンテーションと質疑応答などで構成され、事前にA4で1枚のレジュメを用意します。二次審査の課題は2026年10月15日に発表されました。
経営学部
筆記の総合分析力審査(60分)と、グループ討論による討論力審査です。要項の説明では、自分の意見を言わないのは論外で、主張だけを続けても評価されにくく、相手の意見と自分の意見の似ている点と違う点をつかみ、両方をまとめる新しい案を出せるかが大切だとされています。
法学部
マークシートの基礎読解力審査(75分)と、約60分のグループ討論による討論力審査です。テーマは毎年変わり、制度の比較や統計データの読み取りが出ることもあると書かれています。異なる意見とその根拠を事前に整理しておくことが求められます。二次審査日は他学部より遅い11月28日です。
国際共創学部
記述式の理解力・思考力審査(40分)と、約20分の発表・質疑応答審査です。発表・質疑応答は「プレゼンテーション+対話」型の個人面接で、志望理由についての質疑も含まれます。レジュメを4部持参します。二次審査の課題は2026年10月20日に発表されました。
理工学部
数学的な思考力を問う演習の思考力審査(90分)と、科学技術のテーマについて書く記述式の表現力審査(30分)などです。理工学部の二次審査のほかの内容は要項で確認してください。
集団討論とプレゼンテーションの準備の仕方は集団討論・プレゼン・英語の対策で詳しく書いています。
どの学部が自分に合うかの考え方
自己推薦型は「書類+学部ごとの課題」の入試なので、得意なことで学部を選ぶ視点も持っておくとよいでしょう。
- 人前で話すのが得意で、調べたことを発表にまとめられる人:経済学部・国際共創学部(プレゼン型)
- グループで話し合いを進めるのが得意な人:経営学部・法学部(討論型)
- 数学の問題を考えるのが好きな人:理工学部、経済学部 経済数理学科
もちろん、学部選びの出発点は「何を学びたいか」です。そのうえで、試験の形式に向けた練習を何か月積めるかを考えて決めてください。
学年別の準備スケジュール
2028年度以降の総合型選抜がどうなるかについては、今回確認した範囲では公式の発表はありませんでした。ただし文部科学省の実施要項で総合型選抜に面接が必須とされた以上、書類と面接・発表を中心にした準備はどの形になってもむだになりません。2028年度の要項が出たら必ず確認してください。
高1(いま〜高2の春)
- 理工学部や経済数理学科を考えるなら、数学・理科の単位数が条件を満たすコースを選ぶ
- 英検などの英語外部検定を一度受けておく(経済学部・国際共創学部では成績を使う)
- 探究の授業や課外活動を、活動報告書に書けるように記録しておく
高2(いま〜高3の春)
- 春〜夏のオープンキャンパスで学部の説明を聞き、二次審査の形式(討論かプレゼンか)を確かめる
- 新聞記事や統計を読んで、800〜1200字で自分の意見をまとめる練習を月に2本ほど続ける
- 人前で3分話す、友だちと討論する、といった練習の機会を学校の授業の中でも意識してつくる
高3(春〜秋)
- 6月:課題レポートのテーマ公開を確認し、資料集めを始める(2027年度の経済学部は6月3日公開)
- 7〜8月:志望理由書・活動報告書・課題レポートを仕上げる
- 9月下旬〜10月上旬:出願
- 10〜11月:二次審査の課題発表に合わせて、発表や討論の練習をする
今年受けている高3の人へ
2027年度の出願は10月7日で締め切られています。出願した人は、11月6日(金)10時の一次審査の発表を待つところです。経済学部と国際共創学部はすでに二次審査の課題が発表されているので、一次の結果を待たずに準備を進めておいてください。二次審査は11月14日(法学部は11月28日)で、発表から1週間ほどしかありません。
専願の入試なので、合格した場合は入学手続(12月7日、法学部は12月18日が締切)まで一気に進みます。一般選抜の勉強は結果が出るまで続けておきましょう。
同じ東京の私立大学の総合型選抜として、成城大学の総合型選抜も紹介しています。
参考にした公式情報
- 成蹊大学 2027年度 総合型選抜(自己推薦型・帰国生特別受験・社会人特別受験)入学試験要項(第4版)
- 2027年度 総合型選抜「基礎学力型」の実施取りやめについて(S-NET 重要なお知らせ)
- 成蹊大学 プレスリリース(2026年3月10日)総合型選抜の再編
- 2027年度入学者選抜より総合型選抜を再編(成蹊大学 News&Topics)
- 成蹊大学 S-NET 自己推薦型
- 成蹊大学 S-NET 総合型選抜入試概要
- 成蹊大学 S-NET お知らせ(2026年度)
入試の内容は変更されることがあります。出願前に必ず大学の公式発表を確認してください。
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